とある少女の受難
続きです。
今回から新章に突入します。
ーーーセルース人達は、資源やエネルギー問題に端を発した争いの果てに、『霊子力エネルギー』の理論を確立するに至っていた。
だがその代償として、ただでさえ資源の枯渇していた惑星セルースは、その争いによって復旧不能と思えるほどの壊滅的な被害を被っており、とても人々が居住出来る様な惑星ではなくなってしまったのである。
もっともテルース人達は、宇宙にその活動範囲を広げていたので絶滅の危機こそ回避したが、そちらに関しても、仮に『資源戦争』と呼称するが、の影響によって、スペースコロニーや惑星セルースの衛星、近隣の惑星に及んでいた居住施設も甚大な被害を受ける事となってしまっていたし、そもそも、テルース人自体の人口も、『資源戦争』の影響によって、極端に少なくなってしまっていたのである。
生き残った者達は、生き残った施設を利用して、更には多大な被害の果てに獲得した夢のエネルギーである『霊子力エネルギー』を利用して、何とか細々と生活していく事になってしまったのである。
だが、そうした生活を営んでいく内に、ある程度の復旧が進んでいくと、生き残ったテルース人達は一つの願望を持ち始める。
それが、惑星セルースの『楽園再生計画』、すなわち、惑星セルースの環境をテラフォーミングし、再び居住可能な惑星にしようとする構想であった。
人は、大地に根を下ろさなければ生きていけない生物であると言われている。
もちろん、ある程度環境に適応する力は持っているが、宇宙の環境や衛星、他惑星の環境は想像以上に過酷である。
惑星セルースが壊滅的な被害を被り、人々が居住出来ない段階になってようやく、人々は惑星セルースが如何にテルース人達が住むのに適していた環境であったかを改めて理解した訳であった。
しかし、一度破壊された環境を再生する事は、高い技術力を持ったテルース人達と言えど、また、夢のエネルギーである『霊子力エネルギー』を獲得したと言えど容易な事ではない。
そもそも、惑星セルースの資源は枯渇しているのだ。
これは、地下資源である鉱山物質だけに留まらず、大気や水などの物質にも及んでいる。
当然であるが、無から有は産み出せない。
故に、仮に惑星セルースの環境を以前の様に再生する為には、他から様々な物質を調達する必要があり、それらを細かく調整し、生物が住むのに適した環境にする為には、想像を絶する期間が必要であるとの試算結果が出る事となった訳である。
つまり、計画は、始まる前からある意味破綻していた訳である。
そこで、一部のテルース人達は、また新たなるプロジェクトを発案したのである。
それが、この際惑星セルースは放棄し、『冷凍睡眠』を用いた星間航行による新たなる居住可能な惑星を発見しようとするプロジェクト、通称『楽園開拓計画』だったのであるーーー。
◇◆◇
ロンベリダム帝国と“大地の裂け目”勢力による戦争、お互いの頭文字をとって通称『ロフォ戦争』と呼ばれた紛争は膠着状態が続いていた。
これは意外に思われるかもしれない。
何故ならば、初戦であるカラン地域周辺での戦闘、アスタルテ(と、ついでにアラニグラもだが)が引き起こした『女神の怒り』によって、そこに展開していたロンベリダム帝国軍は、それこそ本当の意味で全滅に近いほどの壊滅的な被害を被っていたからである。
流石に、その惨敗は、ルキウスをしても想定外の事であっただろう。
であるならば、アスタルテとアラニグラがいる限り、再び“大地の裂け目”に侵攻したところで、返り討ちに遭うのが関の山だと気付いたとしても不思議な事ではない。
アスタルテの事はともかく、アラニグラ、いや、『異世界人』達の持つ力の恐ろしさを、ルキウスはある程度認識している筈なのだから。
