セルース人
続きです。
今回から、アクエラが何故“ゲームのような世界観”となったのかの真相が明かされてきます。
夢のエネルギーである“霊子力エネルギー”、夢の航行技術である“ワープ航行技術”、更には、星間移動する際に必要となる“コールドスリープ技術”を手にしたセルース人達は、まだ見ぬ外宇宙へと飛び出していった。
それは、まさに“宇宙開拓時代”、と言った差し支えなかったかもしれない。
そして、数千年前、もはや正確な年月は忘れ去られたが、セルース人達の一団は、とうとう惑星アクエラに到達したのであった。
そしてそこから、物語は大きく動き始めたのであるーーー。
◇◆◇
そこは何とも不可思議な所だった。
色々な景色がごちゃ混ぜになったような混沌とした場所なのに、何らかの秩序がある様なそんな感覚。
これは夢だなと、自覚するが目覚めず、自分をうまくコントロール出来ない。
自分自身を俯瞰して見ている様な感じだった。
ってか、これって前にも似たような経験があった様な・・・?
ハッキリしない思考ながらも、僕はそんな事を考えていた。
と・・・。
ー・・・?ここは・・・?ー
ーようこそ、英雄アキト・ストレリチアよ。貴方が来るのを、ずっと待っていました・・・。ー
ー・・・!?ー
謎の声がその空間に響き渡ると、急に視界がクリアになる。
そして、それに伴って、僕の思考も徐々にハッキリとしていくのだった。
そうか、僕は・・・。
ー残念だが、お前のこの世界での人生は終わりを告げた。ー
ー簡単に言えば、貴方は死んでしまったのよ。ー
そう。
それは僕も思い出していた。
確か、アーロスくんと戦り合っていて、そこに介入してきたティアさんが“何か”をして、僕の意識は遠のいていったんだったっけ。
ーあの『異世界人』の娘は、そなたの生命機能を破壊したのだよ。目には見えない“音”、という手段で、な。ー
ーいくら様々な技術を習得している貴方と言えど、これは想定外の事だった事でしょう。そもそも貴方は、あの娘と“対話”しようと試みた。つまり、“音”を用いたコミュニケーションを図っていたのです。であれば、それを初見で防ぐ事はほぼ不可能でしょうね。ー
なるほど・・・。
確かに、僕ら人間は、主に“言語”を用いたコミュニケーション技術しか持たない。
当たり前だが、“対話”をする上では、“音”を振動させて相手に届ける必要があるから、これに関しては完全に盲点だったかもしれない。
仮に、“念話”や“テレパシー”が可能ならば、このような失敗もなかったのかもしれないが・・・。
ーあの娘は、最初からお前を排除するつもりだったさ。しかも、いきなり割って入って、お前と“会話”を交わしだしたんだ。まさに自然な“やり取り”、だな。ー
ーなるべくなら争いは避ける、という貴方の方針を逆手に取られましたね。そもそも“念話”や“テレパシー”は、限られた者にしか使いこなせない技術です。彼女に最初から殺傷の意図がある限り、貴方にも誰にも、それを防ぐ事は不可能だったでしょうね。ー
・・・ふむ。
まさに“初見殺し”、だった訳か。
僕もまだまだ甘かった、というところか・・・。
ってか、さっきから喋っている(?)あなた方はどちら様でしょーか?
ー・・・ふむ、思考は大分ハッキリして来たようであるな。ー
ー申し遅れました。我々は“古き神々”。ソラテスやアスタルテ、ハイドラスやセレウスと同時期を生きた、いまや忘れ去られた神性の成れの果てです。ー
っ!!!???
