表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/214

吸血少女の好きなところ

 ブクマ四桁になりました(´;ω;`)

 初めてです。皆ありがとうございます_|\○_






 でっかい山のようなプリンを食べてたんだ。こんな幸せな事は他に無いんじゃないかな!


 プリンプリンプリン♪ 幸せのプリ〜ン。一口食べれば笑顔になるよ〜。甘くて美味しいプリンプリンプリン〜。


 プルプルしてて甘いんだよ。ケーキの山はないのかな〜?


 プリンが揺れる⋯⋯世界が揺れる⋯⋯


 え? 何? まさかケーキの事考えたから?


 ボロボロと崩れるプリンの山が、みるみるうちに消えていく。僕は急いで食べようと焦りながら、崩れていくプリンを悲しく思った。


 揺れる揺れる世界は揺れる⋯⋯ケーキの事考えてごめんなさい⋯⋯



 ゆっさゆっさと肩を揺すられて、僕は重い瞼を薄ら開く。目の前にはビビの顔があって、生温い吐息が頬を撫でた。


 プリン⋯⋯無くなっちゃった⋯⋯僕のプリン⋯⋯


「はぁ⋯⋯はっはぁ⋯⋯あ、アーク⋯⋯うぅ⋯⋯」


 ビビの辛そうな表情を見て、意識が急速に浮上する。


「どうしたの? ビビ?」


「我慢出来なくて⋯⋯アーク⋯⋯アークぅ⋯⋯」


 そういう事だったんだね。暗くてわかりずらかったけど、ビビの瞳が真っ赤に染まっているみたい。


「我慢しなくても良いよ?」


 きっと進化の影響で、エネルギーを沢山使っちゃったんだ。だから血が吸いたくて仕方なかったんだと思う。


「はっ⋯⋯はぁ⋯⋯」


 ビビは僕のパジャマを素早くずらすと、勢い良く首筋に噛み付いた。

 いつもは少しの時間舐めてから噛むんだけど、今日はいきなりみたいだね。


 あわわ⋯⋯ちょっと痛い⋯⋯


「⋯⋯」


 何だかいつもより噛む力が強いみたい。牙の部分が深く刺さって、通常の歯も噛み付いてきてるんだ。力加減が出来ない程に、今日のビビは飢えている。


 前にイグラムで進化した時は、寝てる僕を噛んでしまった事を気にしていたんだ。僕は気にしていなかったんだけど、ビビ的にはアウトだったらしい。


 よしよしとビビの背中を撫でて、少しでも飲みやすいように上半身を起こす。


 サラサラした銀髪が頬に当たって気持ち良い。ビビってとっても良い香りがするんだよね⋯⋯何だかわからないけど、独特な匂いがするんだ。

 僕はこの匂い好き。段々そう思うようになってきた。

 白く繊細な肌が好き。

 イタズラしてくる顔が好き。

 取り繕ってソワソワしてる態度が好き。

 プライドが高いのに、たまに折れるところが好き。

 素直になれないところも好き。

 鳥肉好きなのに、普通だよって顔をしているところが好き。

 僕が弱っている時は、そっと気遣ってくれるところが好き。

 綺麗な瞳が好き。

 柔らかい体が好き。

 寂しがりなところも好き。

 細い指が好き。

 僕の夢に付き合ってくれるところが好き。

 頼ってくれるところが好き。

 ひんやりして気持ち良いところが好き。



 ビビの寂しげな顔が嫌い。

 一人で傷ついてるところが嫌い。



 もっとビビの事が知りたいな。これからの長い時間で、僕はビビをどこまで理解出来るようになるのかな?


