プロローグ1
私が目を覚ますと、見たことの無い部屋にいた。いや、見たことの無いわけではない、昔の日本の家屋だ。囲炉裏やかまどもある典型的な日本家屋だ。
「おや、目が覚めたかい?でも今の状態だと目が覚めたというより意識が覚醒したといった方がいいのかな?」
囲炉裏に腰掛けている老人がそう話しかけてくる、この人はどういった人だったか・・・、記憶には残っていないのだが。
「それはそうだろうね、君と私は初対面なのだから。ああ、君の考えていることは分かるから気にしないでね。」
思考が読まれている?俗にいう超能力者かそれとも・・・神か。
「神のほうだよ。死んでも滅多に会える事は無い存在だからね、誇ってもいいよ。あとこの部屋は私の趣味だよ、落ち着いてるのが好きでね。」
と言う事は私は死んでしまったということなのだろうか?
「そうだよ、詳しい情報が知りたいかい?」
お願いします。
「君は、仕事の帰りに駅のホームに落ちた女性を救ったんだ、でも君は間に合わずに轢かれてしまったんだ、唯一の救いは即死だったから痛みが無いことだね。映像は見てみる?」
グロそうなので止めます、その女性は無事なのですか?
「無事だよ、これから子供を育てて幸せに暮らせるはずだよ。なんと五つ子だよ、凄いよね、いま少子化問題の日本でだよ。あと映像を見ないというのは正しいよ、飯がまずくなるからね。」
それはよかった、ではそのことを教えてくださるために私にお会いくださったのですか?
「厳密には違うね、感謝とお礼をしたかったんだ。」
感謝とお礼・・・ですか。
「うん、君が助けた親子は実は私の妻と子供でね。人界にいるときには奇跡とか使えないからね、諦めてたんだけど、君が救ってくれたんだ。本当にありがとう(ペコリ)」
それほどの事はしておりませんよ、しかし奥さんは神様ではないんですか?
「すこし人界に降りたときにできた子でね、神と人間では滅多に子供はできないはずだったんだけどね。ちなみに生まれてくる子は普通の人間だよ。」
ああ、差別は生まれないようにできているんですね。分かりました、で、お礼というのはどういうことでしょうか?