ところが、人の想像力は、時として非常に壮大な事を思い付いたりする事もある一方で、時として非常に脆弱でもある。
実際にルキウスは、実は『異世界人』達の持つ力をまだまだ過小評価していたのである。
と、言うのも、そもそも“レベル500”は、この世界の歴史でも類を見ないほどの稀なケースである訳で、単純に想像がつかなかった事もあるだろう。
その事から現代の生ける伝説とも呼べる『S級冒険者』クラスの者達と比較して、彼らよりも凄いのだろう、程度の認識しかなかったのである。
実際には、レベル400前後が“超人”と呼ばれる人々であったのならば、“レベル500”はもはや“神”、自然現象を巻き起こすほどの存在であり、そこにはとてつもない開きがある。
それともう一点。
『異世界人』達の使用する力が、この世界とは異なる技術体系であった事もある。
故に、こちらも、それをおおよその範囲で想像するしかなかったのである。
『テポルヴァ事変』の折にルキウスは、初めて『異世界人』達、その中でも取り分けアラニグラであるが、の持つ力の片鱗を伝え聞いていた。
その事から、『異世界人』達が思った以上に危険な存在であるとはルキウスにも理解出来たので、彼らを半ば強引にロンベリダム帝国に取り込む策は取り止め、彼らの自由意思を尊重したのである。
まぁ、これは、もちろんルキウスも計算あっての事である。
自国に取り込む事が実質的に不可能だとしても、友好関係を維持する事で、少なくとも敵対関係にはならないだろうと踏んでいたし、場合によっては、協力を要請する事も可能であると考えたからである。
実際、タリスマンはルキウスに心酔してしまった為、また話は別なのであるが、ティアらは自分達の立場を守る名目もあり、ロンベリダム帝国にある程度協力していたし、ロンベリダム帝国と距離を取った者達、アラニグラらも、当初は他の勢力に加担してはいなかった。
それに、最悪『異世界人』が敵になってしまったとしても、ルキウスにはタリスマンという手駒がいるので、自分達で排除する事が不可能だとしても、『異世界人』同士であれば、対等に渡り合う事が出来るだろうと踏んでいたのである。
だが、その考え自体は間違っていないが、“レベル500”、かつ『異世界人』達の持つ特殊な力はルキウスの想像以上のモノであり、仮に『異世界人』達がぶつかり合った場合、彼ら自身は互角に渡り合う事が出来るかもしれないが、その余波によって、この場合はロンベリダム帝国になるのだが、周囲にも多大な影響が出てしまう事を想像出来ていなかったのである。
しかも、アスタルテの持つ力は、『異世界人』達のそれよりも更に強力である。
これらの点を総合して考えた場合、“大地の裂け目”勢力にアスタルテとアラニグラが加担した時点で、少なくとも初戦の惨敗の報告を受けた時点で、ルキウスはさっさと手を引くべきだったのである。
しかし、そこはそれ、ルキウスには、もはや引き返せない事情もあった。
そもそも、今回の件は、ルキウスも世論操作をしてまでも大々的に始めた事であるから、“いやぁ~、想像以上にヤバい連中ですわ。やっぱり手を引きますわ~。”などとは、口が割けるも言える筈もないのである。
それは、自身の求心力低下に直結するし、ルキウスの独裁政権に不満を持つ者達に、格好の口実を与える事にもなりかねないからである。
それに加え、曲がりなりにも“魔法銃”が活躍した事もある。
確かに、アスタルテとアラニグラの持つ力は想像以上であるし、とてつもない脅威であるが、とは言え、結局はその二名を警戒すれば良いだけの話であり、他の獣人族に関しては、十分に対処が可能であると判断したのである。
そして、それ自体は間違った判断ではない。
実際、“魔法銃”は、初戦にて驚異的な成果を上げた。
