アレーテイア 始動
続きです。
◇◆◇
「こりゃ、ちょっとマズい事になったかもしれないぁ〜。」
「ん?」「え?」「は?」「・・・。」
「一体、どないしたんや、旦那はん?」
僕の呟きに、アイシャさん、ティーネ、リサさん、エイル、そしてヴィーシャさんが、それぞれそんな反応を返した。
それに僕は、セージを介して監視していたハイドラス派の様子から一旦目を離して、彼女らに向き合うのだったーーー。
・・・
皆さん御無沙汰しております。
アキト・ストレリチアです。
さて、しばらく仲間達のもとを離れてロンベリダム帝国にて活動を続けていた僕は、ジャンさんという反政府組織の代表を見出したり、また、ロンベリダム帝国に無断で介入した事でマルセルム公などに詰められたりと色々あったのですが、結果として『ブルーム同盟』からはお咎めなしの判断を貰い、こうしてアイシャさんらのもとに戻っていた訳ですね。
もっとも、『ブルーム同盟』は納得してくれましたが、ロンベリダム帝国の国民をも巻き込んだ一連の僕の行動に、むしろこちら側に協力的な立場だったティアさんからの理解が得られず、結果、彼女とは別の道を行く事が決定的になってしまった訳ですが・・・。
まぁ、これに関しては仕方ありません。
こちら側にも事情があったとは言え、何も知らない人々に負担を強いたのも事実ですからね。
ティアさんは、ロンベリダム帝国にて長らく生活していたそうですから、そこに思うところはあったのでしょう。
とは言え、これは僕の持論になってしまいますが、無知は時として罪だと考えていたりします。
少なくとも、本当の意味でロンベリダム帝国上層部の暴走を止められるのは、これは国民だけであり、仮に他の勢力が止める(つまりはここでは“戦争”という手段になるかと思いますが)場合には、自分達の文化や主権を明け渡す事と同義だからです。
これは、歴史的にも枚挙に暇がありません。
大抵の一大勢力を築いた国は、内紛を抱えるのが常であり、また、外部からの侵略も常に抱える事となります。
つまりは、自分達が勢力を拡大した事によって、他が割を食っているケースが大半ですから、自身で自国を正さない限り、他の勢力が平定する=自国の滅亡、な訳ですから、本当に生き残りたいのなら、戦わなければならないのです。
それが、自分と同族であろうとも、逆らうのが難しい独裁者であろうとも。
よく、権力者の交代劇を“権力者の首がすげかわるだけ”、などと揶揄されますが、それは時としては見積もりが甘いと言わざるを得ません。
特に、ロンベリダム帝国の歴史は血塗られた歴史でもありますから、多方面からの恨みを買っている事は想像に難くありませんからね。
仮に、他の勢力がロンベリダム帝国を滅ぼしたとしたら、そこに住まう者達は、恨みもあって、“奴隷”にされる可能性は極めて高いのです。
実際、こちらの世界では、いまだに“奴隷”という存在は、割とポピュラーな存在ですし。
この様に、自分達とは一見関係ない、という風に見える現象も、実際には自分達の生活に直結しているケースは無数にあります。
こうした観点から、まぁ、逆らえなかった、という事情は考慮すべきでしょうが、結果上層部の暴走を許したのは国民にも一定の責任がある、というのが僕の持論です。
まぁ、かなり厳しい意見ではあると思いますがね。
そんな訳で、ならば国民にもその自覚を促し、自らの責任を果たさせるのを目的として(あるいは、少しでもマシな未来を選択出来る余地を残す上でも)、今回の“魔法技術使用不可”状態を作り上げました。
遠い世界の現実よりも、もっとも身近な生活に直結する問題が起これば、当然国民も動かざるを得ませんからね。
結果としてそれは功を奏し、ロンベリダム帝国内の反政府感情を高める事が出来ましたし、またジャンさんという、反政府側の代表となりうる人材を見出す事にも繋がりましたから、後はロンベリダム帝国内の問題、という訳です。
彼らが現政権を打倒したあかつきには、魔法技術の使用不可を解除する算段です。
別に僕も、彼らに意地悪をする為にこうした訳ではありませんからね。
ただ、やはりこの行いは、一見すれば酷い行為ですから、ティアさんの反発も分からなくはありません。
しかし、時として優しさは、人々の成長を阻害する事もありうるので、場合によっては悪手にもなります。
今回のケースの場合は、ロンベリダム帝国周辺での憎しみの連鎖が加速する事になりかねませんので、仮に僕が介入しなかったとして、『魔戦車』が量産、投入され、結果『ロフォ戦争』がロンベリダム帝国側の勝利で終わったとしても、そこには確実に遺恨が残る事となり、終わらない紛争の幕開けとなる可能性もありました。
