革命をプロデュース 1
続きです。
◇◆◇
皆さん御無沙汰しております。
アキト・ストレリチアです。
さて、本来はここまでロンベリダム帝国の事情に深く介入するつもりがなかった僕ですが、『魔戦車』の存在が確認された事で、なし崩し的に介入する事を余儀なくされてしまいました。
もっとも、それもロンベリダム帝国の(一部)魔法技術を使用不可にした時点で関与を止めても良かったのですが、ここに更なる“イレギュラー”が発生した結果、こうしてロンベリダム帝国内部にまで足を運ぶ事となった訳ですね。
いやはや、今回の一連の動きは、本当に二転三転して予測が付きづらいですよねぇ~。
あまり運命論は信じていないタチなのですが、まるで大いなる流れに導かれているかの様に、結局今回の件にも深いところまで関わる事になりそうです。
まぁ、もっとも、結局は他国の人間である僕があまり関与するべきではない、という、個人的な考え方は変わりませんので、ロンベリダム帝国の行く末はロンベリダム帝国の人間が決めるべきである、という基本的スタンスは今も変わりませんが。
それ故に、今回の交渉の結果次第では、ロンベリダム帝国の今後がどうなるかは不透明な状況ですね。
それでも、こちらの目的は最低限果たすつもりですが、はてさてどうなる事やら・・・。
・・・
「ルキウスからの刺客かっ!?」
「いや、待て、メルヴィっ!」
ノンキに挨拶をした僕とは対照的に、声を掛けられた二人の反応はマチマチであった。
っつか、これも今更感はあるものの、僕らがやった事は普通に不法侵入であるから、こちらに敵意を向けてきた先住民族の男性、正確には女性であり、その名をメルヴィという彼女の反応の方がむしろ当たり前なのであるが。
とは言え、前にもノヴェール家を説得するに当たって、普通に行くだけでは門前払いが関の山である事から、割と強引な手段を取らざるを得なかった事もあるしね。
時には犯罪染みた、強引な手段も致し方ないと個人的には思っている。
特に、この世界ではね。
それに、交渉はあくまでポーズであり、本当の目的は、あくまで彼女の方だからねぇ~。
そんな感じに能天気に考えていると、メルヴィさんがいち早く僕らの排除に動き出そうとしたタイミングで、金髪碧眼の中々のイケメン男性、年の頃は30そこそこといったところか、のジャンさんがそれを制止した。
・・・おや、もしかして彼は、案外“当たり”かもしれないなぁ~。
「何故止めるのですっ!?」
「落ち着け、メルヴィ。もし彼らが仮にルキウスからの刺客だった場合、わざわざ私達に声を掛ける必要も、己の名を名乗る必要もない。何せ、私達は彼らが自ら声を掛けるまで彼らの存在に気付く事すら出来なかったのだ。殺すつもりならばとっくに殺しているだろうし、私達は死んだ事にすら気付かずに“あの世”に行っていた事だろう。だと言うのに、わざわざ己の存在を知らせたと言う事は、某かの思惑がある為だろう。・・・それに・・・。」
「それに・・・?」
「“アキト・ストレリチア”という名には聞き覚えがある。確か、『ロマリアの英雄』とも呼ばれるほどの人物だった筈だ。もちろん、それすなわち、彼が本当に当該の人物と同一である確証はないが、お前にすら存在を悟らせなかっただけでもただ者ではないと断言出来るだろう。故に、今は下手に動くべきではない。(ボソボソ)」
「・・・了解しました。」
ジャンさんの言葉に、少々悔しげな表情をしながらも、抜き掛けた武器を元に戻すメルヴィさん。
一応納得した、という事なのだろう。
それとジャンさんは、やはりかなり“当たり”の様だな。
本来の目的はメルヴィさんの方だったので、その後がどうなるかはこちらとしては関係ない話だったが、案外本気で口説き落とした方が良いかもしれんなぁ~。
と、僕が考えていると、やや警戒しながらもジャンさんはこちらを向き直った。
「失礼、侵入者殿。こちらの者は、私の身を案ずるあまり、やや直情的にモノを言ってしまう性質でね。」
