地下室の秘密
続きです。
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「オ父様。少シ、オ時間ヨロシイデショウカ?」(提案)
「ん?どうしたの、エイル?珍しく神妙な顔(?)してさ・・・。」
場面は、一旦シュプールに舞い戻る。
時系列としては、ヴィーシャさんの訓練をする為に、一度は離れたシュプールに帰ってきて、ある程度経った頃にティアさん達が訪ねてきた後の話。
ティアさん達の『縁切り(縁斬り)』を問題なく済ませたのだが、その一方でドロテオさんから衝撃の報告を受けた直後の事である。
その事実を確認する為にもその後の対応を決める上でも、僕らも当然王都・ヘドスに赴かなければならない状況であった。
幸い、ヴィーシャさんの訓練はある程度済んでおり、レベルの上ではいまだ“レベル500”には至っていないが、以前にも言及した通り、彼女の強みは、個人の力と言うよりかは、その明晰な頭脳や経験に由来するリーダーシップであり、更には彼女の『幻術使い』である特性を組み合わせれば、少なくとも集団においては、ほぼ敵がいないってところまでは仕上がっていた。
故に、それ自体は問題ないのだが、とは言え(僕らからしたら)そこまで離れた距離ではないとは言え、王都・ヘドスまではそれなりに離れているし、ティアさん達の事もあった。
彼女達とは多少微妙な出会いだった訳だが、まぁ、一応協力関係を構築する事には成功している。
だと言うのにその矢先にここで別れるのは、『通信石』をカモフラージュに、念話を繋ぐ事が可能とは言え、少々心許ない部分もあった(特にアーロスくん辺りは、何を仕出かすか分からないからね)。
それに、ドロテオさんの報告通り、今回の一件がロンベリダム帝国に関する事であるならば、彼の国に詳しいティアさん達にも同行して貰った方が何かと都合が良かった訳だ。
それに関しては、二つ返事でティアさん達の了解が得られた。
まぁ、彼女達からしたら、ロンベリダム帝国はこの世界における拠点となった所だろうし、彼の国には、今も仲間や知り合いもいるだろうから、少しでも情報が欲しいのは、これは当然の反応だろう。
そんな訳もあって、シュプールに滞在しながら、旅の準備を進めるべく、数日のタイムロスがあったのである。
ちょうどそんなタイミングで、エイルが話し掛けて来た、という訳であった。
「イエイエ、オ父様。私ニハ表情ヲ変エル様ナ機能ハ備ワッテイマセンヨ?モウボケタンデスカ?」(困惑)
「ボケとらんわっ!・・・はぁ~、それで、一体どうしたんだい、エイル?」
相変わらず、僕をイジるのを忘れないエイルに思わずツッコミを入れつつ、僕は諦めた様に彼女に先を促した。
「イエ、実ハデスネ・・・。シュプールニ来タ時カラ少シ気ニナッテイタ事ガアリマシテ・・・。」(説明)
「・・・気になっていた事?」
・・・なんじゃろか?
シュプールに、エイルの気にする様な事があっただろうか?
そう考えながら、僕は更に彼女に先を促した。
「ソレハ、『地下室』ノ事ナノデス。始メハ、オ父様モ当然ゴ存知ダト思ッテ敢エテ何モ言ワナカッタノデスガ、ドウモ様子ヲ見ルニ、オ父様モソノ事ハゴ存知デハナイ様子デシタノデ、一応確認シテオコウカト思イマシテ・・・。」(説明)
「ああ、地下室ね・・・。あれは、食糧なんかの貯蔵に利用していたんだよ。けど、僕らはシュプールを一度出る時に、そこにあった物は一旦全部処分したんだ。で、今回戻ってきた時も、地下室を利用する機会がなかったんだよねぇ~。」
僕は内心拍子抜けしていた。
エイルの様子から、もっと重要な案件だと思ったからである。
以前から言及しているが、この世界では冷蔵・冷凍技術がいまだ未発達である。
もっとも、僕やアルメリア様ならば、魔法を使う事によって冷蔵・冷凍が可能ではあったが、僕の訓練の一環ってのもあったのか、そうした事はあまり行わなかったのである。
当然ながら、旅をする上では、保存食が重要になってくるので、普段の生活から今現在のこの世界の生活基準に慣れておいた方が良い。
それ故、魔法を用いない保存技術、常に一定の温度を保っている地下室を利用して食糧を保存したり、乾燥や燻すなどの、今現在の向こうの世界の、特に先進国では一般的ではなくなった手法などを用いて、シュプールでは生きてきたのであった。
「イエ、ソノ地下室デハアリマセン。モット広イ、ソレコソ重要ナ施設ヲ内包シタ『地下室』ガアルノデスヨ、オ父様。」(否定)
「・・・・・・・・・はっ???」
だが、どうやらそれは僕の早合点だった様である。
・・・そんなモンがあるなんて初耳なんだが?
