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『英雄の因子』所持者の『異世界生活日記』  作者: 笠井 裕二
揺れる『ヒーバラエウス公国』
101/382

タルブ政変~契約~

続きです。


今回は難産でした。

調子が良い時はサクサク進むんですけどね。

まぁ、それでも物語の進行は、自分で言うのも何ですが、かなり遅い方だとは思いますが(笑)。



~~~



「さて皆様。色々と疑問はおありでしょうが、我が弟(グスターク)らの『企て』は、皆様にも()()()()()()()です。彼らは、あろうことか、父上、アンブリオ大公をその手にかけ、私と我が妹(ディアーナ)()()()()()()()()()()()()()()()()によって、『権力』の中枢から引き離し、あわよくば『排除』・『追放』し、『君主』の『座』を()()。その後、『ヒーバラエウス公国(我が国)』の民達をも巻き込んだ『ロマリア王国』への『()()()()』を開始しようとしていたのですっ!『ロマリア王国』との『不可侵条約』を反故にしてね。」

「で、デタラメだっ!!!し、『証拠』はあるのだろなっ!!!???」


『ヒーバラエウス公国』の『貴族院』の『議会』にて、『議員(貴族)』達や、君主であるアンブリオさん、彼ら二人の妹であるディアーナさん、そして、僕ら『リベラシオン同盟』が注視する中で、ドルフォロさんとグスタークさん兄弟二人による『論戦』が展開されていた。


端から見た分には、()()()()に覚醒を果たした(立ち返った?)ドルフォロさんの方が、その凛々しい顔立ちや『カリスマ性』に満ち溢れた“立ち居振舞い”から優勢に見えるが、グスタークさんの発言ももっともであろう。


グスタークさんやシュタインさんは、まだ気付いてもいないだろうが、彼らが『ヒーバラエウス公国(この国)』の『権力』を握った場合どうなるか、あるいは、その『内心』の“思惑”も、全てこの場の皆さんに()()()()()()()()、それでも理解出来ない『事象』・『現象』故に、皆さんも自分の見たモノが()()なのかどうか、判断がつかないだろうからな。


まぁ、それはやっている本人(僕)も、正直分かってない部分もあるので、いくら()()()()()()()とは言え、『現実感』のある“白昼夢”を見ていた様に、全てを信じられないのも無理はないが。


だがしかし、それも当然折り込み済みだ。

『証拠』があった方が分かりやすいのは、向こうの世界(地球)この世界(アクエラ)も同様だからな。


「『証拠』?」

「そ、そうだっ!私が『陰謀』を目論んだ『証拠』、それに兄上やディアーナが『ロマリア王国(他国)』と()()()()()()()『証拠』だっ!!!」


言っている内に勢い付いて来たのか、グスタークさんは、優位を取ったかの様に、再び余裕の表情を浮かべていた。

それは、もしかしたら『虚勢』なのかもしれないが、確かにその『論法』は的を射ている。

前半はともかく、後半の『証明』は確かに難しい。


これは、時に『悪魔の証明』とも例えられるのだが、要するに、“有る事”は『証明』出来ても、“無い事”を『証明』する事は困難を極めるからである。


例えば、今回のドルフォロさんとディアーナさんに向けられた“()()”に絞って考えてみよう。

確かに、ドルフォロさんもディアーナさんも、『リベラシオン同盟(僕ら)』と()()()()()()ので、『ロマリア王国(他国)』の『関係者』と()()()()()()事は、ある意味『()()』であろう。

もっとも、『リベラシオン同盟』本体はともかく、僕らはすでに『リベラシオン同盟』とは一線を画した『独立部隊』であるから、僕らが『ロマリア王国』の回し者である、と言うのは的外れであるが。

しかし、まぁ、これは客観的に見ればあまり関係のない話だろう。


それに、実際に『怪文書』とは言え、グスタークさん達は、ドルフォロさんへの“()()”の『補強』としての『証拠』を出している訳だ。

