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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
90/177

85 いたずら

次の更新は2/1(木)です。

 由香がベッドに横たわった体を起こしたタイミングでチャイムが鳴った。

 ピザの出前が届いたようだ。

 皆んなで出し合ったお金を握りしめピザを受け取ると、リビングへ戻った。


「お腹ペコペコ〜」


 亜子がソファでだらけきった体制で元気がなさそうにそう言った。


「そんなにか?」

「テンション上がってエネルギー使っちゃったかも」

「はしゃぎすぎだろ……」

「早く食べよー!」


 はいはい。分かりましたよ。かくいう俺もお腹が減っていたので、ピザをテーブルに広げ、ピザカッターを用意した。


「はいはい! 私が切る!」


 由香がピザカッターを手に取ると、きりわけ始めた。


「本場で学んだ技術!」


 本場ってどこだよ。イタリアか? ヨーロッパで修行したのか?


「近くのイタリア料理屋で店員さんに教えてもらったの!」


 そういうことか。

 喋りながらも手際よく、料理人直伝の技術で由香は綺麗にピザを切り分けた。

 ドヤ顔でこちらを見てくる。


「さすが由香姉!」

「器用ね」


 付属のウェットティッシュで手を拭き、各自ピザを取る。

 そして、俺は飲み物を人数分用意した。

 準備完了。いただきます!


 なめらかなチーズの味わいを堪能しながら、妹も含め女子しかいないという、この空間も心の中で堪能した。

 冷静に考えると、ヤバくないっすか? そりゃもうヤバイ。とにかくヤバイ。

 語彙のなさに情けなくなるが、嵐ヶ丘高校一の美少女に歌姫でしょ?

 こんな贅沢他にあるまい。


 歌姫か……。皆んなのアイドルになるぐらいだから由香も超可愛い。

 どっちだ? 高校一は里沙と由香どっちだ?

 まさか、こんな身近でトップ争いが起こるのか?


「どうかした? 私の顔にピザでもついてるの?」

「え……? いや、何でもない」


 考え事をしていたら、里沙の顔を見つめてしまっていたようだ。


「ふーん……。2人ってひょっとして……?」

「そうだよ!」


 由香の濁した疑問に亜子が鋭く答える。

 一体何が「そうだよ!」なんだ。


「そっかぁ……。で、キスは済んだ?」

「「……ゴホッ!」」


 俺と里沙は同時にむせた。

 急いでお茶を飲み、喉の落ち着きを取り戻す。


「するわけない!」


 里沙は顔を真っ赤にしながら否定した。


「ししし。冗談なのに。そんなに真っ赤にして図星だった?」

「本当にしてないぞ。そもそもただの幼馴染だ」


 俺が否定を重ねる。


「えー。絶対付き合ってると思ってた」

「素直になればいいのにね」

「ねー」


 里沙はもう一口お茶を飲むと、咳払いをした。


「おほん。冗談はその辺にしておくことね」

「はーい。じゃあ私が貰っちゃおうかな〜?」


 由香は俺の近くに座り、腕を組んできた。


「は……!?」

「ほら、恋人みたい」


 いくら由香といえど、そんなに近寄られると恥ずかしい。

 慌てて腕を離そうとするが、ガッチリ掴まれている。

 お前は秋葉か!


「えー! まさかの由香姉!?」

「そうだよー。これからは義姉になるんだから」

「いやいや! とりあえず離れるんだ!」

「私が彼女じゃ嫌……?」

「くっ……!」


 何て答えればいい!?

 里沙はずっと黙って、蔑むような目でこちらを見てるだけ。

 亜子は立ち上がり、こちらを囃したてている。


「顔真っ赤だよ」


 由香はいたずらな笑みを浮かべながら俺にそう呟いたあと、腕を離し、解放してくれた。

 ふぅ……。疲れたぜ。


「宏介も照れ屋だね」

「そりゃ恥ずかしいわ!」

「あーあ! おもしろっ! 私は応援してるからね!」

「何をだよ……」


 ピザを食べていただけのはずが無駄に疲れてしまった。

 由香も悪ふざけが大好きだな。


 ピザを食べ終わると、テーブルの上を皆んなで片付けた。

 明日まで両親は帰ってこないが、夜ご飯も食べ終わったことだ、そろそろ解散すべきだろうか?


続く

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