この世界に転生して早十数年。
それこそ、シュプールは僕にとっての(第二の)生家であり、勝手知ってる我が家である。
故に、シュプールの事なら探検しつくしているので、僕でさえ知らない場所があるなど、今まで考えもしなかったのである。
また、先程の繰り返しになってしまうが、エイルが冗談を言っているとも考えづらい。
普段ならばともかく、今の彼女の表情は真剣そのものであるし、『魔道人形』である彼女には、僕ら人間種とは異なる知覚方法が可能である。
特に熱源や赤外線など、目には見えないものが彼女には見えるのだ。
その中には、空間を透過・認識する様な手段もあるのだろう。
故に、彼女が僕の知らない『地下室』があると言えば、それは本当にあるのかもしれない。
そうなると、俄然興味がわいてきた。
「・・・ちなみに、それはおおよそどこら辺にあるか分かるかい、エイル?」
「ソウデスネ・・・。オソラク『地下室』ノ入口ハ、アソコノ部屋カラ繋ガッテイルト思ワレマス。」(思案)
「あそこって言うと・・・。」
・・・アルメリア様の部屋なんけ。
あぁ~、なるほど。
道理で僕も知らない筈だ。
シュプールのほぼ全ては僕も把握しているが、その中で唯一数えるほどしか立ち入っていない部屋がある。
それがアルメリア様の私室である。
アルメリア様がいらっしゃった時は、ほぼこの部屋に入り浸りであったから(内心、僕はアルメリア様をニート女神じゃん、とか思っていたのは内緒である)、何度か入った事はあれど、神様とは言え、女性の部屋を詳しく調べる趣味は僕にはなかったので、それ故に見落としていたのであろう。
「なるほどね・・・。」
「エット、オ父様?私ハ何カ、余計ナ事ヲシタデショウカ?」(疑問)
僕の脱力した様子に、珍しくエイルは困惑した様な仕草をしていた。
それは大層可愛らしく、普段もこの状態ならいいのに、と一瞬考えながら、僕はそれを慌てて否定した。
「いやいや。むしろ良く知らせてくれたよっ!おそらくこれは、アルメリア様が僕に残したプレゼントだと思う。」
「・・・ソウデスカ。」(安堵)
ホッとした様な表情を浮かべたエイルに礼を言いつつ、僕は件のアルメリア様の私室を見据える。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか。とりあえず、調べてみるかな。」
「エエ、ソウデスネ。」(同意)
・・・
アルメリア様の私室には、流石のホブゴブリン達も出入りしないのか、アルメリア様が消えた時のままであろう状態だった。
っつか、流石に向こうの世界のゲームハードやソフトは片付けろやっ!