しかも、これは以前にも言及したが、“魔法銃”の利点は誰にでも扱う事が容易である点なのである。
故に、ルキウスは、得意の計略を駆使しつつ、発想を変えたのである。
すなわち、正面からの大規模な軍勢による侵攻ではなく、部隊を分散させた奇襲に舵を切り、なおかつ、アスタルテとアラニグラを最前線に立たせない様に仕組んだのである。
アスタルテは、“大地の裂け目”勢力の実質的指導者であるし、ある種の精神的支柱である。
であるならば、仮に戦線が拡大した場合、彼女が一々方々の戦線に立つ事などありえない判断なのである。
例えるならば、最高指令官が最前線で戦う様なモノだ。
まず、味方に止めてくれと言われるだろう。
何せ、彼女がやられたら、それで決着がついてしまうからである。
そして、アスタルテよりも比較的動きやすいアラニグラではあるが、彼には同じ『異世界人』をぶつければ良い。
もちろん、何も戦って貰う必要はない。
アラニグラを説得する為に協力して欲しいと言えば良いのである。
ロンベリダム帝国側の主張では、全面的に悪いのは“大地の裂け目”勢力である。
もちろん、これはルキウスも知らない事ではあるが、『異世界人』達には『DM』という連絡手段があるので、連絡を密に行っていれば、情報のすり合わせをして、おかしな点を洗い出す事が可能ではあるが、これは向こうの世界でも同様であるが、結局何を信じるかはその人次第なのである。
故に、ロンベリダム帝国側の主張を信じ込んだ誰かは、これはアラニグラの暴走であると判断するかもしれないのである。
そうでなくとも、これは誤解であるから、お互いに冷静な話し合いをする場を設けるのに協力して欲しいと説き伏せる手もある。
いずれにせよ、アラニグラはその対応に追われ、前線に立つ機会を奪われる事となる訳である。
しかし、その結果として、一進一退の小規模な攻防はあれど、決定的な決着がつかないままに、だらだらと膠着状態が続く事になってしまったのである。
そして、その弊害ではないが、先の大敗北の恨みもあってか、好き勝手に暴れる部隊、もはや野盗化した部隊も現れ始めてしまったのであるーーー。
◇◆◇
「何だぁ~こりゃっ!?これっぽっちじゃ全然足んねぇ~ぞっ!!!」
「キャッ!!!」
「アイラッ!!!」
「「「「「ギャハハハハハッ!!!」」」」」
“大地の裂け目”の南東部、ロンベリダム帝国から遠く離れたその地では、ロンベリダム帝国軍の一部隊が野盗化していた。
ここら辺は、致し方ない部分も存在する。
むやみやたらに戦線を拡大した結果、物資や食糧などの補給が思う様に進まなくなってしまっていたからである。
故に、この部隊の者達も補給物資を現地調達せねばならず、すなわち現地住民(獣人族)から略奪する結果となってしまったのである。
まぁ、そうでなくとも、戦争においてはこうした現象自体は決して珍しい事ではないのだが。
もっとも、考えなしに深く侵攻してしまったこの部隊の落ち度もあるのであるが、その反面、“大地の裂け目”勢力を混乱させる為に、あえてルキウスがこうした事態を黙認したという事情もある。
先程も言及した通り、アスタルテに自由を与えず、“大地の裂け目”に縛りつける為である。
ここら辺は、アスタルテの失策もあった。
仮に彼女の立場が、外部からの協力者という体であったならば、こうした輩を片っ端から片付けつつ、ロンベリダム帝国軍の戦力を根こそぎ排除する事すら、彼女の持つ力ならば可能であった。
しかし、曲がりなりにも“大地の裂け目”勢力を率いてしまった結果として、彼女には、要らぬ制約が課される事となってしまったのである。
すなわち、“最高指導者”としての役割である。
先程も言及した通り、当然ながら最高指導者的な立場を持つ者に好き勝手に動かれては、“大地の裂け目”勢力の指揮系統が混乱してしまう事となる。
