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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
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88 ハートの魔法

次の更新は2/7(水)です。

 俺は様子を見るべく調理場を出て、隅の方でこそこそと観察を始めた。

 席には外部のお客さんが数人座っている。

 そして、次に入ってきたのは世界史の向井先生だった。

 少しセクハラ親父っぽいところがあり、女子からは不人気の先生だ。


「いらっしゃいませ! ご主人様!」

「えへえへ。皆んな可愛いなぁ〜」


 メガネを光らせながら、にやけている。


「どこに座ればいいのかな〜?」


 世界史の先生がそう聞いても、メイド一同は引き気味で誰も案内に行かなかった。

 それを見かねた秋葉が入り口のところに駆け寄って案内をした。


「向井先生の席はこちらになりまーす!」

「えへえへ。秋葉ちゃんじゃないの!」


 向井先生は秋葉に着いて歩きながらその後ろ姿を舐め回すように見ている。

 この人は欲望に忠実な人だな。

 向井先生が席に着くと、秋葉はメニューを渡した。


「こちらがメニューです! 何になさいますかご主人様?」

「そうだね〜。アイスホットケーキをお願いしようかな」

「セットでドリンクはいかがですか?」

「秋葉ちゃんが言うなら、コーラを頂戴」

「かしこまりました! 少々お待ち下さい!」


 さすが秋葉。一人だけ動きが違う。

 周りの女子からは小さな拍手が起こっていた。


 俺は役目を果たすべく調理場に戻った。

 冷凍食品のパンケーキを温め、上にバニラアイスを乗せるだけの簡単なお仕事だ。

 コーラも用意し、セットでトレーに載せると秋葉に渡した。

 今度は秋葉に続き、笹川と織田も向井先生の元へ向かう。

 ここからがメイド喫茶の醍醐味だ。


「お待たせいたしました、ご主人様!」

「うんうん。最高の眺めだね〜」


 織田はもちろん、流石の笹川も少し恥ずかしそうにしている。

 秋葉が注文の品をテーブルに置くと、3人は構えた。


「それじゃあ、ご主人様の料理が美味しくなるように〜」


 秋葉が出囃子を言うと、その後に2人は続いた。

 手でハートマークを作り、テーブルの上に置かれた料理に向かった構える。


「「「萌え萌え〜キュン!」」」


 見てるこっちが照れてしまう。

 本当にそれで料理が美味しくなるのか?

 まあ、可愛いことに違いはないが……。


「おおー! いいね! 甘さマシマシだよ」

「それでは、ごゆっくりどうぞー!」


 向井先生は満足そうだった。

 料理に手をつけると、今度はスマートフォンを取り出し、写真を撮り始めた。

 充実してそうだ。ここまで楽しんでもらえれば、考案者としては満足だ。

 そして、魔法をかけるたびに男子全員が聞き耳をたてるか、カーテンの隙間から覗いている。

 結局は誰もが山内と同じ道をたどることになった。

 メイド喫茶。それは誰も口には出さないが、男なら一度は行ってみたい夢の国である。

 マスコットキャラなどいらない。メイドが夢を叶えてくれる。



 向井先生が去っていくと、平和が訪れたようだ。

 子供連れの親子や、お婆さんまで、老若男女がメイド喫茶に来てくれている。

 この客層、よく来てくれたな。なぜここまで揃ったのか不思議である。

 そして、その客層に当然のごとく奴は加わる。


「いらっしゃいませ! ご主人様! あっ!」

「ここがメイド喫茶ね」

「宏ちゃんと秋葉ちゃんいるかなー?」


 里沙と倉持、それから彼女たちの友達が数名。

 そこにいた全員の視線を集めながら入店してきたのである。


続く

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