そうなれば、不毛な争いが延々と続く事となりますし、場合によっては『魔戦車』の技術が他にも流出。
結果として、新たなる争いの火種が、世界各国にも飛び火してしまう可能性も考慮すれば、そのもととなった『農作業用大型重機』の開発者の一人としては、介入しない訳にも行かなかったのです。
物事は多面的に見なければなりません。
それに、なんだかんだ言っても、個人も“世界”を構成する一つのファクターである事は理解すべきでしょうね。
少なくとも、自分が世界とは無関係の存在である、という考え方は即刻捨て去るべきでしょう。
力があろうとなかろうと、人は生きているだけで他者に影響を与えるモノなのですから。
まぁ、それはともかく。
ともかく、(多少の不安要素はありますが)ロンベリダム帝国に関しては、後はジャンさんや反政府組織次第ですから、あくまで冒険者、かつ他国の人間である僕がこれ以上の干渉はすべきではありません。
それに、僕らにとって、もう一つの懸念事項であったハイドラス派の暗躍が最近やたらと活発になっていた事もあり、こうしてロンベリダム帝国での(突発的な)活動を切り上げて、“大地の裂け目”内に残し、彼らの監視をしていたアイシャさんらの潜伏場所に帰ってきた次第です。
ただ、一難去ってまた一難。
ハイドラス派にアーロスくんら『異世界人』達が協力する運びとなった事で、『エストレヤの船』の眠る遺跡類に、どうやら王手をかけようとしているみたいでしてーーー。
・・・
「どうやら、今日中にもハイドラス派が『エストレヤの船』の眠る遺跡類を占拠する恐れが出てきたんですよ。」
「・・・は?いやいや、旦那はんの代わりに、セージはんを介して見とったけど、奴さんらこの間盛大に返り討ちに遭っとったで?何や、“セシル”とかいう防衛装置が働いたそうやわ。」
「それは僕も確認済みです。」
「ほんなら、またハイドラス派が攻め込んだとしても返り討ちやろ?彼ら『異世界人』らがハイドラス派の持つ最大戦力やんな?・・・それとも、何や勝てる見込みでも出来たんかいな?」
「そう、みたいですね。それも、最悪の形、ですが・・・。」
「ほぅ・・・。それは一体何やの?」
僕の発言に、僕が不在の場合の頭脳労働担当兼リーダー代行であるヴィーシャさんがそう反論してくる。
流石にヴィーシャさんは、論理的に物事を見ている。
しかし今回の場合は、セージの分析結果によれば、ハイドラス派、いや、この場合はアーロスくんら『異世界人』に限定した話になってくるが、とんでもないイベントが巻き起こっているみたいである。
「“強制”限界突破です。具体的にどうやったかは分かりませんが、セージのアーカイブを見るに、彼らが僕と同じ様な“試練”を乗り越えた訳ではない事が分かっています。しかしそれなのに、何故か“レベル500”を超越している様ですね。すなわち彼らは、以前までのほぼこの世界最強格の存在から更に発展し、僕と同じく神性へと片足を突っ込んだ存在に成った様です。」
「・・・・・・・・・は?」
「それ故に、まぁ、そこにどんなリスクが存在するかは僕にも分かりませんが、少なくとも『エストレヤの船』の眠る遺跡類の防衛装置、セシルでしたか?、を倒せる算段がついたのでしょう。おそらく攻略に乗り出せば、今日中に遺跡類を制圧出来るでしょうね。」
「いやいや、ちょい待ち、ちょい待ち。・・・え?つまり、要約すると、彼らが急につよなった、ちゅー認識で合っとるかいな?」
「はい。」
「何や、所謂“修業”した訳でも何でもなく?」
「はい。」
「いやいや、おかしいやろ。そんなんありえへんわ。もしありえるとしたら、カミサンにでも力を授けてもらうしかっ・・・!?えっ!?嘘やろっ!!??」
「多分、ヴィーシャさんの考えた事は正解だと思います。僕も、おそらくそうなのではないかと考えていますからね。」
「・・・そうやったとしたら、彼ら、ホンマモンのアホやないかい。」
「まぁ、その感想も否定はしません。もちろん、そこに伴うリスクを受け入れた上での選択なら、また見方も変わってきますが。」
「・・・いや、多分そんな事考えてへんやろ。彼らに、そんな覚悟があるとは思えへんし。」
「・・・ですよねぇ〜。」
乾いた笑いを浮かべる僕とヴィーシャさん。
それにアイシャさん達が、若干不機嫌そうに間に割って入ってきた。
「もぉ〜、二人で通じ合ってないで、私達にも分かる様に説明してよ。」
「そーだそーだ。」
「ソーダソーダ。」(便乗)
「・・・主様。差し出がましい様ですが、情報の共有はチームの基本です。御説明頂けますよね?」
「う、うん・・・。」
ニッコリ、と笑うティーネからもの凄いプレッシャーを感じるのだが、これは僕の勘違い・・・、ではないよね?
