表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
清楚な幼馴染なんて存在するはずがない!  作者: えすけ
恋のあらし吹く文化祭編
100/177

95 戦場を駆けろ!

次の更新は2/23(金)です。

 3曲目が終わると、拍手喝采で歌姫は迎えられた。

 おそらく、相当不安だったであろうが、彼女の本気に皆んなは魅せられていた。


「ありがとうございました……! こんな私を受け入れて貰って、とても幸せです! このご恩は歌で返します!!」


 格好良いこと言うなぁ。

 天晴れ。その心意気に惚れ惚れするぜ。


「かっこいいぞー!」

「由香ちゃん最高ー!」


 俺以外にも由香を応援する人々の声援が飛び交う。

 今、この場の一体感は二度と味わえないかもしれない。

 それほど、全員の気持ちが由香に向かっている。


「最後の曲に入る前にご報告です。不定期ですが、放課後に体育館でミニライブを開催します! やる時は事前に玄関の掲示板で知らせるのでチェックをお願いしますっ!」


 面白い試みだな。

 俺もできるだけ見に行くか。もちろん、SF研究部を誘ってね。


「今日は本当にありがとうございましたっ! ラストです!!」


 最後の4曲目。由香のライブはあっという間に終わってしまう。

 由香は汗だくになっており、彼女がどれだけ全力を出したかが伺える。

 途中、動きながらも安定感のある歌で、俺たちを楽しませてくれた。


 会場のボルテージは最高潮に達しており、熱気で溢れかえっている。

 誰もが歌姫に向かい、気持ちをぶつけている。もはや、これは心と心のぶつけ合いだ。


「今日は来てくれてありがとっ! またね!」


 とうとう、4曲目が終わり、由香は満足げな顔で会場の皆んなにお礼を言うと、惜しみない拍手が沸き起こった。

 中にはアンコールをお願いする声もあったが、時間の都合上どうしても無理みたいだ。



 由香のライブが終わると、ステージ発表は終了となり、集まった人々は、ゾロゾロと体育館を後にしだした。


 さて、ここからがミッション開始だ。

 俺と里沙の予想通り、体育館内は人でごった返しており、はぐれてもおかしくない状況が出来上がっている。

 つまり、わざとはぐれて、体育館裏に再び集合する予定だ。

 だが、ここで一つの誤算に気づく。


 この人数は、多すぎる。いくら体育館裏とはいえ、騒ぎになること間違いなしだ。

 というわけで、作戦変更!


 俺はその場で、里沙にこっそりと集合場所変更を伝えた。


「作戦変更だ。まずは、玄関前の外、犬の像前に集合しよう。それから、体育館周辺の人が減ったのを確認してから向かおう」

「了解」

「武運を」


 俺たちは、SF研究部の塊からそれとなく抜けると、人混みの中に姿を消した。

 良し! 出だしは上々! このまま集合場所まで行ってしまおう。

 一応、後ろを振り返り、誰もついて来ていないことを確認する。


 体育館を出ると、各方面へ人が散り、人混みが少し緩和された。

 ここでスパートをかけるしかない。

 玄関は、このまま渡り廊下を進めばたどり着くことができる。いつも通り向かうだけだ。走ってはいけない。こういう時こそ落ち着いて振る舞うことが大切である。


 ちょうど渡り廊下に差し掛かったところで、俺はピンチを迎えた。


「お兄ちゃん!」

「亜子! 来てたんだな」

「うん! 由香姉最高だったね。……ところで、1人なの?」

「あ……ああ。皆んなとはぐれてしまってな」


 ここに来ての妹登場だ。

 亜子にバレると、また後で騒ぎ立て、親からご近所に、マンション中に知れ渡ってしまう勢いだろう。

 俺は構わないが、里沙の命令のもと、それはできない。

 可哀想だが、このまま亜子とはここで別れるか……。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