追記~後日談 その4~
続きです。
7万PV越えましたっ!
御覧頂いた皆さんには感謝を。
今回は、主人公の異常性を少し垣間見て頂きましたが、次の次辺りの幕間話で、その原因の一旦を描く予定です。
よろしければ、引き続きお付き合い頂けると幸いです。
◇◆◇
「・・・それで、なんで『異世界人』や『ハイドラス派』の者達を、何もせずに解放してしまったっスか?」
「・・・。」
「いやいや、ウルカさんとハイドラスとの『縁』はちゃんと斬りましたよ?少なくとも、それがキッカケでこの世界のバランスに悪影響を与える事態にはならないと思いますが・・・。」
僕は今、僕自身の『精神世界』に強制連行されていた。
そこで、アルメリア様とセレウス様と会話を交わしているのだが・・・。
っつか、呼び出したんなら、ス〇Ⅱやってないで、こっち向いて貰いませんかね?
さっきから、フンフンッうるさいんすけど。( ̄▽ ̄;)
後・・・、何かコワイ。((((;゜Д゜)))
「そういう事を聞いてるのではないっスっ!そこまでやったんなら、何で排除しなかったっスかっ!?」
「ちょっ、アルメリアの嬢ちゃんっ!少し落ち着きなってっ!!!」
「いやいや、現段階で『ライアド教』や『ハイドラス派』との全面的な『敵対行為』は避けるべきでしょう?腐っても『ライアド教』は、この世界の『最大勢力』を誇る『一大宗教』ですよ?向こう側に争いの『口実』を与えてしまっては、こちら側の不利になりますからね。それに、僕の『千里眼』によれば、『ハイドラス派』の二人の女性はともかく、『異世界人』の女性は、まだ何の『罪』も犯していません。少なくとも、この世界ではね。危険だから排除する、と言うのは、この世界においてはある種正解なんでしょうが、僕の『信条』には反します。もっとも、僕の『前』に立ちはだかるのなら、その限りではありませんでしたがね。」
珍しく感情的な表情で、アルメリア様は僕の行動を批判するのだった。
それに、僕と繋がっているセレウス様は僕の考えを『読んだ』のか、アルメリア様をなだめ、僕も僕の『信条』をアルメリア様にお伝えした。
「・・・すいませんっス。それに関しては、アキトさんの『主張』が確かに正しいっスね。・・・『野良神』となった事で、ワタシ本来の『思い』が溢れてしまって、中々制御が効かなかったっスよ・・・。」
「・・・俺ら『神々』にも、それぞれに『感情』が存在するからなぁ~。『役割』に縛られている間は、その『役割』に従った合理的かつ理想的な『判断』が可能なんだが・・・。」
ほぉ~。
聡明なアルメリア様がそんな事を言うのは珍しい、っつか新鮮だなぁ~、とは思ったが、そういう“事情”があったんだなぁ~。
つまりは、僕が今まで見てきたアルメリア様は、『管理神』としての『側面』と、『忘れられた神』としての『側面』だった訳か。
んで、今現在のアルメリア様が、本来の“素”の部分であった、と。
「なるほど、本来のアルメリア様は、意外と過激な『思想』もお持ちなんですね。いえ、批判するつもりはありませんよ。こんな『世界』でなら、“疑わしきは罰する”とか“暴力を持って解決する”と言うのも分からなくはありませんからね。そうでなければ、守れないモノもあったのでしょう。」
「っ!!!???」
「っ!!!あ、アキト・・・。お前、もしかして、気付いてっ・・・?」
「いえ?まだまだ僕の『霊格』は、その『域』に達していませんからね。この世界の『真実』とやらには至ってはいませんよ。しかし、あなた方と長く付き合っていれば、ある程度の『推測』は可能です。その上での、僕の『仮説』ですが、おそらく、セレウス様が『封印』されていた事も、その辺と関係する話なのではないですか?」
「「っ・・・!!!」」
おや、お二人が黙ってしまった。
結構、的を射た『仮説』だったのかもしれない。
しかし、そこまで驚く事でもないだろうと思うが・・・。
今までの経緯を見ていれば、お二人(おそらく、ルドベキア様も)は特別な『関係性』にある事は疑い様がない。
と、言っても、恋愛的な感じではなく、どちらかと言えば、『親子関係』、あるいは『兄弟関係』に近いモノだろう。
そして、これもセレウス様の発言から、セレウス様とハイドラスが、ただならぬ『因縁』を持っている事はほぼ確定的だ。
