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『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』  作者: 笠井 裕二
神々の真実
265/383

アキト・ストレリチアの死 3

続きです。



・・・



「それで、俺はこの後どうすればいいんでしょうか?」

「そうやなぁ〜。とりあえずは、ウチらにやられたって(てい)でお仲間と合流してや。こっちの仲間も、流石に命までは奪っとらん筈や。ま、アイシャはんやリサはんや若干脳筋やから、こっちとしても不安ではあるんやがな。」

「それは大丈夫かと。ああ見えてお二方も、先の事は考えている筈です。戦闘の回避が不可能だと判断したとしても、せいぜい動けないようにする程度でしょう。少なくとも、命を奪い取るのは最後の手段だと分かっていますからね。」

「だ、そうや。ま、あんまノンビリしとったら、そのチャンスもなくなるかも分からんが・・・。えっ・・・?」

「・・・な、何ですか、この嫌な感じっ・・・!?」

「ど、どうしたんですかっ?」


ヴィーシャの説得に応じたN2は、彼女達と軽く打ち合わせをしていた。

しかし、その時に突如として、ヴィーシャとティーネが何かに反応する様に、顔をしかめたのである。


彼女達と違って、何も感じ取れなかったN2は、軽く狼狽する。

おそらくアキトに近しい人間だけに、その異変は感じ取れた事なのかもしれない。


「分からん。分からんが、めちゃくちゃ嫌な感じがするわ。とりあえず、ウチらは旦那はんのもとに戻るで。あんさんも、仲間のもとに戻りや。後、もしかしたら状況が変わるかも分からんが、ウチの言った事を忘れずに上手く立ち回ってな。」

「断っておきますが、これが最後のチャンスである事を忘れないで下さい。少なくとも、人生において()がある保証などどこにもないのですから、ね。」

「は、はいっ!」


ティーネの念押しに、N2は背筋を伸ばしてそう返事を返した。

少なくとも今のN2は、自分達の置かれた状況をかなり正確に理解していたからである。


そのN2は、今更ながら仲間達と袂を分かったアラニグラらの生き方が、ある意味もっとも正解に限りなく近い事も理解していた。


アラニグラらがヴィーシャが言った事まで想定した上でそう判断したのかは定かではないが、少なくとも彼らはアキトと敵対する事もなく、ロンベリダム帝国ともライアド教とも一定の距離を置いており、独自の立ち位置を確保している。

その立ち回りは見事と言わざるを得ない。

まぁもっとも、彼らは彼らで、それぞれがやんごとない事情に関わっている訳だが、そこはそれ、それ自体は彼らが自分から選択した事である。

少なくとも、変に巻き込まれたという事ではないから、それよりかは遥かにマシな事であろう。


こうして、ヴィーシャとティーネが素早く去る中、決意を新たにしたN2も仲間達との合流を急ぐのであったがーーー。



◇◆◇



「これならどうですっ!?」

「甘イッ!」

「チッ・・・!」



エイルの正体に気付いたキドオカは、当初の目的も忘れて彼女の捕獲に躍起になっていた。


もっとも、キドオカの優先順位としては、自身の霊能力を高める事、霊能力の深遠に辿り着く事が上位に来るので、これもある意味矛盾はない。

ハイドラスへの復讐やソラテスとの契約も、彼の中では今目の前の存在(エイル)に比べたら二の次三の次の事であった。


しばらく、勝負のつかない攻防を繰り返すキドオカとエイル。

もちろん、今現在のエイルなら、キドオカの命を奪うだけなら即座に実行が可能だ。


しかし、それは最後の手段である。

少なくともアキトの思惑としては、かなり厄介な存在とは言えど、『異世界人(地球人)』達を殺したい訳ではないからである。

ここら辺は、この場に参加していない『異世界人(地球人)』達への配慮もあった。


詳しい事情は分からないが、アーロスらとは別に活動するグループが存在する事をアキトは知っている。

おそらく、アーロスらとは袂を分かったであろう事も。


しかしそれでも、曲がりなりにも元は仲間だった人達である。

それが、もし仮に、無惨に殺害されたと知れば、下手人に対して恨みを持つ様にはなるかもしれないのである。


少なくともアキトは、今は一緒には行動していないが、“仲間”と呼べる存在はアイシャらの他にもいる。

もちろん、ケンカ別れした訳でもないので多少は事情が違うかもしれないが、もし自身の元・仲間が誰かに殺害されたとしたら、とても冷静ではいられないだろう、という確信があった。