「いえ、むしろ正常な反応だと思いますよ。あくまで僕らは不法侵入者ですからね。しかし、あなた方と直接お話する為には、少々強引な手段を取る必要がありました。バカ正直に正面から攻めても、門前払いが関の山ですからね。貴方ほどの商人ならば、そうした手合いは多い事でしょうからね。」
「ふむ・・・。それは確かにその通りですな。」
ジャンさんは、ロンベリダム帝国においては、大商人と呼んで差し支えない人物だ。
と、なれば、そんな人物と繋がりを持ちたいと思う者達も多いので、それこそひっきりなしに面会希望者は後を絶たない事だろうからね。
とは言え、それだと時間がいくらあっても足りなくなってしまうので、ある程度の取捨選択は必要になるだろう。
故に、アポも取らない人物は、その時点で門前払いとなる訳だ。
で、僕らに至っては、面識もないし、彼らに会うと決めたのもつい先程の事であるから、アポを取っている時間など無かった訳である。
「それで?本日はどの様なご用向きで?」
「少々取引をさせて頂きたく参上した次第であります。まずは詳しくお話をさせて頂きたいのですが・・・。」
「この場の生殺与奪の権は、あなた方に握られているのでしょう?こちらに拒否権はあるのですか?」
「それはもっともな御意見だと思いますが、それは当然お約束致しますよ。まぁ、それもあくまで口約束だけの事になってしまいますので、証明する方法はありませんがね。」
「ふむ・・・。」
「ですが・・・、そうですね。わざわざお時間を取らせてしまった事に関しては、某かの保障をするべきだとは思います。とりあえず、“御近づきの印”、という事でこれを・・・。」
「・・・?」
そう言うと、僕は懐から大金貨を一枚取り出した。
それを、僕の秘書よろしく、傍らに突っ立っていたエイルに渡し、それを向こうはメルヴィさんが受け取り、最終的にジャンさんのもとに到達する。
「これはこれは。・・・これを受け取る、という事は、こちらに某かの譲歩を期待する、と受け取っても?」
「いえ、ただの迷惑料ついでですよ。その程度、交渉には何の関係もありません。遠慮無く受け取って下さって結構です。・・・それに、“プレゼント”という意味なら、他にもっと素晴らしいモノを用意していますしね。」
「・・・?まぁ、下さると言うのならば、遠慮なく頂いておきましょう。とりあえず、これで不法侵入に関しては目を瞑る事にしておきます。」
「それは助かります。」
流石に、交渉事には手慣れているな。
胆力も相当なモノだし・・・。
先程のやり取りを見る分には、ここまでの人物だとは思わなかったが、自分の得意分野でこそ力を発揮するタイプなのかもしれないね。
「それで?貴方ほどの御仁が、私の様なしがない商人にどの様取引をお求めなのですか?」
「しがない商人などと御謙遜を。しかし、おべっかを言うのも時間の無駄ですし、ここでは単刀直入に申し上げましょう。そちらの先住民族の男性。彼の身柄と、その所有権をこちらに譲渡して頂きたい。」
「「っ!!??」」
「もちろん、タダで、とは申しません。貴方にとっても悪くない話を、こちらは御用意しています。」
「あ、いや、待たれよ。たしかに彼の所有権は、今現在私が所持しているが、彼との約束もあってね。今回の件が、上手く行こうともそうでなくとも、彼を“自由”にするつもりだったのだよ。それ故に、その取引は、初めから御門違いだ。仮にどうしても彼が欲しいと言うのならば、彼自身と交渉するべきです。」
「っ!ジャン殿っ・・・!!」
「言うのが遅れたな。今回の任務が失敗したとは言え、お前の長年の献身、大変感謝している。長々と引き止めてしまったが、奴に手を出した以上、ここら辺が潮時だろう。元々お前にはあまり関係のない話だったのだ。ややこしい事に巻き込まれる前に、お前はロンベリダム帝国を出てくがよかろう。」
ふむ、そうきたか・・・。
