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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
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64 ナマケモノになりたい

 ペンギンの次はナマケモノだ。

 木にしがみつきながらゆっくりと移動をするナマケモノを見ていると、こちらまで気が抜けそうだ。

 俺はぼーっとナマケモノを見ていたが、ふと隣を見ると秋葉がやけに熱心な目つきであることに気づいた。


「どうしたんだ? そんなに真剣に」

「あのナマケモノが私で、あの木が宏くんだったらって考えてたの」

「そ……そうか……」

「そのアイデアいただき!」


 俺たちの会話を聞いていた笹川は俺の腕にしがみついてきた。


「はぁ〜。温もりを感じて落ち着く〜」

「ちょ……ちょい!」

「あ! ずるい! 私も」


 左腕に笹川、右腕に秋葉。何なんですかねぇ。

 両手に花。しかも物理的に。


「宏くん……」

「な……何だよ?」


 笹川はニヤニヤしながら秋葉の真似をした。


「あはは! 面白すぎっ! 顔真っ赤じゃん」

「ちょっと真美ちゃん!」

「あ、嫉妬してるね」

「ふーんだ」


 俺はどうすりゃいいの!?


「本当なみっちは可愛いな〜」


 笹川は俺から離れるとスマートフォンを取り出して、ロック画面を見せつけてきた。

 そこに映し出されていたのは、秋葉がイメチェンをして初めて登校した時の写真だった。


「本当にその写真使ってるの?」

「もち! スマフォを使うたびになみっちの可愛い顔を拝めて最高なんだ」

「恥ずかしいから変えてよ〜」

「えー! 一生これ使うつもりだからなー」


 笹川は、今度は俺の腕ではなく秋葉の腕にしがみついた。


「う〜ん。なみっちも温かくて柔らかくて最高〜」

「きゃあ!」


 俺は完全に置いてけぼりにされていた。

 あの2人の周りにお花が咲いてるように見えたのは、場所のせいだからなのか?


「さっきから何してるの?」


 呆れた顔をした里沙がツッコミを入れてきた。


「さぁ? 俺もよく分からん」

「変なの……」


 笹川は里沙に気づくと、無理やり腕を掴み3人で寄り添う形になった。


「わ! ちょっと、真美!?」

「里沙ちゃんも一緒に温まろう」


 こいつら、何やってんだ?

 美少女3人が密着し合っている。

 できれば俺もあの中に挟まれたいのだが、それはセクハラだ。


「はい。次行くよー」

「はーい!」


 柚子先輩の一声でいよいよ植物ゾーンへ向かった。

 もちろんサボテンの展示場所まで一直線だ。


「うわー! すごいですね」


 俺たちはその数に圧倒された。

 Dルームに飾ってあるサボテンとは桁外れだ。

 中には俺よりも背の高いサボテンまである。


「すごいでしょ。ここには日本以外から集められたサボテンも飾ってあるの。ほら、そこにあるノッポ君はメキシコから輸入されたんだよ」


 柚子先輩、目が怖いです。

 サボテンのことを語るときの目のギラつきと言ったら、今にもビームが出そうだ。


 柚子先輩のサボテンに関する豆知識を聞かされていると、職員さんが話しかけてきた。


「やあ、今日も来たのか」

「あ、こんにちは!」


 アメリカンな格好をしたおじさんだ。


「今日はお友達も一緒?」

「うん。部活の後輩」

「ほぉ〜。この子たちも好きなのか?」

「はい!」


 確かに動物や植物は好きですが、柚子先輩ほどじゃないですからね。

 それにしても2人ともやけにフレンドリーだな。


「私はこのサボテン広場を任されている岡野です。柚子ちゃんの義理の伯父にあたる」

「そうなんですか!」


 どうりで。

 ひょっとして柚子先輩はこの伯父さんに影響されたのかな。

 俺たちは自己紹介を済ませると、岡野さんに研究室っぽいところへ案内された。


続く


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