プロローグ♪
初投稿です♪ よろしくお願いします♪
もしも、もう一度人生がやり直せるとしたら。
もしも、愛する人と出会える世界に行けるとしたら。
あなたは、一体どうする?
無様に倒れたまま、そのまま死んでしまう?
それとも――。
もう一度立ち上がって、這い上がってみる?
絶望の淵にいた俺を――。
突如暗闇から笑顔で救ってくれた。
馬鹿な神様の言葉――。
「さあ着いたよん♪ ここが今日から、えっと……」
「水野大雅だ。命を助けてくれたなら、名前くらい覚えといてくれよ」
「そう大雅ちゃんね♪ ここが今日から大雅ちゃんが青春を謳歌する、兵庫県は! 世界高等学校前の通学路です♪」
暗闇から目を覚ますと、俺は多くの住宅や電柱の建ち並ぶ、閑静な住宅街に立っていた。
辺りを見渡すと、ちょうど登校時間なのか、多くの学生が行きかい。
ゾロゾロと坂道を歩いていくのが見える。
学生達が向かう先、坂の上を見ると。
桜の木々が校門付近にいくつも植えられた、白っぽい校舎が目に入る。
「うわ~懐かしい、俺本当にあの学校に通っていいの?」
「餅のメロンよ♪ 説明するからちょっと待ってねん♪」
そして俺のかたわらに控えていた、明るい少女に視線を移すと。
上下紺色のブレザーに、青いチェック柄のスカートを揺らす少女は、学生カバンから何やら資料の様な紙の束を取り出し、不敵な笑みを浮かべていた。
なのでコイツが何かを準備している間に。
簡単にこの女の事を説明したいと思う。
彼女の名前は、仲島マリア(自称)
生を司る神様で、とある理由から命を落としてしまった俺を助けてくれた、命の恩人だ。
見た目は若く、ブラウンのショートカットの髪に、白く透き通るような肌がとても可愛らしい。
だがついさっき、ファーの付いた毛皮のコートを羽織りながら……JKとかチョーバブリ~♪ と言って踊っていたので、正確な年齢は知らない。
ていうか、知らない方が幸せな気がする。
「それでは、説明致します!」
「おう、どん来いだぜ」
準備が出来たのか、背筋を伸ばして俺の前に立ったマリアは、分厚い紙の束を持ちながら、周囲に多くの学生が行きかうというのに、大きな声でその資料を読みあげ始める。
「この世界は! 2020年1月7日、日本スタートの! ギャルゲーの世界です! そしてギャルゲーとは! 美少女が沢山出てくる、恋愛ゲームであります!」
「攻略出来るのは! 15歳~18歳の、同じ学校に通う女子高生! この世界は現実世界と同じく! 本当に何でも出来ますので! 下手をすれば大雅ちゃんが刑務所に行くというバッドエンドも!」
「ない! そのバッドエンドはない!」
マリアの声高らかな説明を聞いていると。
最後に恐ろしい一言を添える彼女に、俺はやめろと彼女の口を塞ぐ。
「でも、分かんないわよ~?」
「え? 何で?」
だが塞いでいた俺の手を取りながら、妖しい声色で呟くマリアに。
俺は変な緊張と鼓動の早まりを感じる。
「この世界の子は、全員ビックリする程可愛いから、童貞のあんたなら、話しかけられただけで、男として元気になっちゃうかもよ~? ヒャー♪」
「やめなさい! 見た目は女子高生なお前が、朝の通学路でそんなジェスチャーをするのはやめなさい!」
ホント、最低だ。
妖しい笑みを浮かべながら、右手の親指をピン♪ と立てて笑い出すマリアに。俺は泣きそうになる。
この世界の女はこんな奴ばかりじゃないだろうなあ!!?
急に襲い来る不安感!!
「あっはっは♪ ごめんごめん、安心して、あんたが一緒に過ごす子達は、あたしみたいに擦れてないから、そろそろこの道を登校してくるはずよ、見に行きましょう?」
☆☆☆
「さてさて、それではお客さん、まずはあの子が……」
「なあ、俺の事をお客さんっていうのはやめてくれる? 物凄いイケナイお店感が出ちゃうのよ」
「まあまあ、恋愛なんて行き着く先はどれもイケナイ所なのよ」
そしてマリアに案内されるまま、学校の校門のすぐ横で待っていると。
隣にいるマリアが俺達のいる先を指さすので、一応ツッコミながらも目を向ける。
『『『おはよ~、涼花♪』』』
「……おはよ」
すると視線の先。
坂道をゆっくりとのぼってくる、女子高生の一団があったのだが、その中心にいる、黒髪ショートカットの少女を目にした瞬間、本当に良い意味で、心臓が止まりそうになる。
男の俺よりも少しだけ低い身長に。
切れ長だけど、大きくて綺麗な瞳。
上下紺のブレザーに、青いチェック柄のスカートがヒラヒラと舞い。
スカートの下からは、健康的で綺麗な太ももが覗いている。
「……ん? なに?」
「いや! あの! すみません……」
そして校門をくぐる瞬間。
俺の視線に気がついたのだろう。
その黒髪ショートカットの少女は、幼いイタズラな笑みを浮かべながら、俺に話しかけて来るので、思わず敬語で謝ってしまう。
するとその少女はこくんと頷き。
また女子高生の一団に加わわりながら、俺の横をスタスタと歩き去って行った。
今の少女は、なんて言えばいいのだろう?
