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『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』  作者: 笠井 裕二
真・英雄大戦
344/383

決着 1

続きです。


新年、明けましておめでとうございます。

本年も、どうぞよろしくお願い致します。


新年一発目の投稿です。

今年もゆる〜くやっていく所存ですので、ゆる〜くお付き合い頂けると幸いです。



◇◆◇



ーイタイイタイイタイッ!ー

ーヨコセヨコセヨコセッ!ー

ーシニタクナイシニタクナイッ!ー


「な、何か、ヤバくね?」

「もはや原型留めてないからなぁ〜。そりゃヤバいだろ。」

「二人とも、のんきな事言ってる場合かよっ!」



(偽)ハイドラスとの念話が途切れると同時に、元・ドレアムだった“化け物”の変化・変質も一段落した様である。

もっともその形状は、もはや“生物”としての形状を留めておらず、変な場所に口や手や顔が現れるという、正に“化け物”の様相を呈していた。


向こうの世界(地球)では“レギオン”と呼ばれる化け物の伝承が存在する。

“レギオン”は元々は古代ローマの軍事用語で、5000人規模の兵隊を指す“連隊”の意味だったのだが、そこから転じて聖書・マルコ福音書に「我、多数なり」と記される悪霊の大群の事を指す様にもなったのである。

それは無数の悪霊の集合体である為、自我の境界が曖昧であり、生者を殺す事で自らの力を増大させんとする、とある。


正に、この目の前の“化け物”がそれであった。

元々は“ドレアム”という名のオーガがもととなってはいるが、“力”を得る事を条件に、封印された魔物達から強制的にその『霊魂』、すなわち“魂”を取り込んだ事によって、確かに圧倒的なパワーを得る事とはなったが、反面、彼らの『精神』も取り込んだ事によって、“ドレアム”としての自我を失ってしまったのである。


今の彼は、彼自身の望みでもあった“強くなる事”だけが残り、生者を殺す事、すなわち新たなる『霊魂』を取り込んで更にパワーアップする事だけしか考えていない、生者、それが人間であれ魔物であれ、生ける者達全てにとって、はた迷惑な存在に成り下がってしまっているのである。


とは言えど、その脅威は魔物達の比ではない。

何故ならば、彼()を倒す事は理論的には可能であるが(“ドレアム”自身の超回復力、再生能力に加え、取り込んだ分の生命を削りきれさえすれば、倒す事は可能だからである。)、実質的に“死なない”化け物を相手取らなければならないからである。


仮にこの化け物を安全に倒すのであれば、超火力を死にきるまで叩き込み続ける、という戦術が有効であるが、残念ながら今現在のカエサル達の持つ『魔法技術』では実質的に不可能である。


何故ならば、魔法の使用には一定程度のインターバルが必須となるからである。

(これは、後の世の“オートマチック方式”と呼ばれる技術ならばある程度は克服しているが、それでも結局は“魔素”を収束させる、つまり“エネルギーの充填”というものが必要である関係上、無限にぶっ放す事は不可能なのである。

もちろん、『詠唱魔法』と呼ばれる“マニュアル方式”は言わずもがなである。)


もちろん、それも戦術によっては十分に勝機はあるが、その為には少なくとも一定以上のレベルの“魔法使い”を最低でも数十人、より安全性を担保するのであれば百人以上は必要となる。

彼らが交互に魔法を放つ事で、インターバルの問題を無視出来る訳であるが(もちろん、今度は完璧に統制された連携が必須となるが)、残念ながら今現在のカエサル達には友軍は存在しないし、そもそも今現在のこの世界(アクエラ)の『魔法技術』の普及度からすると、その“一定以上のレベル”の“魔法使い”を確保する事がまず非常にハードルが高い。


いずれにせよ、ないものねだりしても仕方ない訳で、カエサル達にはそのプランは使えない訳である。


ただその代わり、(偽)ハイドラスの手によって、カエサル達には別のプランが用意された訳である。

それが、『霊魂』、すなわち“魂の力”であり、それによってこの無数の生命の集合体であるこの“化け物”も、上手くすれば一撃で終わらせる事が可能となったのであった。


もっともその為には、もはや全く別の生き物、と呼べるかどうかは定かではないが、に成り果てたこの“化け物”と対峙する必要があるのであるが。


これまで見てきた元・“ドレアム”の攻撃パターンとも違うだろうし、相手も限定的とは言えどカエサル達と同じ領域にいる以上、当然ながらカエサル達を一撃で葬れる可能性もあるのだ。