それでなくとも、“大地の裂け目”勢力は、様々な獣人族達の部族、士族から成る『連合軍』であるから、まとまり自体がかなり怪しい勢力なのだ。
それが奇跡的にまとまっているのは、打倒ロンベリダム帝国、という共通の目的と、アスタルテの持つカリスマ性故であり、仮にアスタルテがいなくなってしまった場合、“大地の裂け目”勢力の結束自体が怪しくなってしまう。
その末で考えられる最悪の結果は、内部から混乱している隙を突かれて、ロンベリダム帝国軍に制圧されてしまう事であろう。
少し頭の回る者達ならば、その事に気付かない筈もないので、アスタルテはそうした者達に、“頼むからどっしり構えていてくれ。最前線などもっての他である。”、と懇願される事となってしまったのである。
かなりぶっ飛んだ性格、かつ性質を持つアスタルテではあるが、流石に可愛い我が子らからのお願いを無視する事は出来ず、結果、“大地の裂け目”勢力の中央司令部の様な場所から、全体の指揮をとる事を余儀なくされてしまった訳である。
ここら辺は、ルキウスの思惑通りであった。
だが、その結果として、先程の様な輩の好き勝手を許す事となってしまったのである。
もちろん、野盗化した部隊を排除すべく、“大地の裂け目”勢力も動いてはいるのだが、もはや彼らにはマトモな倫理観などはないので、人質を取ったり、捕らえた獣人族達を利用して、自分達の制圧した場所の周囲に所謂『人間の壁』・『肉の壁』として置く事で、迂闊に手を出せない状況を作り出していたりしたのである。
今も、母親を人質に取られた少女に、物資や食糧を持って来させていたところだ。
しかし、その量に不満を持った隊長格の男から暴力を振るわれていたのであったーーー。
この部隊の隊長格の男は、かなりこずるい男の様だ。
当然ながら、少女、子供の出来る事などたかが知れているのだが、大人を使うと下手に反抗される可能性がある事を見越して、こうして子供を使っていたのだから。
まぁ、自分でそうさせておきながら、その仕事に不満を抱いて暴力を振るうのは、かなり頭がイカれてもいるのだが。
「も、もう止めてくだされっ!儂らはアンタ方に降伏するっ!!望みの物は出来る限り用意するっ!!!ですから、人質は解放して下されっ!!!!」
数メートルは吹っ飛ばされた少女を見かねて、老齢の獣人族の男がそう声を上げた。
「ああっ!?誰が近付いていいっつったっ!?それと、それが人にモノを頼む態度かっ!!??」
「キャアァァァァッーーー!」
「お母さんっ!!!」
「「「「ギャハハハハハッ、えぐぅ~!!!」」」」」
何が気に食わなかったのか、隊長格の男は、少女の母親の足を剣で突き刺した。
そこには、もはや軍人としての誇りも、兵士としての矜持も何もない、ただの無法者の姿があった。
だが、恐怖と暴力による支配というのは、短期的に見れば有効だ。
実際、その老齢の男も、そんな惨状を見せ付けられて、心が折られたのだから。
「こ、この通りですっ!お願いしますっ!!何でも言う事を聞きますっ!!!ですから、同胞を、これ以上傷付けないで下さいっ!!!」
深々と土下座をして、老齢の男は再度懇願する。
その様子に、隊長格の男も多少は溜飲が下がったのか、やや表情を崩した。
「やっと“獣”らしい格好が出来たじゃねぇ~かっ!」
「ぐっ!」
土下座している老齢の男の頭を踏みつけて、そんな事をのたまう隊長格の男。
「けど、ダメだね。俺ぁ、“獣”っつ~のを信用してねぇ~のよ。奴らは、少し甘い顔をしているとすぐにこっちに牙を剥いてきやがるからよぉ~。」
「わ、儂らは“獣”ではありませんぞっ!」
「誰が口をきいていいっつったっ!!」
「ガハッ!!!」
「長老っ!!!」
もはやどちらが“獣”か分からないが、隊長格の男は、反論した老齢の男、少女が長老と呼んだ男を蹴飛ばした。
