決起 1
続きです。
冬季オリンピック、いよいよ始まりましたね!
ご時世や、政治的なあれこれもありますが、選手の皆さんにはそんな事は気にせずに頑張ってもらいたいものです。
私も、陰ながら応援しております。
◇◆◇
以前にも言及したが、カル達、冒険者パーティー・『ウェントゥス』も、トロールの一件以来、アラニグラと同様にダルケネス族と懇意にしていた。
これは、実質的なカル達のリーダー的存在であるアラニグラが、ダルケネス族に妙に肩入れしているから仲間であるカル達もそれに付き合っている、という事情もあったのだが、彼らは彼らで、ダルケネス族の現状に思うところがあったのもまた事実であった。
また、もう少し現実的、かつ俗な話ではあるが、彼らはダルケネス族に女がいた事もある。
そう、アルカード家の家人である女性のダルケネス族達の事である。
初めてアルカード家を訪れた時に、ダルケネス族側の事情(定期的に人間族の血液を摂取しなければならない。ただし、ダルケネス族の女性限定ではあるが、人間族の男性との性交渉でも可である。)や、族長であるサイファスが世話になった事の見返りもあって、ある種の打算と計算のもと、カル達とアルカード家の家人の女性達は男女の関係になったのであった。
元々冒険者稼業は、ここら辺は当然ピンからキリまであるのだが、基本的には、女性にあまり縁のない職業なのである。
もちろん、上位の冒険者はモテるし、そうでなくとも、色街などに繰り出す事によって、ある種の性的な解消は出来るのだが。
もっとも、ここら辺は女性側からしたら、冒険者稼業はある意味ヤクザな商売であるから、安定や平穏を求める女性からしたら、冒険者の男と付き合う、あるいは結婚など、そもそも選択肢にないのも、これは致し方ない話であろう。
そうした事情もあり、御多分に漏れず、カル達もそれまではあまりモテない生活を送っていたのであった。
もっとも、彼らは元々実力のある冒険者であったし、アラニグラと行動を共にする様になってからは、レベルの上では上級レベルに到達しており、後はしっかりとした経験を積めば、名実共に上位勢と肩を並べるほどの冒険者に成り上がる事も可能であった。
あまりモテない冒険者稼業ではあるが、上位の実力を持つ冒険者はまた話が別である。
何せ、上位勢の稼ぎは下手な貴族に匹敵するし、その肉体も屈強であるからだ。
この世界においては(もちろん、向こうの世界でもその傾向はあるかもしれないが)、強い男性に女性は惹かれやすい傾向にある。
言うなれば、プロのアスリートが女性に人気なのと似た様な状況なのであった。
まぁ、それはともかく。
そうした事情もあって、これまでモテなかった生活から一転して、大切な女性が出来たカル達は、男として格段に成長していた。
まぁ、その弊害、ではないが、彼ら自身も、アラニグラ以上にダルケネス族に肩入れする事となっていた訳であるが。
もっとも、そうした個人的な事情を含んだ方が、当人達のモチベーションがより上がるというものだ。
今現在のロンベリダム帝国とダルケネス族達も含めた“大地の裂け目”勢力は仲があまり良くないが、彼らはその架け橋となるべく奔走していたのである。
そこには、もちろん、平和に対する思いもあったのだろうが、究極的な事を言うと、ロンベリダム帝国と“大地の裂け目”勢力が和平を結ぶ事によって、自分達とダルケネス族女性達との未来を切り開く意味合いの方が、彼らとしてはより強かったのである。
ダルケネス族女性にとっても、性交渉は一種の治療の様な意味合いを持つモノではあるが、相手は男ならば誰でも良い訳ではなく、そこには多かれ少なかれ恋愛感情は介在していた。
もっとも、アキトの研究によっても明らかとなっていたが、ある一定のレベル(レベル300以上)に到達していない人間族と他種族の間では、子孫を残す事が困難な事もあり、人間族とダルケネス族との恋愛は禁忌とされてきていたが、やはり一度高まった気持ちを捨て去る事も困難だ。