何にも知らないこちらの世界の住人がこれを発見すれば、オーパーツもいいとこだぞ。
・・・いや、逆に、オタクである僕の為にわざわざ残していった可能性もある、か。
僕ならば、何時か、ゲームをしたくなって、この部屋を訪れるかもしれないとアルメリア様は考えたのかもしれない。
それで、この部屋の秘密を、つまり、『地下室』に通じるヒントを発見させようとした可能性もあった。
まぁ、回りくどいし、アルメリア様は今現在僕の“心の中”にいらっしゃるのだから、直接言えや、とも思わないでもないが、けれどあれで彼女も神様の一柱であるし、それこそ、何時もの『制約』によって言えなかったのかもしれない、か。
などと考えながら、僕はアルメリア様の私室をくまなく調べていった。
一番初めに目に付くのは、先程も述べた通り、向こうの世界のゲームハードやソフトではあるが、それ以外にも、以前にも言及した通り、コタツにテレビ、ジャージやドテラ、黒ぶちメガネなど、見事なほど生活感にあふれたオタク女子の独り暮らしを体現した様な部屋だった。
ここに、パソコンやスマホがあれば、ある意味完璧ではあるが、こちらの世界にはインターネットなどないので、あまり活用方法がなかったのか、それらは流石に置いてなかった。
「フム・・・。見タ事モナイ様ナ道具ガ、トコロ狭シト置カレテイマスネ・・・。流石ハアルメリアオ姉様。勉強熱心デイラッシャル。」(尊敬の眼差し)
・・・うん、エイルが何やら勘違いしている様だが、ここはあえてスルーしておこう。
主に、アルメリア様とエイルの名誉の為、であるが。
「しかし、特に変わったモンは、いや、まぁ、ある意味変わったモンだらけなんだけど、逆にそれらしいモンは見当たらないなぁ~。何らかの封印や、隠し部屋っぽい痕跡もないし・・・。」
「確カニ・・・。デスガ、私ノ“スキャン”デハ、間違イナクコノ部屋ノ下ニ空間ガ広ガッテイルト出テイマスヨ?」(返答)
「ふぅ~む・・・。」
・・・少し冷静に考え直してみよう。
アルメリア様が隠していたと考えるならば、この地下にあるだろう、物か施設かは分からないが、は、まず間違いなく重大な秘密である事は間違いないだろう。
場合によっては、『失われし神器』とか、それどころかエキドラス様のもとにあった『神代の息吹』レベルのヤバい代物かもしれない。
しかし、今現在ではシュプールにアルメリア様は存在せず、更には以前には存在していたアルメリア様の『領域干渉』も解かれている。
また、ホブゴブリン達や、偶然だがクロとヤミが守護しているとは言え、流石にエキドラス様には劣る守護者であり、シュプールを守るには心許ない。
にも関わらず、アルメリア様は何の対策もなしに、シュプールを放置するだろうか?
・・・答えは、否だろう。
『失われし神器』も、『神代の息吹』も、とてつもない力を秘めた代物であり、悪用されれば、まず間違いなくこの世界に影響を及ぼすのだから。
つまり、アルメリア様は、それでも大丈夫だと判断したのだ。
おそらく、この世界の住人では絶対に解けない“仕掛け”を用意していたのではないだろうか?
もっと言うと、僕にしか分からない“仕掛け”があるのではないだろうか?
改めて言うまでもないのだが、僕は元・地球人(日本人)であり、向こうの世界からこちらの世界にやって来ている。
更には、この部屋の状態を見るに、向こうの世界の言語で書かれた物が、不自然なほど大量に存在している。
これらの事から導き出される答えはーーー。
「・・・なるほどねぇ~。」
「・・・?オ父様、何カ分カッタノデスカ?」(確認)
「うん、多分、ね・・・。」
エイルの疑問に僕はそう応えていた。
答えに察しが付けば、後は簡単だ。
この部屋に散乱している物を、しっかりと整理・収納すれば良いのだから。
それを示す様に、わざわざ棚に収納すべきタイトルが書かれているし。
・・・だがこれは、向こうの世界の言語や知識を理解していないと、その答えに辿り着く事はかなり困難だろうけどね。
ピピッ!
ビンゴだ。
僕が散乱していた物を綺麗に整理・収納すると、何かしらの機械音が鳴り響き、僕は自分の考えが間違っていなかった事を感じていた。
〈第一ロック・解除確認。続けて・第二ロックの・キーワードを確認・します。〉
【ワォーン、ワォーン(『選定の像』・に・括られている・『祖霊』の・名前は?)】
もっとも、もしかしたらこちらの世界の住人でも偶発的に揃える事も可能かもしれないが、アルメリア様がその事を想定していない筈もなかった。
「ワォーン、ワォーン(シルウァ様。)」
「オオッ!」(尊敬の眼差し)
向こうの世界の言語に続いて、次は『白狼』の言語や知識に関する問い掛け、か・・・。
まぁ、僕にとっては何て事はない問答だが、上手いやり方であると感心してしまった。
エイルの尊敬の眼差しに、若干後ろめたいモノを感じながらも、僕はそう答えた。
だが、流石にこれで終わりではなかった。
〈正解。第二ロック・解除確認。続けて・最終ロックの・キーワードを確認・します。〉
【ノーレン山の・『神代の息吹』を守る・現守護者の名前は?】
・・・今度は、『竜語』か。
『日本語』から始まり、『白狼』の言語、『竜語』を介する事が出来るのは、この世界広しと言えど、まず間違いなく僕だけだろう。
そういった意味では、このセキュリティの厳重さは申し分ないだろうね。
【山の神、エキドラス様。】
〈正解。最終ロック・解除確認。続けて・スキャン開始。・・・終了。〉
【貴方が・『資格者』であると・認めます。ようこそ・マイマスター。】
「・・・?」
「・・・???」(きょとん)
ガコンッ。
・・・『資格者』ってなんじゃろか?
