表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
88/177

83 返り咲くいつかの花園

次の更新は1/28(日)です。

「うっす。ひょっとして待ってたのか?」

「そうよ。由香がどうしてもってきかないの」


 由香は俺をじっと見ながら話し始めた。


「今日は記念すべき日だよ。だって、2人がこんなにも近くにいるっていうことが分かったから」

「ロマンチストかよ。まあ同じ高校なんて奇跡的な確率だよな」

「ううん。それもそうだけど、住んでるところも近いの」

「え? どういうこと?」

「隣のマンション!」

「マジ!?」

「マジよ!」


 なんということでしょう。

 再会したと思ったらもうこれほど距離が縮まっている。

 合縁奇縁。本当に昔に戻ったみたいだ。

 ひょっとしてマンションの前ですれ違ったりしてたのかな。


「学校で里沙に聞いたらここに住んでるっていうから、もう来るしかないよね!」


 とりあえず来たというノリか。

 うーむ……。亜子との外食は今度にして、2人を誘ってみるか。


「こんなところで話すのもアレだから、俺の家に来るか?」

「いいの!?」

「今日は親父も母さんもいないから大丈夫だ」

「行く行く! でも、おばさん、おじさんにも会いたかったなぁ」

「亜子いるぞ」

「わ! 懐かしい! 亜子ちゃんと会うの楽しみー!」


 俺たちはエレベーターに乗り、家の前まで来た。

 鍵を開け、扉の取っ手に手をかける。


「なんかドキドキする! 男の子の家なんて普段いかないよね」

「確かにそうね」


 ドキっとすることを言うのはやめてくれ。

 冷静に考えれば、里沙を家に上げるなんて全男子の夢かもしれないな。

 由香も加わり、嵐ヶ丘高校のお姫様がここに揃っているという現実。

 なんと贅沢だろうか。俺って幸せ者。


 リビングに2人を通すと俺はお茶を用意し、もてなした。

 亜子はまだ帰っておらず、少し冷たい空気の漂うリビングは里沙と由香によって温められたような気がした。

 お茶を飲み一息つくと、由香はいきなり核心に迫ってきた。


「ところで里沙。昔みたいに勢いがないみたいだけど何かあった?」

「私? そうね……。もう昔みたいにヤンチャはしないって決めたの」

「へ〜。噂ですごい美少女がいるって聞いてたけど、里沙のことだったんだ」

「お願いだから昔のことはバラさないでよね」

「んー。どうしよっかなぁ……。ししし」


 由香はいたずらに微笑んでいた。


「いじわる……!」

「あ! めっちゃ可愛い!! 冗談だよ〜!」


 2人はソファに座っていたが、由香が襲うように里沙に抱きついた。


「ちょっと……!」

「うーん。いい匂いもするし柔らかいし、宏介は幸せ者だな!」

「俺が抱きついたらセクハラ及び痴漢に仕立て上げられる」

「そうよ。生活はどん底まで落ちるわ」

「じゃあ私だけの特権だ!」


 由香はさらに強く里沙を抱きしめた。

 ひょっとして……?

 ははは。まさかそんなことはあるまい。


 その後もしばらく近状について語り合っていると、とうとう亜子が帰ってきた。


「ただいまー。見慣れない靴があるけど……!」


 亜子は勢いよくリビングに飛び込んできた。


「そちらの方は……?」

「ひどい。もう昔の女は忘れちゃったのね」

「……?」


 亜子はしばらく由香のことを見つめると、ようやく思い出したようだ。


「ああ! 由香姉!」

「お久しぶり! 亜子!」

「どうしちゃったの!? その制服はお兄ちゃんと里沙姉と一緒じゃん!!」


 久しぶりの再会に亜子のテンションは一気に上がり、天井を打ち抜く勢いだ。

 こうして昔は馴染みだったメンバーが再び一堂に会したわけだが、こうなると俺の立場はカーストの底辺だ。。

 今思うと俺はドMで、その立場を甘んじて受け入れているのかもしれない。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