ノーム様からの褒美
45万PVありがとうございます(´;ω;`)
頑張ります(((o(*゜▽゜*)o)))
オシャレなウツボカズラのような形のグラスに、気泡の湧く黄緑色の液体が入っている。僕にはジュースを、イフリン達にはお酒が用意された。
僕のジュースにはフルーツが飾り付けてあって、見た目はパフェのようなんだ。
飲んでみるとシュワシュワしてて冷たい。甘くて頭もスッキリしたよ。ライチのような上品な香りが鼻を抜けて、ホッと一息つけました。
隣から肩に腕を回されたりしてるんだけど、それが優しくて温かい⋯⋯僕はこの精霊さんの名前も知らないんだ。斜め上を見上げてみると、宝石のような瞳のお姉さんが微笑んでいる。
時間があれば喋ってみたいけど⋯⋯
「アークは半分人間だが、今日は精霊化まで使った。あの魔族を倒すのに必要だったとは思うが、大変だったんじゃないか?」
イフリンが精霊酒を飲み干して、テーブルの上にグラスを置いた。背もたれに寄りかかり、実に堂々と振舞っている。
「そうですね。実戦で使うには消耗が激しかったです。フルアクセルで倒せなければ、厳しい状況になったかもしれません」
でも魔族の人を捕まえる事が出来て良かったね。この人には色々聞きたい事があるんだけど、安全な場所で出さないと危ないかもしれない。
「魔族の人はどうしたら良いでしょう?」
「それは話の後でな。今は魔族の対処よりも、シルフとウンディーネの国をどうにかせにゃならん」
「⋯⋯んー⋯⋯」
「ん? 何か思うところがあるのか?」
思うところがと言うか、魔族の人から情報を抜き出す事を優先した方が良いと思うんだ。
「この魔族の人は、ヘイズスパイダー事件の重要人物です。精霊さんの危機をどうにかしなきゃいけないと思いますが、移動中に尋問出来るならしておきたいと思いまして⋯⋯」
「ふむ⋯⋯アークの言う事ももっともだな」
「シルフ様の国までどれくらいで到着するのですか?」
「それなら三日だな」
三日⋯⋯長いようで短い時間だよね。作戦会議をして、部隊を作るのが優先かな。準備もあるだろうから、魔族の人はその後になるよね。
「子供に見えるが、色々考えているんだな」
ムーディスさんが微笑むように? いや、顔は笑っていないけど、何故か嬉しそうに見える。
そう言えば、ノーム様に呼ばれて来たんだった。イフリンと話をするのは明日でも良いかな?
イフリンもノーム様もお酒を飲んじゃってるし⋯⋯宴会をするとか聞いたような気がする。まだ油断は出来ないと思うけど、助かった喜びを分かち合いたいのかも。
ずっと張り詰めたままじゃ駄目なんだ。それがこの後の士気にも繋がるって事なのかな?
「難しい話じゃないわい。イフリートがあんまり褒めるから会ってみたくなった。会って確かめたかった事もあったからの」
確かめたい事? 首を傾げていると、ノーム様がニヤリと笑った。
「人間が精霊の体を手に入れるのは、容易なことではあるまい。ハイエルフやエルダードワーフにも無理な話だ。とりあえず礼をしたいと思うんだが、何が欲しい?」
「え、えーっと⋯⋯」
欲しい物⋯⋯? 急に聞かれると困っちゃうな。御礼が欲しくて戦った訳じゃないんだよね。
ノーム様にお願いしたい事でも良いのかな?
