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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
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89 スパイスなガールズ

次の更新は2/9(金)です。

 高校一の美少女のお出ましにメイドたちに緊張が走った。

 誰もが案内役をためらい、ピリッとした空気が流れる中、秋葉は調理場へ逃げ込んできた。


「どうした?」

「だって……関野さんの友達が大勢いるから……」


 そうだ。最近は色々と積極的すぎて忘れがちだが、秋葉の本質は恥ずかしがり屋だ。


「恥ずかしいのか……」

「う……うん……」


 顔を赤くしてモジモジしている秋葉を、他の男子たちは下品な目で見ている。

 ここにいる方が恥ずかしいと思うのは俺だけだろうか。


 秋葉は、カーテンの隙間から様子を伺っていた。

 俺は客席の方へ出ようか迷っていると、笹川が現れた。

 どうやら、笹川が案内をして注文を受けたようだ。


「アップルティー5本と、お菓子の盛り合わせお願い! あと鈴木!」

「……俺!?」


 なぜだか普通の注文に、俺の名前が紛れ込んでいた。


「里沙がご所望だよ」

「はいはい……」


 俺は色々な不安を抱えながら里沙たちの座る席へと向かった。

 クラス一同が固唾を飲んで見守る。


「おう。よく来てくれたな」

「ふふ。楽しそうでいいわね」


 倉持が里沙の隣で手を振り、他の友達もぺこりと会釈をしてきた。

 俺も営業スマイルで手を振り返す。


「秋葉さんのメイド姿も拝みに来たけど、いないの?」

「あー、恥ずかしいって」

「照れ屋さんね……」


 俺は調理場の方へ振り返ってみたが、相変わらず、隙間から覗いているだけだった。

 やれやれ。呼びに行ってやるか……。

 調理場へ一旦戻ろうとしたが、倉持の一言によって引き止められた。


「宏ちゃんも座りなよ!」


 倉持は里沙の隣を指差している。

 彼女たちが座っているのは6人掛けの席で、残り1席、里沙の隣が空いている。


「店員だからそういうわけには……」

「いいから、いいから!」


 俺が躊躇っていると、里沙も催促をしてきた。


「宏介、座りなさい」


 だから、俺は犬か。言っておくが俺にそんな趣味はないぞ。……たぶん。


 教室内を見回すと、クラスメイトたちは顎で「座れ」と合図をしていたので、しょうがなく座ることにした。

 これはサボっているのではなく、接客の一環だ。

 里沙の隣に座ると、対面に見ず知らずの女子たちを迎えることになった。

 うう……。緊張する。


「あなたが鈴木君……? 里沙からよく聞いているよ」


 そう語りかけてきたのは俺の真正面に座る女子だった。


「ちょ……ちょっと!」


 里沙はまずそうな顔をして彼女を制止する。

 だが、止まらない。


「男の子の話になるといつも鈴木君の話ばかりだよね」

「「「ねー」」」


 倉持含め、他の女子たちが賛同する。


「仲が良い男子なんて、宏介ぐらいしかいないのよ!」

「きゃあ。特別な存在ってこと?」

「もう……!」


 俺は、ガールズトークに巻き込まれながら、どう反応して良いのかわからず、途方にくれた。

 すると、先まで隠れていた秋葉が注文の品を持ってやって来た。

 恥ずかしさはどこへ行ったのやら、満面の笑みだ。


「ご注文の品です! ご主人様!」

「あ! 秋葉ちゃん!」


 倉持が全身を舐め回すように秋葉を見る。

 変態オヤジそのものだ。


「うーん! 激かわじゃん!」

「あ……ありがとう……」


 やっぱり本心は恥ずかしいみたいだ。

 秋葉の顔は、少し赤くなった。

 秋葉は注文の品をテーブルの上に置くと、俺の肩を人差し指で叩いて合図をしてきた。


「一緒にやらなきゃ……」

「え!? マジで俺もアレやるの!?」

「うん……」


 まさか、俺も魔法をかけることになるとは……。

 できればご遠慮願いたいが、秋葉の目は許してくれないようだ。


続く

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