まぁ、これもある程度は想定していたけどね。
と、言うのも、現皇帝に手を出した以上、そしてそれが失敗した以上、何らかの報復措置が取られる事になるからである。
現皇帝の情報網はかなり優秀な様だから、時間は掛かろうとも、最終的にはジャンさんやメルヴィさんに行き着く可能性は否定出来ない。
つまり、“ロンベリダム帝国皇帝暗殺”が失敗した以上、彼らの破滅は時間の問題なのである。
“皇帝暗殺”は、ある種一発逆転を狙える手段ではあったが、それ故に失敗した場合のリスクも高いのである。
そして、それなりに頭の回る者ならば、失敗=報復措置の可能性に気付く筈だ。
で、あるならば、この場合は、さっさと逃げ出すのが正解であろう。
しかしジャンさんは、どうやらこのまま運命を座して待つつもりなのかもしれない。
まぁ、彼からしたら、これが最後の手段であると覚悟していたら、そこに『神の代行者』が介入して失敗に終わってしまった訳だ。
いくらメルヴィさんがかなりの使い手とは言えど、“レベル500”の『異世界人』に勝ち目はない。
それ故に、全てを諦めてしまったとしても不思議な話ではない。
だが、それでもジャンさんは、本来は関係のない者達まで巻き込むつもりはないのであろう。
それ故に、メルヴィさんを解放すると宣言したのである。
もしかしたら、彼が一代で築き上げた商会、いや、もはや財閥と言っても差し支えない団体にしても、解散、あるいは他の者に譲渡する心積もりなのかもしれない。
だが僕は、当初はそのつもりはなかったが、ジャンさんを諦めるつもりはもはやなかった。
彼が思いの外中々“当たり”の人物であった事もあるのだが、考えてみたら彼ほど反政府運動の旗印に成り得る人物も珍しいからである。
元・貴族という出自。
良い悪いはこの際置いておくとしても、先住民族達との繋がりを持っている点。
更には、現皇帝に対抗する為だったとは言え、彼が必死になって築き上げ資金や人脈なども、これらの活動には大きなプラスになるだろう。
後は、いかにして彼をその気にさせるか、という大きな問題が立ちはだかっているのだが・・・。
まぁ、一先ず、当初の目的の方を先に片付けてしまう事としよう。
「なるほど、そういう事ですか。ならばメルヴィさん。ジャンさんの御墨付きも頂いた事ですし、僕らと共に来て頂けませんか?」
「申し訳ないがお断りする。私には目的があるのでな。」
「ええ、それは分かっています。お姉さん、“ヘルヴィ・ライナノール”をお探しなのでしょう?」
「なっ・・・!?」
「???」
当然の如く断ったメルヴィさんに対して、僕はすかさず追撃を加えた。
そう、ダールトンさんのところの、あの訳あり侍女さんこと、ヘルヴィさんがメルヴィさんのお姉さんなのであった。
もちろん、そんな事実は僕も全く知らなかったのだが、ロンベリダム帝国を調査している過程で、また、現皇帝暗殺に動いていたメルヴィさんを監視している時に、初めてその事実を知った訳である。
先程から何度となく言及しているが、当初はそこまでロンベリダム帝国の事情に深く関わるつもりはなかったのだが、流石に古くからお世話になっている知人の身内に関する事を無視するほど僕も人でなしではない(つもりだ)。
それに、ヘルヴィさんには、多少なりとも(緊急事態だったとは言え、折角お仕事を手伝って貰ったと言うのにヒーバラエウス公国に置き去りにしたなど)借りもある。
それ故、こうしてある程度介入し、そして、ジャンさんが思った以上に使えそうだと改めて理解した為、こちら側の事情もあるのだが、今回ガッツリ関与する事にした訳であるが。
まぁ、元々ヨーゼフさんとヘルヴィさんは、ただの執事や侍女の枠を越えて、家事全般はもちろん、戦闘や交渉なんかもマルチに行えるスーパー執事&侍女だったのは知っていたので、それなりにバックボーン、ってか秘密があるとは思っていたけど、まさかここでこんな風に繋がるとは思っていなかったので思わず運命論を信じそうになったほどだ。
