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『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』  作者: 笠井 裕二
英雄大戦へ至る道
307/383

軌道修正

続きです。



◇◆◇



「・・・な〜んか、思ってたのと違うなぁ〜・・・。」


一方その頃、無事に作戦を終えて戻ってきた連合軍を尻目に、ヴァニタスはつまらなそうに呟いていた。


再三述べている通り、彼の在り方は“混沌を生み出す事”、である。

そうした意味では、今回の件は、ラテス族と他部族、他民族の関係を悪化させる事に繋がる第一歩であったのだが、あまりにも連合軍が上手く作戦を遂行してしまった為に、思ったほどの“憎悪”が拡大しなかった事が彼にとっては不満だった訳である。


本当ならば、バチバチにやり合って、このまま泥沼の戦争に突入すると思っていたのだ。

とは言えヴァニタスも、まだ生まれて間もない“神”であるから、黒幕としての()()みたいなものがまだ上手く掴めていなかったのである。


それと単純に、連合軍側の上層部や指揮官達が、思ったよりも慎重だった事もあるだろう。


「案外“黒幕”ってのも難しいものだよねぇ〜。それとも、ちょっと“力”を与えすぎちゃったかなぁ〜・・・?」


彼は彼なりに反省していた。

もっとも、アクエラ人類にとっては、彼がこれ以上経験や知恵をつける事は迷惑極まりない事でもあったのだが。


「ま、何事も経験だよねぇ〜。それに、まだまだチャンスはあるし、案外()()はそこら辺にあるもんねぇ〜。」


そう呟きながらヴァニタスは、人質を連れ帰ってきた部隊の一つをチラリと眺めていたーーー。



・・・



突然だが、向こうの世界(現代地球)での捕虜や人質の扱いは、“ジュネーブ条約”や国際人道法の観点から保証される取り決めとなっていた。


具体的には、


・捕虜となった者や文民(非戦闘員)の人権に配慮し、収容されている間、人道的かつ「人格と名誉を尊重」した扱いを受けなければならない。

・捕虜を強制的に尋問することは出来ない。

・また、国際人道法は、捕虜収容にあたり、宿営や食料、被服、衛生、医療などに関する最低条件を定められている。

・捕虜は、侮辱を受けたり、世間の好奇の目にさらされたりしてはならない。


などである。


だが実際には、これらが適切に行われているかは不透明な場合もあるし、残念ながら守られない事も多いのであった。


現代でもそうであるならば、そうした条約や国際人道法が提唱される以前は、捕虜や文民に対する扱いは非常に苛烈なものであったのは想像に難くないだろう。

史実として戦争の裏には、虐殺や凌辱などの事例は、枚挙に暇がないほどである。


もちろん、これは向こうの世界(地球)の話だ。

しかし、場所や時代、世界さえ違っても、人類のやる事はほとんど変わらない、のかもしれない。


実際、他部族、他民族連合軍の中には、今回の件で人質としてラテス族を捕らえた事によって、人としてのある種の“タガ”が外れてしまった者達も存在していたからであるーーー。