元々面倒事は忌避しているアキトからすれば、下手に方々から恨まれるのは悪手でしかない。

しかもそれが、自分達と同じ“ステージ”に立っている『異世界人(地球人)』ならば尚更である。


油断したら、いくらアキトらでもやられてしまう可能性のある『異世界人(地球人)』達と、全面的に敵対するのはもっとも最悪のシナリオである。

故に、事ここに至ってもアキトは、アーロスらを殺害する事は、本当の本当に最後の手段だと考えていた訳であった。


もっとも、それをアキトは仲間達にも“出来れば殺さないで欲しい”、とは言ってるが、“絶対に殺すな”、とまでは言っていない。

何故ならば、それはあくまで、“出来れば”、であって、アキトにとってはそれ以上にアイシャらの方が大事であるから、下手にそう指示した事で彼女達が殺られてしまっては元も子もないからだ。


あくまでアキトらの勝利条件は、アーロスらをこの場から排除する事。

その方法が、相手が退くなら尚良し、撃退出来れば及第点、最悪、殺害に至ってしまったとしても、仲間が無事ならとりあえず良しとするつもりだったのである。


ただ、そこはそれ、流石にアキトとは付き合いの長い三人娘(アイシャ、リサ、ティーネ)だし、付き合いはそこまで長くないがアキトに並ぶほどの頭脳の持ち主であるヴィーシャ、そしてアキトとリンクで繋がっているエイルであるから、そうしたアキトの考えは筒抜けであった。


故に、みんな、殺らなきゃ殺られる状況にでもならない限り、出来るだけアキトの意向通り、アーロスらをなるべく殺さずにする心積もりだったのである。


こうした事情もあって、エイルもまた、キドオカを殺さずに撃退するつもりなのであった。


ただ、そうしたアキトら側の思惑とは裏腹に、『異世界人(地球人)』達、特にティアであるが、は、そのラインを容易に超えてしまった。

そう、アキトをその手にかけてしまったのである。


アキトが殺られたとなれば、もはやアイシャらと『異世界人(地球人)』達の全面戦争は避けられない事態である。


ヴィーシャが述べた通り、向こうの世界(地球)への帰還が叶ったとしても、“元の姿”であっても“仮の姿(アバター)”であったとしても、存在しない人、すなわち戸籍がない状態であるから、非常に厳しい人生が待っている。

逆に、こちらの世界(アクエラ)に留まったとしても、すでにアキトを殺害している状況であるから、少なくとも三人娘(アイシャ、リサ、ティーネ)からは深い恨みを抱かれる状態だ。


言い方はあれだが、彼らはあらゆる選択肢の中からもっとも最悪の未来を選んでしまった訳であるがーーー。



「マ、マサカッ・・・!?」

「っ!貰ったっ!!」

「ナンノッ!!」


エイルが一瞬驚愕をあらわにした。

その隙をキドオカは見逃さず、エイルに攻撃を仕掛けるが、すんでのところでエイルはそれを回避する。


以前から述べている通り、エイルはアキトとリンクで繋がっている。

故に、他の仲間達が第六感的に、虫の知らせの様にアキトに何らかの異変があったのではないか、と感じたのとは違い、明確にアキトの身に何が起きたのかを理解していた。


ただ、ここら辺が人間と『魔道人形(ドール)』の違いかもしれないが、いくら人間に近しい感情なんかを獲得しつつあるとは言えど、下手に動揺したり感情的になる事もなく、この場においてもっとも最適と思われる行動、論理的な思考が可能なのであった。