・・・
「は、ハイドラスッ!?こ、この者がっ・・・!!??」
「それに、我が弟、ってっ・・・!?」
「・・・そういや、どことなくセレウス様に雰囲気が似とるわ・・・。」
「・・・驚くのは無理ないけど、事実だよ。ハイドラス、様とセレウス様は『双子神』。まぁ、所謂“二卵性双生児”だけどね。だから、似てはいてもソックリではない。実際には、同時に生まれた兄弟、ってところさ。」
「・・・ナルホド?」
「それはええんやけど、この状況はなんや?何で、“カミサン”と呼ばれる存在が、そうポンポン顕現してんねん。」
「良い疑問だね、ヴィーシャくん。我は今、機嫌が良い。故に、ある程度の疑問には答えてやろうじゃないか。お前らのお陰で、『エストレヤの船』の“マスターキー”も手に入った事だしな。」
「「っ・・・!!!」」
「おっと、あまり無茶をするものではないよ、セレウス、アルメリア、ルドベキアよ。信仰を失い、宿主であるアキト・ストレリチアすら失ったお前達は、今や力の大半を失ったに等しい。今ある“神霊力”を失えば、その存在が消えてしまうかもしれんのだぞ?」
「クッ・・・!!!」
「落ち着いて下さい、セレウス様。どうやらハイドラス様はこちらと争う構えではない様子。ここは、一旦、様子見をするのが吉かと。アルメリアも、良いな?(ボソボソ)」
「あ、ああ・・・。」
「り、了解っす、ルドベキア先輩。」
ハイドラスは、今や敵対している筈のセレウスらを心配する様なセリフを吐いた。
これはおそらく、もはや勝ち筋が見え、これまで裏で暗躍していた事の反動で、自身の活躍を大いに語りたい心理から来る事かもしれない。
「・・・では、一つ一つ答えよう。何故、我々神々が『制約』なんてモノに縛られているのかを、な。」
・・・
ー今から数千年前の事だ。もはや、正確な年月は誰もが覚えていないが、我々は広大な宇宙の中で、この惑星アクエラをようやく発見した。ー
ーもう、お気付きかもしれませんが、我々“古き神々”や、ソラテスやアスタルテ、ハイドラスやセレウスは、元々“セルース人”と呼ばれた異星人だったのですよ。ー
・・・なるほど。
では、時折僕に“変な夢”を見せていたのは、もしかしなくてもあなた方、なのですね?
ーその通り。まぁ、当初は貴方に干渉し、あわよくばこちら側に取り込めれば、と思っての事でしたが・・・ー
ー知っての通り、神々は現世では行動を制限されてしまう。故に、自身の手足として働く者、“使徒”とか“代行者”と呼ばれる存在が必要なのだよ。ー
ーしかも、お前は『英雄』と呼ばれる特別な存在だ。その影響力は、他に比肩するものがないほどであろう。実際、お前は、現在のこの世界では多大な影響力を持っていた。まぁ、それも、アルメリアやルドベキア、そしてハイドラスに阻止されてしまったが、な。ー
前に言っていた、神々の干渉、ってヤツか。
じゃああなた方も、僕がこちらの世界に誕生した時から、ずっとその機会を窺っていた、と?
ー最初は、な。だが、ガードが固くてそれも困難だった。そこで我々は、方針を転換する事とした。ー
ー最終的には、こちらは目的が達成出来ればそれで良いのです。その為には、わざわざ貴方を“使徒”や“代行者”に祀り上げる必要はない。と、遅ればせながら気付いたのですよ。ー
ーで、キミが『限界突破』を果たした時点から、時折“夢”という形で介入を試みた訳ですね。ー
ーおそらく、セレウスやアルメリア、ルドベキアもその事には気付いていただろうが、こちらの思惑、方針転換を察したのか、こちらに関しては不干渉を貫く姿勢の様だったな。ー
・・・ふむ。
確かに、それに何某かの不利益があれば、途中から僕の“心”に宿っていた彼らが介入しただろう。
それがない、しかも、それを僕にも教えなかった、って事は、放置安定、と考えていたのかもしれない。
ー話を続けよう。ー
・・・
「そもそもお前らは、“神”とはどういう存在だと認識している?」
