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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
夏の終わりのヤンデレちゃん編
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44 親父の恋愛

「それは……?」


 里沙は俺を真っ直ぐ見つめ真剣に聞いてきた。


「それは……」


 その時、亜子が玄関の扉を開け、家から出てきた。


「あ、どうしたの2人とも?」


 ……。何とも言えない空気が流れた。


「えと……お邪魔しちゃった……?」


 亜子はそう言うと、そーっと扉を閉めた。


「それじゃあ、また明日」

「え……ええ。また明日」


 消化不良が否めないが、お互い家に帰った。

 扉を開けるとすぐに亜子が待ち構えていた。

 そして、俺を見るや否や質問を飛ばした。


「喧嘩でもしたの?」

「いや、してない。俺にとってはそれより複雑なことさ」

「へぇ。何だか変なの。じゃあコンビニ行ってくるね」

「了解」


 亜子はそう言うと勢いよく出て行った。

 タイミングが良いのか悪いのか、どうだかな。



 その後、亜子が戻ってくると珍しく俺にお菓子を買ってきてくれた。


「はい。チョコレート。早めのバレンタインだよ」

「さすがに早すぎるだろ」

「良いから。疲れてる時は甘い物食べると良いよ!」

「ありがとう」


 俺は亜子からチョコレートをもらうと封を開け、食べた。

 サクッとしたクランチチョコで亜子のお気に入りのやつだ。


「お兄ちゃんさ、悩んでるでしょ?」

「そうかもな……」

「顔に書いてあるもん。いつでも相談にのるから」

「助かる」


 亜子は何でもお見通しのようだ。

 やっぱり勘が鋭いな。

 俺もあれだけ人の心を察知できるようになりたいものだ。


 部屋に戻り、宿題をこなしていると秋葉からメッセージが届いた。


『明日の放課後、SF研究部に少し顔を出したらコラボカフェに行かない?』

『おっけー。ところで、コラボカフェって何?』

『ウィッチメントがモチーフのカフェ。期間限定でオープンしてるの』

『面白そうだな。場所は大木か?』

『なんと嵐ヶ丘駅前です』

『そうなのか! 聖地があるからな』

『そうだよ』

『明日はよろしくな』

『うん!♡』


 ハートマークとは、可愛いじゃないですか!


 そこでメッセージは終わり、俺は再び宿題にとりかかった。

 しかし、最近の秋葉について考えてしまうため、集中ができなかった。



 夜ご飯の席で俺は思い切って聞いてみた。


「親父と母さんは、どっちからプロポーズしたの?」


「あら? 珍しいわね」

「ごほっ……! きゅ……急に何を聞くんだ!?」


 思いの外、親父は焦っていた。


「何でそんなに焦ってるの?」


 亜子が横槍を入れる。


「うふふ。それはね、お父さんからプロポーズしてきたからよ」

「そうなんだ……」

「おい。ばらすなよ」


 親父は頬を少し赤らめていた。

 そんなに恥ずかしいことなのか?


「あらあら、照れちゃって。ちなみに付き合う時の告白もお父さんからよ」


 意外とうちの親父は積極的だったのか。

 顔に似合わずと言ったら怒られるな。


「おほん! それ以上は知る必要もないだろう」

「いいじゃない。ちなみに、1番最初の告白は振ったわ」

「え!? お母さん、お父さんのこと1回振ったの!?」


 いつの間にか亜子の方が興味津々になっている。


「そうよ。だって一目惚れしましたって突然だったからね。驚いちゃって思わず振ってしまったの」

「あの時はショックだったな……」


 マジか! めちゃくちゃ積極的じゃないか!

 恋愛には疎いかと思っていたが、なかなかやる。


「その後、友達になってしばらく経ってから2度目の告白をされて、それで付き合ったの」

「へぇ〜。意外な事実」

「宏介。なぜ突然そんなことを聞いたのだ?」


 親父が鋭い質問を返してきた。


「ああ。ちょっと友達の恋愛相談にのっていて」

「そいつには、その女を幸せにする覚悟がないなら付き合うなと言ってやれ!」


 親父は熱くなったのか、箸を置き握りこぶしを作りそう言った。


「それが好きと愛してるの違いだ!!」

「……?」


 好きと愛してるの違い?

 どういうことだ?

 俺は親父の言っていることがよく分からなかった。


続く

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