それらを合わせて考えると、ドルフォロさんとディアーナさんが、『ロマリア王国(他国)』と『()()』した“()()”も成り立つ訳である。

それ故、ドルフォロさんとディアーナさんが、『()()()()()()()()()と『証明』する事は、困難を極める。


ならば、別のアプローチから切り崩せば良いだけの事である。


「どうだっ、出来ないだろうっ!?実際に、そこに『ロマリア王国(他国)』の者達が居る訳だしなっ!!!」

「・・・いや?もちろん出来るが?」

「・・・はっ・・・?」


勝ち誇った顔をするグスタークさんに、ドルフォロさんはさもありなんと頷いた。


「よろしいかな、アキト殿?」

「ええ、いつでも()()出来ていますよ。」

「分かりました・・・。確かに、私や我が妹(ディアーナ)が『ロマリア王国(他国)』と『()()()()()()()事を『証明』する事は難しいでしょう。ですが・・・。」


チラリと此方に合図を送ったドルフォロさん。

それに僕は応え、新たな『()()()()』を“表舞台”に立って貰う事にした。


()()()()()()()()()、よろしく。」

()()()()()()!」

「はいはぁーいっ!」

「こ、こらっ、離せっ、離さんかっ、13号っ、バカ侍女(メイド)っ!!!」

「やれやれ、どうやら“()()”の様ですかねぇ?」


そこに現れたのは、ニコラウスさんを拘束した『魔道人形(ドール)』・エイルとダールトンさんの所の侍女(メイド)であるヘルヴィさん、それと『()()()()()()のモルゴナガルさんだった。


「その我が弟(グスターク)が『根拠』としている『怪文書(資料)』が()()()()()()()()()であった事は『証明』出来ます。」



□■□



時は、一旦僕とエイルが『異世界人(地球人)』と『ハイドラス派』の手の者と思われる女性二人から逃げ延びた場面に遡る。


“古典的手法”である『光』による『目潰し』であるが、それ故にそれを完全に防ぐ事は意外と難しい。

僕自身も、『旧・ルダ村』の『パンデミック(モンスター災害)』時に、『血の盟約(ブラッドコンパクト)』のニルから『目潰し(これ)』を食らって、致命的なミスを犯した経験がある。

いくら『気配察知スキル』があるとは言えど、やはり人は『視覚』からかなりの割合で『情報』を得ているからな。

それに加えて、僕の『気配遮断スキル』は、すでに『人間種』の限界をとうに越えているし、『魔道人形(ドール)』であるエイルには、そもそも『()()』と呼ばれる、言わば『()()()()』が存在しない。

故に、僕達は結構アッサリと『強敵』達から行方を眩ます事に成功していた訳である。


余談だが、『異世界人(地球人)』と『ハイドラス派』の女性二人がエイルを『追跡』出来ていたのも、単純にエイルを遠巻きに『監視』し、エイルが動き出した事を確認してから、エイルを視認しながら『追跡』していたに過ぎない、と推察出来る。

つまり、『視覚情報』が頼りだった訳である。

まぁ、それ故に、逃亡が比較的容易だった訳だ。

彼女達に、『アストラル』を『感知』出来る『能力』だったり、『魔素』を応用した所謂『センサー』の(たぐい)を所持していれば、また話は変わったかもしれないけどね。

ま、それはともかく。



「・・・助太刀、ニハ、感謝、シマス・・・。・・・デスガ、貴方、ハ、何者、デショウ、カ・・・?」


上手く逃げおおせた僕と『魔道人形(ドール)』は、首都・『タルブ』のとある大きな建物の屋上で、距離を置きながら対峙していた。

まぁ、()()からしたら、突然介入した僕を警戒するのも無理はない話である。


僕は、おもむろに被っていた『()()』とマントを脱ぎ捨てる。

