悲劇の少年
自分のペースで書いていくので、宜しくお願いします!まだまだ初心者ですので至らない点があると思いますが、どうか暖かい目で、良ければ改善点などを教えて頂けると嬉しいです
暗闇の森、数々の動物か怪物かは分からないが不気味な鳴き声がこだましていた。
その森を1人の少年が走っていた。その表情は恐怖に怯え、度々後ろを振り返っては全力で、ひたすら前に向かって走り出す。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
前に、前に、前に、その一心で走っていた少年は、体力の限界なのかはたまた、体の疲労によるものなのか分からないが、石に躓いて転んでしまう。
「っ……!」
その次の瞬間、少年を追っていただろう動物が、いや異形な存在が姿を表した。
それは3本の首を生やした巨大な犬だった。それぞれの口に炎、氷、雷が司っていた。
氷を司っている顔、真ん中の顔からブレスが吐かれ、少年の足と足元を凍らせた。
「そんな……。もうダメなのか……」
少年は悲壮感に浸っている。もう生きることを諦めてしまったようだ。巨大な三つ首の犬にとってはどうでもいいことなのだろう、真ん中の口を大きく広げ少年を喰らおうとする。
口はとうとう少年に達した。パクリ、という音だけが森に響いた。
だが次の瞬間に犬が悲鳴をあげた。原因は分からない。
「痛いか……犬」
森に声が響く。犬は驚いた、あの人間以外にまだ人がいたのか、と。そして声の主を見つけ、殺すまいと探し見つけた時更に驚いたの。
悲鳴の原因は尻尾を千切られたこと、それを成し遂げたのは先程食べたと思っていた少年だった。
よく考えれば口の中に何も無いことに疑問を持つべきだが、そんな暇すら与えるまもなく逆に攻撃された。それによりすっかり少年の事など頭になかったのだ。
その少年を見つけたと共にさらに疑問がわく。この少年にそんな力があるのか?と
「お前だけは許さない。父さんと母さんを……」
その少年の目には復讐、それしか宿っていなかった。犬もたちまち恐怖を覚えた。そして手を出してはいけない人間に手を出してしまったのではないか、と思った。
だが犬はまだ諦めてはいない。今度こそ仕留めて喰らおうと。
「……殺す。」
その瞬間少年が消え、犬も少年がどこに消えたか分からずにいた。
だが、3本のうち1本の顔の前に少年が現れたことで存在に気づいた。
気づいた時には遅く、少年の手は既に顔に到達し、有り得ない程の力で殴った。その結果犬の顔が吹き飛び残り2つとなった。
だが犬もやられるだけではない。真ん中の顔ですぐさまブレスを吐き応戦。そして少年は空中にいたため姿勢を直せず、ブレスが直撃。
「これくらい母さん達が味わった痛みに比べればっ……!」
それでも少年は引き下がらない。瞬時に腕を交差させ全身に喰らうことを避けた少年は人外の力を持って凍った両腕の拘束を破った。
そして地面に着地し、瞬時に飛び真ん中の顔を吹き飛ばした。
「ガルルルルルゥ……」
おびただしい程の血の量がその場に流れ、遂に犬が倒れる。その姿を見るに、死ぬのは時間の問題だろう。
だが少年は手を緩めない。残りの顔に向かい走り出す。
「このままお前を!」
だが犬も最後の力を振り絞り起き上がった。そして手を少年に向かって叩きつける。
今の少年は速い。そして少年もかわせると思っていた。
だが急に体の動きが鈍る。そしてついには動けなくなりその場で倒れてしまった。
「く、そ……、仇も討てずに死ぬのかよ……」
犬の手は既に振り下ろされている。それも確実に当たる位置に少年は倒れた。
少年は、今度こそ終わっただろうと思い瞳を閉じ、先程の動きによる疲労感から来たものか分からないが意識が朦朧としていた。
「助けてくれ……」
無意識に少年はそう口にしていた。そしてその願いが通じたのか犬の手による衝撃がこなかった。
代わりに風が吹いた。なんとか目を開け確認すると、視界がぼやけていてハッキリとは分からないが、犬を遥かに超える巨大な何かがいた。
かろうじて分かったのは巨大で、翼があって、色は黄金。
それを見て少年は思い出していた。自分が今の9歳より、もっと小さかった頃にお母さんが読み聞かせてくれた黄金の龍王の話を。
「龍王様……助けて……」
その一言が、少年の、リュートの人生を大きく変えたのだった。