61 私のトップモデル
「カメラが好きなんですか?」
「はい。私は写真部に所属してまして、文化祭で展示するための究極の1枚を求めているところです」
「そうなんですか。確かにここからの眺めは良いですね」
「あまり人の立ち寄らないここは、隠れたベストスポットなんです」
カメラ女子は里沙の方を見ると、カメラを構えながら驚いていた。
「それにしてもすごい可愛いですね。私の専属モデルになっていただけないですか?」
「私がですか!?」
「是非お願いしたいです」
「いいですけど……。私でいいですか?」
「とんでもない。あなた以上の美少女にあったことはありません」
「それなら……。よろしくお願いします」
「はい! 私はカメラ部の2年生、百田華愛子と申します」
「私はSF研究部の1年生、関野里沙です」
「同じく鈴木宏介です」
かめこ先輩か。カメラ部のかめこ先輩。リズムがいいな。
「あ! 関野さんってあの噂の美少女!?」
「そうですよ」
里沙に変わって俺が答える。
「はえー。驚きです。私はすごいお願いをしちゃいましたね」
「私でよければ、いつでもモデルになります!」
「お願いします!」
華愛子先輩は深々とお辞儀をした。
「関野さん、絶対にトップを取りましょう!」
「はい!」
里沙と華愛子先輩は熱い握手を交わした。
2人の間で通じ合ったようだ。
今日は雲が多めの天気のため、快晴の日に改めてベストな1枚を撮るということで話がついた。
俺と里沙は華愛子先輩と連絡先を交換し、いつでも連絡がとれるようにした。
その後、閉鎖時間も近づいてきたのでDルームへ戻り荷物を取りに行くと俺たちは帰宅した。
結局半分ぐらいしか校内探検できなかったな。
帰り道、嵐ヶ丘駅前を通りかかった辺りで里沙に倉持から連絡が入った。
『やっほ〜! 2人して今日もラブラブ下校かな?』
どこからか俺たちのことを見ているかのような内容だ。
『もう! どこかにいるの?』
『そのまま左を向いて、ビルの2階の窓を見て』
2人同時にそちらを見ると、手を振る人影が見えた。
よく俺たちに気づいたな。
『今から降りていくから待ってて!』
倉持が合流すると、俺たちは一緒に夜ご飯を食べに行くことになった。
何でも、今日は家に誰もいないらしく自分で作るのが面倒だということで一人寂しく外食をしようとしていたらしい。
そんなところに偶然通りかかった俺たちに思わず声をかけたそうだ。
もちろん、俺と里沙は家に連絡だけは欠かさない。
連絡しないと、しこたま怒られるだろう。
「急に誘ってごめんね。そこのファミレスに行こう!」
「いいわよ。たまにはこういうのもいいわね」
里沙はかなり嬉しそうだった。
俺も久しぶりに倉持と長いこと会うということもあり、楽しみだ。
「宏ちゃんも久しぶりだねー。はい、握手!」
俺は促されるままに倉持と握手をした。
「はぁ〜。宏ちゃん成分補充!」
「俺は電池か」
「あはは。私は2人から元気をもらっているの」
よく分からないが、倉持ワールド全開ということで。
倉持といると、こっちまで元気になってくるからお互い様だな。
俺たちは駅前のファミレスに入り、席に案内されると、早速メニューを広げて注文をした。
続く