・・・えっ?何っ!?怖っ!
〜〜〜
もちろん、朴念仁のアキトにはよく理解出来ていなかったのだが、これはアイシャ達のちょっとした嫉妬であった。
以前にも言及した通り、彼女達も頭は悪くないのだが(と言うよりも、一般的に見てもかなり学力的にも高い傾向にすらあるが)、人の“悪意”も含めた心理や政治的な話は、やはり長らくトロニア共和国内にて揉まれてきたヴィーシャの方が、そこに一日の長があったのである。
逆に言えば、アイシャやリサ、ティーネ達は、なんだかんだ言っても、案外お嬢様育ちであった事もあって、そうした心理を理解する社会的経験に乏しかった事もあるかもしれない。
まぁしかし、そう言った話はともかくとしても、慕っている男の事はなるべく理解したいと考えている三人娘(+機械少女)が、自分達以上にアキトを理解しているヴィーシャに対してちょっとした嫉妬心から、ある種の牽制を仕掛けたのであった。
すなわち、
((((抜け駆けは許さないっ!!!!))))
(・・・いや、そんなつもりやないんやけど・・・。)
という事であった。
〜〜〜
「ほんなら、一旦話を纏めとこか?つまり要約するとやなぁ〜。前に会うたアーロスはんらがおったやん?彼らが、どういう経緯から知らんけども、ハイドラス派に合流して、彼らの活動に協力し始めたんや。」
「それは聞いたよ。んで、アキトとエイちゃんがロンベリダム帝国に行ってた間に、ハイドラス派が『エストレヤの船』が眠るらしい遺跡類を発見しちゃったもんだから、結構こっちとしてはヒヤヒヤしたよねぇ〜。」
「ね。まぁ、結局は遺跡類を守る“防衛システム”ってのが作動したから、彼らはそこに踏み込めなくなっていたんだよね?」
「主様が仰るには、遺跡類に罠がある事は珍しくないとか。」
「まぁ、盗掘防止とか、単純に大事な場所を守る上では、普通は防衛システムを置いておくモンだからねぇ〜。僕らが、自分達の家にカギをかけるのと一緒さ。まぁ、当然ながら、長年の経年劣化によって、それ自体が機能しない可能性も極めて高いんだけどね。」
「シカシ、コノ遺跡類ノ防衛システムハ正常ニ機能シテイタ。ソウシタ訳モアッテ、アイシャ・サン達ハ、トリアエズ様子見スル事トシタノデスネ?下手ニ介入シテ、アイシャ・サン達ガ防衛システムヲ破壊、アルイハ解除シテシマウ可能性モアッタカラデスカ・・・。」
「まぁ、そうやなぁ〜。それに、単純に彼らにウチらの存在を認識されたなかった、ってのもある。今のウチらなら、ハイドラス派を一掃する事は不可能やないんやけど、なんだかんだ言っても、彼らは大きな組織やからなぁ〜。諸々の事を考え合わせると、表立った敵対は悪手でしかないからな。ま、仮に彼らの手に『エストレヤの船』が渡る可能性が高かったら、当然旦那はんの帰りを待たずに、妨害行為に打って出とったやろうけど。」
