そのおじさん達はお節介を焼く 2
続きです。
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世間には、所謂“お見合い”をやたらと勧めてくるおじさんやおばさんが存在したりする。
まぁ、今現在の向こうの世界、特に日本では、そうした人々は急速に少なくなっている風潮にあるが、一昔前には相当数存在していたし、今現在でもそうした存在はいなくなった訳ではないのである。
さて、では、何故彼らは、そうした事をするのであろうか?
一つには、単純な善意が挙げられるだろう。
特に、一昔前の日本においては、結婚もしていない男女というのは、一段下に見られる風潮が存在していた。
結婚は、ある種の社会的ステータスの一つだったのである。
もちろん、それは現代においても変わらない。
結婚をし、家庭を築き、子供を育てる。=立派な大人である、というイメージは今現在でも色濃く残っているし、それ自体は間違った考え方ではないだろう。
しかし、その弊害ではないが、何らかの要因によって独身を選択した人々を、何処か人間的な欠陥がある人々である、と考えてしまう者達も一定数いるのである。
それは、もちろん誤った考え方であるが、しかし、世代間の格差などもあり、新しい価値観などはすぐに受け入れられる訳ではない事もまた事実なのである。(まぁ、実際には、新しい価値観などではなく、元の価値観に戻っただけなのだが。)
故に、身を固める事によって、そうした社会的マイノリティーにならない様に、との善意から、そうした行動に出る人々も存在する、という訳であった。
また、特に女性にとっては、かつての日本においては、結婚=就職、みたいな側面もあったのである。
これは、明治民法により、一般庶民にも“家制度”・“家父長制度”が取り込まれる事になり、主に妻側の経済的自立と自由が奪われる事となったからである。
つまり、女性にとって、結婚をしないという選択肢がそもそもなかったのである。
そうした事もあり、お見合いとはつまり、社会的マッチングシステムであり、それを推奨する者もまた、必要な存在であった側面もあるのである。
(余談だが、実は明治以前の江戸時代、特に庶民の婚姻とは夫婦別姓が基本であり、ほとんどの夫婦が共働き、銘々稼ぎという、だったそうである。
要するに、明治民法が制定されるまでの日本人庶民の結婚とは、限りなくお互いが精神的にも経済的にも自立した上でのパートナー的な経済共同体という形に近かった訳だ。
別の見方をするならば自由でもあり、夫婦の関係は対等だったのである。
“家制度”・“家父長制度”とは、あくまで武家の中だけの事だったのである。)
また、いやらしい話、旨味もあったのである。
そうした“お見合い”を勧めていくる人々、つまりは仲人には、江戸時代では、相手探し・見合いの段取り・結婚までを世話し、依頼した人の持参金の一割を礼金として受け取っていた、という資料もある。
つまりは、人の役に立つ+社会的にも意義のある活動である+謝礼も貰える、という訳である。(少なくとも、“貸し”を作る事は出来る訳だから、直接的な金銭のやり取りがなかったとしても、トータルとしてはプラスとなる。)
また、その結果として、人口の増加にも一役買っている訳で、もちろん人口が増える事によるデメリットもあるのだが、人口の増加によって単純に税収が上がる訳だから、“富国強兵”をスローガンとして掲げていた明治政府が、明治民法によって国家的な“結婚保護政策”を推し進めたとしても不思議な話ではないのである。
そして、それに伴い、“お見合い”を勧めていくるおじさんやおばさんが多く登場する事となる要因ともなっていたのである。
さて、ここまでは向こうの世界、特に日本の近代から現代にかけての話であったが、この世界にも、“お見合い”を勧めていくるおじさんやおばさんが存在していた。
