神化と人工神化
続きです。
・・・
「・・・試練は終わったのか?その割には、特に俺に変化はないんだけどよ。」
ネモの言葉に、俺は疑問符を浮かべていた。
そもそもこの試練は、俺達“能力者”のパワーアップを目的としていた筈だ。
確かに俺は能力を駆使して、どうにかドラゴンという脅威に単独で打ち勝つ事が出来たが、しかしその割には特に自分自身に変化があったとは思っていない。
そんな力が身に付いているのであれば、もっと楽にドラゴンに勝てたと思うんだが・・・。
「この場で自分自身の変化を感じる事はあまりないかもしれませんね。しかし、実際には貴方は大幅にパワーアップをしています。『肉体』に戻れば、それを実感する事が出来る事でしょう。」
「そういや、ここって所謂“物質世界”じゃないんだっけか。あまりに普段と変わらんから、あんま違和感はなかったんだけどよ。」
「ええ。ここは、いわば“精神世界”とか“死後の世界”に近しい場所です。より正確に言えば、『霊子加速空間』と言うのですが、見た目的には物質世界とそう大差はありません。それを再現していますからね。しかしこれによって、貴方の『精神』や『霊魂』を高めていますので、元に戻れば、貴方はこれまでとは別次元の領域に踏み込む事が可能となりましたよ。ま、もっとも、無事にパワーアップは果たせたとしても、それを使いこなせるかどうかはまた別問題ではありますがね。」
「ほぉ〜ん。」
・・・いや、正直良く分からんが。
「しかし、いきなりドラゴンの姿で襲ってこんでも良いだろ〜に。マジで死ぬかと思ったぜ。」
「ご説明が一切なかったのは申し訳ないのですが、それでは意味がありませんからね。この場にただ入れば力が手に入る訳でありませんし、楽な試練ではパワーアップも中途半端になってしまいます。自身の持てる全ての力を総動員して生き残る事によって、初めて『精神』や『霊魂』の出力を高める事が出来るのですよ。」
「・・・なるほど?」
「もちろん、試練のネタバレをしても大して影響はないかもしれませんが、その場合、もしかしたら貴方の心に油断が生じてしまうかもしれませんよね?」
「・・・確かに。」
相手がネモだと分かっていたら、手加減などを期待して俺は本気で全力を出さなかったかもしれない。
相手が得体のしれない、危険な生物だと認識したからこそ、俺は必死で生き残る事を考えて、全力で能力と策を駆使した訳だしな。
「その為に、試練の内容はあえて控えさせて頂きました。そして、貴方にも、お仲間達に試練の内容を伝える事を禁じます。もちろん、それによってお仲間が死んでしまう可能性もありますが、逆に言えば先程述べた通り、中途半端なパワーアップに終始してしまう可能性もありますからね。」
「・・・。」
俺は、ネモの発言にコクリと頷く。
もちろん、なるべくなら仲間達には多く生き残ってもらいたい気持ちもあるが、しかし、ネモの考えも分かるからである。
己の限界を超えるのならば、命を賭けるぐらいの覚悟で当たらなければならないし、その覚悟をすでにネモは問うていたからである。
ネモが言うには、仮にここで命を賭けなくとも、長い修練を重ねれば同じステージに立てる可能性もあったが、あいにく俺達には時間がなかった。
故に、死ぬかもしれないが、それを乗り越えればパワーアップ、という賭けに、俺達は乗った訳である。
すでに戦士としての覚悟を決めた(筈である)仲間達に、あれこれ言うのは野暮ってモンだろう。
「了解したぜ。んじゃ、こんなトコに長居は無用だな。後も控えているし、さっさと元の世界に戻ろうぜ。」
「ええ。あ、それと、改めて試練合格、おめでとうございます。」
「サンキュー。」