 再生スキルを使うと、減っていく血が補充される。



 部屋の外から賑やかな音が聞こえてきた。きっと精霊さん達が精霊酒を呑んで騒いでいるんだろうね。


 ちょっと混ざりたい気持ちもあるけれど、僕は寝なきゃ体がもたないからね。精霊さんはどっちでも良いらしいから、逞しくて羨ましく思う。


 僕の部隊の皆も騒いでるんだろうね。マリーがボーネイトに迷惑かけてなきゃ良いけど。


 ビビの背中のリボンを弄る。


 あ、ビビの足の指が閉じたり開いたりしているよ。触ったら怒るかな? 擽ったいだろうし怒るよね。


 シルフ様の国まで三日あるって言ってたけど、次はノーム様の国の精霊さんまで戦力として加わる。

 数は単純に二倍になるのかな? シルフ様の国を助ければ、また戦力が増える事になるよね。


 きっとトラさんの国も救える筈。アルフラも助かるし、沢山の人が助かるよね。


 隣の部屋からは、トラさんの気配が感じられる。戦いから帰って、まだトラさんの顔を見てないな。

 外には精霊さんが溢れているから、仲間に入れてもらったら良いのに⋯⋯


 明日起きたらトラさんの毛をモフモフしよう。モフモフの刑に処します。


 ビビの噛む力が弱くなってきた。きっと少し落ち着いたんだろうね。


 それから暫くゆっくりと血を吸ったビビは、首の傷口を舐めて動かなくなった。

 寝ちゃったのかなとも思ったけど、背中に回された腕には力がこもっている。


「ビビ?」


「⋯⋯」


 何故かビビの耳が赤い⋯⋯顔を見ようと思ったのに、離れられないから見れないんだ。


「すまない、アーク⋯⋯恥ずかしいところを見せた」


「え? 何が?」


「あんな風に強請(ねだ)ったら、浅ましく思うだろう⋯⋯」


「ん? よくわからない」


 それが何か問題あるのかな? ビビに頼られて僕は嬉しかったんだけど⋯⋯


 ビビの髪の毛を弄る。もう血を飲み終わったから大丈夫だね。


「寝よ。ビビ」


「うん⋯⋯アーク⋯⋯あ、いや、何でもない⋯⋯寝よう」





 朝目を覚ますと、腕が甘噛みされている事に気がついた。僕の腕の中に入って、こちらに背中を向けている。


 暫く様子を見ていたんだけど、普段と違うビビが見れて面白かったよ。僕が起きてると気がついた時、一人で百面相していたけどね。



 今僕は、イフリンと中庭で座禅を組んでいる。向かい合わせになって、魂の繋がりを太くする練習をしているんだ。

 魂の繋がりが強くなれば、それだけ炎の恩恵を受けれるようになるんだよね。


「ふむ⋯⋯もう私がアークに教える事は無い。これからは自分で自分を高めていけば良いだろう」


「ありがとうございます。イフリンのお陰で強くなれました」


「はっはっは。私の訓練についてきたのはアークだ。それと、アークは基本的な精霊術士とは違う」


「???」


 そう言えば、僕は基本を何一つ知らなかったかも。精霊使い? 精霊術士さんに会った事無いしね。


「普通の精霊術士はな、契約した精霊を呼び出して終わりなんだ。そこで魔力を対価としていただき、精霊は願いを聞いてやる。それが普通の精霊術士なんだ」


 そうなんだ⋯⋯それじゃ、僕のやり方はちょっと変かも?


「アークが習得した術は、色々と規格外だという事だけ覚えておけば良い。もし精霊術士と戦う事になれば、その違いに驚くと思ってな」


「そうなんですか。教えていただき、ありがとうございます」


「それとな、アークはまだゆっくり精霊界を見ていないだろう? 今日は一日自由にすると良い」


 え? それは嬉しいけど⋯⋯


「でも作戦会議とかあるんじゃ⋯⋯?」


「今日は部隊の班分けがメインになるだろう。だからアークが参加してもあまり意味は無いな」


 イフリンは立ち上がると、服についた土を軽くはらう。


「温泉のある山付近を通過する事になっているんだ。少しそこで休んでこい。景色の綺麗な所なんだぞ」


 景色の綺麗な温泉かぁ。見てみたいなぁ⋯⋯ビビとベスちゃん連れて行く? トラさんも来るかな?


「わかりました。では一日羽を伸ばしてきますね」


「ああ。ゆっくりしてこい」


「はい。ありがとうございます」


 イフリンがゆっくり去って行く。


 どんな所なんだろう。楽しみになってきたよ。


 フレイガースの街もゆっくり見てみたかったし、ちょっとワクワクしてきました。






 いつも読んでくれてありがとうございます。

 皆様、デタラメな冒険譚で好きなキャラクターは出来ましたか?

 どのキャラのどんな所が好きなのか、是非教えていただきたいです。キャラ名だけでも良いですよ(*^^*)

 感想で気軽に何でも聞いて下さい。全て返信させていただきます(((o(*゜▽゜*)o)))

 何度書いても大丈夫ですよ! これからもデタラメな冒険譚をよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