ここからは『推測』の域を出ないが、その事が要因となって、その結果としてセレウス様が『封印』される事となったのだろう。
ま、それが原因かは知らないが、その果てで向こうの世界に飛ばされたとも『推測』出来るが。
それほど親しい『関係性』の者達が、セレウス様の身を案じたり、あるいは何かしらのセレウス様との『因縁』を持ち、セレウス様が『封印』される事になった要因である(と『推測』される)ハイドラスに『悪感情』を抱いたとしても、何ら不思議ではない。
と、言うか、そっちの方が今までの経緯的にしっくりくる。
今まではそれが表立っては見えなかったが、ハイドラス、ひいては『ライアド教』や『ハイドラス派』に対するアルメリア様の『個人的』な『感情』が見え隠れした事で、この『仮説』はかなりいい線いっているのではないかと僕は思っている。
まぁ、先程も述べた通り、『真実』とやらに到達するには、まだまだ『情報』が足りないとは思うが。
「あいかわらず、底知れん奴だなぁ、お前は・・・。俺でさえ、お前を今だに『読み』きれんわ。」
「いえいえ、僕なんて結構単純ですよ?基本面倒くさがり屋で、他者に対してあまり干渉しない、自分の好きにしたらいいんじゃね?って『スタンス』ですし、まぁ、やる事はやりますけどね。」
「「・・・。」」
じとーっと、疑いの目を向けるお二人。
いや、正にその通りでしょ?
一応、僕なりの『倫理観』や『正義感』は持ってはいても、それを持って、『世界』を正そうなんて高尚な考えは持ち合わせていない。
それは、『英雄』の『称号』を与えられた今でも変わらないのだ。
基本的には、僕はそれぞれが自分の好きに生きたらいいと考えている訳である。
まぁ、当然、他者に迷惑を掛けない事が理想ではあるがな。
(前々から思っていたっスけど、アキトさんは少し達観し過ぎじゃないっスかね?いえ、彼の『精神年齢』を鑑みれば、分からなくはないっスけど。)
(いや、人間、そう簡単には悟れないモンだが、アキトは少々特殊でな。アルメリアの嬢ちゃんも、アキトの『前世』は、多少見ているかもしれないが、色々あって、アキトは、『諦め』にも似た『境地』に達しているのよ。半ば『人間不信』にも近いかもな。)
(ええっ!?そんな風にはとても見えないっスけど・・・。)
(それは、アキトが並外れた『精神力』を持っているからさ。まぁ、これは追々話してやるよ。)
(はぁ・・・。)
うん、何だかお二人で『念話』している様だが、僕にはまだそれを『傍受』する事は出来なかった。
まぁ、悪い感じもしないので、とりあえずスルーしておこう。
「それで、それを問い質す為に僕は『精神世界』に呼ばれたんでしょうか?」
僕は、そう話題を切り替えた。
「まぁ、それだけでなく、一応進捗の確認の為に、な。今回は俺達も、あまり詳しく『見え』なかったんだよなぁ~。問題なく、『縁斬り』は出来た様だな?」
もしかして、『妨害』の影響かなぁ~?
あるいは、僕の『精神防壁』が強化されたのか。
いずれにせよ、セレウス様とアルメリア様にまで影響が出たのは予想外だったが、これなら問題なくハイドラスにも影響が出ている事だろう。
元々、今現在のセレウス様は、僕の『プライベート』を尊重してくれている。
いくら僕の『中』に『宿って』いるとは言え、僕も僕の行動の全てを知られるのは恥ずかしいので、その配慮には大いに感謝している。
一応、僕も年頃の青少年なモンで。///
まぁ、ある程度はセレウス様自身、あるいはアルメリア様自身の考えで、『現世』の『情報』を収集している様だが、今回は『妨害』の影響で、全てを『見る』事が出来なかったんだろう。
「ええ、問題なく。それと、期せずして『異世界人』達の『スタンス』と『目的』も判明しました。これらを利用すれば、『異世界人』の一部はこちら側に引っ張り込む事も可能でしょうね。まぁ、もっとも、『異世界人』の望んだ通りの『帰還』は不可能ですがね。」
「ふむ。それも含めて、お前はウルカとやらを見逃したのか?」
「まぁ、そうですね。『異世界人』も一枚岩ではなさそうですが、もし彼女を『強制送還』していれば、見掛け上としては、僕が彼女を消した事になりますからねぇ~。少なくとも、僕への『異世界人』の『心証』は悪くなるでしょうね。」
「ああ、その可能性を失念していたっスねっ!」
