密談 1
続きです。
・・・
「・・・セレウス、なのか?」
先客の姿を確認すると、ハイドラスはそう問い掛けた。
そう、先客の正体は、ネメシス(セレウス)、その人だったからである。
「半分正解で半分不正解だ、ハイドラス。俺の名前はネメシス。この身体を借り受けている者だ。」
「「「「っ!!!!」」」」
その言葉を聞くやいなや、四人は即座に臨戦態勢に入った。
やはり罠か、と思ったに違いない。
しかし、それに慌てたのはネメシスの方だった。
当然ながら、彼には四人と戦う意図はなかったからである。
「お、落ち着けって。俺にはお前らと戦う意思はない。」
「・・・ならば、即座にその身体から出ていき、セレウスを返してくれ。」
「・・・それが出来れば苦労はないんだが、多少込み入った事情があってなぁ〜」
四人、特にハイドラスにとっては、セレウスはもはやこの世に一人しかいない肉親である。
その身体と顔でヘラヘラと笑うネメシスに、言いしれない感情が爆発しそうになっていた。
それが、剣呑な雰囲気となって周囲へも伝播していったのだが、ここで思わぬ横槍が入った。
ーマジで落ち着けって、ハイドラスッ!取り乱すなんて、お前らしくもない。ー
「「「っ!!!!????」」」
「その声・・・、セレウス、なのかっ・・・?」
脳内に直接響く様な懐かしい“声”に、ハイドラスは一瞬戸惑った。
「・・・“念話”か。」
ーそうだ。ま、確かに俺もネメシスのお陰で厄介な事にはなったが、しかし別にコイツが悪い訳じゃない。とりあえず、詳しい話をしたいから、戦闘態勢は解いてくれ。コイツの言う通り、お前らと事を構えるつもりはないからな。ー
「・・・分かった。」
「「「「・・・・・・・・・」」」
セレウスの言葉に、ハイドラスが臨戦態勢を解くと、カエサル達も彼に倣って臨戦態勢を解いた。
それに、ホッとした様にネメシスは頷くと、
「・・・ところでお前ら何飲む?」
何とも気の抜けた言葉を放つのだったーーー。
・・・
その後、ネメシスがパチンッと指を鳴らすと、何もなかった空間に、ダイニングテーブルの様な物と人数分の椅子、お茶のセットが並べられたのであった。
「・・・・・・・・・」
「「「おおっ・・・!!!」」」
素直に感嘆の声を上げるカエサル達と、その“力”を訝しんだハイドラス。
“能力”っぽいな、と感じたからであろう。
「リクエストがなかったから、適当に見繕っといたぜ?ここら辺は、滋養強壮にも良い茶葉が手に入るんだわ。ま、多少癖はあるんだが、別に毒じゃねぇから安心しな。」
「はぁ・・・」
甲斐甲斐しく動き回るネメシスに、ハイドラス達は呆気に取られる。
先程の重苦しい雰囲気はどこへやら、と、目の前の人物がただの世話好きのお兄ちゃんに見えたからであろう。
まぁ、多少演技もあるんだろうが、本来のネメシスはこういう人物なのかもしれない。
「ほれほれ座った座った。」
「は、はぁ・・・」
毒気を抜かれたハイドラス達は、ネメシスに促されるまま各々好きに着席した。
それを見計らうと、ネメシスもその対面に座る。
「おかわりはセルフで頼む。一応、これから重要な話をするもんでな。」
「「「「・・・」」」」
ネメシスの言葉に、四人はコクリと頷いた。
まぁ、そもそも得体の知れない飲み物に手を出すか、という話もあるのだが、
「ん〜!なんスか、これっ!メッチャ苦いじゃないッスかっ!」
「・・・そうかい?確かに癖はあるが、ボクは悪くないと思うんだが・・・」
「なんスかっ!?自分が“こども舌”だって言いたいんスかっ!?」
「あ、いや、そうは言わないけどね。しかしアルメリアは、基本的に甘い物の方が好きだろう?」
「まぁ・・・、そうッスね。」
「だったら好みの問題だと思うよ?ボクはどちらかと言えば、甘い物より渋みや苦味のある物の方が好きだからねぇ〜。」
「・・・そういえば、昔っからルドベキアセンパイはおばあちゃんが好む様な物が好きッスもんねぇ〜。」
「あんっ!?誰がババアだってっ!?」
「いやいや、そうは言ってないじゃないッスかっ!」
