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清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
ワールドワイド・ファイブデイズ編
170/177

166 世界の玄関へようこそ

 パスポートは持った。お金も持った。着替えも良し。搭乗券は先生が持っている。忘れ物はない。

 時刻は朝の六時。まだ空が暗い中、俺は家を出て嵐ヶ丘駅へ向かった。

 飛行機の発時刻は10時ちょっきしだけど、空港での集合時刻は8時。

 色々と手続きがあり、ぎりぎりに着いていては間に合わないらしい。

 幸いにも嵐ヶ丘駅から空港まで直通の電車が出ており、一時間ちょっとで空港まで行くことができる。


「おはよ」

「うっす。相変わらずの早さだな」

「さ、切符を買いに行かなくちゃ」


 俺は駅で里沙と合流した。

 こんな朝早い時間に電車に乗る人なんかいるのかと思っていたが、駅には思ったより人がいた。

 切符を買った後、出発時刻の6時半まで時間があったので待合室に入った。


「めちゃくちゃ眠い」

「昨日は何時に寝たの?」

「覚えてない。ベッドに入ったのは早かったけど、寝たり覚めたりだった。遠足前のあれみたいなやつかも」

「ふふふ。子供みたい」


 なんたって初海外の初飛行機だからな。未知へのはやる気持ちぐらい湧いて来るさ。


『まもなく一番線に列車が参ります。この列車は当駅始発、中央国際空港行きです』


 里沙と色々話していると、駅のアナウンスがあった。

 さあ、ここから旅が始まる。俺たちは重いキャリーケースを引きながら電車に乗った。

 列車が出発するとすぐに、里沙は眠りについた。なんだかんだ言って彼女も眠かったようだ。

 かく言う俺もすぐに眠ってしまった。気づいた時にはもう空港のすぐ近くまで来ていた。

 窓から外を眺めると、埋立地である空港と本土を繋ぐ橋の上を渡っていることが分かった。朝陽の反射した海がキラキラと輝いている。

 駅に到着し、電車を降りたら向かう先は国際線のカウンター付近だ。

 俺と里沙は初めての空港に右往左往しながらも心躍らせていた。


「どっちに行けばいいの?」

「あっちに国際線の看板があるから行ってみよう」


 改札を出て右に行くと、空港に繋がるであろうオートウォークがあった。これで重い荷物も楽々運べるわけか。

 そして、その先には広大な空港が広がっていた。

 各航空会社のカウンター。お土産屋や飲食店など数多くのお店。これから旅に出るであろう人々。国へ帰るであろう外国人。とにかく老若男女、さまざまな国の人々が行き交っている。


「すごい人……。何だか緊張してきちゃった」


 里沙がそう言うのも無理はない。空港には独特の雰囲気が漂っていた。

 広い空間に反響しているアナウンスや会話の声がより一層、非日常感を引き立てている。

 集合場所にはすでに何人か集まっていた。奥居先生はもちろん、山内とアンジェ、光村がいた。牧と大本が来たのは、俺たちが合流してからすぐのことだった。

 こうして、集合時刻の五分前には全員が揃った。遅刻者がいなくてなによりだ。

 点呼と簡単な説明が終わり、それぞれに搭乗券が配られると、いよいよ手続きを開始した。

 まずは荷物を預けるところからだ。持ち込んで良いのは制限サイズ以下の鞄のみ。キャリーケースは預け荷物となる。財布とかスマフォとか小物系は持ち運び用として持ってきた鞄に入れておいた。

 航空会社のカウンターに向かい、荷物の重量を量り制限に達していないかチェックする。重量オーバーの場合、別途費用がかかるとのこと。

 自分の順番が来るまで並ぶ必要があるが、意外にも混雑しており時間がかかった。

 お次は保安検査だ。テレビとかでよく見るゲートをくぐって金属検査をするアレだ。

 機内に持ち込む荷物も検査する必要があり、これの準備が結構忙しない。

 ベルトコンベアにトレーを乗せ、その上に荷物を置く。スマフォなどの電子機器は鞄の外に出さないといけない。前と後ろの間隔が短く、手こずっていると詰まってしまう。

 慣れないながらも無事引っ掛かることなくゲートを通過し、一安心だ。

 荷物検査が終わると、出国審査が行われる。搭乗前の手続きはこれが最後となる。

 一人ひとりパスポートを見せ、本人確認が行われる。悪いことをしているわけではないが、なぜか畏まってしまった。

 全員が手続きを済ませ、ロビーに入るとまずは搭乗口まで向かった。途中、ガラス張りの窓からは飛行機が間近に見ることができた。

 時刻は9時、出発まで残すところ一時間となっていた。


「搭乗開始は9時半からです。それまではお店を見たり好きなことしてていいから、9時半にまたここへ集まってね」


 奥居先生から一時解散の合図が出ると、肩から少し力が抜けた気がした。

 女子たちは免税店とやらにウインドウショッピングをしに行ってしまった。

 残された俺たちはどうしようか、皆迷っている。最初に口を開いたのは光村だった。


「お腹すいたから何か食べに行こう」


 光村らしい一言だ。彼は体が大きく、柔道部に所属している。いかにも食べそうな雰囲気だからな。

 俺が光村のことを多少知っているのは、今日を迎えるまでに何回か研修が行われ、交流する機会があったからだ。

 牧も初回の説明会とそれ以降では、ずいぶん様子が変わったため孤立せずに溶け込むことができている。


「めっちゃ食べそうだな」

「俺の生きがいだ。牧も食べて大きくなれよ」


 光村と牧はお店に向かって歩き始めた。俺と山内も二人について行くことにした。


続く

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