アルメリア様が僕の見解を聞くと、理解を示してくれた。
「もちろん、『ハイドラス派』の者も含めて排除する手もありましたが、先程も申し上げた通り、長い目で見ると、それも悪手になりかねませんからね。」
「確かにな。良い悪いはともかく、人ってのは、最終的には『感情』で判断しがちだからな。」
「そうっスね。」
何だか実感がこもってるなぁ~。
まぁ、『神々』ともなると、様々な人間の『負』の部分を見てきたのだろう。
僕も『経験』はあるんだけどさ。
「しかし、話は分かったが、よくハイドラスの野郎が介入してこなかったな。お前が斬ったとは言え、その前までは『異世界人』と『リンク』が繋がっていただろうに。」
「ああ、それに関しては、少し実験的な方法を試させて貰いました。もちろん、ある程度は他の方法でも可能なのでしょうが、確か、ハイドラスは『信者』達の『目』を通して『情報』を収集しているハズですよね?んで、今回の件には、『魔道人形』を狙って『異世界人』と『ハイドラス派』の者達が派遣されて来ました。つまり、下手な方策を取ると、奴にこちら側の『情報』が筒抜けになる可能性もありました。そこで僕は、この街限定ではありますが、奴の『強制アストラルリンク』を『妨害』してみたんですよ。」
「い、いつの間にそんな『術儀』を・・・。」
「いやいや、アルメリア様が『ヒント』はくれていたでしょ?『領域干渉』、ま、僕の場合は『結界術』ですが。」
「なるほど。“場”の『ルール』を掌握する『技術』っスね。しかし・・・。」
複雑な顔をしたアルメリア様が、セレウス様と顔を見合わせていた。
何か変だっただろうか?
『結界術』を応用すれば、例え『アストラル』と言えど影響を与えられると考えた訳だが・・・。
(まさか、そんな手法があったとは・・・。)
(セレウス様は、『情報』は『専門外』っスからね。しかし、それでも、アキトさんの『発想力』は凄いっスよ。『神格』が上か同等程度であれば、そんな事せずともお互いの“干渉”を打ち消す事は可能っスけど、いくら『神性』の『領域』に達したとは言え、人の身であるアキトさんが、『工夫』によってハイドラスに対抗してみせるとは・・・。ワタシ達も、すっかり手玉に取られていたみたいっスね。)
(アキトの恐ろしい所は、その『力』でも『能力』でもなく、その『発想力』と『工夫』かもな。格上相手でも、相手を出し抜く事や思いも寄らなかった事を仕出かす事が可能だ。あるいは、そう『誘導』しているのかもしれないがな・・・。)
「んじゃあ、今回の件は、全てアキトのプラン通りにいったって事でいいんだな?」
「そうですね。『ヒーバラエウス公国』の『危険分子』は一掃出来たので、後は『ヒーバラエウス公国』の人達の手腕次第でしょう。『ヒーバラエウス公国』と『ロマリア王国』の『外交交渉』も本格化するでしょうし、そうなれば、そう遠くない内に『国交』も正常化するでしょう。『交易』が本格化してくれば、『リベラシオン同盟』を介して『三国同盟』の話を持ち掛けても良いでしょうが、まぁ、そこら辺は皆さんにお任せで。エイルも確保出来ましたし、ハイドラスには『情報』を与えず、こちらはある意味“楔”を打ち込む事が出来た訳ですし、僕らの『目的』から言えば、まずまずの『成果』と言えるのではないでしょうか?僕らの『ヒーバラエウス公国』での『役割』も、ここら辺までじゃないっすかね?」
「“楔”と言えば、お前はウルカとやらとハイドラスの『縁』の他に、『ハイドラス派』の女達にも“何か”仕掛けていた様だが?」
「いやいや、仕掛けって程のモノではありませんよ。ただのハイドラスに対する嫌がらせ程度のモノです。後は、まぁ、『縁斬り』の練習と実験ってトコですかね?」
「一体何をされたっスか?さしつかえなければ、教えて欲しいっス。」
これまでと一転して、興味津々とアルメリア様が僕に問い掛けてきた。
「えっと、多分お二人も御承知だとは思うのですが、ウルカさんと共にいた『ハイドラス派』、正確には『血の盟約』のメンバーである女性二人の内の一人、確かエネアと呼ばれた女性は、すでに亡くなられています。正確には、彼女の本来の『魂』や『霊魂』は、この世界の『理』通りに『世界』へと帰化した訳ですが。」
「その通りだ。いくら『異世界人』達の『異能力』とは言え、『世界』の『理』を覆す事は不可能だったな。」
