吸血少女の好きなところ
ブクマ四桁になりました(´;ω;`)
初めてです。皆ありがとうございます_|\○_
でっかい山のようなプリンを食べてたんだ。こんな幸せな事は他に無いんじゃないかな!
プリンプリンプリン♪ 幸せのプリ〜ン。一口食べれば笑顔になるよ〜。甘くて美味しいプリンプリンプリン〜。
プルプルしてて甘いんだよ。ケーキの山はないのかな〜?
プリンが揺れる⋯⋯世界が揺れる⋯⋯
え? 何? まさかケーキの事考えたから?
ボロボロと崩れるプリンの山が、みるみるうちに消えていく。僕は急いで食べようと焦りながら、崩れていくプリンを悲しく思った。
揺れる揺れる世界は揺れる⋯⋯ケーキの事考えてごめんなさい⋯⋯
ゆっさゆっさと肩を揺すられて、僕は重い瞼を薄ら開く。目の前にはビビの顔があって、生温い吐息が頬を撫でた。
プリン⋯⋯無くなっちゃった⋯⋯僕のプリン⋯⋯
「はぁ⋯⋯はっはぁ⋯⋯あ、アーク⋯⋯うぅ⋯⋯」
ビビの辛そうな表情を見て、意識が急速に浮上する。
「どうしたの? ビビ?」
「我慢出来なくて⋯⋯アーク⋯⋯アークぅ⋯⋯」
そういう事だったんだね。暗くてわかりずらかったけど、ビビの瞳が真っ赤に染まっているみたい。
「我慢しなくても良いよ?」
きっと進化の影響で、エネルギーを沢山使っちゃったんだ。だから血が吸いたくて仕方なかったんだと思う。
「はっ⋯⋯はぁ⋯⋯」
ビビは僕のパジャマを素早くずらすと、勢い良く首筋に噛み付いた。
いつもは少しの時間舐めてから噛むんだけど、今日はいきなりみたいだね。
あわわ⋯⋯ちょっと痛い⋯⋯
「⋯⋯」
何だかいつもより噛む力が強いみたい。牙の部分が深く刺さって、通常の歯も噛み付いてきてるんだ。力加減が出来ない程に、今日のビビは飢えている。
前にイグラムで進化した時は、寝てる僕を噛んでしまった事を気にしていたんだ。僕は気にしていなかったんだけど、ビビ的にはアウトだったらしい。
よしよしとビビの背中を撫でて、少しでも飲みやすいように上半身を起こす。
サラサラした銀髪が頬に当たって気持ち良い。ビビってとっても良い香りがするんだよね⋯⋯何だかわからないけど、独特な匂いがするんだ。
僕はこの匂い好き。段々そう思うようになってきた。
白く繊細な肌が好き。
イタズラしてくる顔が好き。
取り繕ってソワソワしてる態度が好き。
プライドが高いのに、たまに折れるところが好き。
素直になれないところも好き。
鳥肉好きなのに、普通だよって顔をしているところが好き。
僕が弱っている時は、そっと気遣ってくれるところが好き。
綺麗な瞳が好き。
柔らかい体が好き。
寂しがりなところも好き。
細い指が好き。
僕の夢に付き合ってくれるところが好き。
頼ってくれるところが好き。
ひんやりして気持ち良いところが好き。
ビビの寂しげな顔が嫌い。
一人で傷ついてるところが嫌い。
もっとビビの事が知りたいな。これからの長い時間で、僕はビビをどこまで理解出来るようになるのかな?
