そして化け物は悪魔になった 2
続きです。
“不老不死”とは、いつまでも年をとらず、死なない事を意味する四文字熟語である。
向こうの世界のとある国の、伝統的な生命観、死生観の一つである。
いや、“不老不死”の概念自体は、世界中のどこにでも見られる普遍的なものでもある。
やはり人は、“老いる事”と“死ぬ事”に対して極端に恐れを抱いている、という裏返しであろう。
ただ、“不老不死”はある種の人々の理想や憧れであるのに対し、賢人達はそれらに古くから警鐘を鳴らしている。
“不老不死”とは裏を返せば、“永遠に年を取らずに死ねない”という事でもあるからである。
生きている事によって発生する苦悩や葛藤、それらは死ねない事によって“終わり”が永遠に訪れない事を意味するからである。
世界中の神話なんかにおいても、“不老不死”がある種の罰、として描かれているケースもある。
永遠の責苦を与える為に“不老不死”にされた人。
“神”という永続性の象徴であるが故に罰が成立するケースもある。
この様に、古くから人々は、“不老不死”の矛盾点に気付いていたのかもしれない。
また、そもそも人、ないしは生物の“精神”が、それに耐えられるか、という問題もある。
仮にも肉体的に“不老不死”を得た幸運な、あるいは不幸な人物がいたとして、だが当然ながら、その人物以外の者達は次々と老い、死んでいく訳である。
不老長命な種族が存在する物語なんかでは、そうした話にスポットを当てる事もあるし、場合によっては、精神を守る為に別人格を作り出し、多重人格的になってしまい、結果として自我や精神が崩壊し、もはや“生きている”、と言えない状況になる話もある。
では、全人類が“不老不死”になれば、と考えるかもしれないが、そうなると人口問題が生ずる事となるし、ある種“循環”している世界の生態系そのものに、多大な悪影響を与える可能性もある。
まぁ、いずれにせよ、これらは“夢物語”に過ぎない訳であるが、もし仮に、そうした存在が実在したとしたら、そしてそれが自分達の敵対者だったとしたら、それは、“絶対に勝てない相手”の誕生となるだろうーーー。
◇◆◇
「こ、攻撃が、効かないっ・・・!?」
うめく様な呟きに、しかし(偽)ハイドラスはそれを否定した。
〈・・・いえ、おそらく違います。どうやったかは分かりませんが、あの突然変異体は、“エネルギー”そのものを吸収したのでしょう。〉
「・・・吸収?」
〈・・・どういう事だ、ハイドラス?〉
ある意味一人芝居であるが、自問自答している、と考えるとそれも不自然ではない(偽)セレウスと(偽)ハイドラスがそう会話していた。
〈そもそも我々生物にとって、外部から“エネルギー”を補給するのは至極当然の事です。例えば植物にしても、日光と二酸化炭素をエネルギー源にするし、我々の場合は食糧を補給する事で生命活動を維持していますよね?〉
〈ま、そりゃな。〉
〈ですが、裏を返せば、ある種そこに限界が存在する訳です。植物にとって生きる為に必要不可欠な日光と二酸化炭素ですが、その供給が過剰になればやがては枯れてしまう。食糧を補給する我々の場合も、過剰な飲食は肥満や生活習慣病のもととなる。つまりはバランスが重要な訳ですが、そこに付け入る隙があった。あの突然変異体と言えど、再生力、回復力には限界が存在する、筈なのです。何故ならば先程述べた通り、体内に溜め込めるエネルギーには限界が存在するからです。再生するもととなるエネルギーが切れれば、当然回復は出来ません。ですから、彼らだけでも勝てると踏んだ訳ですが、ここであの突然変異体は、それを他から吸収する、という能力を得た。おそらく、奴が何かした結果でしょう。〉
〈・・・っつ〜事は何か?今現在の奴は、敵からの攻撃エネルギーをそのまま自分の再生力、回復力に変換しちまえる、って事か?〉