・・・



「いやぁ〜〜〜!!!」

「へへへ、そう嫌がるなよ。何も痛い事する訳じゃねぇんだからよ。むしろ気持ちいい事だって。」

「や、やめてぇ〜〜〜!!!」

「おいおい、やめとけって。」

「うっせぇっ!別に殺す訳じゃねぇ〜んだ。()()くらいいいだろーがっ!」

「まぁ、別に構いやしないが・・・、司令官がそういうの禁止してっからなぁ〜・・・。」

「黙ってりゃバレねぇ〜って。・・・それとも、お前、チクるつもりか?」

「んな事しねぇ〜よ。」


・・・面倒だし。

聞こえない様にポツリと男は呟いた。


「だったら別にいいだろ?興味ねぇ〜ならどっか行けよ。」

「へいへい。」

「た、助けっ・・・!!」


バタンッ。

男は、助けを求めるラテス族の女性の声に、無慈悲に扉を閉めた。


「アイツも好きだねぇ〜・・・。」

「・・・キミは参加しないの?」

「ど、どわっ!!!ヴ、ヴァニタス様っ!?」


さっさと退散した男の前に、急にヴァニタスが現れる。

驚いた男はそう叫びながらも、彼の疑問に答える。


「・・・ま、俺も男っすから、女は好きっすけど・・・、どうもラテス族の女はちょっと・・・。」

「ほうほう。」


再三述べている通り、他部族、他民族にとってラテス族は、もちろんその部族や民族によって見方は異なるが、自分達とは生きるステージが違う人種である。

と言う事はつまり、“得体のしれない者達”でもあるので、不気味に思っていたとしても不思議な話ではないのである。


この男も人並みの男性であるから異性に対する興味はあっても、そんな“不気味な存在”にまで食指が動くほど豪胆な男ではなかったのである。

そうした意味では仲間の男は、ある意味では大物なのかもしれない。

まぁ、ただ好色なだけかもしれないが。


「えっと、話はそれだけっすか?」

「ああ、引き止めて悪かったね。()()()()()()()。」

「?は、はぁ・・・。」


ヴァニタスが何に納得しているかは知らなかったが、出来る事ならこの場をさっさと離れたかった男は、その事を不思議に思いながらも質問する事なく足早に去っていった。


「なるほど・・・。“人”ってのは、色んな考え方やタイプがある、って事かぁ〜・・・。」


ウンウンと、誰に言うでもなくヴァニタスは頷いていたーーー。



・・・



以前にも言及した通り、他部族、他民族連合軍は、元々はそれぞれが別々の集団であった。

となれば、当然、それぞれに独自の文化や価値観を持っている訳である。

しかし、そういうものは、一個の組織、集団で動く場合は足枷になる事も少なくないのである。


だが、曲がりなりにもこの者達は、今回の件でラテス族に対して作戦を成功させている。

となれば、それを指揮した者達の統率力が、いかに優れているが分かるというものであろう。


だが実際には、それらを実現する為に、彼らはかなり苦心していたのであった。


例えば“軍隊”というのは、一つの統率された指揮系統、一つにまとまった兵士達の意識などが必要不可欠となる。

その為に、厳しい規則、完全なる上下関係に従う、などが必要となるのである。


先程も述べたが、元々は別の部族、民族であった事もあり、その辺の意識を統一する事は非常に難しかったのであった。


当然ながら、いくら能力があったとしても、バラバラに動いてしまってはそれは有象無象の集まりと変わらない。

そこで彼らは、訓練を通じてお互いに連携する事の重要性を徹底したのであった。


結果として、今回の件が上手くいった事によって、それらが功を奏した形とはなっていたが、とは言えど、意識の徹底にまでメスを入れられた訳ではなかった。


また、ヴァニタスも言及した通り、今回の件が(ヴァニタスが)思い描いた方向に行かなかったのは、彼らがそれをしなかったからでもある。

いくら『魔法技術』の一部を手に入れたといっても、先程も述べた通り、練度もいまいちで完全に統率された訳でもない集団が、本格的にラテス族と事を構えるのは無謀でしかない。


彼らとて、ラテス族に対する嫉妬などは持ち合わせているが、ラテス族を完全に叩き潰してやろうとか、そうした事まで考えていた訳ではないのだ。


あくまで彼らの目的は、ラテス族の持つ『魔法技術』を獲得する事であって、その為に無謀な“全面戦争”以外にも方法があるのであれば、そちらに舵を切るのが人間の心理というものであろう。


ここら辺の本音と建前を使い分ける人間の心理を、ヴァニタスにはまだ完全に理解出来ていなかったのである。


“自分達の仲間にちょっかいかけられれば、全面戦争になだれ込むだろう。”


という、ある種短絡的なヴァニタスの考え方と、


“手出しはするが、相手にも理性はあるので、交渉には応じるだろう”


