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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
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65 偶然の出会い

明日12/19(火)も諸事情により更新を止めます。

再開は12/20(水)予定です。

年末年始にかけて忙しいので、更新できない日が増えます。

 研究室はとても綺麗で飼育中か実験中かよく分からないサボテンが整然と置かれていた。


「ここでは日々サボテンに関する研究を行っている」


 岡野さんがそう言うと、柚子先輩はあるサボテンに近寄り、突き始めた。


「えいっ! 私より大きくなったな!」


 その様子には岡野さんも苦笑いだ。


「ははは。あの子も植物に興味を持ってくれたのは良いが、少し変わっていてね……」

「承知してます」


 満場一致だった。

 それに少しどころじゃないですよね。


「まだ柚子が小さかった頃にここへ連れてきたら、何かを感じたのかサボテンに向かって話し始めたのがきっかけかな」

「へぇ〜。それからなんですか」


 柚子先輩は、その背丈よりも高いサボテンを撫で始めた。


「よしよし。分かってるよ。サボ美は私の初めての友達だから何でも通じてるよ」


 何やらサボテンと心が通じ合ってるみたいだ。

 サボテンには感情があると言うが、どうだかな。


「今話しかけてるサボテンは、それこそあの子が初めて話しかけたサボテンなんだ」

「そうなんですか。何だか不思議ですね」


 柚子先輩はノートにメモを始めた。

 俺たちは先輩に近寄り話しかけた。


「そのサボテンについて研究してるんですか?」

「うん。毎年サボ美の成長を発表するの。あ、この子たちは私の後輩だよ」


 俺たちはじっとサボ美を見つめた。

 心なしか少しだけ動いたような気がした。

 気のせいだよな。ここにいると俺たちまでに変な力が宿りそうだ。


「ふふふ。よろしくだって!」

「こうして見るとサボテンも可愛いですねー」


 笹川はスマートフォンを取り出すと、サボ美の写真を撮った。


「サボ美照れちゃったよ」

「そんなに照れるなよー!」


 まるで笹川も意思疎通ができているみたいだ。


 柚子先輩の用事が終わるまでしばらく研究所に滞在し、待っている間に岡野さんからサボちゃん公園について色々と聞いた。

 どうやら、動物ゾーンの爬虫類エリアで柚子先輩の伯母さんが働いているらしい。

 つまり、伯父さんと伯母さんはここで出会ったのか。

 職場結婚というやつだ。



 柚子先輩の用事が終わると、俺たちはサボテンエリアを後にしてまだ見てないところを回ることにした。

 他にも普段見たことないような植物がたくさんあり、まるで外国へ来たかのような錯覚をした。

 続いて動物ゾーンへ行き、牛が放し飼いにされている牧場のようなところに行くと、顧問の吉田先生と遭遇した。


「お、偶然だな。そんな大勢でどうした?」

「私に付き合ってもらってるんです。先生こそ今日は……お一人ですか?」

「ああ。夫と喧嘩してしまって。行くあてもないからここをプラプラしてるんだ」


 ここを選ぶとは、すごいセンスだ。

 生物の先生だけあって彼女も動物好きなのかな。


「ここはいいな。癒される。はぁ〜、どうしようか」

「立ち話もなんですから、入ってすぐのところにあった休憩所でも行きましょう」

「話を聞いてくれるのか!? 飲み物ぐらいは奢ってやるぞ」

「私たちでよければ。ありがとうございます」


 里沙は先生の話を聞きたいようだ。

 男にとって恐ろしい愚痴が聞こえてこないといいけど。

 うう。女の世界は怖そうだ。


 休憩所に着くと、吉田先生は売店でお茶を買ってくれた。

 この植物園で取れた植物から作ったお茶だ。


 俺たちは適当に空いているスペースを見つけると、そこに座った。

 うん。俺だけ外野の気分。

 まさにこれからプチ女子会が開かれるわけだ。

 頼むから平穏に終わってくれ。


続く

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