その言葉がキッカケとなったのか、俺の身体が光の粒子へと変わっていく。
かなり衝撃的な光景ではあるが、俺は焦る事なく、“ああ、元の世界に戻るんだなぁ〜。”などとノンキに考えていた。
しばらくすると、スゥーと意識が遠のいていったのだったーーー。
「・・・貴方は気付いていないかもしれませんが、もちろん私に忖度があった事も否定しませんが、それでもこの短期間で、ドラゴンを打ち倒す事など普通ならありえない事ですよ?“能力者”達のリーダー格はハイドラスどのだと思っていましたが、存外貴方がこれからの“キーパーソン”になるかもしれませんね・・・。」
一足先に『祭壇』のある場所に戻ったセレウスを見届けながら、ネモはそんな事を呟くのだったーーー。
・・・
気が付くと、そこには見覚えのある顔達が座り込んでいた。
・・・どうやら無事に、元の世界に戻ってこれた様である。
俺は、身体を確かめる様に手を握る。
・・・特に、特別な事はない、様に感じるが、何故か世界の見え方、というか、謎の万能感が俺を満たしていた。
「・・・セレウスッ!!」
そんな俺の様子に気が付いたのか、遠巻きにハイドラスがそう叫んだ。
「おう・・・。」
そういや、ネモが影響や干渉があってはいけないからと、試練を受ける者以外は『祭壇』に触れない様に忠告していたな。
その助言に応じてハイドラス達は、『祭壇』から離れた位置で待機していたのだろう。
そういや、結局のところどれほどの時間が経ったんだろうか?
戦闘をしていると、時間の感覚が分かりづらいし、そもそもこの場所は、洞窟内という事もあって陽の光などによる情報もないんだよなぁ〜。
「・・・俺が『祭壇』に触れてから、どれくらい時間が経ったんだ?」
俺はハイドラスらに近寄りながらそう質問する。
「いや、大して時間は経っていないぞ?大体、数十分、といったところか。」
「・・・そうか。」
もしかしたら、えーと、確か『霊子加速空間』とか言ったか?、は、現実世界とは時間の流れが違うのかもしれない。
いや、物凄い緊張感があったから、俺が物凄く長く感じただけかもしれないが・・・。
「・・・で?戻ってこれた、という事は、無事に試練に打ち勝った、と捉えても?」
「ああ、何とかな。もちろん、試練の内容は言えねぇ。ただ、これだけは言ってくぜ。とにかく全力で抗え。」
「「「「「・・・。」」」」」
ゴクリッ、とつばを飲み込む様な音が聞こえてくる。
俺がマジの表情をしている事が、試練内容の過酷さを雄弁に語っていたのかもしれない。
「と、ところで、もちろん試練の内容については言わなくても良いが、例のパワーアップに関してはどうだ?」
妙な迫力の俺に気圧さながらも、ハイドラスはその事を確認してくる。
そりゃそーだ。
せっかくここまで来て、しかも命まで賭けるんだ。
そのパワーアップが割に合わなければ、あまり意味がないだろう。
「う〜ん。正直、それについては何とも言えねぇ〜なぁ〜。や、確かに、さっきとは違う様な感じはあるんだけど、具体的に何が変わったとかは俺自身も分かってねぇ〜んだ。」
「・・・ふむ。」
俺が、正直にそう告げると、ハイドラスはしばし黙考し始める。
先程の話ではないが、こんなところまで来て、命さえ賭けて、それでショボい結果になるのなら、“パワーアップ”を考え直す事視野に入れなければならないだろうからな。
「・・・でしたら、一度“能力”を使ってみてはどうでしょうか?それで、どの様な違いがあるかがハッキリと分かるかもしれませんよ。」
「あ、ネモ・・・。」
俺に一足先遅れて、ネモも『祭壇』から戻って来てそう言った。
ま、それもそうかもしれないな。
俺はコクリと頷くと、とりあえずいつものように自己強化をかけてみた。
ゴアッーーー!!!