もちろん、彼女がニコラウスさんのもとにあるのも、また、その『支配権』をハイドラスに奪われるのは僕にとって都合が悪い、っつか、『ヒーバラエウス公国(この国)』の人々にとっても、また、この世界(アクエラ)の人々にとっても、悪い事になってしまう為、僕の味方に引き込むつもりでいるが、そうは言っても、彼女自身は悪しき存在(モノ)ではないし、彼女にも『()()』がある訳だから、有無を言わさず無理矢理、と言うのは僕の『趣味』ではなかった。

故に、『()()』と言う、ある種『正式』な方法を試みるべく、その第一段階として『()()』を晒してみた、と言う訳である。

もっとも、『交渉(それ)』に失敗した場合は、強制的にでも『支配権』を奪う事も視野に入れてはいるが。


「ッ!!!???」

「はじめまして、『古代魔道文明』が生み出した『魔道人形(ドール)』さん。僕の名前はアキト・ストレリチアです。貴女とは、『()()』をする為に、手前勝手ながら助太刀させて頂きました。」

「・・・凄マジイ、()()()、ノ、『マテリアル』、ト、『アストラル』、ヲ、感知ッ・・・!!!・・・信ジ、ラレマ、センッ・・・!・・・『データ』、ニ、アル、『神々』、ニモ、迫ル、レベル、デスッ・・・!・・・貴方、ハ、本当、ニ、“人間”、デスカッ・・・!?」


何か、『魔道人形(彼女)』から“人間”である事を疑われたんですが・・・。( ̄▽ ̄;)

・・・僕、泣いていいよね?(TДT)

ま、冗談はともかく。


「それがお分かりなら話は早い。僕は、貴女の『()()』を理解しています。完全なる『()()()()』の『完成』を目指している。言わば、『生物』が生来備えている完全な『アストラル』を持つ事が貴女の『()()()()』、ですよね?」

「ッ!!!・・・何故、ソノ事、ヲッ・・・!!!???」


生憎、彼女には表情を変える様な『機能』は備わっていない様だが、その声色から、驚愕している『雰囲気』は伝わってきた。

案外、『感情』に関しては、かなり“豊か”なのかもしれないな。


「今の所、『情報源(ソース)』は明かせません。ですが、“答え”にはならないかもしれませんが、僕は『古代魔道文明』の『研究家』でもありますからね。」

「・・・ナルホド・・・。」


それで、多少納得したのか、そう呟きながら頷いてみせた。

リリさんの『()()』を、勝手に拝借した形だが、これに関しては全くの()ではないからな。


「それで、ここからは『()()』なんですが、僕と『()()()』を交わす気はありませんか?先程貴女が指摘した通り、僕の『アストラル』ならば、貴女自身の『()()()()』に適していると思うんですが。」

「・・・確カ、ニ・・・。・・・『再スキャン』、開始・・・。・・・完了・・・。・・・貴方ガ、『()()()』、デ、アル、可能性ハ、100%、デアル、ト、認メマス・・・。・・・シカシ、残念、ナガラ、私ハ、スデニ、『()()()』、トハ、言エ、『()()』、ヲ、交ワシテ、イマス・・・。・・・『()()』、ノ、()()、ハ、本機、ノ、『()()()()』、ニ、多大、ナ、『悪影響(エラー)』、ヲ、発生、サセル、恐レ、ガ、アリマス、ノデ、結論、ト、シテ、ハ、貴方、ト、『()()』、ヲ、交ワス、事、ハ、不可能、デス・・・。」


そう僕が提案すると、彼女はしばしの逡巡(しゅんじゅん)の末に、そう結論付けた。

()()()()()、ここで『交渉決裂』となるであろう。

もっとも、僕には、それをどうにかする事は可能なんだけどね。

それに、彼女がそう断った事に対して、僕はある種の安堵感を覚えていた。

どうやら、『魔道人形(彼女)』の『開発者(産みの親)』、あるいは『開発チーム』は、『()()』の何たるかをしっかりと理解している様だからだ。

いや、もしかしたら、彼女自身が自ら学び得た事かもしれないが。



そもそも『()()』と言うのは、僕らが思っている以上に重い()()()()を持つ。


通常の『経済活動』でも取り交わされる事の多い、この『()()』であるが、意外とその『()()()』、あるいは『()()()()』を端から端まで熟読する者はあまりいないのではないだろうか?