女子二人はそんな事はお構いなしに、最初の警戒感はどこへやら、くだらない事でギャーギャーーと騒ぎ始める。
それに、ネメシスはクスリと笑った。
「・・・なんだ、その、すまん。」
「騒がしくて申し訳ありません。」
居た堪れなくなったハイドラスとカエサルは、連れの失態に軽く謝罪の言葉を伝える。
「いやいや、良いんだ。どれ、赤毛の嬢ちゃん。そっちは口に合わなかったみてぇだから、こっちのお茶を試してみな。」
しかしネメシスは、そんな事は気にしない、とばかりに、まるで親戚の子供を扱うかの様にそんな提案をしながら別の飲み物をアルメリアに勧めた。
「どれどれ・・・。ん~~、これは甘くて美味しいッスッ!」
「それは何ですか?」
「基本的には、さっきの茶葉と同じなんだが、発酵の度合いによって風味が変わってくるのさ。それにプラス、そっちには樹液から抽出した蜜が入っている。それで甘みが強い飲み物になっているんだな。」
「「へぇ〜〜」」
ルドベキアやアルメリアはもちろん、ハイドラスとカエサルも口にこそ出さなかったが、素直に感心していた。
もちろん四人も、旅をする者として、サバイバル技術や知識はそこら辺の者達よりも多く知ってはいる。
しかし、あくまでそれは緊急用の知識に過ぎず、熟練の農家が知っている様な知識までは知らなかったのである。
(そもそも彼らは、これまでの人生でそうした経験をした事がなかったからであるが。)
ともかく、そんな奇妙なティータイムを経て、その場の雰囲気は悪いものではなくなったのである。
そろそろ…、とハイドラスは口を開いた。
「では、ネメシス、殿だったか。お話とやらを聞かせて貰っても良いだろうか?」
「ああ、もちろんだ。」
口火を切ったハイドラスに、ネメシスは打てば響く様にそう答えた。
「ただ、その前にお前らには断っておかなければならない。話をするに当たって、どうしても俺の正体や、お前達の素性を明かさなければならないんだ。」
「っ!!!」
「「「???」」」
が、次の言葉に一瞬ハイドラスは固まった。
もちろん、何の事かサッパリ分からないカエサル達は、頭の上に疑問符を浮かべていたが。
「・・・その事は、セレウスも承知をしているのか?」
ーああ、まーな。本来ならばカエサル達まで巻き込むつもりはなかったんだが、仕方なかったとは言え、コイツらも相当“深いところ”まで関わって来ちまってる。逆にこのまま何も知らせない方がヤバい、って判断だよ。ー
「何事も中途半端が一番危険だからな。まぁ、聞く限りじゃお前らがやった事じゃないっぽいが、本当に彼らを関わらせないのであれば、覚醒なんかさせるべきじゃなかったんだ。下手に資格を得ちまったモンだから、彼らはかなり危うい立場にある。それならば全てを知らせ、真の協力関係を築いた方が建設的だと思うぜ?」
「・・・・・・・・・なるほど。」
「「「???」」」
意味深な三人の会話に、しかし話の流れから自分達がその主役である事は察しつつも、あいかわらずカエサル達の頭の上の疑問符は乱立するばかりであった。
しばし無言のまま黙考したハイドラスだったが、やがてコクリッと頷いた。
ネメシスの提案を受け入れた、という事だろう。
それにネメシスも頷くと、ややあって口を開いた。
「まず、これから話す内容は、かなり荒唐無稽な話になる。だが、もちろん物語でも作り話でもなく、実際に起こった話、あるいは事実に基づいた話だ。それを念頭に置いて聞いてくれ。」
「「「・・・・・・・・・」」」
先程とは打って変わって、かなり真剣な様子のネメシスに、カエサル達は神妙な面持ちで頷いた。
それに満足げに頷くと、ネメシスは語り始める。
「オーケー。んじゃ、まずサクッと話しちまうが、俺とセレウス、そしてそっちのハイドラスは、実は“この世界”の住人じゃない。他の惑星から来た、所謂“異星人”、だな。」
「・・・イセイジン???」
いきなり真実をぶちまけたネメシスに、しかしアルメリアは訳が分からない、という様に聞き馴染みのない言葉を繰り返すだけであった。
それはそうだろう。
