92 迫る伝説の時
次の更新は2/17(土)です。
昼食の後は、里沙のクラスの展示を見に行った。
ファッションというものはよく分からないが、彼女の考えたファッションに皆で票を入れた。
一気に5票も入ったわけだ。犯罪ではないが、何かいけないことをしているようで、少し後ろめたい。
それから、部長たちのクラスのアイスクリーム屋に顔を出した。
部長たちはいなかったが、アイスクリームを美味しくいただいた。
午後14時。
予てからの打ち合わせ通り、俺たちはDルームへ向かった。
山内と織田には事前に伝えてあり、途中で別れた。
2人で一緒に回るみたいだが、この際、彼らの間に恋心でも芽生えてくれれば面白い。
「さて、全員集合というわけだ」
佐々木部長の声には、少し元気がなかった。
「どうしたんですか? 体調でも悪いんですか?」
「いや……。お前たちのメイド喫茶に行ったんだが、秋葉も笹川もいなかった」
「え!? いつ来たんですか?」
「12時過ぎだ。ひょっとして勘違いしてのか?」
「そうですね……。この前、時間を伝えたはずです。そしたら張り切ってたと思いますが……」
「のおおおおおお! 痛恨のミス! 俺としたことが!!」
部長は頭を抱え、この世の終わりかのように悶えていた。
「写真はないの? 私もメイド姿を見たかったな」
柚子先輩も少し残念そうだった。
そんな2人を元気付けるように里沙が笑顔でこう言った。
「写真ならありますよ」
写真……? まさか倉持の撮ったあの写真じゃないだろうな。
「残念ですが、真美の写真はないです。写ってるのは秋葉さんと宏介です」
里沙はスマートフォンを取り出すと部長たちに見せた。
「おお! 可愛い!」
「えー! こんなに可愛いなら見に行きたかったなぁ」
「うぅ……。写真で見ると恥ずかしいですぅ……」
秋葉は、写真から目を背けていた。
確かに秋葉のメイド姿は可愛い。
でも、隣に写っている俺の姿は何とも形容しがたい。
「それで、なぜ鈴木が萌え萌えキュンのポーズを取っているんだ?」
さすが部長。言わずともポーズについて分かるのはさすがです。
「俺だって、何でそのポーズを取っているのか、未だに分かりません」
「変な奴……」
大丈夫です。SF研究部は変わり者しかいませんから。
Dルームに集合し、少し経つと、早速、体育館に向かうことにした。
「まだ早くないですか?」
「早く行かないと、すぐに場所が埋まってしまう」
そこまでとは。
果たして、由香の人気はどこまでいってるのだろうか。
俺たちが体育館に着くと、前の方の席は既に埋まっていた。
座れたのは、ちょうど真ん中ぐらいだ。
何度も言うようだが、場所は体育館。そこそこ広く、前の方だけでも結構な席数はあるはずだ。
それがもう埋まっているのだから、気合いの入り方が凄まじい。
きっと、ファンクラブの人だろうな。
その後も続々と人が入ってきた。
15時を迎える前に満席になったと見受けられる。
立ち見の人もポツポツといるようだ。
この会場のどこかに亜子もいる。
特に連絡は来なかったが、絶対にいる。
遭遇すると、色々大変そうだから、感想は家で言いあおう。
続く