もちろん、マトモな相手や『企業』であった場合は、それが『消費者』の『不利益』に繋がる事はなかなか無いが、それが仮に悪しき相手や『企業』であった場合は、それが『消費者』の『不利益』になる事も多い。


例えば、明らかに法外な金利を吹っ掛けているのにも関わらず、それをよく読まずに、あるいはそれを承知の上で『()()()』にサインする者達もいる。

もちろん、『(ルール)』の上では、その『()()』は無効となる事も多いが、大抵の場合は、莫大な借金を抱える事となったり、その末で“身売り”をする事となった、なんて話もありふれている訳だ。

それは、当然こちらの世界(アクエラ)であっても、向こうの世界(地球)であっても変わらない。


もちろんこれは、そうした『()()』を悪用する者達が当然一番悪いのではあるが、サインをした側も、それぞれ事情や状況もあったのかもしれないが、最終的には己の『無知』が招いた結果でもある。

まぁ、若干厳しい言い方だけどね。

何度となく言及しているが、究極的には、自分の身を守る事が出来るのは、自分自身しかいないのである。

僕らは、その事を忘れてはいけないのだ。


さて、ここまでは『()()()』な内容の『()()』の話であったが、ここからは『アストラル』を含む『()()()』な『()()』の話である。


『悪魔』との『()()』にも代表される様に、『()()()』な『()()』の場合は、『()』とか、『()()』が重要な『キーワード』になってくる。


例えば、有名なメフィストフェレスなどはその代表例として挙げられるが、これは己の『()』と引き換えに、『願い』や『望み』を叶えて貰おうとするモノである。

()』と言うのは、これは以前にも言及したが、言わば強力な『霊的エネルギー』であるから、『悪魔』と呼ばれる『高次』の存在にも、それを手に入れる事は当然メリットがある訳だ。

故に、そうした『()()』、あるいは『()()』が成立する訳である。


この様に、『()()』とは、『()()()』な“金銭”に限らず、『()()()』な、目には見えない物も『対象』になりうるのである。



話を元に戻そう。

()()』とは、言わばある種の『()()』の事とも言える。

だが、当然それを勝手に破棄してしまう者達もいる訳だ。

様々な事情や状況もあるだろうが、僕はそうした“裏切り”をする者達を、敵であろうと味方であろうと基本的に信用しない事にしている(もちろん、その『()()()()』が不当であった場合は、その限りではないが)。

そうした者達は、より『()()』の良い話が目の前に転がり込めば、また簡単に“裏切る”からだ。

まぁ、ある種『()()』、あるいは、『()()』の持つ“重み”を理解していないのだろう。

ま、それはともかく。


今回、彼女は、より『()()』の良い話を提示されたにも関わらず、首を縦には降らなかった。

それは、『()()』、あるいは、『()()』の持つ“重み”を理解している事の、何よりの証左である。

こうした者ならば、逆に味方となった場合は非常に心強い。

少なくとも、“裏切り”の心配をしなくて済むのだからな。


「それは残念です・・・。」

「・・・。」


僕がそう告げると、『交渉決裂』したと考え、彼女の緊張した『雰囲気』が伝わって来た。


「では、その貴女が交わしている『()()』を“()()”する方法があるとしたら、どうですか?」

「・・・ハッ・・・?・・・貴方、ハ、何、ヲ、言ッテイル、ノ、デショウ、カ・・・?・・・『()()』、ヲ、“()()”、スル事、ハ、『()()()』本人、ガ、ソウ望ム、カ、『()()()』本人、ノ、『()()()』、ガ、尽キル事、デシカ、出来マセン、ヨ・・・?・・・第三者、デアル、貴方、ニハ、不可能、デスガ・・・。」


そこに、別アプローチから再度『()()』を再開した僕に困惑しながらも、彼女はそう言葉を返した。