どうしたら良いか悩んでいたら、ノーム様がドラシーに視線を向けた。
「⋯⋯なかなか良い剣じゃな。それにそのペンダントも悪くはない⋯⋯ちょっと見せてくれるか?」
「あ、はい。どうぞ」
長椅子に立て掛けておいたドラシーと、魔装ベヒモスのペンダントを渡した。それを受け取ったノーム様の顔が、とっても嬉しそうに見えたんだ。
「ほう、これは魔剣⋯⋯と、いうよりも、生物に近い剣だ」
「わかりますか?」
「普通では無い物だが、これでも大地の化身だからの。ふむ⋯⋯」
そっか⋯⋯ノーム様は大地の化身だから、色んな鉱物を知ってるのかもしれない。
ノーム様はドラシーを抜いて、その刀身に指を這わせている。じっくり上から下まで眺めていくと、小さく一度頷いた。
「なるほど⋯⋯強くなりたいか。良かろう⋯⋯アーク、この二つを預けてみんか?」
「どうなさるのでしょうか?」
「この剣はまだまだ強くなる事を望んでいる。心配するな。悪いようにはせんよ」
ノーム様の言葉が、僕には自然と信用出来た。ドラシーがそれで良いのなら、ノーム様に預けても良いと思う。
「ちょっとドラシーを」
「ほれ」
ドラシーの柄を握ると、色々な感情が渦巻いているのがわかる。
少し離れる事になりそうだけど、ドラシーはそれでも良い?
『⋯⋯⋯⋯!』
ドラシーが仄かに発光した。離れるのは嫌だけど、強くなりたい気持ちが強いんだろうな⋯⋯
何かその気持ち凄くわかる⋯⋯ドラグスと僕の関係みたいだね。
「頑張ってね。ドラシー」
『!!』
ドラシーをノーム様に渡し、ちょっとだけ寂しくなった。
早く戻って来るんだよ! 待ってるからね!
「この魔装も出来は悪く無いが、下地に使っている金属がイマイチパッとせん。シルフの国に着くまでに、最高品質にしといてやろう」
「ありがとうございます。ノーム様」
バススさんが苦労して作ってくれた魔装だからね。ノーム様から見ても良い出来なら、とても誇れる事なんじゃないかな?
帰ったらバススさんに教えてあげよ。金属には詳しくないけど、あの時の僕が出せるギリギリの予算で作った物だったから⋯⋯
バススさんとしては、せっかく作った物を弄られたくないかな? ちょっと複雑な気分だけど、強くなれる時に強くなりたいと思います。トラさんの故郷を守りたいから、出来る事は全部したいんだ。
帰ったら謝りますね。バススさん。
「感謝してるのはこっちも同じ。早く酒が飲めるようになれアーク」
「お酒美味しくないんです⋯⋯」
お酒を飲むならジュースを飲むよ。でも、従者にはお酒の付き合いもあるんだろうな。
ジュースのようなお酒があれば飲んでみたいかもね。
ノーム様との話も終わり、僕とビビは部屋に戻った。
ビビをパジャマへ着替えさせると、そっとベッドへ寝かせてあげる。
まだ辛いのかな? 額に汗が滲んでいるよ⋯⋯
ビビの目が薄らと開き、近くにいた僕の服を引っ張った。
意識が戻ったみたいだね。さっきはずっと眠ってたけど。
「ビビ? 大丈夫?」
汗を拭きながら、ビビの前髪を撫で付ける。
「⋯⋯あ、アーク⋯⋯傍にいて欲しい⋯⋯」
「うん。ずっと傍にいるから大丈夫」
「⋯⋯よか⋯⋯も⋯⋯すー⋯⋯すー⋯⋯」
また寝ちゃったね。次はやっぱりヴァンパイア伯爵様になるのかな? ヴァンパイアの進化って謎だね。
「⋯⋯もっと⋯⋯近くに⋯⋯」
僕も眠さが限界だ⋯⋯欠伸を噛み殺して、着替えてからベッドに入る。
今だけはやらなきゃいけない事を忘れよう。
「⋯⋯アーク⋯⋯へへ」
ビビが笑った! ニヤリとする事はあるけれど、笑うのはとっても珍しいんだ。
どんな夢を見ているの? 幸せな夢だと良いな。僕もその夢に入れて欲しい。
ビビがぁ\( 'ω')/アアァァァァアアアァァァァアアア!!!!
笑ったアアアァァ( °∀°)ァァアアア