再生スキルを使うと、減っていく血が補充される。
部屋の外から賑やかな音が聞こえてきた。きっと精霊さん達が精霊酒を呑んで騒いでいるんだろうね。
ちょっと混ざりたい気持ちもあるけれど、僕は寝なきゃ体がもたないからね。精霊さんはどっちでも良いらしいから、逞しくて羨ましく思う。
僕の部隊の皆も騒いでるんだろうね。マリーがボーネイトに迷惑かけてなきゃ良いけど。
ビビの背中のリボンを弄る。
あ、ビビの足の指が閉じたり開いたりしているよ。触ったら怒るかな? 擽ったいだろうし怒るよね。
シルフ様の国まで三日あるって言ってたけど、次はノーム様の国の精霊さんまで戦力として加わる。
数は単純に二倍になるのかな? シルフ様の国を助ければ、また戦力が増える事になるよね。
きっとトラさんの国も救える筈。アルフラも助かるし、沢山の人が助かるよね。
隣の部屋からは、トラさんの気配が感じられる。戦いから帰って、まだトラさんの顔を見てないな。
外には精霊さんが溢れているから、仲間に入れてもらったら良いのに⋯⋯
明日起きたらトラさんの毛をモフモフしよう。モフモフの刑に処します。
ビビの噛む力が弱くなってきた。きっと少し落ち着いたんだろうね。
それから暫くゆっくりと血を吸ったビビは、首の傷口を舐めて動かなくなった。
寝ちゃったのかなとも思ったけど、背中に回された腕には力がこもっている。
「ビビ?」
「⋯⋯」
何故かビビの耳が赤い⋯⋯顔を見ようと思ったのに、離れられないから見れないんだ。
「すまない、アーク⋯⋯恥ずかしいところを見せた」
「え? 何が?」
「あんな風に強請ったら、浅ましく思うだろう⋯⋯」
「ん? よくわからない」
それが何か問題あるのかな? ビビに頼られて僕は嬉しかったんだけど⋯⋯
ビビの髪の毛を弄る。もう血を飲み終わったから大丈夫だね。
「寝よ。ビビ」
「うん⋯⋯アーク⋯⋯あ、いや、何でもない⋯⋯寝よう」
*
朝目を覚ますと、腕が甘噛みされている事に気がついた。僕の腕の中に入って、こちらに背中を向けている。
暫く様子を見ていたんだけど、普段と違うビビが見れて面白かったよ。僕が起きてると気がついた時、一人で百面相していたけどね。
今僕は、イフリンと中庭で座禅を組んでいる。向かい合わせになって、魂の繋がりを太くする練習をしているんだ。
魂の繋がりが強くなれば、それだけ炎の恩恵を受けれるようになるんだよね。
「ふむ⋯⋯もう私がアークに教える事は無い。これからは自分で自分を高めていけば良いだろう」
「ありがとうございます。イフリンのお陰で強くなれました」
「はっはっは。私の訓練についてきたのはアークだ。それと、アークは基本的な精霊術士とは違う」
「???」
そう言えば、僕は基本を何一つ知らなかったかも。精霊使い? 精霊術士さんに会った事無いしね。
「普通の精霊術士はな、契約した精霊を呼び出して終わりなんだ。そこで魔力を対価としていただき、精霊は願いを聞いてやる。それが普通の精霊術士なんだ」
そうなんだ⋯⋯それじゃ、僕のやり方はちょっと変かも?
「アークが習得した術は、色々と規格外だという事だけ覚えておけば良い。もし精霊術士と戦う事になれば、その違いに驚くと思ってな」
「そうなんですか。教えていただき、ありがとうございます」
「それとな、アークはまだゆっくり精霊界を見ていないだろう? 今日は一日自由にすると良い」
え? それは嬉しいけど⋯⋯
「でも作戦会議とかあるんじゃ⋯⋯?」
「今日は部隊の班分けがメインになるだろう。だからアークが参加してもあまり意味は無いな」
イフリンは立ち上がると、服についた土を軽くはらう。
「温泉のある山付近を通過する事になっているんだ。少しそこで休んでこい。景色の綺麗な所なんだぞ」
景色の綺麗な温泉かぁ。見てみたいなぁ⋯⋯ビビとベスちゃん連れて行く? トラさんも来るかな?
「わかりました。では一日羽を伸ばしてきますね」
「ああ。ゆっくりしてこい」
「はい。ありがとうございます」
イフリンがゆっくり去って行く。
どんな所なんだろう。楽しみになってきたよ。
フレイガースの街もゆっくり見てみたかったし、ちょっとワクワクしてきました。
いつも読んでくれてありがとうございます。
皆様、デタラメな冒険譚で好きなキャラクターは出来ましたか?
どのキャラのどんな所が好きなのか、是非教えていただきたいです。キャラ名だけでも良いですよ(*^^*)
感想で気軽に何でも聞いて下さい。全て返信させていただきます(((o(*゜▽゜*)o)))
何度書いても大丈夫ですよ! これからもデタラメな冒険譚をよろしくお願い致します。