「それが出来るんですよ。貴女は『()()()』をご存知ですか?これは『高次』の存在である『神々』や、一部の『人間種』の『限界』を越えた者達のみが可能とする、世の『(ことわり)』に介入する『力』の事ですが、僕にはそれが可能なのです。」

「・・・エラー・・・。・・・『データ』ニ、該当、スルモノ、ガ、アリマセン・・・。」

「まぁ、無理もありません。これはある種の『()()』の『()()()』に該当する『力』ですからね。ですが、これならば、貴女()()()()』を破棄する事にはならない。それに、貴女の今現在の『()()()()』であるニコラウスさんの『()()』を鑑みれば、悪くない話だと思いますよ?貴女もお気付きだと思いますが、ニコラウスさんの『寿()()』、あるいは『存在力』は尽きかけているんですよね?元々、彼にはその『()()』、貴女の言葉を借りるならば、『()()()』になれる()()()に達していない。にも関わらず、その事にも気付かずに貴女との『()()』を継続している。まぁ、その事により、彼には『()()』にも大変な目に遭う事は確定した訳ですが、これは彼の自業自得でしょう。ここで問題なのは、その後、貴女はどうするか、です。」

「・・・ソ、ソレハッ・・・。」

「残念ながら、その時に都合良く貴女の周囲に『()()()』がいるとも限りませんよね?見たところ、貴女の『機能』は、長い年月修理や調整をしてこなかった事により、かなり劣化が進んでいる様だ。もちろん、ニコラウスさんとの『()()()()()』と、貴女自身に搭載された『自己修復機能』によって、最低限の『機能』は回復している様ですが、それにも流石に限度があるでしょう。」

「・・・。」

「『アストラル』に加え、僕らならば、『古代魔道文明』の『遺産』である貴女の修理や調整が可能となります。先程も申し上げた通り、僕は『古代魔道文明』の『研究家』でもありますからね。」


畳み掛ける様に、僕は彼女にとってのメリットを提示していく。


「・・・何故・・・?」

「はい?」

「・・・何故、貴方ハ、私、ノ、()()、ヲ、試ミテ、イルノ、デショウ・・・?・・・貴方、ノ、言葉、ヲ、借リルノ、ナラバ、貴方、ニハ、『()()()』、ニ、ヨッテ、私、ト、()()()()、トノ、『リンク』、ヲ、強制的、ニ、切ル、事、ガ、可能、ナノ、デショウ・・・?・・・ソウシタ、方、ガ、話、ハ、簡単、ダト、思ワレマス、ガ・・・?」


彼女は、ポツリッとそう疑問を呈した。

まぁ、彼女の()()は少々特殊だからなぁ~。


「いやいや、貴女は『()()』を持つ存在でしょう?確かに、その()()は我々『人間種』とは異なっているでしょうが、ただの『()()』ではないのですから、その本人の『()()』を問うのは当たり前の話でしょう?」

「・・・ッ!!!???・・・」


確かに、彼女は、言うなれば『道具(ロボット)』かもしれない。

しかし、そこに『()()()()』、不完全ながらも『アストラル』があるならば、ただの『()()』ではなく、“一個の人間”として接するべきだ、と言うのが、僕の『オタク』的矜持なのである。

いいよね、ロボッ()ってっ!!!(゜∇^d)!!


『オタク』としては、是非とも仲間(友人)に加えたい『種族(?)』の一つだが、


「いいからこっちこいっ!!!ぐへへ・・・。」


と言うのは、流石にちょっとねぇ~・・・。

それ故、僕の感覚からしたら、『正式』な『()()』によって、彼女の『ヘッドハンティング』をしているに過ぎない。

より『()()』が良い話を提示するのも、後顧の憂いをなくす事もその為だ。


しかし、彼女からしたら、そんな事を言う奴の方が特殊なのだろう。

まぁ、僕が言うのも何だけど、『オタク』ってのは、ちょっと変わっているからね。

ポカーンッとした『雰囲気』を醸し出していた彼女は、その後、思わず()()()()()()()()()


「・・・アハハハハッ・・・!・・・アァ、『グランドマスター(お母様)』・・・。・・・マサカ、貴女、ガ、『()()』、シテイタ、()()、ガ、私、ノ、目ノ前、ニ、現レル、ナンテッ・・・!!!」


・・・『グランドマスター(お母様)』?

