限界突破 1
続きです。
◇◆◇
なるほど・・・。
つまり、“霊子力エネルギー”は、あくまでセルース人類がエネルギーを得る為の手段だったのに対して、それを応用した“疑似霊子力発生装置”は、特定の個人、あるいは対象者が強力な力を得る為の装置だったのですね?
ーその通りです。それを利用する事によって、パワーアップを果たし、今や神の如き力を手にした“能力者”達に対抗するべく、科学者グループも、同じステージへと立った訳ですね。ー
それが、“神話大戦”の真実ですか・・・。
ーええ。ちなみに、当然ながらこの“疑似霊子力発生装置”は、今現在でも稼働しています。これを利用すれば、強力な力を得る事が可能でしょう。ー
・・・ふむ。
ライアド教が狙うのも分かりますね。
“疑似霊子力発生装置”を手にすれば、まさにこの世界の新たなる支配者となる事が可能でしょうからね。
逆に言えば、セレウス様達からしたら、それをどうしても阻止したかった訳だ。
それはつまり、この世界全土を巻き込んだ、新たなる火種と成りうるから・・・、か。
ー・・・しかし、その目論見は失敗してしまいました。貴方が殺られてしまいましたからね。ー
・・・。
ー当然ですが、すでに“疑似霊子力発生装置”は、ライアド教、ハイドラスの手中に収まっています。貴方のお仲間達はまだまだ健在ですが、貴方なしでは流石に分が悪いでしょうね・・・。ー
マズいですね・・・。
ーそこでご提案なのですがっ・・・!ー
ですが、ちょっと待って下さい。
ー・・・何か?ー
いえ、しかし一方で気になる点もあります。
それほど強力なものであれば、何故封印されていたのでしょうか?
と、言うかそもそも、僕の調査が確かならば、“神話大戦”はおそらく“能力者”側の勝利で終わった筈ですが・・・?
ーああ、その事ですか・・・。それはですね・・・。ー
□■□
マギやソラテスは、非常に優秀な存在ではあったものの、しかし人としての部分がやや欠落した存在でもあった。
マギは当然である。
何故ならば、彼、あるいは彼女は、あくまで人工知能であるから、人の感情を真には理解出来ないからである。
そして一方のソラテスは、一応は元々“ヒト”ではあったのだが、その生来の人付き合いの悪さや、マギによる洗脳などもあわせて、他者の心情を察する能力にやや欠陥を抱えていたのである。
もちろん、その頭の良さから、ある程度は交渉などには長けていたのであるが、実際には人は、ただの損得勘定のみで動く生物ではない事を真には理解していなかったのであったーーー。
“能力者”達に対抗すべく、“疑似霊子力発生装置”の建造が急務となり、そのキモとなる“燃料”に選ばれたのは、『新人類創造計画』によって生み出された“他種族・異種族”であった。
これは、既存のアクエラ人類にとっても、実は歓迎すべき事態でもあった。
何故ならば、先にも述べた通り、自分達の崇拝するセルース人達が、自分達ではなく新たに生み出した“他種族・異種族”にかまけていたからである。
セルース人達の寵愛を受ける対象が、自分達から“他種族・異種族”へと移ってしまったと感じていた彼らは、ある種の嫉妬心を抱えていたのである。
しかしそれが、“能力者”達に対抗する為とは言え、その“燃料”とする事、すなわち、『エストレヤの船』に“コールドスリープ”し、エネルギーを抽出する為だけの存在であると彼らは理解したからであった。
もちろん、それはただの誤解だ。
そもそも本来は、彼ら“他種族・異種族”達は、科学者グループ、より正確に言えばセルース人達の新たなる肉体とすべく創造・育成していた器だからである。
それが、“能力者達の反乱”があり、計画が二転三転した結果として、最終的にそこに着地しただけなのだから。