アキトらにとっても、エイルが敵の手に落ちるのは良くないシナリオであるから、彼女はその事を素早く導き出し、この場から撤退する事を選択した。

それに、やはりアキトの身を案じた、という人間の様な感情もあったのかもしれないが。


「ハッ!!」

「なっ!?え、煙幕っ!!??」


突然エイルが繰り出した搦め手に、流石のキドオカも面食らう。

当然ながら、霊能者であるキドオカとは言えど、あくまで人間の範疇にある彼にとっては、視界を奪われるのはデメリットでしかない。


対するエイルは、『魔道人形(ドール)』、つまり機械であるから、視覚とは別に、センサーの様なものがあったとしても不思議な話ではなかった。


素早くそう判断すると、キドオカは五感を研ぎ澄ませ、エイルの奇襲に備えた。


「・・・?」


しかし、待てど暮らせど、エイルがそのチャンスを使い、キドオカを攻撃する事はなかった。

流石にそれを不審に思ったキドオカも、まさか、と思っていた。


「・・・逃げた?」


言ってしまえば、エイルとキドオカの力量差はほぼ互角。

いや、若干エイルの方が、様々な攻撃方法を持っている以上、キドオカよりも優位な状況ですらあった。


対するキドオカは、“アバター”としての能力はもちろん、彼自身の霊能力すらエイルに通用しない状況であるから、かなり不利な状況だ。

そこから考えれば、エイルがわざわざ退く理由が思い付かなかったのである。


故に、その結論に至るのに、少々時間が掛かってしまった。


「チッ・・・!」


煙幕が晴れた時に、エイルの姿が見当たらない事に気付いたキドオカは、自身の考えが当たっていた事を確信する。

そして、急いで彼女を追い掛けようと思った矢先、これまで()()()干渉してこなかったソラテスからの念話が届いたのだった。


〈・・・しておる、(おん)よ!!!これ、返事をせんかっ!!!!!〉

「っ!!??えっ・・・!?そ、ソラテス様!!??」


バカでかい音量が届き、思わずそう聞き返したキドオカ。

基本的に念話は、音量は一定、と言うか、そもそも脳に直接語りかける手法であるから、音量の上げ下げという事が必要ない。


ただ、相手にも感情がある故か、興奮していれば、それだけ大きな音量の様なものが頭に直接届き、まるで爆音を聞いた時の様な現象が起こり得るのである。


キーンとする耳(もちろん、それは幻覚なのだが)を気に掛けつつ、キドオカはソラテスに返事を返す。


「ど、どうされたのですか、ソラテス様?」

〈おお、ようやっと繋がったわ。どうしたもこうしたもないわ、(おん)よ。そなた、一体何をしておるのだっ!?〉

「な、何を、と申されましても・・・。『魔道人形(ドール)』と呼ばれた少女と交戦しておりましたが・・・。」

「いや、それは知っとるがそうではないっ!すでに何者かが、“疑似霊子力発生装置”、すなわち『エストレヤの船』の確保に動いとるのだぞっ!!??〉

「・・・・・・・・・はっ?」


ソラテスからもたらされた情報に、キドオカは一瞬思考がフリーズする。

何故ならば、そんな予兆は全くなかったからである。


キドオカがエイルと争っていたのも、もちろん、先程述べた彼自身の興味などもあったが、他の誰かがセシルの本体であるところの“疑似霊子力発生装置”、すなわち『エストレヤの船』のキモとなる部分の確保に向けて、キドオカを出し抜く様な情報がキドオカには届いていなかったからである。


何度となく述べている通り、キドオカはこの世界(アクエラ)でも極めて珍しい“霊能力”という(チカラ)を持っているし、そのスキルの中には、所謂“式神”を使った遠方の様子を探る術も持ち合わせている。


セシル自身の自爆によって不明となっていた“疑似霊子力発生装置”の正確な位置を割り出すべく、彼はすでに自身の式神を使い、その位置を特定している。

つまり、その場の様子を、式神を通じて把握している、()()()()()()