「けど、実際には彼女は生きているっス。これはどういう事っスかね?」
試す様にアルメリア様が、僕を見つめてきた。
ようやく僕の知っているアルメリア様っぽくなってきたな。
「その答えは結構単純です。今現在の彼女の『中身』は、言わば『魂』や『霊魂』の『代用品』として、彼女自身の『残留思念』が使用されているんですよ。『復活』や『蘇生』関連の一番のネックは、その『魂』や『霊魂』に関わる部分、言わば『アストラル』関連です。『肉体面』の『復元』自体は、さして難しくありません。もちろん、様々なハードルはありますが、ウルカさん達の『異能力』ならば、それも簡単でしょう。あるいは、『器』として、『魔道人形』の様な『人造物』を用意する方法もあります。しかし、『魂』や『霊魂』だけは例外で、それ故に通常は『復活』や『蘇生』は上手くいかないのが常ですね。何故なら、その『器』に『術者』の想定外の『魂』や『霊魂』、まぁ、普通は『悪霊』や『雑霊』などの全く別のモノが入り込んでしまうからですね。『魂』や『霊魂』が違えば、当然全くの『別人』、あるいは『別人格』になってしまいますから、『復活』や『蘇生』は失敗に終わる。まぁ、大抵の場合は、『自我』の吹き飛んだ狂暴な『化け物』となってしまうのが、『復活』や『蘇生』関連のお約束ですが。しかし、そうとは知らずにウルカさんは『蘇生魔法』を試みて、成功。おそらく、彼女の『異能力』が“辻褄”を合わせる為に、滞留していたエネアと呼ばれた女性の『残留思念』を、自動的に組み込んだのでしょう。これは、エネアと呼ばれる女性が、高レベルであった事も、成功の要因となったと推察出来ます。」
「ふむ、ほぼ正解っス。短期間の内に、よく『アストラル』の事を理解している様っスね。」
「まぁ、僕の場合は、『オタク的知識』もありますからねぇ~。」
「しかし、そうなると、そのエネアとかいう女の『中身』は、『偽物』になってる訳だよな?」
「そこら辺は、あまり大した違いではありません。言わば『残留思念』は本来の『魂』や『霊魂』の『コピー』ですから、端から見れば、そう違いが分からないからです。それに、本人も自分が『偽物』である事には気付いていないでしょう。ハイドラスとしても、『駒』が『復活』した事は喜ばしい事態ですから、その辺はあまり頓着しないでしょうし。ただし、もとの『魂』や『霊魂』が持っていた『霊的エネルギー』はかなり流出してしまいましたので、どうしても以前の彼女とは『レベル』の上では格段に『ランクダウン』していますけどね。」
「ふむ、それは面白い見解だな。んで、それと“楔”の件がどう関連するんだ?」
セレウス様は、先を促した。
「元々僕らは、『至高神ハイドラス』や『ハイドラス派』に対する『情報』があまりありません。これは、彼らも様々な勢力に対する対抗策として、『情報規制』や『情報操作』、『印象操作』などを駆使して、その『全体像』をぼかしているからですね。まぁ、『情報』が重要なのは、今さら議論するまでもないので、そうした『セキュリティ』の存在は当たり前の話ですがね。また、『全体像』や『至高神ハイドラス』の『実像』をぼかす事によって、人々に『想像』の余地を与える事にも一役買っています。穿った見方をすれば、『神秘的』で『ミステリアス』な方が、人々の興味を惹きますからね。もちろん、セレウス様やアルメリア様ならば、ハイドラスの『情報』に詳しいかもしれませんが、『制約』によって明かせない事も想定出来ます。」
「まぁな。奴に関する事、っつか、俺やアルメリアの嬢ちゃんなんかの『高次』の『存在』の詳しい詳細は、人々に伝えるのは『禁忌』だ。まぁ、色々あってな。」
若干複雑な顔をするセレウス様だが、僕は別にお二人を責めている訳ではない。
「それは承知しています。それは、もしかしたらこの世界の『根幹』に関わる事かもしれませんから、『トップシークレット』なのはむしろ当然だと思います。ですが、それだと今までと同様に、後手後手に回る可能性が高くなります。それは、『戦略』や『戦術』的に見たら不利でしかない。そこで、僕は『自力』でそれらに探りを入れようと考えた訳です。」
「・・・なるほど。『異世界人』や『ハイドラス派』の者達を解放したのは、そうした“狙い”もあったっスね?」
