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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
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72 文化祭準備!

あけましておめでとうございます。

今年も本作品をよろしくお願いします。

 放課後の教室。いつもと違うのは、クラス全員が残っているということだ。

 文化祭まであと2日。ここまでくると授業はなくなり、嵐ヶ丘高校は一気に文化祭モードへ移る。

 各クラスが準備に忙しく、俺たちも例外なく教室の飾り付けなどに慌ただしく時間を割いていた。


「鈴木君! そこのペンを取って!」

「うっす」


 俺はというと、山内と一緒に看板作りに励んでいた。

 言っておくが、俺に美術のセンスはないぞ。

 テストで美術があれば、きっと俺の順位はダダ下がりになるだろう。

 というわけで、山内が基本的に文字や絵を描いているが、こいつも大概だな。


「できた!」


 そこに描かれていたのは、分けのわからない動物? と派手な色で書かれたまとまりのない『メイド喫茶』の文字だった。


「……。どうかな……?」

「俺もセンスがないからな。人のことは言えない」


 お互い沈黙の続いた後、山内が突然笑い出した。


「ははははは!」

「いきなりどうした?」

「はぁ〜あ。皆んなからデザインの募集をしておけばよかったなぁ」

「確かに……」


 その看板がダメなことは書いた本人も分かっているようだ。

 というか、なぜこの重要な作業を男子2人がやっているのだろうか。

 しかも、山内の書いた動物なんてメイド喫茶と全く関係ないじゃないか。

 誰か助けてくれ!


 「ははは! 何だこれ!?」


 俺たちが途方に暮れていると、後ろから笹川の笑い声が聞こえた。

 振り返ると、笹川の隣にはもう1人女子がいた。

 左目の下にある泣きぼくろが特徴的なクラスメイトの織田春奈さんだ。


「センスのかけらもないね」


 ズバッと言われたが、山内はショックを受けていないようだ。


「ふぅ。さすがの僕もお手上げだ。君たちならできるのかい?」


 山内は挑発するかのような目を彼女たちに向けると、織田さんはニコッと笑い快諾した。


「任せといて!」


 織田さんは持っていた鞄から、鉛筆やボールペン、コピックなどを取り出すとまずは下書きを始めた。

 本格的だ。これは頼り甲斐があるぞ!

 そして、俺は隣にいる笹川に織田さんのことを聞いてみた。


「笹川。織田さんって美術が得意なのか?」

「うん。春ちゃんは美術部で、コンクールも優勝経験があるらしい」

「へ〜。羨ましいな」


 俺と笹川が織田さんについて話している横で、山内は織田さんが絵を描いている光景をまじまじと見つめいていた。


「さすが織田さん! とても素晴らしいじゃないか!」


 織田さんがわずか10分で書き上げた下書きは、その時点で山内の清書を超えていた。

 漫画のキャラクターのようなメイドとしっかりデザインされた『メイド喫茶』の文字は最高の品質だ。


「絵やデザインのことなら何でも頼ってね」

「よし! 織田さんには他にもメニュー表づくりを頼もう!」

「りょーかい!」


 織田さんは黒ペンで線を仕上げると、コピックを使い色を塗り始めた。

 ほお〜。感心だな。絵のことなど分からないが、織田さんが天才だということは俺にも分かる。


 その後も手際よく織田さんは色を塗っていった。

 まるで職人のようだ。

 途中、笹川は織田さんに後は任せたと言って、飾り付けの作業に戻っていた。

 織田さんが作業を始めてから30分もしないうちに看板は完成した。


「助かったよ。織田さん、ありがとう」


 山内は織田さんにお礼を言った。


「どういたしまして。ところで……」


 織田さんは俺の方を向くと、あるお願いをしてきた。


「鈴木君。今度、関野さんに会いたいんだけど?」

「じゃあ今度連れてくるよ。会ってどうするんだ?」

「実はね……。彼女の美貌に惚れ込んでいて、絵のモデルになってほしいの」

「なるほど……。俺からも頼んでみよう」

「ありがとっ!」


 この間の華愛子先輩といい、里沙は女子からもモテモテだな。

 そんなやり取りをしていると、教室がざわついた。

 噂をすればなんとやら。気づけば里沙が教室の扉のところに立っていた。


「宏介! ちょっと来て」


 俺は犬か。

 はいはい。今行きますよーっと。


「あ! ちょうどよかった。織田さんも来る?」

「え!? いいの?」


 クラスの視線を集める中、俺と織田さんは里沙に呼ばれるがまま廊下に出た。


続く

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