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『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』  作者: 笠井 裕二
新しい世界
350/383

呪い

続きです。


今回から新章に突入します。



「・・・何処に行くつもりだい、カエサル?」

「ルドベキア・・・。それにアルメリアまで・・・。」


いつかの焼き増しの様なやり取りを繰り広げるカエサルとルドベキア。

しかしその時と違う点は、彼らもかなり成長を果たして心身共に“大人”になった事であり、また、アクエラ人類にとっての脅威であった魔王軍が討たれた後である事であろうかーーー?



◇◆◇



最大の脅威であった“レギオン”の討伐に成功したルドベキア達は、直後に気を失ったカエサルが目覚めてから、事の顛末を伝え聞いていた。


(ちなみに、カエサルが“レギオン”との戦いの中で数秒後の未来を予知していた事に関しては、“ゾーン状態”から更に進化した所謂“未来視”に開眼していたからである。

これによって、一発目が寸前で止められる事を悟り、しかし結局()()()()()だけであり、それを瞬時に更に後ろから押し込むという作戦を思い付き、しかもそんな針の穴を通す神業をやってのける、というミラクルを起こした訳であるが、再び目覚めた後はその力を失ってしまっていた。


まぁ、かなり身体や精神力を酷使した結果であるし、それまで培った力や能力は健在であったので、ある種のイベントスキルの様なものだったのかもしれないが。

それはともかく。)


これによって、セレウスとハイドラスが退()()してしまった、という残念な報告もあったのだが、一方で彼ら二人の(かたき)でもあり、世界の裏で暗躍していた混沌の神・ヴァニタスが討たれた、という朗報もあった訳である。


もちろん、そのヴァニタスが残した厄介事はまだ存在して訳であるが、新たに面倒事が起きない、と分かっているだけでも、彼らの精神衛生上は良かった訳である。


“レギオン”も倒し、全ての元凶でもあるヴァニタスが討たれた以上、カエサル達にとってのやるべき仕事は、後はアクエラ人類の脅威となる魔王軍を討伐する事だけであった。


現時点でのこの世界(アクエラ)最強の使い手に成長したカエサル達にとっては、もはや難しい仕事ではなくなっていた訳である。


とは言えど、ここからは戦後の事も考えて立ち回らないとならない。


先程も述べた通り、今現在のカエサル達ならば、七人で魔王軍を壊滅させる事が可能であるほどすでにアクエラ人類を超越した存在になっている。


しかし、それでは、“アクエラ人類の勝利”というシナリオではなく、“英雄達の勝利”、でしかない。


元々はヴァニタスが引き起こしたものであったとしても、その規模が段違いなレベルに達しているとは言えど、アクエラ人類と魔王軍の戦いは、以前にも言及した通り、究極的には生物同士の“生存競争”である。


つまり、“自分達”が勝利しなければ意味がない訳であり、それに結局自分達が勝ち取った勝利でなければ、また以前の様に人類同士で争う、という事にもなりかねなかった。


そんな事もあり、また、“レギオン”との戦いでかなり消耗していた事もあり、“レギオン”撃破後にカエサル達は、人類側の魔王軍への対抗組織、通称“解放軍”と合流する事としたのであった。


また、“解放軍”側も、“レギオン”の存在を実は確認していた。


それはそうだろう。

“解放軍”の目的は、魔王軍を駆逐する事である。


それならば、後に“大地の裂け目(フォッサマグナ)”と呼ばれる大森林地帯を調査するのはある種必然であるし、そもそも力を蓄える為に鳴りを潜めた魔王軍の本拠地なりを突き止めない限り、その目的を達成する事も不可能だからである。


それ故に、何かしら異変がある場所に調査隊を派遣するのは当然であり、そしてある意味特大の異変である“レギオン”の存在は、彼らにとっても見過ごせないものだったのである。


とは言えど、あくまで彼らは調査隊でしかない。

もちろん、調査の過程で魔物と遭遇する事もありえるので、その隊員達がそれなりの精鋭達であった事は否定しないが、しかし、一般的なカテゴリーで言えば“強者”の部類に入る程度では、未知の化け物である“レギオン”と渡り合えるほどではなかったのである。