ところが、そこへエイルが立ち塞がった事で、そちらの確保は一旦後回しにし、エイルとの戦いに突入した訳だ。

もちろん、その間も、式神を通じて“疑似霊子力発生装置”の様子は把握していた。

そして、その場に向かう何者かの存在が確認出来ていなかった事から、キドオカは安心してエイル捕獲へと動いていた訳なのである。


ただ、物事には絶対はない。

何らかの方法によって、所謂“監視カメラ”にニセの情報、動画などを送る手法が存在する様に、もしかしたらキドオカの術儀を騙す方法が存在するかもしれないのである。


もちろん、それにはキドオカと同じ様な“霊能力”が必要不可欠になるが、しかし、考えてみれば、該当者は結構存在するのである。


アキト、エイル、そして、ハイドラス。

そこまで思い至り、キドオカは自身の失敗にようやく気が付いた。


「ま、まさかっ・・・!?」

〈とにかく現場に急げっ!〉

「り、了解ですっ!!」



「・・・ようやく気が付いた様ですな。」

ーうむ。案外人は、意外と簡単に騙されるものだからな。特に、高い能力を持つ者ほど、経験則から初歩的なミスをしがちだ。ここら辺の騙し合いは、(オレ)の方が一枚上手だったな。ー


一方その頃、キドオカが己の失敗にようやく気が付いていた頃、“疑似霊子力発生装置”のすぐ側まで到達していた影があった。

その者とその脳裏に響いたハイドラスの声は、勝ち誇った様にそう呟くのだったーーー。



・・・



「アキトッ!!」「ダーリンッ!!」「主様(あるじさま)っ!!」「オ父様ッ!!」「旦那はんっ!!」


一方その頃、アキトの異変に気付いたアイシャらは、各々の戦闘を中断してアキトのもとに馳せ参じていた。


「・・・!!」

「来たか・・・。」

「ティアさんっ!?」

「・・・何であんさんがこんな場所におるんや?アーロスはんらとは別行動をしてる筈やったやろ?」


それに、静かに振り向いた影に、アイシャは驚きの声を上げた。

次いでヴィーシャが、そう冷静に指摘する。


「いや何、こちらにも事情があってな。」

「・・・さよか。んで、ここで何をしてるんや?旦那はんをどないした?」

「アキト・ストレリチアなら殺害した。彼は、この世界(アクエラ)に厄災をバラ撒く危険な存在だ。当然だろう?」

「「「!!!???」」」

「き、貴様ァァァァァッーーー!!!」

「ちょ、アイシャはんっ!!!」

「駄目デス、アイシャ・サンッ!!!」


冷たく言い放つティアに、アキトとの付き合いの一番長いアイシャが、思わず頭に血が上ったのか、その真偽も確かめずにティアに突っ込もうとする。

まぁ、自身の大切な人を殺されたのだ。

それも無理からぬ話であろう。


しかし、そこは冷静に判断しなければならなかった。

いくらティアが、“レベル500(カンスト)”のアキトらに対抗出来る数少ない存在だったとしても、ただ単にアーロスに加勢した程度、つまり数の上では不利とは言えど、二対一の状況になった程度で、(したた)かで悪知恵も働くアキトがアッサリ殺られる筈がないのである。


つまり、ティアには、アキトすら出し抜く奥の手が存在する事になる。

となれば、それを使って、アイシャらを殺害する事も可能かもしれないのである。


ただ、頭に血が上っているアイシャには冷静な判断力は期待出来ないし、比較的冷静なヴィーシャでは、本気のアイシャを止める事は叶わない。


リサ、ティーネもショックを受けているが、行動こそ起こさなかったが、心情的にはアイシャに近いので彼女を止めるという選択肢が出てこなかったし、唯一アキトとリンクで繋がっており、この場で何があったのか正確に把握しているエイルもアイシャを止めたが、彼女が強硬手段に打って出るよりアイシャの行動の方が早かった。