つまり、色々と状況は変わったものの、やる事は今までと大して変わらないのである。

一撃良いのが決まれば終わりである、という条件の中、自分達をそれを何とか回避しながらも、隙を見て相手にはそれを叩き込まなければならない。


結局は同じ土俵に立っただけではあるが、それでも、先程までの無理ゲーに近い条件よりかは、幾分マシになっている。


カエサル達もそれは自覚しているのか、もちろん油断はしていないものの、先程までの先の見えない状況とは違い、軽口を叩く余裕が生まれるまでになっていたのである。


それに、まだ仲間になってからはさほど長い期間ではなかったものの、濃い時間を過ごしていた事や曲がりなりにも共に修行をした事により、かなり高いレベルでのチームプレーが出来上がっていたのも大きいかもしれない。


自分一人ならともかく、仲間が一緒ならば、と言ったところか。

そうした意味では、“個”の力を求めた元・ドレアムと、結果的にではあるが、“集団”としての力に帰結したカエサル達とでは、同じ“力”でも全く別の答えを得た、という事でもあるかもしれなかったーーー。



ーヒカリダ・・・ー

ーヨコセ・・・ー

ーオレノダ・・・ー


「一応確認しておこう。やる事自体は今までと変わらないが、こちらも今までと変わらないが、僕達も攻撃をモロに食らえばアウトだ。ここからはより慎重に行こう。」


現在進行系で成長する“レギオン”を油断なく見据えながら、ルドベキアはそう仲間達に声をかける。


「応よっ!」

「特にアベルは、功を焦るんじゃないぞ。見りゃ分かると思うが、奴は先程までとは全く別の存在になってるからな。」

「あれ、俺ってそんなに信用ない?」


ヴェルムンドがそう注意をすると、心外だという顔をするアベルに、フリットがそれをフォローする。


「ヴェルも僕達もお前の事は信用はしているが、それでも猪突猛進なところがあるからなぁ〜。」

「・・・フリット、それ、フォローになってないよ。」

「あれ・・・?」


アルフォンスのツッコミに一同の緊張が一瞬弛緩した。


もちろん、そんな事を言っている場合ではないかもしれないが、しかし緊張感をずっと保ち続けるのも限界がある訳で、そうした意味では適度にリラックスする事も非常に重要である。


やり玉に挙げられたアベルには気の毒だが、それが良い方向に作用したのである。


「・・・ともかく、結果的に倒せればそれでいいんですよね?だれが決めたとかそういうのとは関係なしに。」

「そういう事。私達は“チーム”だからね。」

「ちぇっ。それくらい俺も分かってるっつーの。」

「ならばよし。」


ーヨコセッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!ー


「んじゃ、いっちょやってやるっスかっ!!!」

「「「「「「応っ!!!」」」」」」


不気味な“声”と共に、“レギオン”から無数の“触手”がカエサル達を襲う。

それを合図にしたかの様に、カエサル達は掛け声と共に、その場を一斉に散開した。


「うへぇ、完全化け物だよ・・・。どうやって手を伸ばしてんだ?」

「理由はあんまり知りなくないなぁ〜。少なくとも、マトモな方法ではないだろう。」

「だよ、なっ!」

「フッ!」


ザンッ!ザシュッ!


