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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
夏の終わりのヤンデレちゃん編
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54 ヤンデレ、襲来

 ライブに行った次の日、俺は特に出かけることもなく家でのんびりとしていた。

 里沙を水族館にでも誘えばよかったかな。


 お昼ご飯を腹八分目程度に食べ、部屋へと戻る。

 椅子に座りながらお菓子をつまみつつ、ネットサーフィンをして暇をつぶす。

 高校進学祝いにノートパソコンを買ってもらったのだが、いかんせんネットサーフィンぐらいしか使っていない。

 パソコンを買ってもらえたのは非常にありがたいのだが、親として心配にならないのだろうか。

 例えば、閲覧履歴には見てはいけないようなサイトの履歴が残っているわけだ……。

 今日は日曜日、家族全員が家にいるので、万が一があるといけない。

 早く消してしまおう。


 その後もポチポチとネットを見ながら、くだらない知識や情報を仕入れ、一人クスクスと笑いながら過ごしているとインターホンが鳴った。

 宅配便かな? 特に頼んだ覚えもないので気にせずネットサーフィンを続行した。

 その後、すぐに俺の部屋の扉がノックされた。


「宏介、お客さんよ〜」


 母さんが俺の部屋まで客人を連れてきた模様だ。

 里沙か? いや、でも里沙だったらお客さんなんて言わないはずだ。

 扉が開くと、俺の部屋に入ってきたのは秋葉だった。


「来ちゃった……」

「お。珍しいな」

「たまたま近くに来たから、寄ったの。迷惑だった……?」


 秋葉は不安そうな様子だった。


「そんなことないぜ。俺も暇してたところだ」

「よかったぁ!」

「ま、とりあえずそこに座ってくれ」

「はい♡」


 返事の語尾にハートマークが付きそうな言い方だったのは、俺の気のせいだろうか。


「この辺りに用があるなんて珍しいな」

「うん。お父さんの病院の片付けを手伝ってたの」

「あー、なるほど。休みなのに大変だな」

「平日は忙しくて片付けなんてしてる暇ないみたい」

「この前行った時も混んでたもんな」

「いつ行っても患者さんで混み合ってるよ。あ、そうそう。この前宏くんが病院に行ったこと話したんだけどね……」

「マジか」

「私が決めた相手だったら文句はないけど、一回連れて来てって言われちゃったの」

「そ……そうか……」

「うん。だからね、いつかお父さんに挨拶に来てくれると嬉しいなって……」


 秋葉はそわそわしながら上目遣いで俺を見てきた。


「えっと……でも……」

「いつかだから、それまでに私も宏くんを落としてみせるから!」

「……っ!」


 複雑な気持ちだ。

 以前よりも秋葉の一言ひとことにドキドキしてしまう自分がいることは否定できない。

 俺ってどうしてこんなに駄目な男なんだろうか。

 これは親父に殴られても文句は言えないぜ。


「最近の宏くん、私を見る目が少し変わったよね。ひょっとして少し惚れちゃった?」


 秋葉は立ち上がると、俺のベッドに寝転がった。


「はぁ〜。宏くんの匂い……。落ち着く……」

「わああ! 何してるんだ!」


 秋葉はうつ伏せになり、足をバタつかせながら幸せそうな顔をしていた。


「これぐらいは許してよ……。今日だって宏くんに会いたくて会いたくてしょうがなかったんだから」

「でもなぁ……」


 秋葉は再び仰向けになると、俺に向かって腕を伸ばした。


「嫌だったら起こしてよ」

「む!」


 俺は秋葉の手を取り、引っ張り上げた。

 そして、秋葉はベッドから降りると、そのままの勢いで俺に向かって抱きついてきた。


「わ!」

「力強く引っ張りすぎだよ……」

「わざとだな?」

「えへへ。ばれちゃった? 宏くん大好き!」


 俺は思わずキュンとして、秋葉を抱きしめ返してしまった。


「ど……どうしたの!?」

「いや、すまん」


 予想外の返しだったのか、秋葉は意外にも大人しくなった。

 俺と秋葉は離れると、しばらく無言のままだった。


「と……とりあえず、またそこに座ったらどうだ?」

「はい♡♡」


 さっきよりもハートマークの数が増えているのは、俺の気のせいだろうか。

 今のはなかったことにして欲しい。


「お菓子、食べるか?」


 俺は、気を取り直そうとお菓子を秋葉に渡した。

 秋葉はお菓子を食べると、再び話し始めた。


「もう……。いきなり大胆になるんだから。体が熱くなっちゃう」

「すまない」

「いいよ……。宏くんのしたいことなら何でも受け入れるから……。でも、不意打ちは卑怯だよ……」


 俺も自分で不意打ちをしておいて、ドキドキが止まらない。

 俺は、思った以上に秋葉を意識し始めていた。


続く

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