おそらく、僕の持つ『事象起点』の能力が、何か良い感じに効果を発揮した、というのが本当のところなんだろうが。
「し、知っているのかっ!!??」
「ええ、古くからの友人です。多少風貌は変わっているとは思いますが、こちらの女性で間違いないでしょう?」
と、言って僕は、一枚の“写真”を取り出した。
もちろん、今現在のこの世界には、写真などの映像系技術は存在しないのだが、特に初期の画像技術ならば、魔法技術を応用すれば割と簡単に再現する事が可能であった。
魔法技術に関しては、これは今現在でも変わらないのだが、特にこの身体が小さい頃は、色々な実験を繰り返し、時にはヤバめな失敗をしつつも、結構色々な応用術式を開発した時期があったのである。
写真もその一つであり、今は公式には発表してはいないが、今後魔法技術が広く一般的になっていった場合も考慮して、この技術が一つの手札になるかもしれないと、実は密かに写真を撮る道具の作成に勤しんでいたりしたのである。
で、その実験も兼ねて、仲間を中心として、何枚か“写真”を撮っていたのであった。
まぁ、まさか、それがこんな形で活用される日が来るとは思っても見なかったのであるが。
「これはっ・・・!!」
そこに映っている人物に、メルヴィさんは目を見開いた。
肖像画なんかより、より鮮明な人物画であるから、そこに対する驚愕もあったのだろうが、ここでは多少歳を取った事もあるのだが、メルヴィさんが持っている肖像画の人物と瓜二つだった事が彼女の驚きの理由に違いなかった。
「不可思議な肖像画だし、たしかに多少風貌は変わっているが、間違いないっ・・・!姉さんだっ!!!」
「やはりそうでしたか・・・。たまたま貴女の持っていた肖像画を拝見した時に、もしや、とは思っていたのですがね。この広い世界で、肖像画という手掛かりはあるものの、特定の人物を探し当てる事は困難を極めるでしょう。今や自由を手にし、貴女ほどの使い手であったとしてもそれは変わりません。ですが、先程も申し上げましたが、たまたま貴女の探し人が僕の友人だった事もあって、今回、この様な手段を取らせて貰う事としました。彼女、ヘルヴィさんにはかなりお世話になっておりましてね。もちろん、彼女の口から貴女の存在について直接聞いた事はありませんが、おそらく彼女の方も、貴女を探していた可能性もあります。」
「っ!!!」
「・・・わざわざそれだけの為に、これほどの手段を用い、思惑が外れたとは言え、私から彼を買い取ろうとしたのですか・・・?(ボソボソ)」
「ソレダケヘルヴィ・サンハ、オ父様二取ッテ気ノ置ケナイ“仲間”、ト言ウ事デス。他人二対シテハ、一定ノ距離感ヲ保トウトスルノデスガ、“仲間”ノ為ナラバ、苦労ヲイトワナイ事モ多イノデス。ソレニ、コノ程度ノ事ハ、オ父様二取ッテハ労力ノ内二入リマセン。オ金二関シテモ、オ父様ハ貴方以上ノ資産家デイラッシャイマス。故二、オ金デ解決出来ル程度ノ事ナラバ、何ノ痛痒モ感ジナイノデスヨ。(ボソボソ)」
「は、はぁ・・・。(ボソボソ)」
何やら、エイルとジャンさんがヒソヒソと内緒話をしている様だが、こちらは交渉の大詰めなので、それどころではなかった。
「故に、こちらとしても貴女に仲間になれとは申しませんが、とりあえず、お姉さんに会ってから、その後の身の振り方を考えては如何でしょうか、と提案しているだけに過ぎません。何せ、貴女はもう自由の身だ。これからの人生の選択権は、全て貴女の手のひらの上にあるのですから。」
「確かに貴方の言う通りだ。・・・ただ、私はまだ全面的に貴方を信用した訳ではない。いや、まぁ、私が誰にも見せた事がない、筈の“肖像画”の事を知っていた謎なんかもあるが、それでも私を騙そうとしている可能性も否定出来ないからな。しかし、今のところ手掛かりが全くない事も確かな事実だ。故に、とりあえず貴方の知り合いというその人物に会うだけ会ってみる事としよう。」