特に貴族にとっては、婚姻とはすなわち家と家との繋がりが強固になる事、つまりは自身、あるいは家の格を上げるチャンスともなるので、当然、より良い条件のお相手を求める様になる。
しかし、一口に“貴族”と言っても、その中には序列も存在する訳で、下位の序列の者が、上位の序列の者と知り合う、取り入る事は、中々ハードルが高いのである。
それ故に、それを仲介する役割を担う者が現れる流れが、この世界にもあったのであった。
ここら辺は、世界が違えど、基本的な考え方はそうは変わらない事の証左と言えるかもしれない。
また、マルセルムはロマリア王国の大貴族であるから、なんとなくそうした立場を担う事は想像に難くないかもしれないが、他種族、異種族であるグレンも、エルフ族の国の中では、所謂“貴族”的な立場を持つ者として、そうした話に絡む事もよくあったのである。
特にこの世界のエルフ族は、アキトも言及していた通り、出生率が極めて低いのだ。
故に、婚姻はエルフ族にとっては極めて重要かつ細心の注意を払うべき事柄であるから、偉い人、立場のある人に相談する事も、ある種当然の流れなのである。
(余談だが、ジークとフィオレッタ、ハンスとリオネリア、ユストゥスとヴィアーナの婚姻騒動の折に、グレンがジーク、ハンス、ユストゥスのエルフ族のお相手を決めていた、みたいな話があったが、これはある種当然の話であり、英雄の領域を飛び越えて、もはや神話や伝承のレベルに達している彼らの血筋をエルフ族の中に残すのは、エルフ族の国を代表する人物としては、当然の判断だった訳である。
結局、ジーク達は、アキトの仲介によりフィオレッタ達との婚姻話を勝ち取った訳だが、その一方で、それぞれグレンが選別したエルフ族の女性とも婚姻する事となったのである。
まぁ、所謂“重婚”状態ではあるが、この世界における法整備は極めて曖昧であるし、そもそも人間族とエルフ族とでは、婚姻に対する考え方すら違う。
故に、それに関しては問題ないのである。
まぁ、フィオレッタ達女性陣がどう思っているかは定かではないが、そこはそれ、後はジーク達の手腕次第だろう。
更に余談だが、ティーネはともかく、メルヒとイーナに関しても、もちろん婚姻を勧める話が持ち上がっていた訳だが、こちらに関しては座礁していたりする。
何故ならば、メルヒとイーナも、ジーク達と同じく英雄の領域を飛び越えて、神話や伝承のレベルに達した存在となってしまったからである。
男性の場合ならばそれでも良いかもしれないが、女性の場合は、お相手の男性が気後れしてしまう可能性が極めて高いのである。
例えるならば、超がつくほどのキャリアウーマンに、平凡な男性では手が届かない、といった現象と似通っているかもしれない。
もちろん、メルヒやイーナは、そんな事はあまり気にしない、むしろ、もちろん男性の好みはあるかもしれないが、気が合って、長く連れ添う事が可能な男性ならばそれで良いと考えているが、これに関しては、男性側のプライドなどにも関わる話であるから、中々難しいのが現状であった訳だ。
それ故に、この話に関しても一旦保留されていた訳だが、極論を言えば、優秀なエルフ族の血筋が残されれば良い訳で、最悪、アキトに娶って貰おう、なんて思惑もエルフ族側には存在していたのである。
まぁ、アキト本人は知り得ない事であったが。)
つまり、種族や立場は違えど、元々マルセルムとグレンは、所謂“お見合いおじさん”という共通項が存在していたのである。
そして、それが今回のティオネロの件で露呈した、という訳であったーーー。
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「「「「「ディアーナ公女殿下、ですか?」」」」」
「「うむ。」」
メルヒ達が異口同音にそう聞き返すと、マルセルムとグレンは、何故か自信満々にそう頷いた。
「・・・確かに、ティオネロさんの立場を考えると、これ以上ないほどの人選ですね・・・。」
「そうであろう?彼女は、ヒーバラエウス公国の大使としても非常に優秀な女性だ。」