という、ある種の政治的、人間的な心理の機微を持っていた連合軍上層部との思惑の違いであった。


実際、子どものケンカとは違い、部族間、あるいは国家間の争いが、そのまま全面戦争に突入する事は意外と少ないものだ。

その前に、所謂“落とし所”を見つけて、手打ちにするからである。


もっとも、何かキッカケがあれば、それが泥沼の戦争に発展してしまう可能性もあるので、実際には非常に難しい綱渡りを要求される事ともなる。


そしてその火種を、連合軍の者達は、内部に抱えていた訳であったーーー。



・・・



「ひとまず、作戦の第一段階は成功した様だな・・・。」

「うむ。やはりヴァニタス様から頂いた“力”は素晴らしい。」

「確かに・・・。それがなければ、いくら厳しい訓練を施したとしても、我々の力だけではラテス族に対抗する事は困難だった事だろう。」

「うむ・・・。」


巨大な大木を利用して作られた建物の中に、様々な部族の衣装に身を包んだ老齢の男達が一堂に会していた。

彼らが連合軍の上層部であり、見た目からも分かる通り、他部族、他民族のそれぞれの代表者達であった。


「それで?人質は丁重に扱っているのであろうな?」

「ハッ!それぞれの部隊に通達を出しておりますれば。」

「うむ・・・。彼らは今後の交渉の道具だ。傷一つ付けるでないぞ。」

「ハッ!!!」


そして、その対面には連合軍の総司令官である男とその部下が数人鎮座していた。


この様に、連合軍は各部族、各民族の代表者達が全ての決定権を持ち、そしてその決定通りに動くのが、彼ら連合軍の役割なのである。


ここら辺は、向こうの世界(現代地球)の多くの国家と同様であろう。


「・・・しかし、それはあまりにラテス族を恐れ過ぎではないかな?通常時ならばともかく、今はこちらの方が優位な状況だ。確かに人質を傷一つつけない事に関しては私も賛成だが、兵士達の事を考えると、な・・・。」

「「「「「・・・。」」」」」


先程も述べた通り、向こうの世界(現代地球)では捕虜や人質に対する人権などが配慮されているが、それ以前はそうしたルールは存在していなかったのである。

何故ならば、兵士達のガス抜きと士気を高める為に一役買っていたからである。


現場の兵士達のストレスは尋常ではない。

当たり前だ。

いつ死ぬとも分からない場に立たされているからである。


そして当然ながら、彼らを繋ぎ止めておく事は非常に困難なのである。

もちろん、愛国心や部族、民族に帰依する気持ちを持っている者も多いかもしれないが、しかし、その者達の“気持ち”だけに期待し過ぎるのはあまりにも無謀だからである。

故に、やはり実利なんかも重要な意味を持ってくる。


つまりは、何か“旨味”があると、人は上手く動いてくれる可能性があるのである。


実際、向こうの世界(地球)の戦国時代の兵士達、特に一般市民から参戦させられた者達には、敵国の略奪や凌辱を認めていた、という資料もある。


これは、全ての者に恩賞を与えられる訳ではないからだ。

そんな事をすれば、その国の財政が傾いてしまう。


しかし、敵国の物であれば、自身の懐は傷まない。

それどころか、相手にダメージを与えつつ、兵士達の旨味ともなる、つまりは士気を高める事にも一役買うので、相手の人権や人道的な部分を無視すれば、これほど効率的な事もないのである。


今回の場合、上層部的には人質に対する殺傷は禁じている訳であるが、しかし攫ってきた女達を兵士達の“慰みもの”にするぐらいは有りではないか?、と暗に述べていたのである。