「ええ、それが良いでしょう。では、交渉成立、という事で、一先ずよろしいでしょうか?」
「ああ、私に異論はない。」
改めて確認をすると、メルヴィさんはムッツリした顔でそう頷いた。
まぁ、彼女のこれまでの環境を鑑みれば、他者に対して警戒感が強いのは致し方のない事であろう。
「結構です。でしたら、今現在ロンベリダム帝国に滞在中の『ブルーム同盟』の特使に貴女を御紹介しておくとしましょう。お姉さんは、今現在はその組織の一員、まぁ、正確には、その組織のトップである人物のお側付きとして活動されているのですが、ですから、あまり信用されていない、また、他に用事のある僕らとわざわざ行動を共にする必要もありません。また、その特使は、ロンベリダム帝国にもその存在を認められている人物ですから、僕らの様な胡散臭い人間よりかは大分信用出来ると思いますよ?昨今は混乱しているロンベリダム帝国からは、近々出国する事となるでしょうから、彼らに同行すれば、自ずとお姉さんと合流する事となるでしょう。」
「分かった。」
余計な質問は一切挟まない、シンプルな答えをメルヴィさんは返した。
まぁ、とりあえず彼女に関しては、オーウェンさんにお任せするのが無難だろう。
「『ブルーム同盟』・・・。では、やはり彼は本物なのかっ・・・!?」
「ソウデスヨ?・・・“人間”トハ、中々厄介ナ生キ物デスネ。相手ノ“スペック”ヲ、即座二見抜ク事モ出来ナイトハ・・・。」
「それが普通なんだよ、エイル。むしろ、お前達の様に、相手の力量なりのデータをすぐに解析出来る方が珍しいんだ。そうでなきゃ、詐欺なんかが横行する筈もない。」
「フム・・・、ナルホド。」
彼女との交渉が一段落付いたので、僕はジャンさんとエイルの方に向き直った。
やはり、ジャンさんは、『ブルーム同盟』の名も知っている様だ。
かなり優秀な情報網を持っている事が窺える。
「こ、これはアキト殿。お話は終わりましたかな?」
「ええ。まぁ、とりあえずは、という形にはなりますがね。この場においては、写真以上の証明は出来ませんので、後は本人に会って貰わない事には話を信じて貰える手段がありませんからね。・・・まぁ、“音声”を聞かせる手段もない事はないが、それも、決定的な証明にはならんからなぁ~。(ボソ)」
「・・・???何か?」
「あ、いえ、こちらの話です。ジャンさんにも御迷惑をお掛け致しました。」
「・・・正直思うところはありますが、それ以上に彼の身の振り方が決まった事の方が嬉しく思いますよ。まぁ、今まで散々迷惑を掛けておいて、今更何を言っているんだ、とは私自身も思いますがね。」
「まぁ、人の人生には矛盾が付きまとうモノですよ。それに、それは今後の展開次第では、それも大きく意味を変える事もありえます。」
「と、申しますと?」
訝しげな表情を浮かべたジャンさんに、僕は言葉を繋げた。
「実を申しますと僕が用があったのは、本来はメルヴィさんの方だったのですが、少しばかり心変わりを致しましてね。貴方とも、少しばかり協力させて頂きたいと、個人的には思っているのですよ。」
「私と・・・?それは、どういった話で?」
先程の、全てを諦めてしまった人物とは思えない微かな光が、ジャンさんの瞳から感じ取れた。
・・・うむ、どうやらこちらが本物であると勘付いて、多少前向きな気持ちを取り戻したのかもしれない。
それは、こちらとしてはかなり都合が良かった。
「では、こちらも単刀直入に申し上げましょう。僕は、ロンベリダム帝国の現政権を打ち倒そうと考えています。そして貴方には、その反政府活動の指導者として立ち上がって頂きたいと考えているのですよ。」
「なっ・・・!?」
「っ!!!???」
「・・・。」
さて、ここからが説得の本番となるーーー。
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