彼女の『開発者(産みの親)』の事だろうか?

いや、あるいは、『高次』の存在である『神々』の誰かか・・・?

いやいや、しかし、彼女を生み出した『古代魔道文明』は、『神々』とは対立する『立場』だった様だしなぁ~。

彼女の出身母体である『魔道兵量産計画』は、『古代魔道文明』の末期に、『古代人』達が『()()()()()する為に『計画』されたモノの様だし、やはり『開発者(産みの親)』の事だろうかね?


などと『答え』の分からない事を考えてもキリがない。

とにかく、よく分からんが、何だか“流れ”はよさそうなので、僕は彼女の『()()』を再度問う事にした。


「・・・それで、いかがでしょうか?」

「・・・私、ハ・・・。」



・・・



『ロボット工学』における、ある種の永遠の『命題』。

それが、『ロボット』の『()()』を認めるかどうか、と言う事であろう。


人類は、有史以来、幾多の『道具』を生み出して来た。

『石器』から始まり、『コンピュータ』に至るまで。

しかし、それは、あくまで『道具』であって、そこに『()()』が介在する事は無かったのである。

・・・本来ならば。


しかし、『付喪神(つくもがみ)』の例にもある様に、『道具』が『()()』を持つと考える『思想』が古来より存在した。

そして、現在では、『人工知能(AI)』の登場により、それは現実的な問題として立ちはだかる事となった訳である。


『ロボット』を『()()』と同じ様に扱うべきか否か。

大半の者達にとっては、それは否定的な考えを持つ事が多いだろう。

『フランケンシュタイン・コンプレックス』の例にもある様に、被造物が造物主たる人間に牙を剥くのではないかと言う、潜在的な恐れが存在しえるからである。

人工知能(AI)』を取り扱う『SF』作品などにおいても、人類に対して反逆するモノも多い。

単純に、今現在の人間の作り出した『コンピュータ』では、『ロボット』が『()()』と同じ様に、複雑な『思考』をする事は難しい、と言う問題もある。

それ故、『()()』に近しい『容貌』にした『ロボット』、あるいは『魔道人形(ドール)』と言えど、あくまで『()()』が使()()する『()()』の一つでしかない、と言う考え方を持つのも、ある種道理であろう。

そうした方が、色々と精神衛生上良いからだ。


事実、エイルも、過去の『開発者チーム』の者達からも、また、ニコラウスからも、あくまで『()()』として接してこられた。

これは、冷たい様だが、ある種彼らの方が()()なのである。


しかし、エイルには、向こう世界(地球)の『人工知能(AI)』とは異なり、『()()()()』、言わば不完全ながらも『()()()()()』が存在するので、そうした扱いに、“不満”、あるいは“悲しさ”を感じていたのである。

言うなれば、彼女はその『身体的機能』はともかく、『精神的機能』においては、『()()』と全く変わらない『()()』や『()()』、『()()』を持っている訳である。

誰からも『自己』を認めて貰えないのは、それは“悲しい”だろう。

・・・『()()』ならば。


しかし、そんな問題を簡単に飛び越えて、彼女を“一個の人間”として認めてくれる者が現れたのだ。

それが、彼女の口にしていた『グランドマスター(お母様)』であり、『オタク』的思考を持ち、『アストラル』にも精通しているアキトだった訳である。


さて、人間の社会でも同じ事であるが、不当な()()に不満を持っていた者が、自身が活躍出来て、しかも『自己』を認めてくれて、更に()()まで良い新たな『雇用先(選択肢)』が現れれば、その後どういう結果になるかは、ここで語るまでもないだろうーーー。



誤字・脱字がありましたら、ご指摘頂けると幸いです。


ブクマ登録、評価、感想等頂けると幸いです。是非、よろしくお願いいたします。


また、もう一つの投稿作品、「勇者の師匠は遊び人っ!?」も、本作共々、御一読頂けると幸いです。

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