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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
素晴らしき高校生活と恋の始まり編
33/177

32 ヤンデレちゃん入部するってよ

 俺は席に着くと、秋葉に話しかけた。


「おはよう。どうしたんだ?」

「おはよう。私、決めたの。宏くんにお似合いの美少女になるって」

「お……おう……」


 正直、返答に困った。


 メガネを取った秋葉は可愛い。

 昨日までとは別人のようだ。


「それにしてもみんな驚いてるみたいだな」

「うぅぅ……。恥ずかしいよ……」


 人見知りの性格までは直らないか。


 その時、山内が話しかけてきた。


「やあ、ずいぶんと変わったね」

「うっす」

「おはよぅ。そんなに騒がないで欲しいな……」

「皆んな騒ぐのも無理はないさ。秋葉さんの可愛さは嵐ヶ丘高校でも一二を争うって話になってるよ」

「えぇ……。恥ずかしいな……」


 一二を争うということはあれか。

 里沙のライバル登場というわけだ。

 予想外の展開。

 いや、俺があの英語の時間に話しかけた時からこうなる運命だったのかもしれない。


 笹川も会話に参加してきた。


「おはー! なみっちも中々やるね」

「おはよう。うぅ……。声が大きいよ」

「ははは! マジで可愛いー!」


 笹川は秋葉の写真を撮っていた。


「待受にしていいかー?」

「ちょ……ちょっと……恥ずかしいよ」


 誰もが秋葉のイメチェンに驚いた。

 そして、この噂は瞬く間に学校中に広がった。

 休み時間のたびに他のクラスから見にくる奴らがいる。


 これで秋葉も有名人だな。

 里沙も昼休みになるとすぐに俺たちのクラスへやってきた。


「秋葉さん、とても可愛くなったのね」

「関野さんに憧れてるの。私も関野さんみたいになれるかな?」

「ふふふ。ありがとう。もう有名だと思うけど……」

「まだまだです……。これから仲良くしてね。あ、そうだ。2人に相談したいことがあるんだけど……」

「何でも聞くわ」

「私もSF研究部に入りたいんだけど、良いかな?」

「本当か? 部長もきっと喜ぶぞ。大歓迎だ。」

「そ……そうね。秋葉さんが入ればまた賑やかになると思うわ」



 その日の放課後、俺と笹川と里沙は秋葉を連れて部活へ向かった。

 扉を開けると、すでに部長と柚子先輩がいた。


「ん? 客人がいるな。君は確か……」


 俺は首を小さく横に振った。

 部長は少しピクリとするとごまかした。


「気のせいか……。今日は見学かい?」

「私は秋葉奈美恵と申します。この部活に入れてくださいっ!」

「な、何ぃ!? ぜひ入ってくれ!」

「はい! ありがとうございます」

「何という奇跡! この部活は美少女揃いじゃないか!!」


 部長は席から勢い良く立ち上がりガッツポーズをした。

 女子たちからは白い目で見られている。


「ふふふ。また賑やかになるね。私は2年の椎名柚子です。よろしくね!」

「俺は部長の佐々木亮だ。よろしく!」

「はい。お願いしましゅ!」


 あ、また噛んだ。

 やっぱり緊張してたんだな。


 そうして自己紹介を終えると、部長は入部届のことを説明し、秋葉は職員室に入部届を取りに行った。


「時に鈴木よ。彼女は彼女なのか?」

「はい?」

「だから、彼女と付き合ってるのか?」

「ええ!? 何でそうなるんですか?」

「だって鈴木を見るときの表情は他と違うぞ」

「そうですかねぇ……?」

「へー。私は気付かなかった」

「ふーん……」


 笹川と秋葉は、俺と同じく気づいていないみたいだ。

 ひょっとして部長は鋭いのか!?

 そして里沙からまたあのオーラが出ている。

 ひえ〜。なぜこうなるんだ!?


「全く、お前は罪な男よ。関野という嫁がいながら他の女をはべらせるとは。恋のお悩み相談ならいつでも聞いてやるぞ」

「部長、俺って何か悪い事しましたか?」

「ああ。後ろに気をつけたほうがいいぞ。モテない男子にいつ刺されてもおかしくないだろうな。ははは!」

「それは笑い事じゃないです!」


 秋葉は戻ってくると、その場で入部届を記入し部長に提出した。


「うむ! これで入部完了だ。ようこそSF研究部へ!」


 部長は秋葉にSF研究部とは何かを説明した。

 もちろん研究についてもだ。

 ただ、学園祭まで時間がないので秋葉は免除された。


 その後、俺と部長がいつものようにゲームをやっていると秋葉もそこに加わってきた。


「今やってるのってポリオパーティですよね? しかも1番最初の」

「お! よく知ってるな」

「はい。私もゲームが好きなんです」

「よし! 一緒にやるか!」


 部長と趣味の合う秋葉が入ったことによって一段と活気が出た。

 実に頼もしい。


 ゲームをしている途中、こそっと秋葉に聞いてみた。


「バイトは忙しくないのか?」

「辞めたから大丈夫だよ」

「辞めた!?」

「だって……」


 バイトを辞めたことをさらっと告げた秋葉の顔は、幸せそうだった。


続く

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