彼らが頭が良い事はこれまでも述べた通りだが、“宇宙”といった概念や、惑星や恒星などといった“天体”の存在をそもそも知らなければ、何を言っているか分からないのは当然だからである。
しかし、カエサルとルドベキアは違った様だ。
「・・・もしや、あの夜空に輝く別の星からやって来た、と仰りたいのですか?」
「ああっ!そういう事か・・・」
「「!!!」」「ほう・・・」「???」
どうやら二人は、それらの概念について知っていた様だからである。
もっとも、実は向こうの世界でも古代、紀元前の時点ですでに、“宇宙”や“天体”に関する知識を持っていたらしい、という記録も残っているし、こちらも不確かな情報ではあるが、とある部族、民族の伝承の中には、明らかに近代天文学すら凌駕する知識を持っていた、という情報も存在する。(肉眼では見えない天体の存在を正確に知っていた、とか、そういった伝承などである。)
それらを関連付けて、実は“地球人類”に文明をもたらしたのは宇宙人であった、と主張する説も存在する。
まぁもちろん、それが完全に証明された、という訳ではないが、ある種のロマンを感じる事の出来る説ではあるだろう。
「・・・知っていたのか?」
「いえ、別に本当に信じていた訳ではありませんが、そういう話がある事は知っていました。」
「ラテス族の中にも、“神々”は他の星から来た方々だ、とか言ってる人もいましたからね。それに、エウロパ大陸でも、そういう伝承が残ってる、とか噂で聞いていましたから。」
「・・・そ、そうか」
衝撃の事実に、ハイドラスは軽く目眩を覚えていた。
必死に隠そうとしていた事が、実はバレバレだった、と言われた様なものだからである。
もっとも、あくまでそれらは、そういう話がある、という程度の事で、それを大真面目に信じている者達など、ほとんど存在しないのが実情なのかもしれないが。
「・・・おそらくだが、それらの話も、“アドウェナ・アウィス”がこの惑星を開拓するに当たって、関与した時の記録が残ってしまった為だろう。どれだけ巧妙に隠蔽しても、人々の興味や好奇心を消す事は出来ないからな。・・・まぁ、本来ならば記憶を消す事も出来た筈だが、そこまで面倒な事をする必要性を感じなかったのかもしれないが、な。」
ー・・・なるほど。ー
「・・・考えてみれば、各地には様々な遺跡も残っていましたからね。真実を知っていた者達も、少なからずいたのでしょう。」
「ま、それを信じていたかどうかは話は別だがな。あくまで神話の一つとして受け止めていた可能性の方が高い。」
「ほぇ〜、あんなところから来たんスかっ!どうやって来たんスかっ!?やっぱり、歩きッスかねっ!?」
「そんな訳ないだろう?あれだ。何かとんでもない乗り物に乗ってやって来たんだよ。あるいは、天を駆ける動物、とか。」
「それこそ、竜とかじゃないかっ!?」
異星人側とアクエラ人側で、それぞれ別の盛り上がりを見せる中、ネメシスはハタと気が付いた。
話が脱線している事に。
「コホンッ・・・。ま、まぁ、知っていたのなら話は早い。ともかく、俺らが純粋なアクエラ人類でない、って事さえ理解してくれれば、今はそれで良い。ここまでは良いな?」
「「「・・・」」」
ネメシスの言葉に、カエサル達はコクリと頷いた。
「んで、俺とコイツらでも、やって来た経緯や事情は異なるんだが、とりあえず俺達は、お前らアクエラ人類の敵ではない。ま、あくまで俺らは、って話だから、別の考えを持った連中もいるんだが、とりあえずそっちも今はあまり関係ないので割愛する。一度に詰め込み過ぎると頭が混乱しちまうからな。」
「・・・しかし待って下さい。我々にとって敵ではなかったとしても、ハイドラス様達とネメシス殿は、お互いに敵対しているのでは?現に、ネメシス殿はセレウス様の肉体を乗っ取っている訳ですし。」