「更に付け加えるならば、ディアーナ公女殿下は、お隣のヒーバラエウス公国の“大公家”、という、確かな家柄の出身でもあらせられる。」
「そうですな。更には、聞くところによると、ロマリア王家とヒーバラエウス大公家は、元々は一つの家だったとか。まぁ、とは言え、今現在ではかなり遠縁の親戚、言うなれば赤の他人に近い関係性ですが、ロマリア王国とヒーバラエウス公国の関係を強固なモノとする上では、その意義は大きいでしょうな。」
「まさにそれなのですぞ、グレン殿っ!!!」
以前にも言及したが、元々ヒーバラエウス公国は、ロマリア王国の大公だった者が、政争に敗れるなどの理由によってロマリア王国から独立(追放された、といった方が適切かもしれないが)し、建国した国である。
つまり、ヒーバラエウス公国の“大公家”は、元を正せば、ロマリア王家の血筋であるから、家柄としては申し分がないのである。
もっとも、そうした歴史的経緯から、ロマリア王家とヒーバラエウス大公家が手を結ぶ事などこれまでは有り得なかった話だったのであるが、そこはそれ、アキトらの活躍によって両国の関係は改善への一歩が進み、国交も再開される事になり、何代も代が変わった事で、元々持っていた両者の悪感情も薄れていた訳であるが。(もっとも、グスタークの例にもある通り、ロマリア王国は元々自分達の国であった訳だから、そこを自分達が治めるのが当然である、なんて考え方を持っていた者も一定数いた訳だが。まぁ、そちらに関しても、アキトらの活躍によって一掃されている。)
故に、ロマリア王家とヒーバラエウス大公家の者の婚姻話が現実味を帯びた話となるし、しかもその意義は、ロマリア王国とヒーバラエウス公国の関係を強固にするだけに留まらず、『ブルーム同盟』の持つ理念、平和や共生、連携をアピールする上でも象徴的な意味合いもあるのである。
なるほど、マルセルムとグレンは、ただの“お見合いおじさん”ではなく、政治家としての見識も持ち合わせている事が窺い知れる、というモノである。
「しかし待って下さい。確かにディアーナ公女殿下ならばティオネロ王に相応しいお相手である事は認めますが、しかし、それほどの御方ならば、すでに婚約者が存在したとしても不思議な話ではないかと存じますが?」
だが、そこにメルヒが待ったをかけた。
ティオネロの時にも言及したが、王候貴族は、生まれる前から婚約者が存在するのは珍しい話ではないのだ。
実際、ヒーバラエウス大公家の出身者であり、ディアーナの姉であるベネディアとニアミーナは、ロマリア王国とは別の国の有力貴族とすでに政略結婚をしており、つまりはそうした存在がいた事の証左と言えるだろう。
となれば、ディアーナにもそうした存在がいたとしても不思議な話ではないのである。
条件として、これほど適した存在はいないとは言え、いきなりやって来て横入りをするのは、あまり心証的にもよろしくない行いであろう。
しかし。
「・・・メルヒ殿の御指摘はもっともであろう。しかし、ヒーバラエウス公国では、ロマリア王国と同様に政治体制が大きく変わる出来事がつい最近あったばかりなのだよ。それにはアキト殿も関わっているから、諸君らも当然承知していると思うが?」
「「「「「あっ・・・!!!」」」」」
そうなのだ。
ヒーバラエウス公国でも、ロマリア王国と同様に、アキトの介入によって政治体制が大きく変わる出来事があったばかりなのである。
もっとも、ロマリア王国とは違い、ヒーバラエウス公国では君主であるアンブリオがその座を追われた訳ではないのだが、グスターク率いる主戦派、言わばヒーバラエウス公国の大きな勢力であった者達が一掃された事で、その主戦派の者達が陣取っていた席に空白が出来、ロマリア王国ほどでないにしても、ヒーバラエウス公国でもそれなりに政治体制に大きな変化がもたらされたのである。
となれば、先程ティオネロの件でも言及した通り、ディアーナの婚姻話に関しても、当初の予定とは変わった可能性があったとしても不思議な話ではないだろう。