「ふむ、仕方ないな・・・。(~♪)」


アイシャが自身に向かってくると感じ取ったティアは、アキトにした様に【死の呪言】を発動させようとする。

もはや彼女には、相手を殺傷する事に一切の迷いがなかった様である。


万事休す。

ここで、少なくともアイシャの命は尽き果てようとしていた。


ところが。


「ダメだぜ、アイシャの嬢ちゃん!これ以上、ヤツに近づくなっ!」

「あたっ!せ、セレウス様っ!!!???」


そこに、間一髪割って入った者が存在した。

誰あろう、アキトの心に住み着いていた、“英雄神・セレウス”であった。


「キミ達まで破れたら、もはや彼女らを止められる者は誰もいなくなる。ここはグッと堪えてくれたまえ。」

「・・・、アキトさん・・・。」


次いで、ルドベキアとアルメリアもその場に顕現する。


「・・・どういう訳ですか?」


やや強引な手段であったが、間一髪のところでアイシャを力づくで止めたセレウスにホッとしつつも、ヴィーシャはそう尋ねる。


「彼女、ティアくんだったかな?、のスキルは凶悪でね。それこそ、初見殺し、かつ対処が非常に難しいのさ。目には見えない、“音”を使った攻撃。流石のアキトくんも、これを見破る事は出来なかった。」

「それはあなた方も同様です。いえ、ティーネさんの精霊魔法や、エイちゃんの『古代語魔法(ハイエイシェント)』なら対処は可能かもしれませんが、それも“分かっていれば”、という前提条件がつきます。仮に今、セレウス様が介入しなければ、少なくともアイちゃんの命も奪われていた事でしょう。そして、何をされたかも分からぬままに、あなた方も次々と倒れていたかもしれません。」

「ま、エイルの嬢ちゃんはアキトとリンクで繋がっていたから、そうならなかった可能性もあるがな。しかし、少なくともアイシャの嬢ちゃんは助けられなかったかもしれん。流石にこの状況では、これ以上こちらの戦力が失われるのは避けたかった。」

「それなら何故!主様(あるじさま)はお助け頂けなかったのですかっ!!!???」

「「「・・・。」」」


ティーネの悲痛な言葉に、三柱の神は押し黙る。


確かに、アキトの心に宿っていた彼らならば、アキトを介してこの状況を見ていた筈だ。

宿主が殺られるところを黙って見ていた事に、違和感を感じるのは無理からぬ事であろう。


「ハッハッハ、そう無茶を申すでない、エルフの女よ。我々神々とは言えど、様々な『制約』に縛られておるのだよ。それは、(オレ)とて同じではあるが、な。」

「「「っ!!!???」」」

「「「「「???」」」」」

「???」

「こ、これは我が主(しゅ)よ。いらしていたのですか・・・。」

「うむ。邪魔な虫がいたからな。」

「・・・。」

「ぐ、ぐふっ・・・。」

「な、情けないのぅ・・・。我の(チカラ)はここまで落ちぶれておったとはっ・・・!」


そこに、もう一組の新たなる登場人物達の姿が現れる。

一人は、どことなくセレウスに似たような青年であり、もう一人は、ルキウスの最後の願いを受けて、ティアと共にロンベリダム帝国を出奔したタリスマンであった。


そのタリスマンの両腕には、ボロ雑巾のようになったキドオカと、謎の手錠をかけられた少年が首根っこを掴まれた状態で拘束されていた。


アイシャ、リサ、ティーネ、ヴィーシャ、エイルは、その新たなる登場人物に警戒感を示した。

まぁ、今や彼女達に明確に敵対しているティアが頭を垂れる以上、彼女の仲間か、あるいは彼女に指示を与えていた存在であると認識出来たからである。


しかし、セレウス、アルメリア、ルドベキアの反応は違った。

その顔に見覚えがあった、というのもあるが、()が、まさかこの場に()()()とは思ってもみなかったからかもしれない。


「は、()()()()()ッ・・・!!!」

「「「「「えっ・・・!?」」」」」

「やぁ、久しいな、()()()()。」


そう、それは、全ての元凶であり、アキトやセレウスとも因縁の深い、あの『至高神ハイドラス』、だったのであるーーー。





















ー・・・?ここは・・・?ー

ーようこそ、英雄アキト・ストレリチアよ。貴方が来るのを、ずっと待っていました・・・。ー

ー・・・!?ー



誤字・脱字がありましたら御指摘頂けると幸いです。


いつも御覧頂いてありがとうございます。

よろしければ、ブクマ登録、評価、感想、いいね等頂けると非常に嬉しく思います。

よろしくお願いいたします。

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