「まぁ、正直言うとその『エストレヤの船』がどんだけヤバいのかはよく分かってないんだけど、アキトやアルメリア様が警戒する以上、普通の代物ではないだろうしねぇ〜。」
「そもそも、我々が知っている『召喚者の軍勢』一つ取っても、世界に影響を与える様な代物ですからね。使い方によっては、この世界を支配する事すら可能でしょう。そんな『失われし神器』が、裏で主様やロマリア王国、果ては他の様々な国々で暗躍している様な組織の手に渡ったら、それこそ、あまり良い結果とはならないのは火を見るよりも明らかですからね。」
「だけど、さっきのダーリンの口振りだと、状況が変わった、って事でいいんだよね?」
「そやそや。その“防衛システム”はかなり強力、かつ凶悪な代物で、具体的には立ち塞がる守護者自体もメチャクチャ強いねん。おそらくやけど、レベル500クラスの者達と互角。ぶっちゃけて言えば、この世界では直接的に戦り合うならほぼ敵なしやな。逆に言えば、それほどの強力な守護者を配置している以上、この場所がいかに大事か、ちゅー事の裏返しでもあるんやけど。」
「ところが、これはこの“防衛システム”を設置、あるいは開発した者達も想定外の事だったかもしれませんが、複数人の同じレベルの実力を持つ者達が集結し、その攻略に乗り出してしまったのです。まぁ、言わずと知れた、アーロスくんらの事なんですがね。」
「まさかっ・・・!」
「そや。彼らは、その“防衛システム”を無事に撃破してしもたんや。」
「いやいや、してしもたんや、じゃないでしょっ!じゃあ、『エストレヤの船』が眠る遺跡類が、ハイドラス派の手中に収まったってコトッ!?」
「そう思うのも無理はないけど、話はそれで終わらないんだ。そもそも、守護者がそれだけ、なんて誰も言ってないからねぇ〜。」
「「「「・・・へっ???」」」」
「まぁ、正直ウチも、最初はアイシャはんらと同じ反応になってわ。けど、よくよく考えてみれば当たり前の話やねん。それだけ強力な“防衛システム”を設置しとる者達が、二重・三重に罠を張り巡らせていたとしても不思議な話やないんや。」
「僕は、トラップを仕掛けるのには慣れているので、最初から想定内でしたけどねぇ〜。戦略的に見れば、人が油断した時が一番罠に嵌めやすいですから。」
・・・もちろん、本当に罠を仕掛けるとかではないが、前世でのスポーツでは散々使った手法である。
こちらの世界では、早い段階でモンスターや魔獣と渡り合える様になったので、そこまで使用頻度は高くなかったが、まだレベルの低い内は、結構この手を多様したものである。
「旦那はんはイジワルやわぁ〜。」
「けれど効果的ですよ?それに、早々に心を折る事で、一種の安全策にもなります。何をやっても無駄、って悟らせるんですよ。特に、人間の様な思考力を持った生物には極めて高い効果を発揮するでしょう。」
「まぁ、それはそうやけど・・・。」
えげつないなぁ〜、と呟くヴィーシャさん。
・・・そんなおかしな事かなぁ〜?