そうした事もあって、マギやソラテスはもちろん、科学者グループや一般労働階級グループ、果てはアクエラ人にすら“他種族・異種族”の境遇について異議を唱える者は現れなかったのであった。
ただ一人を除いては、であるが。
その決定に異議を唱えたのは、意外にもアスタルテであった。
ご承知の通り、『新人類創造計画』を主に推し進めていたのは、実質的には彼女であったにも関わらず、である。
ソラテスの説得やマギによる洗脳もあって、科学者としては禁忌とも言える、生命の創造に着手して、一定の成果を挙げた彼女だったが、やはり彼女も“ヒト”であるから、自らの手を生み出した彼らに、ある種の情が湧いていたのである。
もしかしたらそれは、女性としての母性の様なものだったのかもしれないが、そんな彼らの処遇が、ある種の“乗っ取り”とは言えど、“ヒト”として生きる事ではなく、ただの使い捨ての“燃料”の様な扱いを受けるのは、どうしても納得いかなかったのである。
もちろん、彼女とて、“能力者”達に対抗する為である、という理屈は分かっていたのであるが、先程も述べた通り、頭で分かっていても、感情はまた別物なのだ。
とは言えど、多勢に無勢、たった一人の意見が通る筈もなく、彼女の反対意見は軽く無視される事となった。
ソラテスからしたら、彼女に割いている時間がなかった、というのも本音であろう。
しかし、こうしたささいな事(もちろん、アスタルテ的にはささいな事ではないが、ソラテスら側からしたら大事の前の小事に過ぎない事である。)がキッカケとなって、事態は思わぬ方向へと転がっていったのであったーーー。
□■□
一方、科学者側が“能力者”達に対抗すべく、着々と準備を進めつつ、(表面上はあまり変化はないが)若干不穏な空気が流れる中で、その当の“能力者”達はと言うとーーー。
気がつくとそこは、広大な荒野が広がっていた。
先程まで確かに俺は仲間達と共に洞窟内にいたので、一瞬混乱したのであるが、すぐにそれは、“試練”に関係する事なのだろうと納得していた。
とりあえず、周囲を観察しつつ、俺は自分の体調なんかをチェックする。
先程のネモの説明によると、今の俺は『肉体』を持っていない筈なのだが、不思議な事に普段と大して変わらない様に感じる。
いや、むしろ絶好調とも言えるし、所持していた武器類なども、変わらず手元に存在していた。
それを不思議に思っていたのだが、次の瞬間、俺は余計な事を気にする余裕もなくなっていた。
ギャオォォォォ〜〜〜ンッ!!!
「ド、ドラゴンッ!!!???」
急に突風が吹いてきたと思ったら、俺の目の前に体長数十メートルはあろうかというドラゴンが、唸り声を上げながら舞い降りてきたからである。
もちろん、ドラゴン自体はここに来るまでに何度か遭遇していた。
そして、数名で対処すれば勝てない相手ではなかったのも事実である。
しかし、この目の前に現れた個体は、明らかに今までのドラゴンよりも巨体であるし、そもそも今は俺一人しかいないのだ。
もちろん、デカければ強いか、と言われれば、それも絶対ではないのであるが、しかし一方で、少なくとも自然界においては、デカさ=強さである事は間違いないので、今の俺は、絶賛大ピンチである事は、まず間違いないだろう。
・・・まさか、この怪物と一対一で打ち勝つ事が“試練”とか言わないっすよね・・・?
俺は、淡い期待を持ちながら、恐る恐るドラゴンの目を見る。
ウゥゥゥ〜〜〜!!!
もちろん、そんな期待は脆くも崩れさる。
目が合った瞬間、ドラゴンは明らかに俺に敵意を向けていたからである。
そして次の瞬間、大きく息を吸い込む動作をする。
「ヤ、ヤベェッ・・・!!!」
本能的には危機感を覚えた俺は、“能力”によって身体強化を施すと、今まで立っていた場所から急いで離脱する。
ゴアアアァァァ〜〜〜!!!