そのアルメリア様の言葉に、僕はコクリッと頷いた。
「ええ。言葉を選ばずに言うならば、彼女達を殺さずに生かして帰した方が、『利用価値』が高いと判断したんですよ。若干、人でなしだなぁ、と自分でも思いますがね?」
苦笑しながら僕は自嘲気味にそう言う。
「「・・・。」」
「ま、まぁ、それはともかく、その『情報源』として、ウルカさんと『血の盟約』の二人の女性を利用する事にした訳ですね。」
「なるほどな。で、具体的には、どの様な事を仕込んだんだ?」
「それに関しても、実験的な方法を試していますので、まだ何とも言えないのですが、僕なりに解釈した『縁斬り』の応用を少々。」
「「・・・応用?」」
頭に疑問符を浮かべたお二人は、顔を見合わせる。
「ええ。まず、『絶対条件』としては、この世界に悪影響が出る可能性を考慮すれば、『異世界人』達と『至高神ハイドラス』との『縁』は確実に斬らねばなりません。そうしなければ、セレウス様やアルメリア様も言及した通り、最終的な結末として、別の世界線の『魂』である『異世界人』達の強大な『霊的エネルギー』が、この世界線では帰化出来ずに暴走。『世界』の『システム』に対して多大な悪影響を与える可能性が極めて高いからですね。最悪そうなってしまった場合は、『悪霊化』、あるいは『怨霊化』した『異世界人』達を消滅させなければ、この世界の平穏が保てません。しかし、それではあまりに『異世界人』達が不憫ですから、とりあえずの『死後の権利』の『保障』としての『縁斬り』ですね。」
「ふむ・・・。」
「フンフン・・・。」
何だか、いつもとは異なる“立ち位置”だなぁ~。
いつもは、僕がお二人に教えを受ける『立場』だったが・・・。
しかし、まぁ、考え様によっては、人の身とは異なる『立場』であるお二人には、究極的には人の『気持ち』などは理解が及ばないかもしれない。
そうした意味では、人の身でありながら、『神性』の『領域』に至り、『神々の業』すら体得しつつある僕の『発想』は、お二人には新鮮なのかもしれないか。
「しかし、そうなると『異世界人』達と『至高神ハイドラス』との『リンク』も斬れてしまう可能性があります。まぁ、正確に『縁』と『リンク』の違いを言語化する事は困難を極めますが、僕なりの解釈としては、『契約』の『強度』の違いであると考えています。極論を言えば、『情報』を収集する為には、誰かと『縁』を繋ぐ必要はありません。ただ『ネットワーク』に『アクセス』する方法が分かれば良いだけですからね。ここら辺は、この世界における『世界の記憶』の概念や、向こうの世界における『インターネット』の概念を参考にしていますが。」
「なるほどな・・・。」
「本来ならば、今現在のこの世界における『情報技術』では、『情報』を収集する為には、誰かと繋がる必要があるっスけど、『高次』の『存在』であるハイドラスにはそれが当てはまらない。それ故に、その『ネットワーク』の方に着目したっスね?」
「その通りです。ぶっちゃけると、『縁』ってのはかなり曖昧なモノですよね?僕も感覚的にしか理解出来ませんし、それはセレウス様、アルメリア様にルドベキア様、そしてハイドラスも同じなのではないでしょうか?それでは、具体的には何を持って『縁』と判断しているのでしょうか?」
「それは・・・、『絆』、とか・・・?ああっ、なるほどなっ!!!」
「それで、『リンク』に行き着くっスねっ!!!」
「その通りです。すなわち、繋がる『力』を僕らは『縁』や『リンク』と定義している訳ですね。当然ながら、ハイドラスとしても、一度結んだ『リンク』が斬れてしまえば、僕や『神々』の『干渉』を疑うでしょう。そうなれば、『情報収集』の観点からは、入口の時点から不利になってしまいます。当然ながら、『情報』の漏洩を危惧する訳ですからね。しかし、曲がりなりにも『リンク』が繋がっていれば、それを疑う事もないと考えています。ここら辺はまだまだ実験段階ですから、結果待ちになりますけどね。しかし、上手くすれば、『縁斬り』と同時に、これまでこちらからは内情が分からなかった『ハイドラス派』の『内部情報』やハイドラスに関わる『情報』を収集出来るかもしれません。」
「なるほどな。つまり、『縁』のみを斬り、『リンク』のみを残したって感じか。しかし、それで上手くいくかね?」
