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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
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58 パンドラの壺

 俺は慌てて本を閉じ、棚に置いた。

 なんというトラップ。この部屋には罠が仕掛けられている!

 その後も面白そうな内容の本はあったが、開くのはやめてさっさと棚にしまいこんだ。


「きゃっ!」


 秋葉が突然叫び声をあげた。

 俺と里沙は何事かとそちらを注視すると、秋葉は棚についている引き出しを開け、その中を見つめながら固まっていた。


「どうした?」


 近くに寄って、中を確認すると蛇の模型が入っていた。


「模型……だよな?」

「そうだと思う。でも、びっくりするよ」


 他にもいたるところから模型は出てきた。

 カブトムシとかカエルとか……。

 本物じゃないよな? ここは模型だと信じるほかないだろう。

 俺は机の上にあった大きめの図鑑を手に取った。これで最後の1冊だ。

 あれだけ積まれていた本もいよいよ、棚へと綺麗に並べられるわけだ。


「ん……?」


 図鑑の下から出てきたものに、俺は目を奪われた。

 思わず図鑑を机の隅に置き、そいつを手に取る。


「これは……!?」


 思わず声をあげた。

 それは、白色の大人の女性が履くようなパンティだった。


「宏くん……! それは……?」


 秋葉が先に気づき、俺に質問をすると里沙も気づいたのか顔を赤くしていた。


「パンティだな……」

「う……うん……」


 なんだこの空気は。

 俺は何もなかったかのように、それを机の引き出しにしまった。

 ひょっとして吉田先生の使用済みじゃないだろうな。

 だとしたら俺は触ってはいけないものを触ってしまったことになる。

 ええい! とにかく忘れよう!!


 それから1時間ぐらいで片付けは終了した。

 最初と比べると雲泥の差だ。

 言うなれば、まるで魔境だった呪いの大地を聖地へと浄化した気分。

 実に気持ち良い!

 俺たちは報告のために職員室の吉田先生の元へと帰った。



「先生。ただいま戻りました」

「お! もう終わったか。3人でやると早いな」


 吉田先生は俺たちに缶ジュースをくれた。


「お疲れ! それは私からの気持ちだ」

「ありがとうございます」

「しかし、すごかっただろ?」

「ええ。色々と」


 里沙が即答した。


「変なものは出てこなかったか?」

「たくさん出てきましたよ。絶対に学校と関係ないものもありますよね」

「そうだな。たまにあそこに泊まるからな」


 げ……! あんなところに泊まるのか。

 お化けとか出そうだぞ。


「そういえば下着も出てきましたね」

「何っ!?」

「宏介が見つけてました」

「本当か? 色は……?」


 全員が俺の方を向いている。

 この状況、恥ずかしいのですが。


「白色でした……」

「おおー! 失くしたと思っていたぞ! よく見つけてくれた!」

「机の引き出しにしまっておきました」

「うむ! ところで……」

「はい」

「鈴木はそれを触ったのか?」

「不可抗力です」

「そんなに恥ずかしがらなくても。良かったらお礼にプレゼントしようか?」

「なっ……!?」


 俺は後ろに後ずさりした。

 里沙と秋葉はドン引きしている。


「ははは! 冗談だよ、冗談。そんなに引かなくてもいいだろう? ま、とにかくありがとう」


 この先生、いつかの婦警さんと同じ雰囲気を感じる。

 婦警さんと先生って相性がいいのかな?

 どこかの漫画かアニメでもそういう組み合わせがあったような……。

 とにかく、2人を合わせたら意気投合して凄まじいことになりそうだ。



 俺たちが部活に戻るなり、笹川が話しかけてきた。


「どうだった? 部屋は散らかっていたか?」

「大変だった。どうやったらあんなに散らかせるのか」

「マジかー! 4月に私もやったばかりなんだけどな」


 半年であれほどになるのか。

 だらしない先生だな。


「よし。入部テストも終わったみたいだし、買い出しに行くか」


 部長の一声で、俺たちは駅近くの100円ショップに文化祭用の備品やらを買いに行くことになった。


続く

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