彼女は、反戦派の象徴的な人物でもあった。
もちろん、最初からそうだった訳ではないのだが、公女という立場から、ドルフォロやグスターク同様、彼女に関しても何らかの政治的な道具として利用してやろうと考えた貴族がいたのである。
もっとも、これは以前にも言及したが、ディアーナはアンブリオのお気に入りだった事もあり、彼女を直接的にどうこうする事は困難を極めた訳である。
ならば、間接的に介入すれば良いだけの話であり、彼女の婚約者に関しても、そうした思惑のもと選考されていた、なんて裏話もある。
まぁ、どちらにせよ、こちらに関してもアキトが関わった事が運の尽きである。
アキトの『事象起点』の能力に巻き込まれた結果、そうした話もご破算になってしまったし、それどころか自らも失脚する事と相成った訳だからである。
まぁ、それはともかく。
「と、いう事は、もちろん当人達の意向もありますが、この話はすでに周辺の状況がクリアになっている、という事ですか?」
メルヒは、ディアーナに現時点で婚約者がいなくなった事を理解し、そう確認した。
「うむ。故に、メルヒ殿の御心配には当たらないのであるよ。もっとも、ここからは当人達だけでなく、ロマリア王家とヒーバラエウス大公家を説得する必要はあるのだが、ね。」
「そこで、お主達の出番という訳だっ!!!」
「「「「「は、はぁ・・・。」」」」」
有無を言わさぬ妙な迫力のあるグレンの言葉に、メルヒ達は圧倒された様に曖昧に頷いた。
「うむ。本来ならば、ここはアキト殿に出張って頂いた方が話は早いのだが、彼の英雄殿は、ロマリア王家ともヒーバラエウス大公家とも個人的に懇意にされておるからな。しかし、残念ながら彼はロンベリダム帝国へと赴いている。故に、彼の英雄殿に成り代わって、ロマリア王家、ヒーバラエウス大公家の説得を、貴殿達に頼みたいのであるよ。」
「いやいや、ちょっと待って下さいよ。百歩譲ってそうした存在は必要だとは思いますが、それが何で俺・・・、私達なのですか?我々の様な下っ端に頼むより、マルセルム公やグレン様が直接出張った方が、話が早くありませんか?」
ここで、ユストゥスが待ったをかけた。
確かに、ユストゥスの指摘はもっともだろう。
マルセルムの言う通り、アキトがその役を担うのは、両国のトップにも顔が効くし、アキトに対する信頼関係からも、彼の言葉ならばアンブリオもマルクも耳を貸すだろう事は想像に難くない。
だが、ユストゥス達はそもそもエルフ族でもあるし、マルクはともかく、アンブリオとは直接的な面識がある訳でもないのだ。
そんな者達にそんな大役を与えるくらいならば、マルセルムやグレンという、立場のある人間が担った方が良いのは、これは火を見るよりも明らかであろう。
「確かに、ユストゥス殿の御指摘ももっともなのであるが・・・、いかんせん、我々では政治色が強くなってしまうのだよ。それでなくとも我々としては、もちろん悪い話ではないのだが、確実にそのお二方の婚姻話には裏の思惑が存在している。ロマリア王家とヒーバラエウス大公家には、その意図が正しく伝わるかもしれないが、やはり他の貴族達の手前、そちらに関しても配慮する必要があるのだよ。場合によっては、穿った見方をする貴族達が現れないとも限らないからね。」
「「「「「あぁ~・・・。」」」」」
先程も言及した通り、ティオネロとディアーナの元・婚約者には、政治的な意図が確実に存在していたのである。
今は、お互いに、その周辺にいる者達は、ある意味彼ら、彼女らの味方ではあるのだが、そこに別勢力の者が介入しようとしたとしたら、彼ら、彼女らを守ろうとする意識が働く可能性もあるのである。
味方が、必ずしもティオネロやディアーナにとって有益な存在とは限らないのである。
そこに来て、他国の要人とは言え、マルセルムやグレンがいきなり婚姻話に言及したとしたら、ロマリア王家やヒーバラエウス大公家はともかくとしても、その周辺に存在する貴族達が王家や大公家を守る上でも反発する可能性もあった。