大人と子供の、ホントに中間の存在。
体はホントに女性的で、なのに肌とか唇は、スベスベを通り越して最早ふわふわ♪
こ、これがJKというヤツか~~!!!
「え? ちょっと待って? 俺は今日からあんな可愛い子と、その、恋愛したり、一緒に過ごしたり出来るの?」
「そうだよ? だからホント、悪い事しない様に気をつけてね?」
「気をつけます!!」
隣に立つマリアへ、思わず確認する様に口を開くと、心底楽しそうな顔で警告してくる彼女に、俺は背筋を伸ばしながら返事をかえす。
「とりあえず簡単に説明すると、今の子は斎藤涼花、17歳。2年1組のあんたと同じクラス、つまりは同級生ね」
そしてマリアは、また紙に書かれた資料を読み上げながら教えてくれる。
「あんな可愛い顔してるけど、ボクシング部に所属していて、地元やその界隈では相当な有名人らしいわよ? けど、結構大人しめだったね、あんたも昔ボクシングしてたんだし、一緒の部活に入ってみたら?」
「ああ、そうだな」
「ハイハイじゃあ次! どんどん来るわよ」
マリアの言葉を受け、涼花さんが通って行った校舎の方を振り返っていると。
隣にいたマリアに頭を掴まれ、無理やり視線を学校の前へと戻される。
「あんたが攻略できるのは、あと三人、次はあの綺麗な金髪の子」
『『『あ、ほのか! なに? 今日は仕事ないの?』』』
「あたしが出てるのは違う曜日。たまには学校で休ませなさいよ」
またマリアに言われるがまま目をやると。
先ほどと同様、数名の学生に囲まれた、美しい金色のロングヘアーを揺らす。
あまりに整った顔立ちと、男の俺と対して変わらない背の高い女の子がやってくる。
「あの子の名前は、星ノ宮ほのか、17歳。あんたと同じクラスで、さっきの涼花さんとも仲が良い。ボクシング部のマネージャーよ」
そして俺がまた視線を奪われ固まっていると。
マリアが耳元でつやっぽく教えてくれる。
「モデルをやりながら、テレビにも出てるんだって、何だっけ? 平日のお昼にやってるワイドショーあるじゃん? あれのレギュラーなんだよ」
「大手の事務所に所属してるから、髪を染めてるのも、校長に了承済み、悪ぶって染めてるわけじゃないわよ」
す、凄いな。
ていうか逆に、俺はどうやってそんな凄い女の子と出会って行くんだ?
凄い、興味が湧いてきたぞ♪
「はあ、はあ、うん。しょ……」
「で、次来たあの子が、宮本さち、15歳。あんたの一つ下の1年1組、少し病弱な、ちっちゃくて可愛い後輩ちゃんよ?」
そして3番目に来た子を見た瞬間。
俺は色々な意味でショックを受けた。
ほのかさんを見た後だから、余計にギャップが生まれたのだろう。
少し急な学校までの坂道を、ツインテールにくくった黒髪を揺らしながら、一生懸命にのぼってくる。
俺よりも頭一個分程小さい、見た目はホント。
中学生の様な幼い顔をした少女に、俺は物凄い罪悪感を覚える。
え? 犯罪???
「いや大丈夫!? あんな、幼いというか……」
「あんたも今では17歳の高校生なんだから、大丈夫よ」
「おはようございま~す、ふえ~、やっと着いた~」
俺達の横を汗を拭きながら、まるで猫の様にトテトテとすり抜けていく少女の幼い横顔を見ていると、俺は思わずマリアに確認してしまう。
それは何故か……、俺はこの世界に来る前。
27歳のいい大人だったからだ!