「うおっ!アチいっ!!ってか、デケェッ!!」
それは、ドラゴンの代名詞とも言える、所謂“ブレス攻撃”だったのである。
もちろんこれ自体は、外のドラゴン連中も使ってきた攻撃手段であるから咄嗟に回避出来たのたが、その規模とデカさは明らかに外の連中の比ではなかったのである。
もし、俺が一瞬でも判断に迷っていたら、今頃俺は消し炭となっていた事だろう。
ウガっ・・・?
手応えがなかったと感じたのだろうか。
巨体のドラゴンは、その姿には似つかわしくない愛嬌のある仕草で首を傾げていた。
一方の俺は、点々と存在した岩陰に隠れながら、絶望感に打ちひしがれていた。
「さて困ったぞ・・・。少なくとも対話によって争いを回避する事は出来そうにないし、かと言って、バカ正直に正面から戦り合っても、とても勝てそうにない・・・。これ、詰んでね・・・?」
思わずそんな弱音を吐く俺。
もちろん、ネモから示された可能性を鑑みれば、工夫次第ではこの強敵にも打ち勝てる可能性はあるのだろう。
しかし、当然ながら、そうポンポンとアイデアが出る訳もないし、とりあえず“死の山”攻略によって得られた経験則から試していきたいところだが・・・、それもかなり勇気のいる事だ。
何故ならばそれは、極めて成功率の低い生への可能性を、ぶっつけ本番で手繰り寄せる様なものだからである。
仮に、それらが上手くハマれば良いが、そうでなかった場合は当然相手を強く刺激する事となる。
そうなれば、一瞬の判断ミスで俺はアッサリあの世逝きである。
かと言っても、このまま隠れ続けられる保証もどこにもないし、体勢の整ってない中で見付かれば、どっちにしても俺の敗北=死は濃厚なのである。
生き残る為には、勇気を出してイチかバチか打って出る必要があるのだ。
「・・・やるっきゃねぇ〜かっ・・・!!」
短い時間で俺は覚悟を決めると、幸いな事にドラゴンはまだ俺を見付けられてはいなかった。
俺はない頭をフル回転させながら、行動に出るのであったーーー。
・・・
ー・・・ふむ。中々の隠形ですね。咄嗟の判断力も及第点です。しかし、ここからどう仕掛けて来ますかね・・・?ー
セレウスはもちろん気付いてはいなかったが、実はそのドラゴンの正体は、セレウスと共に『祭壇』に近付いていったネモであった。
元々彼、あるいは彼女には、所謂“実体”というものがない。
それはそうだろう。
何故ならば、彼、あるいは彼女は、あくまで人工知能だからである。
逆に言えば、“器”さえあれば、他の物体に宿る事も可能なのである。(“ロボット”なんかを想像すると分かりやすいだろう。)
故に、この場において、“ドラゴン”という器に乗り移る事によって、セレウスの試練を遂行していたのである。
これは、ネモにとってもセレウスら“能力者”らに無事に試練に打ち勝って欲しいが為である。
何故ならば、彼、あるいは彼女の目的は、彼ら“能力者”達を打ち負かす事ではなく、マギに洗脳されてしまったセルース人類(科学者グループ)を止めたたいが為であった。
『支配者』とは対極に当たる『解放者』側であるネモからしたら、セレウスら“能力者”らは、言い方は悪いが、彼らに対抗する為のちょうどよい“駒”なのである。
故に、いくら試練とは言えど、ここで倒れられるのは非常に都合が悪いのである。
そこでネモは、セレウスと共に『祭壇』に触れ、この世界最強種の一角であるドラゴン、それも、特に強力な個体に設定されているドラゴンの肉体に乗り移り、ある程度戦闘をコントロールしていたのであった。
(仮に、ネモがコントロールしていなかった場合、もしかしたらセレウスは、すでに敗北していた可能性もある。
が、逆に言えば、本能のまま行動する通常のプログラムとは別に、ネモが介入した事で、実際には難易度が爆上がりしている側面もあったのである。
当たり前だが、化け物染みた力を持ちながらも、理性も併せ持っている存在は、“ヒト”にとっては脅威でしかない。
何故ならば、ある種の“隙”を見付ける事が困難だからである。
まぁ、ネモがその事まで考えていたかは謎であるが、しかしこれによって、ある種の膠着状態を作り出す=セレウスが考える時間が与えられた結果ともなっていたのであった。)