故に、政治色の強いマルセルムやグレンが動く事は、マイナス要素になりかねないのである。
「しかし、貴殿達なら、政治の話からは遠い印象があるだろうし、何よりも彼の英雄殿の従者であった経歴がある。そんな者達に、面と向かって意見出来る者は、例え大貴族と呼ばれる者でも中々いないだろうね。アキト殿の影響力は、貴殿達が思うよりもずっと大きいのだよ。」
「それに、表向きには、ロマリア王家やヒーバラエウス大公家に対する面会理由も、『ブルーム同盟』に関する報告や、あるいはエルフ族の国との外交に関する事である、とする事も出来るのだ。流石にそれに横やりを入れる者達もおらんだろう。」
「後は、私的にロマリア王家とヒーバラエウス大公家に接触すれば良い。貴殿達ならば造作もない事だと思うが?」
「「「「「・・・なるほど。」」」」」
つまり、公式的には『ブルーム同盟』、あるいはエルフ族の使者としての訪問ではあるのだが、“内側”に入った後は、誰にも気が付かれずにアンブリオやマルクに接触せよ、と彼らは言っているのである。
かなり無茶苦茶な要請ではあるが、もちろんユストゥス達にとっては朝飯前の事であった。
「ああ、それと、この話に関しては、アキト殿の名を出しても問題ない様だ。彼の英雄殿にも確認したのだが、“いいんじゃないですか?”とおっしゃっていた。」
「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」( ̄▽ ̄;)
仕事が早い事で、すでに『通信石』を介して、アキトには了解を取っていた様である。
基本的にアキトは、何か不利益な事が自身、あるいは仲間(場合によっては、ここに全く見知らぬ他人も入ってくるが)に降りかからない限りは、寛容というかいい加減というか、ノーテンキというかの性格であるから、ティオネロとディアーナが幸せになるならいいんじゃね?って感じで、軽いノリでOKしていたのである。
まぁ、皮肉にも、それによって要らぬ苦労を背負わされたのは、かつての従者達だった訳であるが。
「これはもー、逃げ場なし、ですかねー?」
「だねー。流石、海千山千の猛者達だねー。やる事が早いし、そつがないよー。」
「「「「・・・。」」」」(TДT)
改めてそう指摘したヘルヴィとイーナの会話に、ユストゥス達は諦めの境地に立っていた。
実際には、今回の件は、このマルセルムとグレンのただの思い付きに過ぎない事なのだが、それを現実的かつ具体的な話にしてしまうほどの、無駄に優れた行動力と手腕が二人にはあったのである。
まぁ、それに巻き込まれてしまったユストゥス達にとっては不運な事ではあるのだが、ジークとハンスも言及していた通り、アキトで散々経験していたので、彼らの立ち直りも早かった。
「はぁ~。・・・じゃ、まぁ、チーム分けはどうする?」
「・・・そうだなぁ~。」
「おおっ!!引き受けてくれるかねっ!!!」
「うむうむ。流石は私の見込んだ者達だっ!!!」
「「「「・・・。」」」」(^ω^#)
「「・・・。」」(((*≧艸≦)ププッ
切り替えの早いユストゥス達に、マルセルムとグレンは大袈裟に喜んで見せた。
まぁ、ある種逃げ場なしに追い込んでおきながらその言であるから、面の皮が厚い事この上ないのであるが、しばしば人の上に立つ者には、そうした気質も必要なのかもしれないーーー。
「それでしたら、ついでにお仕事をお願いしてもよろしいですかな?」
「「っ!!!???」」
「あれー?ヨーゼフさんじゃないですかー?」
「ホッホッホ。」
「「「「「はぁ~・・・・・・・・・。」」」」」
しかし、そこで、ヨーゼフまでもが介入した事で、ユストゥス達は更に思いも寄らなかった事態に巻き込まれる事を想像してか、深い、本当に深い溜め息を吐くのだったーーー。
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