それ故に、司令部に報告する為にも、“レギオン”の動向を監視していた訳であるが、その過程でカエサル達の存在も認識しており、この両者の戦闘の一部始終を目撃する事となったのであった。


ーーーそれは、想像を絶するぶつかり合いであった。


“レギオン”のまさに化け物染みた生命力やその変化・変質は彼らの常識を遥かに超えていたし、そんな化け物と互角に渡り合うカエサル達もまた、彼らの常識を超えたものであった。


実際の戦闘時間は実はそこまで長いものではなかったのであるが、当事者であったカエサル達はもちろん、遠くから見えいただけの調査隊の者達ですら、その息を呑む攻防の連続に、ものすごく長い時間が流れた様な錯覚を起こしていた。


しかし、その戦いも唐突に終わりを告げる。

カエサルとルドベキアの創り出した“レールガン”によって、“レギオン”の“核”を見事に撃ち抜いたからである。


不思議な事にそれによって“レギオン”は四散し、死骸も残らなかったのである。

いや、正確にはそのもととなった異常個体であるオーガ・ドレアムの遺体だけは残ったのであるが。

(ちなみに、調査隊の目には映らなかったが、『霊魂』、すなわち“魂の力”に目覚めていたアベル達は、“レギオン”の“核”が失われた事により、彼()に強制的に取り込まれていた無数の『霊魂』達が解放された事を認識していた。

もちろん、それで全てが元通り、という訳には行かない。

封印されていた魔物達は、強制的に『肉体』と『霊魂』が切り離された事によって肉体的には死んでしまったからである。

それ故に、その場に残された無数の石像は、本当にただの石像に成り果ててしまった訳である。

もっとも、“レギオン”に無理矢理『霊魂』を奪われた事により、その中で永劫の時を彷徨う結末は回避され、所謂“成仏”とか“浄化”された状態であるからまだ救いもあるだろう。

樹木なんかもそれは同様であり、それでも“魂の循環”というシステム的には正常に戻ったので、いつかはこの“封印の大地”にも『精霊』が戻り、再び()()()森林へと戻る事となるであろう。

まぁ、それまでは“封印の大地”は一転して“死の大地”となってしまった訳であるが。

まぁ、それはともかく。)


調査隊の者達は、しばらくの間、その目の前で巻き起こった非現実的な光景に理解が追い付かなかった。


しかし、流石に“レギオン”が倒された事は徐々に頭に浸透していき、その立役者となったカエサル達が健在だった事も理解出来たのであった。


それは、調査隊としては役割を超えた事だったかもしれない。

先程も述べた通り、彼らの役目は魔王軍の動向や本拠地を捜索する事であり、魔物の討伐や人助けはその中には含まれていなかったからである。


それ故に、調査隊としてではなく、人としての感情から、彼らは“レギオン”との戦闘によってボロボロとなっていたカエサル達の保護に動いたのであった。


まぁ、そこには、自分達も知らない情報を知っているかもしれない事や、脅威的な戦力を持つカエサル達と敵対したくない、あるいはあわよくば取り込みたい、という打算もあったのかもしれないが。


こうして、奇しくも解放軍と合流する事となったカエサル達は、伝えられない事も多く存在しながらも、魔王軍打倒という目的では一致した為に、彼らと協力する事になったのであったーーー。



◇◆◇



「ご報告しますっ!ドレアムが討ち取られましたっ!!」

「・・・そうか・・・」


一方、魔王・マルムスのもとにも、厄介払い、兼刺客として送り込んだドレアムが討ち取られた事実が知れ渡る事となる。


ただし、ドレアムがヴァニタスと密かに接触し、その後“レギオン”という化け物、厄災と成り果ててしまった事までは認識出来ていなかったのであるが。


ここら辺は、魔王軍がマルムスや一部の幹部、比較的知能の高い魔物も存在する一方で、生物としては強くても、知能の方は非常に低い魔物も混在する混成軍故の弊害であった。

(それ故に、組織としての“報連相”が上手く機能しない事もしばしばあったのである。

もっとも、マルムスやオーガ達が魔物達の上に立つ為に、あえてそうした欠陥を黙認していた部分も大いに存在するのであるが。)