〈・・・おそらく。もちろん、本来ならばそんな事は自殺行為です。先程も述べた通り、体内に溜め込めるエネルギーには限界が存在するから、通常の食糧補給でさえデメリットが存在するのに、他からもエネルギーを吸収していれば結果は見えていますからね。ただ、あの突然変異体の場合、そのエネルギーをそのまま自身の再生力、回復力に変換可能の様ですから、そこも無視してしまえる・・・。あの突然変異体の異常能力を更に補強した、ある意味理想的なパワーアップですね。〉
しみじみと感想を述べた(偽)ハイドラスに(偽)セレウスは思わずツッコミを入れた。
〈感心してる場合かよっ!って事は、あのバケモンには絶対勝てねぇじゃねぇかっ!!〉
「「「「「「「っ・・・。」」」」」」」
あまり信じたくない結論に、カエサル達は思わず息をのんだ。
〈絶対ではありませんよ。おそらくあの“吸収能力”はあくまで“エネルギー”に限定した話ですから、“魔法”はアウトですが、物理的な攻撃は大丈夫でしょう。ただ、それでも再生力、回復力の問題が残りますから、あの突然変異体の異常能力が途切れるまで攻撃しなければならないですけどね。長期戦、消耗戦となると、確かにこちらの方が不利である事は否定しません。〉
〈だったらどうすんだよっ!?〉
〈そうですね・・・。流石にすぐには思い付きませんよ。とりあえず、対応策は考えてみますので、それまでどうにか皆さんには持ち堪えてもらうしかないですね。〉
「「「「「「「・・・」」」」」」」
昔から多少付き合いのあるカエサル達はともかく、まだ知り合って数日の関係でしかないアベル達であったが、それでも(偽)ハイドラスが智者、賢人である事は認めていただけに、そんな彼でさえ対応がすぐに思い浮かばない事に内心焦りを抱いていた。
だが、彼らとてただこの数日を無為に過ごしていた訳ではない。
「・・・とりあえず状況を整理しよう。まず、ハイドラス様の予想では、“エネルギー”系の魔法は吸収されてしまう恐れがある。つまり、先程のアルフォンスさんの電撃や、所謂“属性攻撃”がその対象になると予測される訳だ。だが、逆を言えば“エネルギー”系に属さない魔法なら、吸収はされずにそのまま攻撃が通る可能性がある。すなわち、私の土系の魔法なら問題なく使用が可能と思われる。ここまでは異論はないかな?」
まずルドベキアが、アベル、ヴェルムンド、フリットの前衛組以外の者達にそう確認した。
「キミの土系術式は主に物理攻撃が多いからね。おそらくそれは大丈夫だろう。」
「じゃあ、私の“水”やカエサルセンパイの“風”はアウトッスかね?」
「分からん。ただ、そもそもどういう原理かが判明していない以上、控えた方が懸命かもしれないね。“水”も“風”も、あくまで物理現象と言ってしまえばその通りなんだが、“エネルギー”としての側面も持ち合わせていると聞く。ですよね、ハイドラス様?」
〈はい、おそらくですが。先程のアルフォンスくんの電撃、すなわち“電気エネルギー”を吸収・変換したと考えるならば、“熱エネルギー”、“水力”、“風力”もその対象になる可能性がありますからね。〉
〈っつ〜事は、“発電のメカニズム”と深い関わりがある、と睨んでいるのか?〉
〈かもしれない、という程度ですがね。いずれにせよ、“エネルギー”を起爆剤にしている事はほぼ確定ですから、疑わしいものは排除して然るべきですよ。何せ、下手を打てば相手のパワーを更にアップさせるだけの事ですからね。・・・まぁ、ある意味それも一つの手ではあるかもしれませんが。(ボソッ)〉
〈ん?何か言ったか?〉
〈いえ、今は何とも。ともかく、ルドベキアさんの考えは今現在の状況では最善手かもしれません。なるべく距離を稼いで、時間を稼いで下さい。データが集まれば、それだけ見えてくるものもありますからね。〉
「承知しました。」
「・・・相談は済んだか?んじゃ、第二ラウンドと行こうじゃねぇかっ!」
カエサル達の相談が一段落すると、ちょうどそれを律儀に待っていたらしい“化け物”がそう告げた。
そしてここから、カエサル達にとって本当の地獄が始まったのであるーーー。