セレウス様は、一定の理解を示しながらも、懐疑的な意見を述べた。
「おそらく大丈夫じゃないかと。と、言うのも、僕はすでにエイルの『支配権』、ニコラウスさんとエイルとの『リンク』を“上書き”する事に成功しています。確かに、ニコラウスさんとハイドラスでは、その『レベル』に圧倒的な差がありますが、“騙し合い”と言う観点からは、僕はハイドラスに負ける気がしません。何故なら、この世界の現状を鑑みれば、ハイドラスには長い事己の脅威となるモノが皆無だった訳ですからね。ハッキリ言うと、かなり油断しているのではないかと僕は思っていますが。それに・・・。」
「・・・それに?」
「いえ、別にバレたとしても、こちらとしては別に損はないのですよ。結果としては、ウルカさんに加え、『血の盟約』の二人の女性の『縁斬り』を実行し、あえてその『リンク』を強化してみました。これは、それによって『情報』の流出を促している側面もありますが、彼女達がハイドラスに対して疑問を持つ事が一番の“狙い”なんですよ。強固な『組織』や『団体』を“外側”から切り崩す事は難しいですが、“内側”から切り崩すのは比較的容易ですからね。」
「そうかっ!『縁斬り』によって、彼女達の『信仰心』も薄れてしまう訳っスから、これまでの様な盲目的な『狂信者』ではなくなる。しかも、あえて『リンク』を強化する事によって・・・。」
「彼女達に対して、ハイドラスが行った『裏工作』が露見します。彼女達がハイドラスの下についた経緯も、実はただの『マッチポンプ』ですからね。僕なんかはひねくれた人間ですから、都合良く自分を救ってくれた存在に対して、懐疑的な目を向けてしまいますが、本来世の中なんてのは、理不尽なモノですからね。しかし、純粋な、言葉を選ばずに言うなれば、『精神性』の幼い者達ならば、自身が絶望のどん底にいる時に救いの手を差し伸べた存在に対して、妄信的になる事は想像に難くありません。そうしてハイドラスは、己の都合の良い『駒』を手に入れていた訳ですが、その『事実』が露見すれば、信じるか信じないかはともかく、“揺さぶり”にはなりますからね。」
「・・・お前のお得意の『フェイント』って訳かい。相手に『取捨選択』の機会をあえて多く与えて、ミスや自滅を『誘導』するって事か。」
「そうですね。自分の『ペース』に持ち込むのは『戦術』の基本です。そうした意味では、今回の件だけでも、ハイドラスが『戦術家』として、実は大した『力』を持っていない事が分かりましたよ。」
まぁ、先程述べた通り、ハイドラスには長い事『ライバル』がいなかった訳だから、それも致し方ないとは思うけどね。
しかし、こちらとしては都合が良いので、あの手この手を使って、“揺さぶり”を仕掛けてみたと言う事である。
(・・・コイツ、ここまで恐ろしい『策略家』だったっけか・・・?)
(『限界突破』してからの成長速度がハンパないっスね・・・。すでにワタシ達すら想像出来ない『域』に達しつつあるっスね。」
(まぁ、俺らとしては心強いがな・・・。細工は流々、仕上げを御覧じろ、ってか?)
(そうっスね。ワタシ達としては、アキトさんのいく末を、サポートしながら、見守る事とするっスかね・・・。)
「・・・ところで、何故ス〇Ⅱを?」
「いや、何かアルメリアの嬢ちゃんがやろうって・・・。俺、あんまりこの手の『ゲーム』は得意じゃないんだけど・・・。」
「アキトさんもいかがっスかっ!?」
「いや、僕もあまり得意ではないですが・・・。」
いや、ス〇Ⅱは『格ゲーブーム』の火付け役だったから、僕も多少は触れてはいるんだけどさ。
後、春〇が好き。
「まあまあ、そう言わずに・・・。」
「はぁ・・・。」
その後、セレウス様と二人、ものの見事にアルメリア様にボコられました。orz
何か、アルメリア様ってば、鬱憤が溜まっていたみたいっすわー。
妙に晴れ晴れとしていたアルメリア様を眺め、僕らは肩を落としていた。
・・・くそー、実際の『戦闘』なら、こんな事ないんだけどなぁ~。
誤字・脱字がありましたら、ご指摘頂けると幸いです。
ブクマ登録、評価、感想等頂けると幸いです。是非、よろしくお願いいたします。
また、もう一つの投稿作品、「勇者の師匠は遊び人っ!?」も、本作共々、御一読頂けると幸いです。