彼らにとっては、ラテス族ももちろん恐ろしいが、不満を募らせた兵士達、というのもある意味では恐ろしい存在なのである。

所詮は寄せ集めの者達であるから、忠誠心とかそういった類のものは期待出来ない。


あまり制限がある様なら、最悪、“獅子身中の虫”ではないが、内部統制に支障をきたすだけではなく、ある種のクーデターが起こる可能性もあるのだ。


「・・・いや、ダメだな。これ以上、ラテス族を刺激するのは悪手だろう。忘れてはならないのが、今回は運良く上手く行ったが、全面戦争となれば『魔法技術』を持つ向こうの方が上である事よ。我々がヴァニタス様から授かった『魔法技術』はその一部に過ぎない。」

「その一部でさえ、日常生活から戦闘にまで幅広く利用出来るのだ。本気になったラテス族の兵力は、我々を軽く凌駕するものである事は想像に難くない。」

「ふ、む・・・。」


上層部内でも意見の分かれるところであったが、慎重な者達からそういう意見が挙がった。


曲がりなりにも自分達も『魔法技術』の一部を獲得したからこそ、ラテス族の持つ『魔法技術』がいかに有用で、かつ強力な力を秘めているかが真に理解出来たからであろう。


楽観的な意見を述べた男も、それには黙り込んでしまう。


彼らも他部族、他民族を率いる者達である。

それ故に、時には慎重過ぎる方が良い事を理解していたのであろう。


しかし、時はすでに遅かったが。


「あぁ〜、キミらのお邪魔をするつもりはないんだけどさぁ〜・・・。」

「「「「「っ!!!???」」」」」


いつの間にか、しれっとその会合に混ざっていたヴァニタスが口を開いたからである。


ここはある意味重要な決定を下す場だ。

故に、当然ながら警備も厳重になっているのであるが、そこはそれ、ヴァニタス相手ではそれらも意味を成さないのである。


一瞬驚いた男達だったが、その人物が誰か分かると次第に落ち着きを取り戻していた。


「こ、これはヴァニタス様。この様な場所に、一体何の御用でしょうか?」

「ごめんごめん。当初の予定通り、キミ達のやる事にいちいち口出しするつもりはないんだけど、ちょっとしたイレギュラーが発生しちゃったモンだからね?」

「イレギュラー、ですか・・・?」


確かに、他部族、他民族を扇動し、ラテス族とぶつかる様に仕向けたのはヴァニタスである。

そして彼らに、自身が“神の末裔”、地上から姿を消したセルース人類の末裔である、という嘘を信じ込ませてもいる。


だが、あくまで連合軍を率いているのは、上層部の者達であり、総司令官達である。

故に、ヴァニタスの立場は、所謂アドバイザーやオブザーバーに近い。


つまりは何かを決定する権利が彼にはないし、そういう事はしない、という約束を彼らと結んでいたのであった。


「それは一体・・・?」

「ま、早い話が、もう兵士の一部の者達がやらかしちゃってるんだよねぇ〜。」

「「「「「はっ・・・???」」」」」


あまりに単刀直入過ぎて、上層部の者達は一瞬理解が追い付かなかった。


「だから、さっきキミ達が話し合っていたでしょ?人質の処遇について、さ。んで、殺傷はもちろん、暴行も凌辱もダメ、って結論になったみたいだけど、すでに暴走した一部の兵士達は、人質の凌辱をやらかしちゃってるんだよ。」