・・・
エネルギーを別のエネルギーに変える事はよくある概念である。
先程、(偽)ハイドラスも言及していたが、我々が一般的に使っている電気も、別エネルギーを変換し、それを電力に変えているのである。
また、電気エネルギーは他のエネルギーにも容易に変換する事が可能である。
例えば照明に使う光エネルギー、モーターを回す運動エネルギー、熱エネルギー、音エネルギーなどである。
この利便性と応用性があるからこそ、電気エネルギーは非常に重宝され、我々の生活に欠かせないものになっている訳である。
もちろんこれは、それに適した機械を必要とする。
例えば、いくら電気エネルギーが存在したとしても、照明器具が存在しなければ明かりを着ける事は出来ない。
つまり、それに最適化した物がある事で初めて意味を成すのである。
まぁ、それはともかく。
残念ながら今現在のこの世界では、“神々”が遺した遺産か、その遺産を解析・研究する『魔法研究家』が新たに創造する以外、機械が存在しない世界である。
(もちろん、水車とか風車の様な物は存在するのだが。)
つまり、現時点でのこの世界では、電気エネルギーの必要性がそこまで高くないのである。
逆を返せば、電気エネルギーの理解が深くない、という事でもある。
この世界ではまず間違いなくトップクラスに近い形の知識や知見を持っているカエサル達であったが、実際には(偽)セレウスと(偽)ハイドラスが話し合っていた内容の大部分は分かっていなかったのであった。
とは言えど、“エネルギー”という概念自体は、『魔法技術』が存在する事によって何となく理解している。
当然ながら、その基礎となる“火”、“水”、“風”、“土”は、正に自然エネルギーの代表格な訳であるから、それらの大半を吸収してしまう、しかも無効化どころかパワーアップに使われてしまう、という事は、まさしく“魔法使い”にとっての天敵と言える存在だからである。
だが、そこにやはり認識にズレがあったのである。
この“化け物”が単純にエネルギーを吸収する能力を持っている、と誤解した事によって、その本質を見誤ってしまったのだ。
もっとも、先程も述べた通り、電気エネルギーという概念を深く知らないからこそ、生じた問題でもあったのであるがーーー。
「ハッハッハッ!よいぞよいぞっ!今の俺とここまで渡り合えるとはなっ!流石は俺が認めた者達だっ!!」
「クッーーー!!!」
その後、カエサル達は苦戦を強いられていた。
当たり前だ。
実質的に大きなダメージソースである魔法を封じられる形になってしまったので、効率的に相手にダメージを与える事が不可能になってしまったからである。
もちろん、カエサル達とて(偽)セレウスと(偽)ハイドラスとの修行によって大きくパワーアップを果たしてはいるが、それでも物理的な攻撃だけでは、元々異常な再生力、回復力を持つこの“化け物”には焼け石に水、という程度のものでしかなかった。
しかも、当然ながら相手も攻撃を仕掛けてくる訳であるから、こちらの攻撃を中断しなければならない、回避なり防御なりをしなければならない、=相手に回復する隙を与える事となるから、終わりが全く見えない戦いを延々と繰り返さなければならないのである。
(もちろん、ルドベキアの土(地)系の術式は有効ではあるが、フレンドリーファイアの観点から、当然延々と魔法を撃つ事は出来ない訳である。)
例えるならば、RPG系のゲームでいう、自動回復、それも完全回復を持つバカ強いボスを相手取っている様な状況、しかもこちらは魔法禁止(正確には物理系に属さない魔法は禁止)という縛りプレイを余儀なくされる、という状況なのである。
ハッキリ言って無理ゲーかつクソゲーである。
運営はバランス調整ミスってるんか?、と疑問に思うだろうし、ある程度そうしたゲームに慣れた者達であれば、これはある種の負けイベなんじゃないか?、と察するところであろう。