『『『キャー氷華先輩! 握手してください!』』』
俺が色んな意味で背筋を伸ばしていると。
坂の下から黄色い歓声が聞こえたので、そちらに視線をやる。
するとそこには、スラリとした高身長に。
腰に届くほどの艶やかな髪を揺らした、色っぽい女子高生が。
何故か同じ学校に通っているだろう女の子達に。
黄色い歓声と共に握手を求められていた。
「そして最後はあの人、清水氷華18歳。あんたの一つ上の先輩で、クラスは3年1組。あの若さでプロのフィギュアスケートで活躍する、この学校の完全無欠な生徒会長♪」
「え? プロなの? 高校生で?」
「そう。しかも以前行われた世界大会で優勝を飾った、本物のアスリート♪」
だから! 何でそんな凄い人ばかり揃えるのさ!
そんな人に、俺が相手にされるわけ……。
「む? こら。そこで何を突っ立っている。授業に遅れてしまうぞ?」
「は、ハイ! 申し訳ありません!」
だけど一度くらいは頑張ってみるのも良いかもしれない。
女子学生に囲まれながらやってくるその先輩を、ジ~ッと見つめていると。
流石に校門前で突っ立ってる俺を不思議に思ったのだろう。
少し前かがみになりながら、俺に優しく声をかけてくれる先輩に。
いや、こんなに美人で気さくな人がいるのかと!
俺の胸に衝撃的な思いが宿っていく。
「さて、今の氷華さんで、あんたの攻略できるヒロインは紹介し終わったわよ。どう? 少しは恋に青春に、頑張ってみようとか思えた?」
「ああ、俺、頑張ってみるよ!」
そしてまとめだと、俺の肩を抱きながら呟くマリアに。
俺は夢と希望に満ちた、明るい笑顔で答える――。
「そう、じゃあ、今回の人生では、可愛い彼女を作って、青春を謳歌するぜ! イエ~~~イ♪」
「だ~! やめろ! そういう事をデカい声で叫ぶな!」
するとマリアは俺の手を取り、同じく夢と希望に満ちた笑顔を浮かべながら、俺が彼女を欲しがってると声高らかに宣言しながら校舎へと入っていく。
校舎に入る前、一度だけ上を見上げると、白い校舎の真ん中に。
《兵庫県立、世界高等学校》という文字が見えた。
まあ、スタートはどうあれ、学校生活を楽しむぜ~!
い、イエ~~イ♪
俺の名前は、水野大雅。
ややこしい言い方になるが、今は17歳。
兵庫県立、世界高等学校に通う、普通の男子高校生だ。
このギャルゲーの世界に来る前。
以前生きていた世界では、プロボクサーとして、アメリカで試合をしていた。
それなりに名前もあったが、わけあって27歳の頃に、志半ばに倒れてしまった。
そして悲しいかな、同時に彼女いない歴=年齢。
世界最強の童貞として、人生を終えた。
まあ普通ならそこで、終わってしまう人生だったんだろうが。
偶然俺を見つけてくれた神様。
この、仲島マリアに。
恋人も出来ずに死ぬのはあまりにも可哀そうだと。
もう一度高校生として生まれ変わらせてあげるから。
恋や夢に、もう一度挑戦してみないかと。
簡単に言えば救われ、今に至る。
だからマリアの言う様に、俺はこの世界で可愛い彼女を見つけて。
そしてボクサーとしても、世界で戦えるような、立派な選手になりたいと思う。
俗に言う、人生やり直しってヤツだな。
しかも、恋愛とボクシングの二足のわらじを履くっていう、欲張りにも程があるやり方だ。
だけど人生、欲張りなくらいが最高に楽しいだろう?
ま、元は27だった俺が、生まれ変わったとはいえ。
前世も合わせれば、10才以上も年の離れた女子高生と恋をするのは。
正直大丈夫かと笑ってしまうが、まあいいだろう。
俺も今では、17歳の高校二年生だ!
《キーンコーンカーンコーン……》
「ふー、ギリギリセーフ♪ あ、そうだ、改めまして、あたしは仲島マリア。同じクラス、年子の姉弟って設定だから♪ これからよろしく、水野大雅ちゃん♪」
「今思ったんだけどさ、お前俺の姉のくせに、何で仲島って名字なんだよ、家庭が複雑すぎるだろ」
「良いのよ細かい事は、ほら、先生来たよ」
さあ、今日も一日が始まる。
少しおかしな神様が引き連れてきた。
青春と夢に満ちた、学校生活が始まる。
あ! そうだ。一つ。言い忘れていた事がある。
ボクシングをすると言ったが、俺はボクシングの本場アメリカで。
三つのタイトルを持つ世界チャンピオンだった。
だからまあ、滅多にやられる事はないと思うから。
どうか安心して欲しい。
折角の高校生活、新しい人生なんだ!
難しい話はもう抜きにして♪
恋に部活に大忙しってか!!?
まあ、楽しく行こうぜ♪
小説をご覧頂き、誠にありがとうございました!
私事ながら、初投稿で緊張しました~。汗
また良かったら! お越しください! ありがとうございました!