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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
夏の終わりのヤンデレちゃん編
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45 3回目のヒアスウィーティー

「私は禁断のレモンティーで」

「魔法少女スコールコーヒーをください」

「俺はこの契約のアップルティーを」


 メニューをテーブルの上に広げ、魔法少女の格好をした店員さんに注文をした。


 俺は今、嵐ヶ丘駅前のウィッチメントコラボカフェに来ている。

 秋葉に誘われたのだが、そこには里沙もいた。


「なかなか本格的ね」

「ワクワクするね」


 2人の仲は悪いわけではなく、いたって普通だ。


 放課後になりSF研究部へ行き、少ししてから秋葉とコラボカフェに行こうとした。

 どういうわけか、秋葉は里沙を誘ったのである。

 部長も行きたそうだったが、来ないとのことだ。

 正直来てくれた方が助かるのだが……。


「店員さんも可愛いわね。さっきの人、マジこのコスプレをして、とてもクオリティが高かった」

「関野さんもウィッチメント知ってるんだ……」

「ええ……。部室に置いてあるから。全部読んだわ」


 そういえば、部長が持ってきていたな。

 思い返せば、里沙も漫画をよく熱心に読んでいる気がする。

 SF研究部ではウィッチメントブームが巻き起ころうとしているわけか。

 俺も部長に勧められてからすっかりハマってしまったからな。


「里沙はアニメも見ているのか?」

「アニメは見てないわね……。今度見てみようかしら」

「絶対に面白いよ。私もお勧めする! 今度DVD持ってくるから見ようね」

「本当!? ぜひお願いしたいわ」


 さすが秋葉。筋金入りのファンはDVDまで買っているのか。


「お待たせしました。契約のアップルティーです」

「あ、俺です」


 メテこは俺の前にアップルティーを置いた。

 りんごの甘酸っぱさが香ってくる。

 う〜ん。実に普通のアップルティーだ。


 そして、秋葉の頼んだスコールコーヒー、最後に里沙の頼んだ禁断のレモンティーが運ばれてきた。


「いただきます」


 俺たちは一斉にドリンクを口にした。

 うん。美味しい。


「宏介のアップルティー、とてもいい香りがするわ」

「飲んでみるか?」

「そうね。せっかくだから。私のレモンティーも一口あげる」


 俺と里沙はお互いに頼んだものを飲みあった。


「2人は間接キス……気にならないの?」

「俺は全く気にならないな」

「そうね。昔から結構あるし」

「そうなんだ……」


 秋葉はコーヒーに砂糖を入れかき混ぜながら、そう問いかけてきた。

 嘘です。内心ドキドキしてます。

 里沙と間接キス。いつかもしていたが、その頃より一層俺の心は踊っていた。


 その後、秋葉が追加で注文した紅の丘芋タルトが運ばれてきた。


「せっかくだから皆んなで食べよ」


 秋葉はタルトを2等分にした。


「はい、関野さん。どうぞ」

「ありがとう!」


 あれ、俺の分は……?


「宏くんは私が食べさせてあげる」

「え!?」


 秋葉はフォークの先端に一口サイズのタルトを刺し、俺の口元まで運んだ。


「はい、あーん」

「うっ……」


 里沙の見ている手前、気が引けるがしょうがない!

 俺は勢いよくタルトを口にした。


 始まりは倉持からだ。

 その次は里沙。

 そして、秋葉と来て、俺は3人の女子にあーんをしてもらったことになる。

 ううっ! 何て幸せ者だろうか。



 カフェを心ゆくまで堪能した俺たちは、来場者限定特典をもらい、部長へのお土産も購入すると、店を後にした。


「2人とも今日はありがとう」

「こちらこそ。楽しかったわ」

「俺も満足だ」

「ふふふ。満足してもらえて良かったぁ……」


 俺と里沙は秋葉を駅で見送ると、家まで帰ることにした。

 マンションのロビーに入ると、俺は立ち眩みがした。

 比喩表現ではなく、本当に立ち眩みがしたのだ。

 あれ? おかしいな。先まで全然平気だったのに突然体調がおかしくなった。

 たまらず、ロビーに置いてあるソファーに座り込んだ。


「どうしたの!?」


 里沙が慌てて俺に駆け寄る。


「もう駄目だ……」

「ちょっと、しっかり!」


 里沙は俺の隣に座ると、俺のおでこに自分のおでこをくっつけて来た。

 余計フラフラしそうだぜ。


「すごい熱! 早く休まないと辛そうね。部屋まで歩けそう?」

「なんとか……」


 俺は里沙に支えてもらいながら家までの短いようで長い間を歩いた。

 どうやら風邪をひいてしまったらしい。

 それにしてもここまで酷いのは久しぶりだ。


続く

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