もちろん、この世界はゲームの世界ではないので、負けイベなど存在せず、負ければただ死ぬだけなのだ。
だからこそ、彼らは必死に抗い続けるしかないのである。
諦めたら、まさしくそこで終わりだからである。
それは、肉体的にも精神的にも非常に苦しいものであろう。
だがしかし、まだ希望はあった。
以前とは違い、今は直接的な援護は期待出来ないまでも、(偽)セレウスと(偽)ハイドラスが彼らの後ろに控えているからである。
短い間ではあるが、修行期間を経てカエサル達は彼らの知識や知恵、知見、そしてその実力に信頼、信用を寄せていたのである。
彼らならば、この局面を打開する術をきっと思いつくに違いない、という希望があったからこそ、そんな絶望的な状況でも諦めずに来れたのである。
ー気が付きましたか、ネモ?ー
ーええ、マギ。これは非常にマズイ状況ですね。ー
ーええ。ー
一方のカエサル達の期待を一身に預かった(偽)セレウス、(偽)ハイドラスこと人工知能であるマギとネモは、そこに感情こそないものの、やや焦ったような会話をお互い同士だけで交わしていた。
しかし、何がどうマズイのであろうか?
ーあの突然変異体、限定的ではありますが、“魂の力”を扱っています。ー
ーやはり・・・。ー
ーあくまで、擬似的なものではありますが、以前私が一方のセルース人類に与えた理論と似ていると思われます。ー
ー“人工神化”、ですね?しかしあれには、“擬似霊子力発生装置”の存在が必要不可欠だと思われますが・・・?ー
ーそこで、あの吸収能力なのでしょう。外部のエネルギーという意味では、どちらも同じ事です。ですが、それだけだと説明がつかない事もあります。今のアクエラ人類は、我々の助言もあり魔法を使っていないか、あるいは使っていても物理系の攻撃に専念しています。ですから、あの突然変異体がますますパワーを増している事の説明がつきません。他にも何か、カラクリがあるとしか・・・。ま、まさかっ・・・!?ー
ー・・・もしや、“封印の大地”をわざわざ戦いの場に選んだのは、その為の布石では?ー
ーなるほど・・・、それなら辻褄が合いますね・・・。ー
これがどういう事かというと、まず“人工神化”と“霊子力”、“擬似霊子力発生装置”の関係を紐解かなければならない。
“霊子力”とは、すなわち“魂の力”。
人類、というか生物が誰しも持つ根源的な力であり、『肉体』、『精神』、『霊魂』の三要素の内の最後の一つである。
この内、『肉体』と『精神』は、ある程度誰でも鍛える事が出来る。
もちろん、一番簡単なのは目で見える『肉体』であり、ちゃんとした手順を踏めば誰でもある程度屈強な身体や健康的な肉体を手にする事が出来るし、目には見えないが、『肉体』に大きく影響を受ける『精神』、すなわちメンタルも、ある程度の理論体系が確立しつつある。
だが、最後の『霊魂』については、誰しもが持ちながらも、いまだにそれを自在に操る、理論体系を築き上げる事が出来ていない状況であった。
しかし古くからそれは、非常に重要な立ち位置にある。
例えば、謎の力を扱う者達は古くから存在する訳であるが、それは特別なギフト、あるいは“神の力”として周囲に多大な影響力を与えていた。
彼らは、この『霊魂』、すなわち“魂の力”を扱える“能力者”だった訳である。
この様に、『霊魂』、すなわち“魂の力”は、誰もが持ちつつも誰もが容易く扱えるものではないのである。
何故ならばそれは、ある意味“神の力”に通じる概念であるから、誰かが意図的に封じた結果かもしれない。
それが、“創造主”と呼ばれる存在なのか、はたまたマギ達を創り出した“アドウェナ・アウィス”なのかは定かではないが。
まぁ、それはともかく。
で、セルース人類達は、進化の過程で、あるいは環境の変化によって、そうした“能力者”達を見出していたのであった。
そして、彼らの力を研究した結果生み出されたのが“霊子力エネルギー”な訳である。
“霊子力エネルギー”は、『霊魂』、すなわち“魂の力”から抽出されたエネルギーであり、それを“電気エネルギー”に変換して利用したのはこれまで述べた通りだ。