軽口を叩き合いながらも、アベルとフリットは回避と同時に“触手”を真っ二つに叩き切った。


ーギャアァァァァァ〜〜〜!!!ー


痛覚はあるのか、それに“レギオン”は悲鳴を上げる。

が、それとは裏腹に、切られた部分の組織がウゴウゴと盛り上がり、再び新たなる“触手”が生まれる。


「うげぇ〜・・・。」

「キ、キモ・・・。」


すでに見た目的には生理的嫌悪感を抱く見た目だったが、流石に超ハイスピードで“回復”する様はそれを上回る気持ち悪さである。

吐き気すらもよおしながらも、二人はそれに何とか耐えていた。


ーヨコセッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!ー


「ヴェルッ!」

「しまっ!!!」


その新たに再生した“触手”は、再び二人に襲いかかるかに思われたが、思考力は一応残っているのか、二人を強敵と見なし、二人に比べたら動きの鈍重なヴェルムンドに狙いを定めた様である。


先にも述べた通り、元々『新人類』の中では俊敏性においてもっとも優れている“獣人族”のフリットはもちろん、『魔闘気』、『覇気』の応用によって(“瞬動術”)それに並び立つスピードを手に入れたアベルであったが、“ドワーフ族”のヴェルムンドは、“鬼人族”のアベルと並び立つほどの膂力(りょりょく)や頑強さは持ち合わせていても、元々小柄な体躯もあってスピードへの適性は低かったのである。

それ故に、彼は“瞬動術”のマスターを諦めたら訳であるが、それによってスピードにおいてはアベル、フリットの二人に比べたら幾分落ちる事となってしまったのであった。


それでも、並みの使い手よりかは速いのだが、いかんせん、この場にいるのは超一流の使い手ばかりであり、なおかつ相手も並みの魔物ではない。

故に、ある種の弱点と見なされたとしてもそれは無理からぬ事なのであった。


だが、


「なめるなよっ!唸れ、金槌っ!」


ドゴンッ!ベチャッ!


ーギャアァァァァァ〜〜〜!!!ー


回避が苦手ならぶつかれば良い。

そういう、ある種アベルに匹敵する脳筋の様な発想に帰結していたヴェルムンドは、自身の体躯を遥かに上回る大きさの金槌を振るった。


流石に“鬼人族”に匹敵する膂力(りょりょく)から繰り出された攻撃である。

地面へと叩きつけられた“触手”は、まるで踏み潰された虫の如く、完全に地面と同化したかの様にぺちゃんこになっていた。


先程の例の通り、“レギオン”には痛覚がある様なので、それはとてつもないダメージであろう。


耳をつんざく様な悲鳴が周囲に響いたが、しかし、先程の例の様にそれもすぐに再生してしまう、ところであった。


「まだまだぁっ〜!!!」


ボッ!!!


ーッ!!!???ギャアァァァァァ〜〜〜!!!ー


不思議な事に、金槌と接した面から火の手が上がり、“触手”を通じて“レギオン”本体に燃え広がっていったのである。


これは、彼の持つ金槌の効果であった。


以前にも言及したが、“ドワーフ族”は先程述べた身体的な種族特性に加え、一部の者達は『魔工』という特殊能力を持っていた。


『魔工』とは、武器や道具に魔法の効果を付与する技術の事であり、これによって『魔法技術』が使えない者であっても魔法の効果を発揮する事が可能なのである。


言ってしまえば、身体に直接刺青(タトゥー)を彫り入れて魔法を発現する“呪紋(スペルタトゥー)”の無機物バージョンとも言える。

もっとも、あくまで“呪紋(スペルタトゥー)”がそれなりにハッキリとした“術式(プログラム)”を構築する必要があるのに対し、『魔工』にはそうしたシンボルや文言、数式の様なものは必要ない。

逆に言えば、ハッキリとした体系化が出来ていないからこそ、“ドワーフ族”であっても才能のある者にしか扱えない技術になってしまったのであるが。

まぁ、それはともかく。


もちろん、ヴェルムンドはその『魔工』に高い適性を持っており、彼の愛用の金槌も彼自身の作品の一つであった。

当然ながらこれは、これまでも戦闘に用いて来たのであるが、では何故、こんな便利な機能(?)があるのにこれまで用いて来なかったかと言うと・・・。


「アルメリア・ストレリチアの名において命ずる。

水と大気の精霊よ。

古の盟約に基づき、我が敵を討て!