だが、正確な情報が伝わらなかったとは言えど、元々のドレアムも魔王軍にとっては“個”としては最強の戦力であった。

それを討ち取られた以上、当然ながらカエサル達の脅威度はかなり高いものとなっていた。


こうして、慎重に慎重を期し、水面下で力を蓄えていた魔王軍が、その重い腰をいよいよ上げようとしていたのであった。


「・・・彼奴らの動向は把握しているな?」

「はっ!奴らは、ドレアムとの戦闘で手負いになっているそうです。もっとも、たまたま通りがかった人間共に救われたそうですが・・・」

「(解放軍か・・・?しかし、本格的に我らが領域(テリトリー)で活動している、という報告は上がっていないな・・・。大方、先遣隊か何かであろう。ならば、彼奴らが本隊に戻る前なら、まだ傷は浅いかもしれんな・・・。)・・・うむ。ドレアムが討たれた以上、彼奴らの実力は疑いようがない。いずれ我が軍の脅威となるのは明白だ。少なくとも解放軍と合流され、その旗印になられると厄介な事は言うまでもないだろう。故に、今度こそ彼奴らを全力で排除する。」

「・・・それでは、今度こそ軍を動かす、と?」

「そうだ。・・・もちろん、私も軍を動かす事のデメリットは承知している。だが、ここで出し惜しみをするのは愚策中の愚策だからな。」

「はっ!委細承知しましたっ!!」


マルムスの命令に、部下の魔物は恭しく頷いた。

それに、満足げに頷くマルムス。


・・・確かにマルムスのこの決断は、知略家としては正確な判断であった。

ドレアムほどの強者を討ち取った者達、すなわち“英雄”が解放軍に合流すれば、その士気と求心力は以前の比ではなくなるからである。


むしろ、セレウスとハイドラスが不在となってしまった人間側にとっては、カエサル達はようやく現れた“希望”となるであろう。


そして人にとっての“希望”こそが、魔王軍にとってはもっとも厄介なものなのだ。

何故ならば、それは解放軍に勢いを与えてしまうからである。


勢いに乗った人間、あるいは組織は、実力以上のパフォーマンスを発揮する事がままある。

言うなれば、カエサル達の存在は人類側に特大のバフを与える訳である。


せっかく我慢に我慢を重ね、水面下で力を蓄えてきたのに、それが全てご破算になってしまっては、魔王軍側からしたら目も当てられない。

ならば、今度こそ採算度外視で、カエサル達を完全に排除するのが長期的に見ても有効な方策となるであろう。


それ故に、その判断は正しい訳である、・・・が、先程述べた通り、そもそも情報が古過ぎたのである。


いや、ここら辺は魔王軍の構造的な欠陥ももちろんあるが、仮に人類側の国家なりのれっきとした諜報機関がカエサル達の事を調べていたとしても、その常識を超えた成長に加え、『霊魂』、すなわち“魂の力”という、神に近しい力を獲得するに至った事など、理解の範疇を超える事でもあるだろう。


つまり、“相手がもはや神レベルの怪物である。”、などと大真面目に判断しようものならば鼻で笑われるだけであるし、最悪頭を疑われる可能性すらあるのである。


それ故に、常識に則った範囲でその実力を判断したマルムスの判断力は正常であるが、相手が悪過ぎたのである。


結果として、魔王軍が全力を挙げてカエサル達を潰そうとしたが、もはや次元の違う力を得たカエサル達に返り討ちに遭い、彼らの有用性と存在感を一気に高める事に一役買ってしまった形になってしまったのであった。