故に、人間族とダルケネス族との禁断の愛は、これまでも起こっていた事であり、カル達とアルカード家の家人達の恋愛に関しても、厳しい意見はあったものの、逆に障害が多ければ多いほど、より一層加熱していくのが恋愛というモノであった。
本来ならば、半ば強制的に引き離すところであるが、先程も言及した通り、カル達(と言うよりかはアラニグラが)はダルケネス族達にとっても恩人であり、現在進行形で世話になっている人物でもあった。
そんな者達に対して、恩を仇で返す訳にもいかず、彼らの関係に関しては、ある種の黙認状態だったのである。
もっとも、先程も言及したが、カル達のレベルはすでに300を越えており、アキトの研究が正しければ、ダルケネス族側の懸念は杞憂でしかない。
情勢さえクリアになり、無事に彼らが結ばれる事があれば、それはそれで、ロンベリダム帝国と“大地の裂け目”勢力との友好関係を象徴する様な、異種間結婚、あるいは、人間族とダルケネス族とのハーフ(と、言っても、こちらも以前に言及した通り、人間族と他種族との間に子供が出来れば、母体側の種族に寄る事となる。今回の場合は、生まれてくる子供達は、ダルケネス族となるので、正確にはハーフとはまた別の存在ではあるのだが)が生まれる事となるのであった。
さて、そんなカル達にとっても、今回のカランの街の冒険者ギルドとダルケネス族との交渉の席は、彼らの夢の実現の第一歩としても非常に重要なイベントであった訳だ。
ただ、彼らはアラニグラとは違い、ネームバリューとしてはそれほど強くはないし、そもそも政治的な事にはそれほど明るくない。
もちろん、冒険者としての実力はあるものの、今回は交渉の席であるし、そうでなくともアラニグラとサイファスが揃っている状況であるから、護衛を必要としていなかったのである。
もっとも、これがもう少し大規模な、あるいはもう少し公式的な席であった場合、多方面に対する面子もあって、護衛を付ける意味合いが出てくるのであるが、残念ながら今回に関しては、まだまだ小規模、かつあまり公の会合ではなかったのである。
故に、今回カル達はアラニグラらには同行せず、ダルケネス族の集落にて、その成功を祈りつつ、待機する事とあいなっていた訳であったがーーー。
・・・
「アラニグラさん達は、上手くやってんのかなぁ~?」
「あの二人が揃ってるんだ。何の心配もないだろうぜ。」
「それに、何も戦いに行った訳じゃないんだから、そこまで心配するこたぁないだろ?・・・いや、お前の心配は、ニナさんの事だったかね?」
「うっ・・・!」
「・・・図星か。」
「おいおい、一段落付いてるからって、無駄話は止めとけ。ここは、まだ森の中なんだからな。」
「「う~すっ!」」
「すまんすまん。」
「ったく。」
アラニグラ達がカランの街で会合を行っていた頃、カル達はダルケネス族の集落から少し離れた森の中にいた。
ダルケネス族は基本的に、自給自足の生活を送っている。
集落の中には田畑もあるし、集落の外には野生動物なども豊富に存在する。
故に、作物を育てたり、狩りをする事によって、糧を得ているのであった。
ここら辺は、この世界の地方の人間族や、エルフ族などの他種族と大した違いのない生活様式であり、ダルケネス族以外の“大地の裂け目”に存在する獣人族達も、似たり寄ったりの生活を送っていたのである。
もっとも、ダルケネス族は、一般的な人間族に比べたら、また、他の獣人族に比べても、基本的な身体能力は格段に優れてはいるものの、中々厄介な種族的疾患を抱えているし、そもそもその絶対数が多くはない(まぁ、極端な少数部族である鬼人族ほどではないが)。
