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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
夏の終わりのヤンデレちゃん編
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46 高熱ドリーマー

お昼の更新を忘れていたなんて言えない(๑˃̵ᴗ˂̵)ぺろ

 頭がボーッとする。

 このまま行けばどうにかなってしまうぐらいに、熱にやられていた。


 里沙が俺の家のインターホンを押すと、母さんが出てきた。


「あら? どうしたの!?」

「熱があるみたいです」

「風邪かしら? とにかく寝かせるわ」

「はい。あ、私が部屋まで連れて行きます」

「助かるわ〜。おほほ!」


 里沙は俺を支えながら部屋まで連れて行った。

 やっとの思いで部屋にたどり着いた俺は着替える間もなく、ベッドに倒れこんだ。

 熱のせいで頭がおかしくなっていたのか、勢いに任せたので、里沙も一緒に布団に倒れこんでしまった。


「きゃっ!」

「うぅ……」


 里沙は俺の下敷きになっている。

 俺は、里沙に体重がのしかからないように体をずらした。

 そして、そのまま寝ようとしていた。

 はぁ……。柔らかい感触が心地いいな……。


「……」


 里沙は驚きのあまりか、その場で硬直したまま動かなかった。


「ね……ねぇ……そろそろどいてくれない……?」


 顔を赤らめ震えた声でそう言った。


「えー……。落ち着くからずっとこうしていたいなぁ……」

「あ……。駄目ょ……」


 ふと我に返った俺は、ベッドから飛び起き、立ち上がった。


「す……すまん!」

「うん……」


 そして、熱があることを脳が再び思い出すと、急激に体が重くなりその場にヘタレ込んだ。

 里沙は立ち上がり、俺をベッドに寝かしつけてくれた。


「このまま安静にしていることね。明日は休んで医者に行くといいわ」

「すまない……」


 今、俺はとてもまずいことをしでかしたのではないだろうか。

 里沙はご機嫌ナナメではなかったが、余所余所しい態度な気がした。



 その日は熱を何度も測ったが、常に39度近くあり、全く回復しなかった。

 風呂に入ることもできず、ひたすら唸りを上げ寝ているだけだ。


「お兄ちゃん、大丈夫?」


 亜子が心配そうに俺の様子を見に来た。


「亜子か……。見ての通り死にそうだ」

「辛そうだね……」


 実際は、話すことも辛かった。

 呂律もうまく回っている保証はない。


「はい。飲み物置いて置くね」


 亜子はベッド際のテーブルにスポーツドリンクを置いてくれた。


「買ってきてくれたのか……?」

「うん。早く良くなってね」

「助かる。染るといけないから早く出て行った方がいいぞ」

「心配だけど、そうするね……」


 亜子は最後まで俺を心配そうに見つめながら、部屋を出て行った。


 なんて健気な妹なんだ。

 お兄ちゃんは亜子みたいな妹を持って幸せだぞ。

 風邪が治ったらアイスを1ヶ月分プレゼントしてやろうか。


 そして、その日は夜ご飯も食べることができなかった。

 様子を見に来た母親が着替えを持ってきてくれた。


「はい。着替え。明日は高校を休んで朝から医者ね」


 その後、着替えるのに10分かかるぐらいには、俺の体は言うことを聞いてくれなかった。



 いつもの帰り道、俺は里沙と秋葉と2人で帰っている。


「宏介。今日はどっちとデートしてくれるの?」

「うーん。今日も秋葉で」

「そんな酷い! 今日は私って言ってたよね!?」

「やっぱり秋葉が可愛いから」

「えへへ〜。ありがとう! これで関野さんに1歩リードだね」


 俺は両手に花で、どちらとデートするか選んでいた。

 何という最低な男ぶりだろうか。


「許さない! 宏介には責任を取ってもらうから!!」


 里沙はそう言うと、俺の頭を強引に抑え、唇にキスをしてきた。


「……!!??」


 突然の出来事で、俺はズキュゥ〜ンと撃たれた気がした。


「あっ! ずるい! 私も!」


 秋葉まで俺の唇にキスをしてきた。


「宏介のバカ!!」


 バチンと里沙の平手が俺の頬を撃つ。

 痛みは感じなかったが、その瞬間、目が覚めた。


 あまりの驚きに思わず体を起こした。

 良かった……。夢だ。

 滅茶苦茶な夢を見た俺はスポーツドリンクを口にすると、少し落ち着いた。


続く

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