いでよ、『ウォーターボール』!」


ーギャアァァァァァ〜〜〜!!!ー

「ちょっとヴェルさぁ〜んっ!森ん中で火は止めて下さいッス!」

「ごめんごめん。」


アルメリアの水の魔法によって、“レギオン”への消火活動が行われる。

もっとも、ただ水をぶっかけた、などという生易しいものではなく、“ウォーターカッター”ほどではないにしてもそれなりの水圧をこめていた事から本体へのダメージはかなりのものであったが。


そう、再三述べている通り、“火”というのは非常に便利な反面、使い所が非常に難しい属性なのである。

“封印の大地”はそれなりに開けた土地であったが、当然ながら“大地の裂け目(フォッサマグナ)”の一部であるから、周囲は森だらけな訳である。


そこに延焼してしまうと、仲間達も炎にまかれる事となるから非常に危険であるが故に、“火”を扱う時には周囲の状況をよく見極めて使う必要があるのだ。


ここら辺は、魔法を選べない“魔道具(マジックアイテム)”の危ういところであった。

ある程度『魔法技術』を修めた“魔法使い”達は、魔法の利便性と共に危険性も学んでいるので、状況に合わせて魔法を切り替える事が出来るのであるが(もちろん、それにはかなりの正確な判断力が必要となるが)、“魔道具(マジックアイテム)”は物に宿った魔法を使えるだけなのである。


それでも、その使い手がかなりの知識を有していればプラスに働くが、何の予備知識もない者がむやみに扱うと、かえって危険な代物になりかねないのであった。


とは言えど、ヴェルムンドは別に知識不足でも何でもないので、あえて“火”を使っただけである。

“水”の使い手であるアルメリア、すなわち仲間がそれをどうにかしてくれる、と信頼していたからであろう。

(それに、実際“鍛冶職人”であるヴェルムンドにとっては、この金槌は色々と便利な代物であった。

金属の加工の際には“火”、すなわち“熱”はある種必須であるから当然この金槌は便利であるし、今の様に戦闘においても簡易的な魔法が使えて便利である。

それ故に、この金槌が“火”の属性を纏っているのは偶然ではなく必然だった訳である。)


実際、“触手”を通じて本体にまで広範囲に火傷を負わせる事には成功しており、それでもこの怪物ならすぐに再生してしまうとは言っても、一瞬のタイムラグがある事は、カエサル達のレベルの使い手にとっては態勢を立て直すには十分な時間となった。


「遠いな・・・。」

「うむ。やはりハイドラス様のおっしゃった通り、奴も自身の“弱点”に近寄らせる事を警戒しているのだろう。ともかく、あの“触手”を何とかしない事には、前衛組が本体に近付く事が出来んな・・・。カエサル、何か良い手はないかい?」

「ま、ない事はないけど・・・。どうなるか分からんぞ?」


一方、カエサルとルドベキアの頭脳担当は、仲間達の戦闘を遠巻きに眺めながら、冷静に“レギオン”の行動パターンを分析していた。


当たり前だが、圧倒的に戦略差がある状況では、もはや作戦も必要なくゴリ押しの方が早かったりするが、相手が強敵、かつ未知の存在であった場合、無策で飛び込むのは危険極まりない行為でしかない。

それ故に、同じフィールドに立ちながらも、どこかそれを俯瞰で見られる司令塔の存在は必要不可欠なのであった。


もっと余裕があれば、先程の(偽)セレウスや(偽)ハイドラスの様に、戦場にすら立たずに敵戦力を解析・分析して、有効的な作戦立案をする存在、スポーツで言えば監督の様な、軍隊で言えば司令部の様な存在がいればなお好ましいのであるが、残念ながら今のカエサル達にはそうした存在はいなかったのである。


「試してみるしかあるまい。何。仲間達はそんなにヤワではないよ。それに、ボクも待機しているしね。」

「ふむ。じゃ、やってみるか・・・。」


ルドベキアの叱咤激励に、カエサルはコクリと頷いたーーー。



以前にも言及したかもしれないが、カエサルは“風”の属性を得意とする魔法使いである。

更にそれを服や靴などの装備に仕込む事によって、驚異的な機動力を得ている。

(ちなみに、カエサルの装備に仕込まれた魔法は、『魔法技術』、というかそのもととなった“呪紋(スペルタトゥー)”の理論を応用しているので、根本的には先程述べた『魔工』とは全く別物である。