「それも、あくまで偶発的な事故だ。俺は諸事情によってこの惑星の遺跡に封印されてたんだが、コイツらが不用意にそれを解いちまったのさ。んで、封印を解かれた俺は、たまたま近くにいたセレウスに宿っただけだ。お前らも“霊能力”についてはある程度理解しているとは思うが、俺は“霊魂”のみの状態で封印されていた。つまり、肉体を持たない以上、非常に不安定な状況だったんだな。ここら辺は生存本能なのか、あるいはあらかじめそうプログラムされていたのかは俺も記憶が曖昧なんだが、“溺れる者は藁をも掴む”じゃないが、生きるか死ぬかの瀬戸際、って時にあれこれ考えてる暇もなかったんだよ。ま、後々それで、色々と迷惑をかけたとは思うんだが。」
ー・・・・・・・・・ー
「・・・そういう事でしたか。」
ネメシスの話を聞いて、ハイドラスは合点がいっていた。
確かに彼らは、謎の遺跡を調査していた。
そして、何らかの封印を不用意に解いてしまった事も事実である。
つまり、セレウスを奪われた事によって冷静さを失ってはいたが、もとを正せば、悪いの自分達の方だった、という事に気が付いた訳である。
「・・・だからセレウスは、ネメシス殿に協力していたんだな?」
ーああ。確かに身体の主導権を取られたのは事実だが、コイツ自身が悪い訳でも、悪い奴でもなかったからな。実際、話し合いの結果、他の遺跡を調査する事によって、この状態を解消しよう、って事にもなったんだが・・・ー
「誤解だったのですね。」
「・・・しかし、ハイドラス様の心情も分かります。いきなり身内を持っていかれた訳ですから、その相手を敵視するのも当然の事でしょうからね。」
「もちろんそれは、俺も分かっている。だから別に、その事に関してこちらは何も思っちゃいない。むしろ申し訳なかった、という思いしかない。」
「・・・」
誤解だと分かった事で、ようやくハイドラス、ネメシス、セレウスの間でのわだかまりが解消する。
ハイドラスはネメシスの謝罪を受け入れ、ようやく、普段の冷静で頭のキレる彼に戻ったのであった。
「・・・しかしそれならば、初めからそう言えば良かった話です。ですがそうではなく、これまで長らく、追って追われて、の立場になってしまったのは、そこに何かしらのやんごとなき理由があった、と推察出来ますが。」
「そう、まさにそれなのよっ!」
ハイドラスの指摘に、ネメシスは我が意を得たり、とばかりに大きく頷いた。
「さっきも言ったが、同じ“異星人”ではあるが、俺とコイツらじゃ、やって来た経緯やそもそも種族も異なる。そして、その目的もな。俺は、“アドウェナ・アウィス”って種族の出身で、コイツらは“セルース人”って種族なのよ。で、コイツらセルース人の目的は、単純にこの惑星への移民、移住だった。ま、その過程で、この惑星を支配、管理しようとした一派も現れちまったんだが・・・」
「それは我々の一派が阻止した。この惑星は、アクエラ人、あるいはこの世界の住人のものであって、他からやって来た私達がその支配権を奪い取るのは道理が違うと考えたからだ。あくまで私達は余所者な訳だから、どこか迷惑のかからない場所にひっそりと溶け込むべきだと主張した訳だな。」
「・・・もしや、それが神話にある、“神々の争い”、ですか?」
「・・・かもしれん。ま、私達はその内乱を経て、しばらく姿を消していたから、どうこの世界の歴史に記されているかは正確には知らないのだがな。」
「ほぇ〜・・・」
次々と明かされる衝撃の事実に、もはやアルメリアは話半分で聞き流していた。
まぁ、それも致し方ない事だろう。
今までの魔王軍との争いや三国の話、人間同士の争いなどは、あくまで現実的なラインでの話でしかなかったが、異星人だ、この惑星の支配権だ、などと、もはや空想かおとぎ話の中の、それこそ非現実的な話にしか思えなかったからである。
それに、自分が理解していなかったとしても、彼女には頼りになる二人のセンパイもいたからであろう。
その二人のセンパイ、カエサルとルドベキアも、状況としてはアルメリアと似たりよったりではあったが、それでも必死に自分達の中で話を噛み砕いていた。