ー!?・・・出てきましたね・・・。何か作戦があるのでしょうか・・・?ー
点々と存在する岩場の影から飛び出してきたセレウスを認識すると、ネモはそう考えつつ、再び攻撃態勢に移行したのであるがーーー。
・・・
ネモの説明によれば、俺らの“能力”にはまだ可能性がある、との事だ。
そこで俺は、咄嗟に思い付いた策を試す事とした。
もちろん、バカ正直に姿をさらす事はしない。
そんな事をすれば、丸焼きにされるのがオチだからである。
ならば、今出ていった俺は何かと言うと、所謂“幻影”というヤツだ。
俺らセルース人にも、当然ながら映像技術等は存在する。
その中には、“2D”だけでなく、“3D”を投影する技術も存在していた。
“3Dホログラム”とは、何もない空間に立体的な映像を写し出す技術だ。
もちろん、人物などを写し出す事も可能である。
この技術を“能力”によって応用、作り出し、自分そっくりの“幻影”を岩陰から飛び出させたのである。
もちろん、この程度は目眩ましでしかない。
実際に攻撃したら、すぐにそれが偽物である事は見抜かれてしまう事だろう。
では、ここからどうするかと言うと・・・。
グルルルル!!
予測通りドラゴンは、俺の幻影に警戒感を向け、攻撃態勢、先程のブレス攻撃の体勢に入る。
俺の狙いは、まさにこの瞬間であった。
以前から思っていた事がある。
ドラゴンには、自身のブレス攻撃は有効なのか?、と。
おそらくであるが、ある程度は耐性がある事だろう。
でなければ、例えば自身の吐く火球で、自身もダメージを負ってしまうからである。
しかし、外のドラゴン達の事を鑑みれば、所謂“縄張り争い”は当然存在する筈であろう。
複数の個体が存在する以上、野生動物であればこの“縄張り争い”は、ある種重要な生存戦略だからである。
ならば、つまりドラゴン同士で戦う事もあるのだ。
その時に、何を武器として戦うのだろうか?
普通ならば、角や牙、爪などであろう。
そして、それがドラゴン同士であったのならば、ブレス攻撃がそれに該当するのではないだろうか?
この場に存在している個体は異常に大きな個体ではあるが、しかし外にいた個体達もそれなりの大きさを持っていた。
その個体同士が、しかも空さえ飛べる者同士が所謂“キャットファイト”なんて行おうものなら、周りの自然環境を一気に破壊してしまう事だろう。
自然環境が破壊される事は、ハッキリ言って、生物としては避けたい事であろう。
何故ならば、そうなると、自らの捕食すべき対象がいなくなってしまうからである。
これほどの大きさの生物の生命を維持する為には、大量の食糧が必要な筈だ。
ならば周りの環境にあまり被害が及ばない形で、ある特定の優劣によって、勝負を決するのでは?、と思い至ったのである。
例えば、空中でお互いにブレス攻撃を撃ち合う、とかである。
そう考えると、先程の疑問である、ブレス攻撃は有効かどうかも分かってくる。
答えは、ある程度の耐性は持っているだろうが、それも絶対ではない、である。
もちろん、そもそもの質量の違う“ヒト”と“ドラゴン”では、同じ様にブレス攻撃の真似事をしても有効打にはなり得ないかもしれない。
ならば、自身の放つ攻撃を、逆に利用しよう、という訳であった。
スウゥゥ〜〜〜。
先程も見たので分かる事だが、ブレス攻撃には、“息を吸い込む”という、ある種の予兆、動作が必須な様だ。
もちろん、それは一瞬の事であるから、それを見逃せばアッサリとそれに巻き込まれてしまう事だろう。
しかし、逆に言えば、冷静に観察さえしておけば、攻撃のタイミングが分かりやすい事でもある。
この動作に入ったら、回避行動を取れば、まず間違いなくブレス攻撃を避ける事は可能なのである。
もちろん、ドラゴンの攻撃はこれだけとは限らないので、どういうパターンがあるかは不明な部分も多いが、今のタイミングでは他の事はあまり考えなくても良いだろう。
そして、数秒のタイムラグの後、ドラゴンが俺のダミーに火球を放ってくる。
「ここだっ・・・!」
俺は、まさに火球が解き放たれようとする瞬間に、圧縮した空気の塊を火球にぶつける。
ドゴォォォ〜〜〜ン!!!