「は・・・?そ、そりゃ、人知を超えた存在で、強大な力を操り、ウチら“人類”を導く存在とちゃうんか?」
「うぅ〜ん、40点ってところだなぁ〜。しかし、一般論としてはそれも間違いではない。確かに、“神”は人知を超えた存在で、強大な力を操り、お前ら“人類”を導く存在と言えるかもしれんからなぁ〜。・・・っつか、“人類”って、よくそんな言葉を用いたモンだな。」
「旦那はんの受け売りや。ウチら獣人族も、人間族も、鬼人族もドワーフ族もエルフ族も、全てひっくるめた総称、らしいわ。」
「ふむ、ま、それはいいわ。で、さっきの続きだけど、じゃ、仮にその条件に見合う存在が、もし同じ“人類”だったとしても、お前らはそれを“神”と認識するのかな?」
「・・・は?それは・・・、どうやろか?メッチャ凄い人だとは思うかもしらんけど、“神”とは思わないんちゃう?」
「ま、そうだろうな。曲がりなりにも、今のお前らや、アキト・ストレリチアは一般人から見たら、まさしく神の如き力を持っている。けど、お前らを“神”として崇めている者はいないかもしれん。しかし、時が経てば、それも怪しくなってくるな。実際、偉人や英雄と呼ばれる存在は、後の世で神格化される事も珍しくない。そしてその事が、『制約』となってしまうのだよ。」
「・・・どうゆうこっちゃ?」
「つまりだな・・・。」
・・・
ー我々は歓喜した。長い、それこそ気の遠くなるほど長い年月をかけてようやく辿り着いた“生命の惑星”。
故郷の惑星に似た、青い惑星。
そこに降り立った先遣隊は、何故か分からぬが涙したそうだ。
広大な大地、頬を撫でる風、むせ返るほどのニオイ………。
それはまさに、我々が長らく忘れていた“自然”そのものだったからかもしれんな・・・。ー
ーそして我々は、ほどなくしてこの惑星に入植する事を決定した。そもそも帰るにしても、母星は遠くにあるし、再生が上手くいったかも分からん。それに我々の目的は、元々新たなる居住可能惑星の“開拓”だったしな。ー
ーただ、問題点もあったのよ。私達が降り立った当初、この惑星の人類はまだ初期も初期、石器を使っていたぐらいの文明力だったし、何故か超強力な魔獣やモンスターの闊歩する世界だったわ。高い文明力を持つとは言え、まだ人間の範疇に留まる存在であった私達セルース人では、彼らを一掃する事は難しかったわ。いえ、不可能という意味ではなく、下手に介入した結果、生態系が壊れるのが一番の問題だったの。ー
ー木っ端微塵に壊れた訳でもないし、本当の意味で母星を失っていた訳ではないが、母星を破滅の道に追い込んでしまった事は我々セルース人にはトラウマ、教訓として刻み込まれていたのだ。それ故に、入植には慎重に慎重を期したのであるよ。ー
・・・なるほど。
この世界の古代文明が謎に高度だったのは、彼らセルース人が介入した結果なのか。
ひとまず、僕の疑問は一つ晴れた。
しかし、まだ疑問は残る。
そもそも、僕は彼ら“セルース人”の事は、彼らの介入によって、“夢”の形で知ってはいたが、しかし、この世界に転生し、これまで生きてきた中で、現地住人が彼らについて言及したところをこれまで見聞きした事がない。
また、古代魔道文明の遺産などもそれなりに研究している僕は、そちらの方面でも彼らに繋がる手掛かりをこれまで発見した事も、である。
まぁ、ハイドラス、ってか、ライアド教が『至高神ハイドラス』の権威の為に、歴史的資料などを封印、あるいは抹消しているらしい事は知っているので、その結果と言われれば不自然ではないが・・・。
それでも、それらしい痕跡が一つもないのは、やはり謎ではある。
ー貴方の疑問はもっともよ。もちろん、いまだ発見されていない、という可能性も大いにあるのだけれど、実際には、私達の存在は、“神話”という形でしか残っていないのよ。何故ならば、私達の入植は、半分失敗に終わったからね。ー
へっ・・・?