それに、トロール大量発生の一件から、“大地の裂け目”、特にダルケネス族の集落周辺は、森の生態系のバランスにかなりの影響が出ていたのである。
具体的には、トロール達によって、肉食動物にとって食糧となる草食動物などが大量に食い散らかされたのである。
故に、その影響で腹を減らして凶暴化してしまった肉食動物、つまり獰猛な魔獣やモンスターが多数生じてしまう事となったのである。
本来であれば、そうした生態系のバランス崩壊は、長い年月を掛けて元に戻っていくものであるが、森に生きるダルケネス族にとっては、そんな悠長な事は言っていられない事情もある。
凶暴化した魔獣やモンスターが、何時集落を襲うかも分からないし、何よりも、彼らにとってのある種の生命線とも言える動物性タンパク質、つまりは草食動物の肉が、安定的に確保出来ない事態と成り得るからである。
もっとも、こちらもアラニグラらの交渉時に言及したが、ダルケネス族はワイルドボアの家畜化に成功しているので、今すぐどうこうという事はないのであるが、それでも、その交渉が上手く纏まった場合、その家畜方法やその肉を輸出する関係でも、また、“大地の裂け目”内に存在する地下資源を確保する上でも、森の安定化は割と近々の課題となる訳である。
故に、食物連鎖の頂点に君臨する肉食動物を間引く事によって、生態系のバランスを図る必要があったのである。
しかし、ここで、先程の絶対数の話になってくるのだ。
基本的に、ダルケネス族はそれぞれ仕事を抱えている。
作物を育てる者、集落を守る者、狩りを行う者などなど。
更には、エン爺達の面倒を見る必要もある。
まぁ、彼らは彼らで、基本的な事は自ら行うのであるが、そうは言っても、元々身体が不自由な事もあって追放された経緯があるだけに、ダルケネス族の介助は必要になってくる事も多い。
ダルケネス族側はダルケネス族側で、ある意味エン爺達の存在は必要不可欠であるからそこに対する不満はないのだが、結果としてダルケネス族には人手を捻出する余裕があまりなくなってしまう、という事態となっていた訳である。
故に、族長たるサイファスでさえ、雑事に追われる事態となっていたのであった。
そこで、カル達と出番となったのである。
トロールの件では失敗もあったものの、アラニグラ抜きでもカル達の冒険者としての実力は確かなモノであった。
少なくとも、トロールという脅威が去った以上、今現在の“大地の裂け目”には、油断さえしなければ、カル達の脅威となる魔獣やモンスターは存在しない。
故に、その“間引き”を、冒険者として、また、先程言及した思惑などもあって、カル達が請け負っていたのであった。
「けど、ここら辺の目ぼしい奴らは、かなり間引けたんじゃないかな?」
「そうですね。まぁ、貴殿方に恐れをなして逃げ出した可能性も否定出来ませんので、次回はもう少し捜索範囲を広げても良いかもしれませんが。」
「はぁ~、森の調和って、メチャクチャ大変なんですねぇ~。」
「ですね。元々長い年月掛けて築かれる事ですからね。もっとも、崩れるのは一瞬ですが、それを元に戻すには、かなりの労力が必要となります。まぁ、貴殿方の力を借りられている状況の中では、これでも相当な勢いで戻っているのですがね。」
「ならいいんですが・・・。」
カル達の他に、森の案内役としてダルケネス族側からも一人、40代半ばほどの男が同行していた。
今回のクエストは、何々を討伐しろとか言った単純なモノではなく、ある種の調整の様な作業であるからだ。
冒険者ギルドにも、たまにこうしたクエストが舞い込む事もあるが、これは不人気クエストと一つであったのである。
何せ、クエスト内容が複雑であり、なおかつ長期に渡って拘束されてしまうし、その成否の判断が難しい事もある。
本来、森の調和とかは、冒険者の中でも狩人系冒険者の領分である。
