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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
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82 帰り道

次の更新は1/26(金)です。

 心を落ち着かせるためにジュースを一気飲みすると、おかわりにドリンクバーへ向かった。

 一旦秋葉から離れ、熱を冷ます作戦だ。


「はぁはぁ。何でこんなに疲れてるんだ……」


 俺は一人でブツブツ言いながらジュースを注ぐ。


「このままではおかしくなってしまう」

「あのー……」


 誰かの声が聞こえた気がしたが気のせいだろう。

 俺は独り言を続けた。


「こうなったらタイミングを見計らって帰るしかない!」


 よし決めた。

 今日はあと少しで解散だ。


「あのー!」

「わっ!」


 どうやら声をかけられていたのは気のせいではなかった。

 よく見ると、ドリンクバーのボタンを押しっぱなしにしており、ジュースがコップから溢れている。

 おかげで手もベタベタだ。


「す……すいません!」

「大丈夫ですか?」


 後ろを見ると、こちらを心配そうに見ている店員さんがいた。

 あれ? 見覚えのある人だぞ。


「お久しぶり。私のこと覚えてる?」

「高橋さんですよね! どうもご無沙汰してます」

「覚えててくれたね。その後、奈美恵ちゃんとはどこまでいったのかな?」

「えっと、彼女とは仲のいいお友達ですよ」

「なるほど。……ってそんなわけないでしょ!」


 「今も一緒にカラオケに来てます」なんて言ったら、どうなることやら。

 意外なところで会ってもう少し話したいが、事情が事情のため早く戻るに越したことはない。


「それじゃあ、友達待たせてるんで」

「奈美恵ちゃんかな?」


 高橋さんの質問に俺は体をピクリと動かした。


「ひょっとして当たり!? 鈴木君って分かりやすいね」

「なぜ分かったんですか?」

「ハッタリをかましただけだよ〜」

「やられましたね……」

「私は2人のこと茶化したりしないから安心して! じゃあ、お会計の時はよろしくね」


 楽しそうに高橋さんは去っていった。

 バイトの掛け持ちということか。大変そうだ。

 部屋に戻ると秋葉はアニソンを歌っていた。アニソンを歌う秋葉の姿は一段と楽しそうだ。

 秋葉が歌い終わると俺は解散を持ちかけた。


「もう少しと行きたいところだが、今日はちょっと用事があるから帰らないか?」

「そっかぁ。宏くんのためなら仕方ないなぁ」

「すまんな」


 別にいい訳でもなく本当に用事がある。

 今日は両親がいないから亜子の世話をしないといけない。

 ませガキながらまだまだ手の焼ける妹だ。放っておく訳にはいかないし。

 亜子が彼氏を連れてきた日にはもう親父と俺とで面接が始まるだろうな。


 俺は秋葉の後ろについて恐るおそる受付へ向かった。

 ああ! 案の定、高橋さんが待ち受けていた。「こちらへどうぞー!」と明るさが眩しい声で俺たちを誘う。


「あ! 高橋さん! 掛け持ちですか?」

「そうだよー。今日はサボりかい?」

「違いますよ。今日は文化祭の準備が早く終わったんです」

「あー。そういえばそんな時期だもんね」

「明日なので暇だったら遊びに来てくださいね」

「ごめん。バイトが入ってる……」

「残念です……。今度オムライス食べに行きます」

「そちらの彼と?」

「はい。もちろん!」


 こうして俺の入る余地なしで約束が結ばれた。

 オムライスは美味しかったから食べに行きたいんだけどな。


 その後会計を済まし、外に出て駅の改札まで秋葉を見送った。

 お疲れ様。カラオケ楽しかったよ。


 俺は今日の夜ご飯のを何にしようか考えながら家へ向かった。

 出前じゃなくて外食でもいいかな。亜子と2人で外食なんて初めてだ。

 そうなると駅前がいいよな……。

 などと考えているとすぐにマンションの玄関へと着いた。

 いつものようにロックを開け、ロビーを通るとソファーに里沙と由香が座っていた。


「あ! 宏介帰ってきた!」

「待ちくたびれたわね」


 2人は俺を発見するやいなや、立ち上がり俺の元へ近寄ってきた。

 なぜ由香までここにいるのだろうか。


続く

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