ーこれに関しては、完全に我々も想定外の事態だった。この惑星は、細部の違いはあるまでも、何もかも我らが母星、惑星セルースに似ていたし、おそらくお前の元いた惑星、“地球”とも似ている事だろう。大気があり、海があり、山があり、大地がある。酸素や二酸化炭素などの空気が存在し、文句なく人類が住める環境が整っている、筈だった。ただ一点、この惑星には惑星セルースにも、おそらく地球にもない不可思議な“要素”が存在したのだよ。ー
あっ・・・!
そうか、“魔素”っ・・・!!!
ーその通り。“魔素”の定義は曖昧だ。便宜上、素粒子としておくが、この物質(?)は、この惑星に広く満たされていた。ー
ー宇宙を構成する物質は、いまだ分かっていないものも多い。もしかすると、“魔素”は、その中の一つなのかもしれないな。ー
ダークマター、って訳か・・・。
そうか、それがあなた方の入植が失敗に終わった要因、なんですね?
ーその通りよ。考えてもみて。人間はある程度環境に適応出来る能力があるけど、それにも限度があるわ。例えば、高い山などでは、高山病を発症してしまうし、水面に潜っていれば、減圧症を発症してしまう恐れがある。この惑星に元々住んでいた生命と違って、“魔素”というものに今まで触れてきた事のないセルース人達が、この惑星の環境に適応出来ると思う?ー
それは・・・、無理でしょうね。
案外、生物は、ちょっとした変化にも脆いものです。
酸素が不足すれば、酸素欠乏症になってしまうし、逆に多ければ、酸素酔いが引き起こされる。
未知の物質である“魔素”に、たまたま適合出来るとも考えづらいですし、つまり、あなた方は、“魔素”によって何らかの障害が発生しまったのですね?
ーそう。我々はこれを、便宜上“魔素酔い”と呼んでいる。もちろん、短時間ならば特に問題とはならなかったのだが、長期間滞在するのは不可能だったのだよ。まだその時は我々も原因が不明だったが、この惑星に長期間滞在していた我々の仲間が、不快感・嘔吐・めまい・視野狭窄など、時には短時間で痙攣発作と昏睡がみられ、命を落とした者すらいた。最初、我々は、何らかの感染症を疑った。いずれにせよ、この惑星に長期間滞在する事が困難だと判断し、宇宙船に退避し、原因の究明に乗り出した訳だ。ー
ーそして、長い期間を経て、ようやく“魔素”という物質(?)に行き着いた訳なのよ。ー
ふむ・・・。
以前にも言及したかもしれないが、“魔素”はこの世界の生命にも影響を与えている。
実際、僕の研究では、強力な魔獣やモンスターが発生する理由の一つとして、この“魔素”が関連しているらしい事が分かっている。
ってか、考えても見て欲しい。
僕は、元々この世界の住人ではないから違和感を持つ事が出来たのであるが、確かに向こうの世界の野生動物の中にも獰猛な種は存在はいるが、魔獣はともかく、ゴブリンやトロールの様な“モンスター”は、流石に物語の中だけの存在である。
つまり、もちろん、環境の違いはあるものの、そもそも魔獣はともかく、“モンスター”が存在するのには、“そういう世界だから”という単純な話ではなく、もっと明確な理由が存在するのではないか、と考えた訳である。
そして、僕の研究、仮説では、“魔素”のメカニズムは、何某かの情報を書き換える事、というものであった。
実際、現代魔法も、“魔素”を介して情報を書き換えた事によって、様々な“魔法のような”物理現象を引き起こす技術であるから、当然、生命体にも何らかの影響があるのは、むしろ当然の話なのである。
以上の事から、この世界に“モンスター”が実在する要因は、この“魔素”によってこの世界の生命体が、何らかの遺伝情報が書き換えられた結果ではないだろうか?、というのが僕の持論なのである。
であるならば、生まれた時からこの世界に存在している生命体はある程度の耐性があったとしても、この惑星外からやって来た存在には、当然耐性などないのだから、“魔素”の干渉が、変な方向に働いたとしても不思議な話ではないのである。
ー流石だね。独力でその結論に至るとは・・・。ー
ー補足しておくと、この世界に“レベル制”が存在するのは、やはりこの“魔素”の影響よ。ま、もっとも、これは私達が作った定義なんだけど、ね。ー
・・・ほう。
ー先程も述べた通り、我々にはこの惑星から撤退する、という選択肢はなかった。考えてもみてほしい。我々は銀河から銀河までの“ワープ技術”を獲得していたとは言え、銀河内は広大な領域を持っている。その中を、星間航行するとなると、当然気の遠くなる様な時間を要する。問題点があったからと言って、“じゃあ、次を探しますか”と、簡単に行かない状況だったのだ。ならば、その原因を突き止め、何とかしようとするのが人間の心理というものだろう。ー
・・・まぁ、そうですね。
確かに、その程度で撤退するのは時期尚早ですからね。
少なくとも、その“魔素”とは何なのか?
