戦闘準備
「ご主人様、間もなく見えて参ります。」
黒煙が幾筋も見えており、もうすぐ襲撃を受けているであろう村が目に入るはずだ。
「しかしこのような街道沿いの村を襲うものなのか?確かに他の村に比べれば裕福だろうが、街道上にある以上捕まる可能性がはね上がるだろうに。」
街道を警備している騎士団が定期的に見回っているため裕福であろうと襲うものは皆無なはずなのだが。
「盗賊では無いのかも知れません、最低でも自警団のような組織はあるでしょうから、盗賊では襲撃しないでしょう。そうなると・・・」
「他国の暗部か貴族の私兵か、だな。」
特に街道警護の騎士団立った場合、揉み消すのは容易だろう。
「手遅れになっては厄介だ。デュラハン・ロード、スケルトン・ジェネラル先行して敵を確認してこい、連絡は思念で送れ。」
『かしこまりました。』
『承知』
デュラハン・ロードとスケルトン・ジェネラルが離れて走っていった、ゴーレムは護衛のために置いている。しかしさすがアンデッド、あんなに重い鎧を着けて馬並の速さで走れるとは。疲労しないのも大きいな。
さてと、まずはどの様な状態になっているかの確認、次に戦力の把握、後は村人が無事かどうかだな。
『主、村に着きました。』
デュラハン・ロードから連絡が来た。
「どういった感じだ?」
『村の中央にある広場に馬車が三台止まっております、襲撃しているものは100名ほど半数が騎乗しており鎧を身に纏っています。少数ですが魔法使いもいます。』
「村人はどうなっている?」
『村人はおりません、皆が広場にいるようです。黒煙は家に火が放たれた為だと思われます。』
『さらに近くの森に騎士団が待機しております、数は500名ほどで旗を掲げております。魔法による視認阻害魔法がかかっており、村からは見えないようにしているようです。』
すなわち村が攻撃を受けており安全な所はない、襲撃をしているものは100名で騎馬もいるということだ。守っているものが悪という可能性は低いので介入するならば村人側に立つのが妥当か。そして近くで待機している騎士団は盗賊を消して証拠を隠滅しつつ村人を殺すことで口封じをするつもりだろう、ゲスが。
「デュラハン・ロード襲撃している者達を殺せ、ただし数人は生かせ、騎士団の連中と面を合わせる必要がある。それ以外は村人に被害を与えなければ許容するから好きにしろ。」
『承知』
「スケルトン・ジェネラルは騎士団と戦ってもらうが暫し待て。」
『何故ですか?』
「お前だけでも圧倒出来るだろうが、念のために魔法を使える奴を付ける。アンデッド召喚・『愚かなる賢人、外道なる魔法使い』」
地中から法衣を着たアンデッドとローブを纏ったアンデッドが現れた、法衣を着たアンデッドは恰幅が良かった名残に腹が出ているが人の腕ほどもあるムカデやダンゴムシが蠢き、顔には拳台のヒルや蛆虫が沸いている。ローブを纏ったアンデッドは骨に皮がへばりついているとしか言えない容貌であり杖は骸骨で出来ている、両目は赤く輝き生者への怨みを色濃く写している。
「お前達はスケルトン・ジェネラルと共に騎士団を叩け、数名生かせば好きにしてよい。」
『質問がございます。』
「何だ?」
『実験材料にするのは?』
「騎士団を叩くのに必要ならば許可する、程度は考えてやれ。他は無いな、では行け。」
2体のアンデッドが駆けていきスケルトン・ジェネラルに合流する。
さてどれだけ抗えるか、楽しみだな。死体は後でデュラハン・ロード達を固定する媒体にでも使わせてもらおう。
愚かなる賢人:生前は人格者で知られていた賢人、だがその裏で人身売買、麻薬の販売、人体実験、幼児に対して蜂蜜を塗り虫に喰わせる等を行っていた。死後墓が暴かれバラバラに裂かれた後で虫に喰われた。
外道なる魔法使い:生前に魔法を極めてしまったがそれを使いたいという欲望に負け大都市に対して魔法を使用、他の魔法使いに対する攻撃などを行い、また弟子を解剖し自身の魔力を高めようとしていた、結局は軍隊からの攻撃を受け致命傷を得たあとに魔法が暴走し自らの生命力ごと涸渇、ミイラのようになった。