「やっぱ、“獣”だねぇ~。しっかり調教しねぇ~とダメみてぇ~だわ。」
「おっ、じゃあ、またいつものやつやりますかい、隊長っ!?」
「そ~だなぁ~。けど、そいつ、一応長老みてぇ~だから、口はきける程度にしてけよ、お前ら。」
「「「「へっへっへ。へーいっ!!!」」」」
「こっちの女はどうしやすかい?」
「一応、応急処置しとけ。死なれたら、人質の価値がなくなるからよ。・・・ついでに、多少楽しんでも構わねぇ~ぜ?」
「っぱ、隊長は話が分かるなぁ~!」
ギャハハハハハッ、と下卑た笑い声を上げる無法者集団。
平和的に暮らしていたこの獣人族達にとっては、もはや悪夢以外の何物でもなかった事だろう。
しかし、残念ながら助けは期待出来ない。
仲間意識はそこまで高くはないものの、先程も述べた通り、ロンベリダム帝国と戦う為に、“大地の裂け目”勢力も一応は結束しているし、この地に深く侵攻していたこうした部隊を排除すべく行動しているが、特にこの部隊の様に、獣人族達を巧みに人質、盾に使われては、迂闊に手を出す事も出来ないのである。
まぁ、アスタルテが我慢している内の一時の猶予でしかないのであるが。
「ゲヘヘヘッ、おらっ、治療してやっから、こっちへ来いやっ!」
「お母さんっ!!!」
「アイラぁっ!!!」
だが、彼らにとっては、今、この瞬間に助けが欲しい状況な訳である。
それに応えてくれる存在はおらず、この世の理不尽にこの少女には絶望しかなかったのであるーーー。
・・・通常であるならば。
「止ーめーなーさーいっーーー!!!」
「あぁ~、アイシャさぁ~んっ!殺しちゃダメですよぉ~!?」
「っ!!!」
「「「「「・・・・・・・・・へっ!!!???」」」」」
「「「・・・・・・・・・えっ!!!???」」」
ドゴォォォォーーーンッ!!!
だが、残念ながらこの部隊の者達の命運は、この世の理不尽を全て覆せる者達の存在によって尽きる事となってしまった訳である。
しかし、これも自業自得。
言わば、自己責任である。
「ギャアァァァァッーーー!!!」
「もお~、アキトってば、何で止めるのよぉ~!」
「いやいや、止められてないじゃん、アイシャちゃん。」
「ハハハハハッ・・・。ま、まぁ、命はあるみたいですから、問題ありませんよ・・・、多分。」
「ソウデスヨ。腕ノ一本ヤ二本、スグニ代エラレマスカラネ。」(無慈悲)
「いや、代えられる訳ないやろっ!」
「彼らにはそれなりの罰を与えなければなりません。簡単に殺しては、彼らに申し訳が立たないでしょう?それに、彼女達にも被害が及ぶところでしたよ?」
「・・・・・・・・・あっ。」
着弾(?)によって、少女の母親を無理矢理連れていこうとした男は見るも無惨な状況になってしまったが、当然、その余波を少女の母親、ついでに少女自身にも及ぶ恐れがあった。
その事に思い至ったアイシャは、バツの悪い表情を浮かべていた。
もっとも、それ自体は、他のメンバーのフォローによって事なきを得ていたが。
アイシャの被害に遭っていたのは、その男だけであった。
「・・・あ、貴方はっ・・・?」
「通りすがりの冒険者ですよ。災難でしたねぇ~。」
状況がよく飲み込めない中、不可思議な仮面を被った男性らしき人物に抱えられた少女。
かなりのストレス下に置かれたこの少女にとっては、他の人、それも男性に対して不快感を抱いたとしても不思議ではなかったのだが、何故かその男性に抱きかかれられる事には、不快感を感じるどころか、妙な安心感を覚えていたのであった。
これが、仮面の男ことアキトと、『猫人族』であるアイラのファーストコンタクトであったーーー。
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