「っ!?」
「「「「「っ!!!???」」」」」
しかし、それは思ったよりも劇的な変化をもたらした。
俺自身は、普段と何ら変わらない様にしていたつもりだったが、明らかに出力が以前よりも増しているのである。
また、特に何かをした訳でもないのだが、“能力”を発した瞬間、俺の身体から“オーラ”の様なものが立ち昇ったのである。
それは物理的圧力となって、その場にいた仲間達の身体を吹き飛ばす勢いであるほどだった。
「な、何だ、こりゃっ・・・!!!」
「す、すごいっ・・・!!!」
「お、おいっ!これならっ・・・!」
「あ、ああっ!いけるなっ!」
俺自身も、その変化には戸惑っていたが、仲間達は俺の変化を見ると目の色が変わる。
ま、実際にパワーアップがどういったものかが間近で確認出来たのだ。
それも当然と言えば当然であろう。
「これが、“限界突破”を果たした結果です。もちろん、セレウスどのにはもう申し上げたのですが、この力を使いこなすとなると、また別に修練は必要となるのですがね。」
ネモがそう締めくくると、先程まで正直半信半疑だっただろう仲間達は、こぞって手を上げ始めた。
「つ、次は俺が試練を受けようかな。」
「いやいや、俺が先だっ!」
「み、みんな一旦落ち着けっ!ここは公平に、くじ引きで順番を決めるとしないか?」
俺の時とはうってかわって、我先にと主張し始めた仲間達にハイドラスがそう提案した。
そもそもこの場にいる全員が試練を受けるつもりなのだし、あまり順番は関係ないのだがなー。
「やれやれ。これは忙しくなりそうですねー。」
その様子を眺めながら、ネモは若干嬉しそうにそう呟くのだったーーー。
◇◆◇
“疑似霊子力発生装置”とは、“霊子力”と言ってはいるが、実際には全く別物であった。
そもそも、“霊子力”とは、以前にも言及した通り、所謂“魂の力”であり、つまりは『霊魂』を持つ存在ならば、誰もが発しているある種のエネルギーの事である。
故に、セルース人であろうとも、アクエラ人であろうとも、一般人であろうが“能力者”であろうが、当然ながら“霊子力”を持っている事となる。
ただ、それをある程度自在に操れるとなると、それは数が一気に絞られてしまう事となる。
それが、所謂“能力者”と呼ばれる者達なのである。
そして、残念ながらソラテスら科学者グループは、この力を扱えないのであった。
そこで、彼らアプローチを変えた。
自力での習得が困難なのであれば、他から力を集めれば良いだけの事である。
その結果生み出されたのが、この“疑似霊子力発生装置”なのである。
この“疑似霊子力発生装置”のキモは、集めた力を特定の者に与える事で、擬似的に、人工的に“能力者”、それもパワーアップを果たした“能力者”と同等の存在になれる事であった。
また、これは副次的な効果で、元々これはセルース人類が利用していた“霊子力エネルギー”の理論と根底は同じなので、エネルギー源としても利用可能な点である。
これを更に『魔法技術』・『魔法科学』と組み合わせる事によって、“セシル”の様な存在を作り出す事も出来るし、彼、あるいは彼女を維持する為のエネルギー源ともなっていたのである。
ただし、その為には、所謂“人身御供”が必要となる。
言うなれば“燃料”であり、“霊子力”を生み出し続ける存在。
すなわち、知的生命体、ここで言えば、セルース人類かアクエラ人類が必要となるのであった。
もちろん、これは深刻な人権侵害でもある。
要するに、“燃料”となる者達は、生きてはいても自由は存在せず、“霊子力”を搾取され続ける存在と成り果ててしまうからであった。
むしろ死ねる方がまだ救いがあるかもしれないほどに。
もちろん、こうした問題は、セルース人類にとってはすでに解決済みの問題でもあった。
かつてはセルース人類を救う為、という御題目、大義名分の為には“能力者”達の人権は軽く無視される事となったが、“能力者”が力を持ち始めた事によって状況は改善し、“霊子力”を生み出す、という事には変わりないが、それがある種の職業として成り立っていき、労働環境についてもしっかりと基盤が出来上がっていたのである。