そんな事を考えながら、床そのものが動き出すのを僕は振動によって理解していた。
なるほど、この部屋そのものが、一種の“エレベーター”になっていたのか。
道理で、『地下室』の入口らしきモノが見付からなかった訳である。
そんな事を考えながら、僕とエイルは『地下室』に到達したのだったーーー。
・・・
ウィーンッ。
シューーー。
振動の割には、静か過ぎるほどの移動音であった。
これならば、仮にアルメリア様が『地下室』に移動していたとしても、シュプールにいる僕らにはそれが分からないだろう。
まぁ、人間種よりも遥かに耳の良いクロやヤミならば、その異変に気付く事があったかもしれないが、そこはアルメリア様が彼らに言い含めておけば良い事だ。
クロとヤミにとっては、アルメリア様の言い付けは絶対だからな。
そんな裏事情に思い至りながら、改めてその場を見渡してみた。
・・・うん、間違いない。
『地下室』は、『失われし神器』か、『神代の息吹』に該当する施設の様だ。
そもそも、アルメリア様がわざわざ拠点にしていた事も考え併せると、シュプールそのものが、『地下室』を守る為のカモフラージュ、兼セキュリティの一種だったのかもしれない。
今現在のこの世界ではありえない機器類を眺めながら、僕はそんな事を考える。
「オオッ・・・!私ノ“データベース”ニモ存在シナイ機器ガ、コンナニ大量ニッ・・・!!!」(驚愕)
「これが、『地下室』の秘密、か・・・。」
〈・・・その通りっス。〉
「「っ!!!」」
ここで、ようやくアルメリア様が反応を示した。
「おや、アルメリア様。お早い反応で・・・。」
「御無沙汰シテオリマス、アルメリア御姉様。」(ぺこり)
〈こんにちはっス、エイちゃん。・・・それとアキトさん。あんまり意地悪言わないで欲しいっスよぉ~。〉
少々皮肉混じりの僕の言葉に、アルメリア様は苦笑した感じだった。
まぁ、色々と『制約』があって、アルメリア様達“高次の存在”も大変な事はすでに十分承知しているが、振り回されるこちらとしては、皮肉の一つも出てこようというモノである。
“もっと早く、色々教えろやっ!”