“資源”の乏しくなったセルース人類にとっては、無から有を生み出す事が出来るこの“霊子力エネルギー”は、ある意味理想的なエネルギー源だった訳である。
(もちろん、本当に“燃料”が不必要な訳ではなく、ある種の人柱となる“能力者”だったりの存在が必要なのであるが。)
だが、人間の欲望は底知れないものである。
究極的なクリーン、かつ再生可能なエネルギーを獲得したにも関わらず、彼らはそれを更に発展させた訳である。
もっともそこには、マギ達の介入があった事もこれまで述べた通りだが。
それが、“人工神化”と“擬似霊子力発生装置”である。
“人工神化”とは、人工的に“能力者”を生み出すプランの事である。
“能力者”達は自然発生的に生まれた者達に過ぎないので、その絶対数が多くない。
それを人為的に発生させる事が出来れば、セルース人類は更に発展する事が出来るのではないか、という発想から始まっている。
元々その理論だけはあったのだが、それが現実的な形で実現したのは、この惑星に来てからである。
(正確には、マギ達がそれを解禁したのがこの惑星に着いてから、という事でもあるのだが。)
その為に欠かせないのが、“擬似霊子力発生装置”であった。
先程、“電気エネルギー”の話をしたが、その時に述べた通り、電気エネルギーは他のエネルギーに変換する事が出来る訳である。
ならば逆に、電気エネルギーを“霊子力エネルギー”に変換する事も、理論的には可能な筈である。
こうしたある種の裏技を用いる事で、強制的に“能力者”並み、それも限界突破を果たした“能力者”並みの力を持つに至ったのが“超越者”達だった訳である。
と、まぁ、ここまではあくまでセルース人類側(というか、厳密にはマギ達が与えた)技術の話であるが、では、この理論を一部用いれば、強力な生物を生み出せるのではないだろうか?
適当なエネルギーと依り代となる対象が揃えば、“人工神化”が可能だというのはこれまで述べた通りだ。
ただ、残念ながら“擬似霊子力発生装置”自体は、マギやネモの管理下にあるし、今は封印された状態なので使えない。
そこで利用されたのが、相手のエネルギーと、“封印の大地”に封印されている魔物達の存在だった訳である。
ーここに封じられている魔物達はかなりの数にのぼります。これだけの“魂”があれば、流石に“人工神化”レベルとまでは行かないまでも、かなりのエネルギーを集める事は可能でしょう。ー
ー・・・中々えげつないですね。いえ、魔物達に同情するつもりはありませんが。ー
ーそうですね。しかしそれよりも、問題となるのはやはりヴァニタスの存在ですね。アクエラ人類が潜在的に生み出した“土着の神”だからこれまでは大目に見ていましたが、『霊魂』、“魂の力”を安易に利用するというのは、流石に看過出来ません。その情報が流出でもすれば、アクエラ人類の成長・進化に多大な悪影響を与える可能性もありますからね。ー
ー・・・しかし、相手は腐っても“神性の存在”ですよ?魂を持たない我々では、太刀打ちが出来ません。ー
ーそちらは予定通り、彼ら二人に任せましょう。どちらにせよ、彼らにとってもヴァニタスの存在は何とかしなければならないので、彼らに丸投げするのがもっとも合理的です。それよりも、現時点で問題となるのは、あの突然変異体の方です。限定的とは言え、“魂の力”を扱える可能性が出てきた以上、そこに到達していないアクエラ人類では彼を倒し切る事は難しいでしょう。ー
ーそれならば、どうするというのですか?ー
ー・・・。あまり好ましくはありませんが、この際躊躇している場合でもないでしょうね。少し、いえ、かなり早いですが、彼らを覚醒させるしかないでしょうね・・・。ー
ーふむ・・・。それしかありませんか・・・。ー
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