ある程度の拘束時間は存在するものの、それは労働者としては当たり前の事であるし、それ以外の時間はしっかりと人間としての生活や自由が保障されたのである。
ただ、これはあくまでセルース人類は、である。
当然ながら、アクエラ人類には、セルース人類の法は当てはまらない存在だ。
ただし、ある種導くべき存在であるアクエラ人類を、ただ“霊子力”を生み出す為だけの“燃料”としてしまっては、ある種本末転倒であるし、当然ながらセルース人類の中にも様々な意見が存在していた。
すでに“能力者”達が反旗を翻していた状況の中では、強権的に強引にプロジェクトを推し進める事によって、更なる不和が発生するのはソラテスらとしても何と避けたい事態であった。
そこで、マギの提案によって注目したのが、第三の選択肢であるところの、『新人類』をその生贄にする事であったのであるーーー。
・・・
「お、おおっ・・・!!!これが、力を持つ感覚かっ・・・!!!」
“擬似霊子力発生装置”の完成と共に、人工的に“能力者”となる実験をしていたソラテスは、恍惚とした表情を浮かべていた。
当然ながら、科学者グループ、どころか、今や“能力者”達を除くセルース人類のトップの様な立場であるソラテスが、所謂“実験台”になる必要もなかったのであるが、そこはそれ、逆に言えば他の誰かが“力”を持つ事を恐れた彼が、科学の発展の為、というもっともらしい理由をつけて、自らそれに志願したのであった。
〈元々“擬似霊子力発生装置”は、他の種族が人為的に“アドウェナ・アウィス”と同様の力を扱えるようにする為に彼らが遺したものです。ですから、条件さえ満たされれば、こう成るのはある種必然ですね。しかも、あなた方はこれの真価を理解せぬまま、ある種のエネルギー源として“霊子力エネルギー”を利用していました。本来、それらの理論や作り方を教えられても、これほど早く完成に漕ぎ着ける事はありえないのですが、すでに下地のあったあなた方は別でしたね。ある意味では、“アドウェナ・アウィス”を除けば、この宇宙でもっとも文明力が発展しているのは、もしかしたらあなた方かもしれませんね・・・。〉
割とアッサリ“神化”したソラテスを眺め、マギはそんな感想を漏らしていた。
マギも述べた通り、セルース人類はマギが教えるまでもなく、すでに“霊子力エネルギー”の抽出方法を会得していた。
しかも、この惑星にやって来る過程で、“コールドスリープ”と組み合わせて、宇宙船のエネルギー源として、眠っていた人々のエネルギーを利用する方法すら編み出していた訳である。
故に、すでにある程度の下地は出来上がっていた訳だ。
それに少し手を加える程度で、アッサリと“擬似霊子力発生装置”は完成したのである。
しかも、一番のネックである“燃料”についても当てがあったので、マギも舌を巻くほどの短期間での準備が終わっていたのであった。
「・・・しかし、これほど簡単に“力”が手に入ると、また別の問題が起こってしまう可能性がありますね・・・。」
〈と、申しますと?〉
先程までハイテンションだったソラテスは、急に冷静になってそんな事を呟いた。
「もちろん、“能力者”達に対抗する為には、この力は必要となるでしょう。しかし、こちら側も今はまとまっていますが、これほどの力を手に入れたとあっては、いつ心変わりする者が現れるとも限りませんよね?」
〈・・・ふむ、それは確かに。〉
ソラテスの発言に、マギは納得した様に頷いた。
もちろん、マギによってある程度洗脳が施されているので、一見ソラテスらの側は一つにまとまっている様にも見えるのだが、しかし、完全に人々の“意思”までは奪っていないのである。
何故ならばそれは、マギにとっても意味のない事であるからだ。
そもそもの話として、マギの役割は『支配者』側の“アドウェナ・アウィス”の意志を受け継ぐ存在を導く事であった。