カル達は、元々傭兵系冒険者であるから、トロールの討伐の様な、条件が比較的分かりやすいモノならばともかく、こうした作業に関しては、大局を見据えた判断も必要となってくる。
そこで、ダルケネス族の中でも特に森に詳しいこの男が、その案内役、兼判断役を務める事となっていたのであった。
「まぁ、ここら辺は判断が難しい事ではありますがね?食物連鎖の頂点を駆逐しすぎても、今度は草食動物が増えすぎてしまい、森の植物が食い荒らさせてしまう。間引きも行き過ぎると、かえって我々の首を絞めてしまう恐れもあるのですよ。故に、そろそろ調査に重きを置いた方が良いかもしれませんね。」
「ますます大変なんですねぇ~。そりゃ、こうしたクエストが不人気なのも頷けるわ。」
「・・・だが、必要な事でもある、か。なんだかんだ言っても、人間種も自然の一部だという事だな。森から得られるモノは多い。森なくしては、我々の生活も立ち行かなくなる。」
「確かにな。」
改めて、自然との共生の意義やその難しさに、お兄さん組であるレヴァン達は思いを馳せていた。
「まぁ、何でもいいじゃんっ!とりあえず、今日の仕事は終わり、って事でいいんすよねっ!?」
「あ、はい、そうですね。」
「んじゃ、さっさと引き上げましょうよ。俺、お腹が空いたっすよ。」
「お前らなぁ~・・・。」
だが、年若いカルとルークにとっては、そんな事はどうでも良い事だった。
仕事をこなして、仕事が終わったら食う、寝る、遊ぶ。
その思考回路は、単純明快であった。
まぁ、そうした気持ちの切り替えも、時には大事な事ではあるのだが。
「まあまあ。カルさん達の言う事ももっともですよ。仕事も一段落しましたし、それに、そろそろ族長達もお戻りになるかもしれません。我々も集落に戻っても良いかもしれませんよ?」
「・・・まぁ、ウェスさんがそう言うなら。」
「ニナ、元気かなぁ~?」
「前に会ってから、二日と経っていないだろうに・・・。」
「はははっ・・・。」
そんな訳で、一仕事終えたカル達は、ダルケネス族の集落に戻る事となったのであった。
この時は、まさかアラニグラ達が、あんな事態になっているとは思いもしないでーーー。
・・・
「・・・何か、様子が変じゃないか?」
「そうですねぇ~。見張りの様子も、何処と無くよそよそしかったですし、人もまばらですよね。」
集落に戻ったカル達を待ち受けていたのは、妙に活気のない雰囲気であった。
森や山など、暗くなると途端に雰囲気が変わる事もあって、慣れた者達ほど、陽がまだある時間に引き上げるものだ。
カル達も、日暮れを待たずに引き上げて来たので、集落に着いたのは、まだ夕方に差し掛かった頃である。
故に、そこには何時もならば活気ある光景が広がっているのであるが、その時はまるでダルケネス族全体が沈んでいる様な雰囲気だったのである。
「・・・まさか、アラニグラさん達が、何か失敗をしたんじゃ・・・。」
「・・・ふむ、ありうるな。」
カランの街とダルケネス族の集落は、そこまで離れた距離ではないものの、料理や多方面への仕込みなどもあって、アラニグラ達は前日にカランの街に入っていた。
そこで一泊し、翌日、つまり今日の午前から会合に臨んでいた訳であるが、それが済めば流石に戻っている筈である。
故に、レヴァンとレイは、そんな予測を立てていた。
アラニグラとサイファスの力や能力を知っている彼らだったが、しかし相手もある事であるから、交渉事が上手く行かない事もしばしばあるだろう。
それ故に、何かしらの失敗があり、それが伝播して、集落の雰囲気も落ち込んでいるのでは?、と考えた訳である。
しかし、その時の彼らは予測も出来なかった。
それがただの交渉の失敗などではなく、かなりややこしい事態になっている事を。
そして、ニナというダルケネス族女性が一人、すでにこの世にはいない事を。
「・・・何か、イヤな予感がする。サイファスさん家に急ごうぜ。」
「ああ。」