「まぁ、多少不安要素もあるが、そうした結果、少なくともセルース人がこの惑星をどうこうする事はなくなった。さっきも言ったが、彼らの目的はあくまでこの惑星の移民、移住であって、当然ながらこの惑星が壊滅的な被害を受ける事は、彼らにしてみても望むところではないからな。むしろ、そうした意味では、セルース人はアクエラ人にとっては、良き隣人となれるだろう。・・・問題なのは、“アドウェナ・アウィス”の方だ。」
「・・・一体、どういった種族なのですか?」
ネメシスの言葉に、カエサルはゴクリッ、と唾を飲み込んだ。
「一言では語りきれないんだが、まず大前提として、彼らには物質的な肉体がもはやない。それ故に、物理的に倒す事は不可能だ。少なくとも、セレウスとハイドラスクラスの“霊能力”を獲得しない限り、同じ土俵に立つ事すら出来ない。ま、陳腐な言い方になっちまうが、“神”とか、そういった類のモンだと思ってくれ。」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
“神”。
眉唾な話ではあるが、実際に目の前にセレウスを乗っ取った存在であるネメシスがいる以上、それを否定する根拠もなかった。
「ま、コイツらに関しちゃ、厄災か何かだと思って、極力関わらない様にするしかない。そうは言っても、向こうからちょっかいかけてくる事もあるから、対処は難しいんだがな。」
「・・・彼らも、我々の支配を目論んでいるので?」
「それに関しちゃ答えはNOだ。奴らにはそういった野心はない。っつか、ある意味ではそれ以上に厄介な目的が奴らには存在する。」
「・・・目的?」
「“観測”だよ。奴らは、とある目的を達成させる為、とあるものを探している。ああ、先に断っておくけど、それが何かは教える事は出来ない。それを知っちまったら、お前らはもう後戻り出来ないからな。」
「・・・ふむ。しかし、ただ見ているだけならば、特に実害は無さそうですが・・・」
「それが大有りだよ。さっきは“観測”って言ったが、要は“実験の観察”、な訳だからな。つまり、自分達の得たい答えを見付けたい訳だから、当然、そこに様々な要素をぶち込んでくる。例えば、“試練”と称して、お前らに様々な無理難題を与えてくる、とかな。」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
科学において、実験は非常に重要な意味を持つ。
とある仮説の検証をする為や、未知の現象や法則を発見する為などに用いられるからである。
その中には、“動物実験”なるものも存在する。
実験動物を用いて、とある条件下ではどの様な行動をするのか、などを観測する訳である。
考えてみれば、非常に恐ろしいものである。
仮にこの実験動物が、“人間”に置き換わった場合を考えると特に、である。
まぁ、一応科学者達にも倫理観や道徳心が存在するし、人には人権が存在するので、無理矢理どうこう、という事は現実的には無理筋な訳であるが、それはあくまで人の価値観の話である。
人を超越した存在であれば、そこに躊躇など存在しないのであろう。
「で、では、もしかして、我々はその為に生み出された、と・・・?」
「奴らにしてみればそうだ。もちろん、この惑星だけじゃない。奴らの“実験場”は、この宇宙に無数に存在している。」
「「「・・・・・・・・・」」」「何スか、それっ・・・!」
ネメシスから明かされる衝撃的な事実の数々に、カエサル達は頭がクラクラしていた。
「ま、ここまで話しといて何だが、さっきも言った様に、奴らに関しちゃ気にするだけ損だ。それに、そっちに関しちゃ、俺に考えがあるから、その件は俺に任せといてくれ。話の流れとして知っておいた方が良いと思って話しただけだからな。本題はここからさ。」
「「「・・・」」」「・・・本題?」
ネメシスも、その事は理解していたのであろう。
多少気になる事は残しつつ、その話を打ち切って、別の話題、今回の本題を語り始める。
「ああ。奴ら、人為的に“神”を創造してきたのよ。」
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