タイムダスト
光の中で僕は産まれた。
時が光を超えて、差し迫った空間に一人。僕が何なのか僕はまだ知らない。
時と光を交ぜ合わせた狭くも広い矛盾した部屋の中、声を伝える大気もなく――そもそも声を伝えるべき人もいない。僕はただぼぅと白い天井を、床を、見ていた。
時たま光る甘い玉。僕には食事の必要がないがそれを口に含むと少しだけほっとする。微かにそして一瞬しか光らないのでなかなか手に入れる事はできないが、なかなかの美味である。最も僕には他に食したことがないため比べることはできないのだが。
時は無限に流れ光はいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも僕を照らした。
ある時、ふ、と足下を見た。
ぐにゃりと唐突に、空間が歪んだ。それは気の所為だったのかもしれない。なぜならそれはほんの一瞬だったから。気に掛けることもまた、気にするような神経はその時の僕はまだ持っていなかった。
そして、幾何かの時が流れて不意に影がおりた。
「――」
何かが。いや、誰かが声を発するとそこに空気が生まれ、身体に重力がかぶさった。
ひやりとする床に触ったのが最初、息をのんだのが次だ。
「やぁ!」
恐らく二度目の挨拶をやっと僕は拾えた。