虚勢やハッタリ、トラップはある意味常套手段だと思うけど・・・。
それで相手が、こちらに対して苦手意識を持ってくれれば、その後の勝負では優位に立てるからね。
ま、僕の場合はあくまでスポーツの話だけど、これは現実問題にも応用が効く訳だし。
「ま、まぁ、旦那はんの話は置いておいて、セシル、ちゅー守護者を首尾よく倒せた、まではいいんやけど、あくまでこれは防衛システムの一部でしかなく、結果として彼らは敗走する事となったんや。んで、セシルを突破する様な連中が現れた、ちゅー事で、警戒レベルはうなぎのぼりなや。結果、ウチらが介入するまでもなく、彼らは『エストレヤの船』が眠る遺跡類に手出し出来なくなった、ちゅーこっちゃ。最大戦力でさえ負けたとあっちゃ、もはや彼らにはこれをどうこうする事は不可能やからな。・・・と、思っとったんやけど。」
「けど違ったんだ?さっきアキトが言ってた、“強制”限界突破と何か関係があるのかな?」
「そうです。まぁ、ぶっちゃけると、彼らの力量があれば、それらの防衛システムも突破する方法は結構あります。正攻法が効かないのなら、策を巡らせれば良いだけですからね。しかし、彼らが取った選択肢は、それらを上回る更なる力を得る事でした。そこに、どれほどのリスクがあるかもおそらく考えもしないで、ですが。」
「私は、そういう考え方は嫌いじゃないけどなぁ〜。真正面から戦り合った方が、やっぱり勝った時嬉しいし。」
「いやいや、それはアイシャはんの場合、“修行”すんのが前提条件やろ?勝てないなら、己を鍛え直せば良い。その理屈は分かるんやが、彼らが取ったんは、楽して力を得る方法やねん。」
「・・・はっ?そんなモン、ある訳ないじゃん。」
「まぁ、普通はそう考えるよね。楽して稼げる方法は、まぁ、ない事はないけど、そこにはそれ相応のリスクが存在するからね。しかし、彼らはそんな当たり前の事も忘れて、それを可能とする存在からの提案を受け入れたんだ。言わずと知れた、“神”という存在からの干渉だね。」
「じゃあ、ハイドラスか誰かから力を貰った、って事で合ってますか?」
「おそらく、としか言い様がないけど、多分。それによって、彼らは限定的ではあるものの、僕と同じく神性に片足突っ込んだ存在になった、って訳だね。これなら、確かにセシルや防衛システムを攻略可能だろうけど・・・。」
「多分、えげつないリスクがある筈やわ。」
「マァ、デショウネ。前ノ私ノ“マスター(仮)”であったニコラウス・サンモ、ソノ資格ガナイノニモ関ワラズ、私ヲ使イ続ケタ結果、ソノ寿命ヲ代償トシマシタ。イエ、ソレダケニ留マラズ、死後モ数年カラ数十年、イエ、アルイハモット長イ時間苦シミ続ケル“呪イ”ヲ受ケマシタカラネ。」
「まぁ彼の場合は、寿命はともかく、その“呪い”については自分のそれまでやってきた事に対するしっぺ返しでしかないけどね。悪意を持って、人々を苦しめた結果でしかないから、そこに同情の余地はないんだけどさ。それに、寿命に関しても、知ってか知らずかはともかく、都合の良い力を求めた結果だから、こちらも養護は出来ないし。」
「って事は、要は彼らは自滅への一歩を踏み出しちゃった、って事だよね?けど、そうなる前に、『エストレヤの船』は何とかなりそう、ってコト?」
「まぁ、平たく言うとその通りだね。ハイドラスからしなら、ありがたい事だよねぇ〜。知ってか知らずかはともかくとして、自分の“何か”を削ってでも功績を上げようとしてくれてるんだから。まぁ、こっちとしては迷惑極まりないんだけど。」
「そりゃ、マズい、よねぇ〜・・・。」
「マズいどころの騒ぎじゃないじゃんっ!」
「これは、いよいよ我々も干渉しなければならないタイミングなのでは?」
「それはそう、なんだけど、仮にも彼らが僕と同じレベルになったのなら、いくらアイシャさん達でも真正面からぶつかるのはリスクが高過ぎるよねぇ〜。説得に応じてくれるのが一番ありがたいんだけど・・・。」
「こっちの言い分を聞く耳なんて、もはや持っとらんやろ。」
「彼ら、特にアキトを毛嫌いしてたモンねぇ〜。」
「・・・それでも、対話は必要ですよ。それで引いてくれたら儲けものですし、そうでなくとも、時間稼ぎにはなるでしょう。そうすれば対策を打つ事も容易となってくる。」
「・・・なるほど。」
「ひとまず、急ぎ彼らに対する対応策を考えます。とりあえずアイシャさん達は、撤収の準備をお願いします。」
「オーケー。」「分かった。」「了解です。」「リョ。」( ̄ー ̄)bグッ!
素早く情報のすり合わせを終えた僕らは、その後慌ただしく作戦会議と撤収に追われる事となる。
彼らがいつ行動に打って出るかも分からないから、ここからは時間との勝負となりそうであるーーー。
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