解放軍上層部としては、先遣隊の報告は重宝するまでも、こちらも常識を超えた存在である“レギオン”という化け物の話は流石に鵜呑みには出来ない訳である。

更に、そんな化け物と互角に渡り合った者達、という不確かな情報だけでは、カエサル達の価値はそこまで上がらなかったかもしれないが、本格的に動き始めた魔王軍を退けた者達、となると、また話も変わってくる訳である。


存在するかも怪しい“レギオン”はともかく、具体的に存在する事を知っている魔王軍、魔物の大群を相手に、それを退けてしまうほどの実力者達ならば、当然解放軍にとって有用なのは言うまでもない。


であるならば、少なくとも魔王軍打倒を果たすまでは、カエサル達の力を取り込んだ方が得策である、と判断するのはある種必然な訳であった。


こうして、結果としてマルムスの決断は、自分達の破滅的な未来のキッカケとなる判断となってしまった訳であったーーー。



◇◆◇



「追い詰めたぞ、魔王っ!」

「・・・よくぞ我がもとまで辿り着いたな、勇者達よ。」



ーーーそこからの展開は早かった。


下手にカエサル達に手を出してしまったが故に(まぁ、マルムスとしてはそうするしかなかったとは言えど)、自分達の利点を全て彼らに奪われてしまったからである。


具体的には、ドレアムが討ち取られた事で本格的にカエサル達を排除する為に魔王軍の一部精鋭部隊を投入したが、それをアッサリ返り討ちにされる。

しかも万全の態勢で臨んだ事が裏目に出て、密かに魔王軍の増強の為にその精鋭部隊の者達に持たせていた“魔法武器”も鹵獲される、というオマケ付きで、である。


以前にも言及した通り、魔王軍は『新人類』と取引・交易をしており、この“魔法武器”も『新人類』、特にドワーフ族に特別に造らせた物である。

そしてこの時点での『新人類』達は、その魔王軍と取引をしていた集団以外には存在していない。


つまり、その高い技術力を魔王軍に独占される格好になっており、解放軍側、人類側は“魔法武器”を持っていなかったのであった。

(まぁその代わり、人類側には『魔法技術』が存在していたので、ある意味バランスは取れていた訳であるが。)


しかしそれが人類側に流れる事となり、バランスが一気に崩壊した訳である。


人類側は、カエサル達という“英雄”に加え、『魔法技術』と“魔法武器”で棚ぼた的に戦力を増強する事が出来て、逆に魔王軍にとっては、一部精鋭部隊を壊滅されられ、しかもその部隊が持っていた“魔法武器”も奪われるという散々な結果になってしまった訳である。


後は一方的な展開である。


数の上ではもしかしたら魔王軍の方がまだ優勢だったかもしれないが、カエサル達という反則の様な存在と、“魔法武器”を手に入れた人類側はその勢いのまま魔王軍に攻勢を仕掛け、それがことごとく成功した訳である。


もちろん、マルムスや魔王軍上層部もあの手この手で抵抗を試みたが、“時代”の流れを覆す事は出来なかったのである。

(しかも、ある種“ジョーカー”的存在であるヴァニタスもこの時すでにセレウスとハイドラスによって討たれていたので、マルムスや魔王軍にはすでに反撃の芽が全て潰された状態であった。)


そして、話は魔王軍と解放軍の最終決戦、魔王とカエサル達の邂逅に戻る訳であるーーー。



「・・・よもや人間共の力がこれほどとは、な・・・。」


どこか項垂れた様な、疲れ切った表情を浮かべるマルムス。

それに少々躊躇しながらも、カエサルはハッキリと告げた。


「残念ですが、貴方を見過ごす事は出来ません。いえ、他の魔物、魔獣やモンスター達はまだ共存共栄も出来るかもしれませんが、貴方は彼らを強制的に従える能力を持っている・・・。放っておけば、我々人類の脅威となるでしょう。」