とは言え、時として人は言い知れぬ予感めいたモノを感じる事はある。
特にカルにとっては、ニナは意中の娘だ。
そのカルの真剣な表情に、ルークと含めて仲間達からは、反対意見を出なかった。
いずれにせよ、何かが起こっている事は確かなのだ。
ならば、その事を確かめる上でも、アルカード家に向かうのは、合理的な判断だったからである。
そして彼らは、真実を知る事となったのであるーーー。
・・・
一方、その頃のアラニグラ達は、アルカード家にて沈んだ表情を浮かべていた。
ダルケネス族の風習で、亡くなった者は一旦長老達のもとへと運ばれる事となっていた。
と言うか、それなりに広いこの集落ではあるが、冠婚葬祭を執り行えるほどの広い集会所の様な場所が、長老達が詰めている施設にしかなかったのである。
それ故に、ダルケネス族にとっての長老達というのは、元々祭事などを執り行う者達、という意味合いが強かったのであった。
そうした背景もあって、何かを執り行う時には彼らに御伺いを立てる様になり、それが転じて、何かしらの政治的な判断をする時にも、彼らの長年の経験+占術を頼る様になった経緯があったのである。
まぁ、それはともかく。
それ故に、今現在のアルカード家にはニナがいないのであるが、いずれにせよカル達が戻れば、事の経緯を説明しなければならないのである。
ここら辺は、向こうの世界の様に、訃報を流して、各々が弔問に訪れたり、葬儀に参列したりする為でもある。
とは言え、アラニグラもサイファスも、カルとニナが親しくしていた事は知っているだけに、当然それを知らせるのは気が重い話である。
しかも彼らは、不意討ちを食らったとは言え、場合によっては防げた可能性もあるのだ。
なおかつ、その後はニナを撃ったパリスの部下の男を、報復する事なく見逃している。
まぁ、これは、常識的かつ政治的な判断でもあったし、マルコの顔を立てる意味合いもあったのだが、感情論としては、下手人を見逃した事に、ある種の引け目もあったのであるが。
ちなみに、見張りや集落にいた者達も、当然ニナの訃報を知ってはいたのだが、それなりに広い集落とは言え、人間族であるカルは有名であり、その彼がニナと親しかった事も周知の事実であったが故に、あえて彼らに触れる者達がいなかったのである。
無遠慮にニナの件を彼らに伝えた事で、要らぬトラブルに発展する可能性もあるからだ。
それ故に、カル達を遠巻きに沈痛そうに眺めるだけで近寄ってこない=妙に活気のない雰囲気として現れてしまっていたのであった。
「サイファスさん、アラニグラさんっ!!!」
「お、おお、戻ったのか、お前ら・・・。」
と、そこへ、勢いよく飛び込んで来たカル達を見やり、アラニグラは戻ってきてしまったか、と内心益々気が重くなっていた。
「ええ、こちらは問題なく本日の作業は済みましたよ。で、お二方の方はどうだったんですか?何だか、集落が妙な雰囲気でしたけど・・・。」
「あ、ああ、それがだな・・・。」
妙に歯切れの悪いアラニグラにカル達は怪訝な表情を浮かべていたが、その前にカルが話を遮った。
「っつか、ニナはっ!?ニナはどこだっ!!??」
「落ち着けよ、カル。他の人達の姿も見えないし、多分各々の寝室にいるんじゃないか?」
妙な胸騒ぎを感じていたカルは、慌ててそう確認する。
彼の今の心情は、一刻も早く、ニナの無事をその目で確かめて安心したい感じであったのだ。
それにルークが、努めて現実的な意見を述べたのであるが、残念ながら今回の場合、カルの胸騒ぎが正解であった。
フゥー、と一拍深呼吸をすると、アラニグラは覚悟を決めた様な表情とよく通る声で語り始めた。
「カル。そして皆も、気をしっかり持って聞いてくれ・・・。実は・・・。」
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