ギャオォォォ〜〜〜ン!!!???
すると、火球は大爆発を起こした。
それの余波をマトモに食らったドラゴンは、一瞬よろめいた。
ビンゴ!!!
やはり、思った通り、ある程度の耐性はあっても、ブレス攻撃はヤツ自身にもダメージを与える事が可能な様だ。
もちろん、爆発による熱や熱風が広がった影響もあるんだろうがな。
俺がやった事は意外と単純だ。
まず、あらかじめ“念力”によって、酸素を含む空気の塊を圧縮させておく。
それを、火球がヤツの口から解き放たれる瞬間に、それにぶつけただけなのである。
燃焼のプロセスには、当然ながら酸素が重要な意味を持つ。
逆に言えば、酸素がなければ、燃え続ける事は出来ないのである。
そこに、一気に大量の酸素が送り込まれれば、所謂“バックドラフト”の様な現象を起こす事が可能なのである。
火の恐ろしい点は、やはりその熱である。
直接火に接していなくとも、その熱によって、身体が焼ける様な熱さを感じてしまうからな。
もちろん、ある程度は熱さに対する耐性はあるんだろうが、それが爆発的に広がり、弱い部分、例えば“目”とか“内部”に熱波が入り込んでしまえば、それによるダメージは避けられない事であろう。
もっとも、その程度で倒しきれるとは俺も思っていない。
これは、相手に隙を作る策の一つでしかないのである。
本命はここからだーーー。
・・・
ーグハッ・・・!や、やりますね。私の攻撃を逆手に取ったのですか・・・。多少、目と肺にダメージが入ってしまいましたが、しかし、この程度では私は倒せませんよ?ー
ドラゴン(ネモ)は、セレウスの策に感嘆の声を上げつつ、しかしまだまだ余裕があった。
やはり、熱に対する耐性が優れている装甲、皮膚を持っている事もあってか、大爆発によってダメージを受けたのは、生物として弱い部分である目と肺、つまり内部の一部分でしかなかったからである。
もちろん、同じ“ヒト”同士の争いであった場合は、それは物凄いハンデを抱えるのと同義であるから、よほどのミスでもしない限り、セレウスの勝ちは揺るがない状況である。
しかし、これがそもそもの質量の違う生物であったのなら、多少流れを変える事は出来たかもしれないが、状況を劇的に改善させた訳でもないのである。
ここで、仮に激昂してブレス攻撃を周囲に撒き散らし、それにセレウスが巻き込まれたとしたら、それで勝敗は決してしまうからである。
そうでなくとも、仮にこの隙を見逃さずに近寄ってきたとしても、その巨体から目茶苦茶に暴れ回れば、ドラゴンに比べて小さい生き物である“ヒト”の身体などひとたまりもないであろう。
つまり、これはまだ、ドラゴン(ネモ)からしたら決定打ではなかったのである。
それが分かっているドラゴン(ネモ)は、ぼやける視界の中、痛む肺を抱えながらも、他の五感を使ってセレウスの動向を冷静に見据えていたのであったがーーー。
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