「分かっておる。今更命乞いをするつもりはないわ。」

「・・・・・・・・・」


そう。

当然ながら、魔物の全てが悪い訳ではない。


そもそも再三述べている通り、人類にとっての天敵と成り得るとは言っても、魔物達と人類側の争いは、あくまで生物の生存競争の話なのである。


しかし、それがここまで大事になったのは、ひとえにマルムス、つまり魔物側に高い知性を持ち、大勢を従える力を持つ者が現れてしまったからである。


もちろんこれはヴァニタスの仕業であったのだが、それによってあくまで小競り合いでしかなかったものが、人類側と魔物側の互いの存亡を賭けた争いに発展してしまった訳である。


カエサル達としては、当然自分達が殺られてやるつもりはない訳で、そうなれば、魔王軍はともかくとしても、少なくともその旗印となるマルムスだけは絶対に見逃す事は出来ない。


この疲れ果てた魔物を目の当たりにすると同情は禁じ得ないが、彼が存在する以上、“魔王軍”が組織として機能してしまうからである。


逆に言えば、マルムスさえ倒せれば、魔王軍はその統率者を失い、あっという間に有象無象の集団と化す、どころか、そもそも魔獣やモンスターの中には、犬猿の仲である種族同士も存在するので、一気に崩壊するのはある種当たり前なのである。


まぁ、カエサル達も魔王軍には色々と人生を狂わされてしまってはいたので、恨みがないか、と言われればそうでもないだろうが。


チャッ。


カエサル達は、無言でそれぞれの獲物を抜いた。


「・・・だが、我もただで殺られるつもりはない。我が野望が潰えた今、せめて貴様らに一矢報いてやるわっ!!!」

「「「「「「「っ!!!」」」」」」」


おおよそ魔王のセリフとは思えないが、彼我の戦力差から鑑みれば、マルムスの方がある意味圧倒的に弱者であった。


だが、“魔王”としての肩書を捨て去り、一体の魔物として散る覚悟で挑んでくる相手は、今のカエサル達にとっても充分に脅威となる。

少なくとも舐めプで迎え撃った結果、本当に痛い目に遭う可能性はあった。


それ故にカエサル達も、彼の覚悟に本気で迎え撃つ事を即座に決めた。


ーーーその結果、本当に決着は一瞬でついた。


「ぐはぁっ・・・!!!」


もちろん、マルムスが弱い訳ではない。

むしろ、カエサル達が強くなり過ぎたのだ。


マルムスのスペックは、“レギオン”に成り果てる前のドレアムと同レベルくらいだ。

当時、ドレアムに対する特攻魔法が存在していたとは言えど、すでに彼と互角ぐらいの力を有していたカエサル達だが、そこから更に(偽)セレウスと(偽)ハイドラスとの訓練や()()を経て進化している。


一方のマルムスは、その頃と実力的には変わっていない。

というか、彼の持ち味はその知略や『魔眼』もどきの方であるから、自身の前に立たれた時点である意味負けなのである。


本気のカエサル達の前に、残念ながらマルムスは一矢報いる事も叶わず、その生涯を閉じようとしていた。


「くくく、見事なりっ・・・!貴様らの様な強者に討たれるのならば悪くない・・・。」

「・・・・・・・・・」

「き、貴様らの勝ちだ、人間共よ・・・!だが忘れるな・・・。魔物達が滅びる訳ではない。いつしか、我の意思を受け継ぐ魔物がきっと現れるであろう。その時、貴様らも年老いて生きてはいまい。ふははははっ・・・!ぐふっ・・・!」

「・・・・・・・・・」


最後に予言めいたセリフを吐いた後、マルムスは絶命した。


しばし、黙祷の如く誰も言葉を発しなかったが、解放軍の総攻撃によってマルムスの居城が揺れ動くのを感じて、カエサル達は静かに踵を返したのであったーーー。



こうして、魔物達と人類側の争いは、魔王が討ち取られた事によって人類側の勝利で幕を閉じたのであったーーー。



誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。


いつも御覧頂いてありがとうございます。

よろしければ、ブクマ登録、評価、感想、いいね等頂けると非常に嬉しく思います。

よろしくお願い致します。

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