「なっ・・・!?」

「なんですってっ・・・!!??」


耳を疑う様なヴァニタスの報告に、上層部の者達は一斉に連合軍の総司令官達を見る。

懐疑的な目を向けられた彼は、もちろん自身の関与を否定する。


「さ、先程も述べました通り、私は全部隊に人質は丁重に扱う様に、との通達を出しておりますっ!」

「・・・と、すれば、一部の跳ねっ返りの暴走、というところか・・・。」


意気消沈した様に上層部の一人が呟いた。


彼らは頭を抱えた。

この事実が(おおやけ)になれば、ラテス族からの反発は免れないからである。


もちろん、そんな事はなかった、として、もみ消す事も可能であるが、その場合、関係者の口をふさぐ必要がある。

加害者側の兵士達ならばともかく、被害者側である人質を消し去ったとあれば、どちらにせよラテス族からの反発が生じてしまうのである。


・・・詰んだ。

誰もがそう考えていた。


「まあまあ、そんなに沈まないで。まだ挽回の芽はあるよ。」

「・・・と、申しますと?」

「正直に打ち明ければ良いのさ。彼らの首を差し出して、さ。」

「・・・つまり、彼らを処刑せよ、と?」

「いやいや、そうじゃないさ。その判断をするのはラテス族であり僕らじゃない。あくまでその件は、彼らが暴走した事によって起こった事であり、僕らの総意ではない事をラテス族側に理解してもらうんだよ。彼らの身柄をラテス族側に引き渡して、煮るなり焼くなり好きにして良い、という条件でね。これならば、少なくとも交渉の件と今回の件は切り離して考える事が出来る筈だ。・・・もっとも、彼らの暴走を制御しきれなかったキミらにも責任がない訳じゃないから、ある程度の不利や、心象の悪化は免れないだろうけど、ね。」

「・・・何もせずにいるよりかは、そちらの方がまだマシ、って事ですね?」

「そうそう。キミらは別にラテス族と全面的に争いたい訳じゃないんでしょ?だったら、そうした方が良いんじゃない?この事を隠し通す事も不可能じゃないけど、後々バレた時のダメージはその程度では済まないと思うよ?」

「「「「「・・・。」」」」」


ヴァニタスの言葉に、上層部の者達は黙考し始める。


ヴァニタスの発言は正しい。

向こう(地球)の企業なんかでも、何らかの問題が発生した場合、潔く全ての否を認めて謝った方が、後々のダメージを最小限に抑える事が出来るからである。


もっとも、これが出来る者達はそう多くはないのが実情だ。

保身や会社へのダメージを考えた結果、隠蔽工作や捏造など、ありとあらゆる手を使って誤魔化すケースも多いからである。


しかしその場合、それがバレた時のダメージは甚大である。

少なくとも、企業、会社としてのイメージは地に落ち、“信用”とか“信頼”という、どれほどの大金をはたいても得られないもの、これまで築き上げてきた時間を一瞬で失ってしまう事となるからである。


結果、それらから回復するまでにかなりの時間を要する事となったり、最悪会社自体が破綻してしまうケースも珍しくない。


つまり、傷が浅い内に対処した方が、後々尾を引かなくても済むのである。


今回の件も一緒である。

客観的に見れば、上層部や総司令官達の監督責任もあるのであるが、


“自分達は厳しい規則を設けていた”

“今回の件の暴走は、あくまで兵士達個人の暴走である”


という(てい)にして、彼らの身柄を引き渡せば、少なくともこの件に関しては手打ちと出来る可能性があるからである。


「・・・それしかないでしょうな。」

「・・・うむ。大事の前の小事だ。この際、四の五の言ってる場合ではないだろうな。」

「・・・ですな。」


しばしの後、そういう結論に至っていた。

そして、次いで素早く指示を出す。


「早速調査し、関わった者達を全て捕らえよ。」

「は、ハッ!」

「僕も協力するよ。大体どの連中がそれに関わってるのかも知ってるし、さ。」

「そ、そんな。ヴァニタス様のお手をわずらわせる訳には・・・。」

「いいからいいから。忙しいキミ達とは違って、僕は結構暇な立場だからねぇ〜。じゃ、行こうか、総司令官くん。」

「は、はいっ・・・!」


何事かを言いかけた上層部の者達の言葉をスルリとかわし、ヴァニタスは総司令官達と共に、その場を立ち去っていった。



こうして、一つの嵐が過ぎ去った後の静けさの中に、一つの火種と次なる嵐の予感を感じさせる出来事があった訳であるがーーー。



誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。


いつも御覧頂いてありがとうございます。

よろしければ、ブクマ登録、評価、感想、いいね等頂けると非常に嬉しく思います。

よろしくお願いいたします。

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