つまり、ある意味己の主となるべき存在を、マギが操るのはある種本末転倒なのである。
あくまでマギは、それらのサポート用の人工知能でしかなく、本当に何らかの事柄を決定するのには、“人々の意思”が必要となるのである。
それ故の、洗脳であり、逆に精神支配にまで及ばなかったのはこの為でもある。
(もちろん、出来るか出来ないかで言えば出来るのだろうが。)
まぁ、そうしたマギの事情はともかく、それ故に、ある程度の協調性は持たせられても、それでも各々の意見には相違があるのである。
実際、ソラテスらの側も、本当の意味では一枚岩ではないのだ。
同じ様に一つの方向に向かっている様に見えて、その実、彼らの内部にも様々な思惑が存在していたのである。
そんな状況で、とてつもない力を手に入れたとあっては、主導権を狙って対立が起きないとも限らないのである。
少なくとも、科学者グループと一般労働階級のグループでは、そもそもの考え方が違うのだから、そうなったとしても不思議な話ではないのである。
“敵(能力者)”がいる状況で、内部争いが発生しては目も当てられない。
どれだけ強固な組織や国家であろうとも、内側から崩壊する例は歴史的に枚挙に暇がない。
そしてそれが、今、現実の話となる可能性があったのである。
〈それでしたら、“神化”させる人々は厳選されてはいかがですか?もちろん、“能力者”達に対抗する為にはある程度の人員は必要となりますが、それを貴方の近しい者達だけに限定する、とか。〉
「・・・ふむ。」
マギの提案に、しばし黙考したソラテス。
「・・・いえ、それではダメですね。ここら辺は非常に繊細な話です。仮に“神化”させる人々が科学者グループに偏っていた場合、それだけである種の火種となる。もちろん、今の自分の力を鑑みれば、強引に言う事を聞かせる事も不可能ではないでしょうが、それは“能力者”達に隙を与える事になりかねない。」
〈・・・ふぅ〜む。〉
人間とは非常に不可解な生き物である。
あちらを立てればこちらが立たぬ。
政治的に全体のバランスを取るのは、実際には非常に難しい話なのである。
しかし、それが面倒だといって、強引に事を進めれば、先程の話の様に内部にしこりを残す結果となってしまうのである。
〈それでは、“連合チーム”を結成しては?それぞれ様々なグループや派閥が存在するのでしょうが、その中から真に貴方に賛同する者達を選抜し、その者達に“神化”を施す、というのは。これならば、それぞれのグループや派閥に配慮する事ともなりますし、“連合チーム”は貴方を中心として結束する事となりますから、内部崩壊や歪が生まれる事もないでしょう。〉
「・・・なるほど。」
そこで、マギから新たなる案が示される。
いくらある程度の“自由意志”が存在すると言っても、やはり考え方は人それぞれである。
ならば逆に、グループや派閥を超えて、真にソラテスの理解者となる者、賛同する者がいたとしても不思議な話ではないのだ。
これならば、“力”をソラテスらが独占する事ともなりながら、それぞれのグループや派閥にも“力”を持つ者達が在籍する形ともなるので、ある種の不満や不安を解消出来ると共に、ソラテス側からしたら一番良い落とし所ともなりそうなのであった。
「・・・それが一番良い落とし所、ですか。」
〈ええ。もちろん、引き続き私もサポートしますので、そこら辺の心配はいらないかと存じます。〉
「そうですね・・・。」
結局のところ、ソラテスはマギの提案を受け入れ、所謂“超党派”である“連合チーム”を結成する事となった。
これによって、ソラテスらは、事前に内部崩壊の可能性を潰せた事もあって、一見すれば盤石な体制となったのである。
しかしただ一点、大局を見すぎていたり、政治的な動きに終始した結果、もっとも恐ろしい、かつ大切な“人の感情”というものを、その小さな火種を彼らは見過ごす事となってしまったのであったーーー。
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