『魔工』によって作られたアイテムは、魔法使いではなくとも扱えるのに対して、カエサルの装備は魔法使いではなければ扱えないのである。)


それだけでなく、“風”の属性は様々な応用にも優れた属性であり、特にカエサルが元々想定していた“単独でも戦い抜ける(生き抜ける)”、という点に関しては、これがもっともベストである、と、少なくともカエサルは判断していた。

(装備に仕込まれた魔法も、魔法使いとしては別格である機動力を実現している。

これによって、一対多数でも互角以上に渡り合えるし、仮に敵が想定以上に強かったとしても、撤退・離脱にも使える=生存能力を高める事にもなるのである。)


ただそれに反して、“風”の属性は案外攻撃ソースとはなりにくかったりする。


何故ならば、これも以前に言及したかもしれないが、多くの物語やゲームなどと違い、この世界(アクエラ)の“風”の属性では、“風の刃で敵を切り裂く”事が不可能だからである。


これが何故かと言うと、“風”というのは、案外拡散性の高い現象だからである。

それ故に、生物を切り裂くほどの圧力がかかるのなら、その前に吹き飛ばされる方が早い訳である。

(もっとも、それほどの強風を起こせるのならば、それはそれで十分な殺傷力となるだろうが。)


いずれにせよ、“指向性”という意味では、“風”は“火”や“水”、“土(地)”に比べると一定ではないので、再三述べている通り、フレンドリーファイヤーの点から考えても、純粋な攻撃ソースとしてはかなり使いにくい事は明白であった。

(もっとも、どの属性であれど、得意・不得意があるのは同じ事なのであるが。)


・・・だが、それは『魔法技術』として見た場合である。


今現在のカエサル達は、マギとネモの手によって()()を果たしている。

それに伴って、“能力”、正確には“霊能力”に目覚めつつある訳である。


他の者達はそれを、“レギオン”の“核”、すなわち『永久原子』を視る事、それを破壊する事、が最低限出来る様になった訳であるが、元々素質があったのか、はたまた“天才”、というギフトのおかげかは定かではないが、本物のセレウスやハイドラスの様に、今現在のカエサルだけは、“能力者”達の様な力を手にしつつあったのである。


『魔法技術』が“魔法”とは言いつつ、現実の物理現象に則っている技術なのに対して、“能力”は現実の物理現象から外れた力である。

(例えば、念動力(サイコキネシス)は現実の物理現象ではありえない、()()()()()()()で物体に影響を与える力である。)


これを組み合わせれば、『魔法技術』では不可能な事も可能になってくるのであった。


すなわち・・・。



「切り刻めっ!“エア・カッター”ッ!!!」

ーギャアァァァァァ〜〜〜!!!ー


“能力”によって本来拡散する筈の“風”に指向性を持たせる事で、無数の風の刃を作り出し相手を切り刻む事も可能となるのであった。

そして、それをカエサルが制御しているので、仲間には被害を与えずに、敵に対してのみその攻撃を有効にする事も、である。


「おおぉ〜!!!」


ルドベキアは感嘆の声を上げた。

カエサルの放った一撃は、“レギオン”から伸びていた“触手”を全て切り落とし、“本体”を丸裸にしたからである。


もちろん、この“化け物”の再生能力を鑑みると、それは一時的なものに過ぎないが、先程も述べた通り、その一瞬の隙は、カエサル達ほどの使い手であれば十分な猶予となる。


後は無防備となった“本体”に致命傷を与えれば、それで終わり・・・、とは流石にならなかった。

何故ならば・・・。


「う、ウソでしょ・・・!?」

「どうしたんですか、アルフォンスさん?」


“視る”事に関しては、()()する以前からその片鱗を見せていたアルフォンスは、いち早くその事に気付いていたのである。

すなわち・・・、


「・・・“化け物”が、ぞ、()()している・・・」

「「なっ・・・!?」」


どうやら、そう簡単には終わらない様であるーーー。



誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。


いつも御覧頂いてありがとうございます。

よろしければ、ブクマ登録、評価、感想、いいね等頂けると非常に嬉しく思います。

よろしくお願い致します。

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