って感じである。
だが、この場に至った事でアルメリア様が登場したという事は、何らかの条件がクリアされる事を意味するのだろう。
つまり、彼女が様々な疑問に答えてくれるかもしれない、って訳だ。
〈・・・まぁ、正直、アキトさんの反応の分からなくはないっスけどね。最初っから、色々教えろよ、って感じなんでしょうから。〉
・・・あ、分かってんのね。
まぁ、そりゃそうか。
情報が大事なんて、この女神様が分からん筈もないしね。
「はぁ、まぁ、もうそれはいいっスよ。これも、『制約』、なんですよね?」
〈ええ、まぁ、厳密には違うんスけど、似た様なモノっスね。それにそもそも私は、この世界に過干渉する事が出来ないっスからねぇ~。それこそ、ゲームなんかの上位存在と同じっス。もし仮に、私達が自由の身であるならば、問題があっても自分達で解決するっスからねぇ~。〉
・・・うん、あんまりメタ的な発言はしないで欲しいが、言わんとする事は分かる。
マンガやゲーム、アニメなんかにおいては、アルメリア様の様な上位存在が登場する事も多いが、あくまで彼らの役割は、主人公であるプレイヤーを導く役割であって、様々な要因によって、自ら動けない事もしばしばある。
何なら、そうした存在が出張れば、話は簡単なのであるが、そうなると主人公やプレイヤーの役割が不要となってしまうからな。
まぁ、アルメリア様の立ち位置は、そうしたメタ的視点とはまた異なるかもしれないけど、むやみやたらに出張れない、という意味では似た様なモノなのかもしれない。
それ故、己の意図した未来に繋げる為には、誰かを導く必要があるのだろう。
それがアルメリア様達にとっては、僕、という事なのだろう。
「・・・まぁいいか。で、これって何なんですか?『失われし神器』・・・、いや、もしかしたら『神代の息吹』、ですか?」
〈ええ、その通りっス。シュプールは、元々これを隠す為のカモフラージュだったんスよねぇ~。まぁ、これは地中に埋まっているから、逆にシュプールを隠れ蓑にする必要はない様に思われるかもしれないっスけど、そうすると誰かが掘り返してしまう恐れもあったっスからねぇ~。〉
「・・・なるほど。」
〈まぁ、仮に誰かが掘り返してしまったとしても、中に侵入する事は不可能っスけどね。まず、ロックを解除する事が出来ないでしょうし、仮に解除出来たとしても、資格を持っていないでしょうからね。〉
「・・・資格?」
そういえば、先程も何かの機械音声が、『資格者』がどうの、って言っていたな。
〈資格ってのは簡単っスよ。限界突破を果たしているかどうか。正確には、アストラルレベルが一定以上かどうかが鍵となっているっス。〉
「ああ、なるほど。」
それは、今現在のこの世界では、僕以外には該当者はいないわ。
っつか、向こうの世界の言語はともかくとして、『白狼』の言語や知識、『竜族』の言語や知識、更には限界突破の試練など、これまでの僕の体験は、僕がこれを手にする為にアルメリア様が仕組んだ事だと思い至った。
まぁ、キーワード、パスワードの変更は後付けで出来るかもしれないが、限界突破だけは、意図しないと出来ない事だっただろうからね。
「つまりアルメリア様は、最初からこれを僕に譲渡する目的で、あれこれと指示をしていたんですね?」
〈それで概ね間違っていないっスね。けどまぁ、まさかアキトさんが自力で気付く前に、エイちゃんが気付くとは予想外だったっスけどね。まぁ、それも、厳密にはアキトさんの影響の結果っスけどね。『魔道人形』には驚異的な技術が数々搭載されていますけど、いくら自律思考型とは言え『魔道兵』である以上、主の命令なく自発的に動く事はそうそうないっスからね。そもそも、今回のケースの場合は、命の危機が迫った場面ではありませんから、アキトさんのアストラルの影響を色濃く受けたエイちゃんだからこそ、『地下室』の存在に気付いてそれをアキトさんに伝えた、とも言えるっスからね。エイちゃんは凄いっスねぇ~。〉
「エヘヘッ・・・。」(テレテレ)
褒められて嬉しいのか、エイルは満更でもない感じであった。
・・・うん、偉い、エライ。( ̄▽ ̄;)
〈さて、これでようやく、私の役目も一段落付いた感じなんっスけど、問題はここからっスよ、アキトさん。〉
「・・・・・・・・・はい?」
とりあえず、話は一段落付いたと思っていた僕は、目の前に広がる機器類に興味が移っていた。
っつか、『失われし神器』、どころか、『神代の息吹』の遺産、しかも、アルメリア様の発言から考えるに、すでに僕に所有権が移っているだろう物を前に、僕の好奇心や知識欲が刺激されない筈もない。
これが何なのか、知りたくて、調べたくて堪らない僕に、アルメリア様はそう待ったを掛けた。
〈まぁ、アキトさんの性格を考えると、これが何か調べたくてウズウズしている事でしょうけれど、今は我慢して下さいっス。結構、ヤバめの事態が巻き起こってるっスから。〉
・・・うん、かなり長い付き合いで、アルメリア様には僕の性格などお見通しの様だ。
などと考えながら、アルメリア様ほどの存在が、ヤバめの事態、と言った事が僕は引っ掛かっていたーーー。
誤字・脱字がありましたら、御指摘頂けると幸いです。
ブクマ登録、評価、感想等頂けると幸いです。よろしくお願いいたします。