それが、どのようにセルース人達に影響を与えているのか?
それが分かったら、今度はそれを解決する方法はあるのか?
など、やれる事は沢山ある。
最終的にどうするかはともかく、とりあえず“魔素”について詳しく調べてからでも遅くはないですからね。
それで、程なくしてそれが分かったんですね?
ーいえ、私達が“魔素”に行き着いたのは、かなりの時間を要したわ。おそらく、数十年の時は経ったかしら?ー
・・・え?
ーキミが疑問に思うのも無理はない。確かに我々の技術力は、向こうの世界よりも遥かに勝っていたからね。しかし、未知の物質を研究・解析するのは長い期間を要する作業だ。キミの場合は、すでに“魔素”ありきで考え始める事が出来たが、我々には、それがウイルスなのか細菌なのか、未知の物質なのかさえ分かっていなかったのだよ。ー
なるほど・・・。
確かに、基礎知識があるから見落としていましたが、向こうの世界でも、一部は別として、元素の発見は割と近年に入ってからでしたね。
もちろん、ある程度の当たりをつけられたとしても、未知の物質の研究にはそれなりに時間が掛かる、か。
ーその通り。それにもう一点、我々には大きなネックがあったのだ。ー
ー先程も述べた通り、星間航行には気の遠くなる様な時間を要した。そこで、我々が編み出したのが、“コールドスリープ技術”だ。では問題だ。当たり前の話として、“コールドスリープ技術”が、平均的な睡眠時間と同じだと思うかな?ー
・・・ああ、なるほど。
“コールドスリープ”とは、生体、主に人間の体温を低温状態に保つ事で、人体機能を止め仮死状態にする事で極力生体の老化(劣化)を防いだ状態で保存する手法の事だ。
そして、星間航行は、少なくとも年単位以上の移動時間が必要となる、筈だ。
で、人間の平均的な睡眠時間を“コールドスリープ”したとしても、当然ながら老化を防げる時間は半分程度になってしまう訳か。
もちろん、宇宙船の中で数世代人間が入れ替わる事も不可能ではないかもしれないが、補給の効かない状況でそれをするのは自殺行為に等しい。
場合によっては、爆発的に人口が増えてしまう恐れもあるし、そうなれば、“冷たい方程式”によって、その宇宙船は全滅してしまう恐れもある。
以上の事から考えれば、“コールドスリープ”の時間は、年単位以上にしか設定されていない可能性がある。
何故ならば、余計な機能をつけると効率が悪いし、そもそも細かく設定する必要がないからである。
そして、彼らセルース人達は、“魔素”の影響によって、アクエラから一時的に宇宙船へと避難した訳だ。
それを研究するにしても、いつまで掛かるかも分からない中では、不安が残る。
下手すれば、その研究だけで、人生の大半を費やしてしまう恐れもあるからな。
ここまで来て、目的も遂げぬまま終わったら目も当てられない。
それ故に、時間が掛かろうとも、確実に行く方法を取ったのだろう。
彼らからしてみれば、“コールドスリープ”さえあれば、焦る必要はないのだから。
ーそう。入植が不可能な以上、生命維持する上でも“コールドスリープ”に頼る他なかった。大雑把な研究・解析は人工知能に任せ、我々は再び眠りについたのだよ。ー
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