神ドールバトル
神の力を宿したものを神力者という。
この世界にはそんな存在が結構いた。
その神力者は自らが宿している力の大元である神様の人形でもあった。
これはそんなお話。
『いい?このネックレスを肌身離さず持っていなさい』
『ママ~。これな~に?』
夢――――――昔、母さんがいた頃の夢だ。
『これはね、将来きっと役に立つお守りよ』
『うん!分かった!僕持ってるね!』
その翌日に母さんは――――――――――――――失踪した。
「ふぁぁ~。よく寝た」
神代優斗――――――俺の名前だ。
趣味は女の人と遊ぶこと、そして世界旅だ。
ドォォォォォォォン!!
『××××!』
俺は今紛争地域に絶賛迷子中だ。
これも盗賊にあったが故の事象だった。
ちなみに俺は17歳の高校二年生…え?なんで高校生がどっかの特撮
主人公みたいに世界を旅してるんだって?
今日本は8月22日、あと二日くらいは夏休みなのである。
毎日学校終わりに危ないけど自給の良いアルバイトをいくつもこなし
世界旅の費用を貯めて長期休暇に入ると外国へGO~だ。
おかげで身体能力が大幅にアップしたよ。
「んん~!今日の紛争はまだマシだな」
これというのもあの盗賊どものお陰だ!
「……どうやって帰ろうか」
うん、これが今の緊急に決めなければならない議題だった。
パスポートはあるんだが盗賊に金目のものは全部取られてしまったのである。
「ひとまず…歩くか」
俺はどこかも分からない国を歩いている。
「この男をですか?」
「ああ、そうだ。この男も神力者だ。ぜひわが組織に連れて来てくれたまえ」
私――――――レイカ・アルテスタントは上司から一人の男の写真を受け取っていた。
「やってく」
「嫌です」
なんで私が仲間勧誘しないといけないんですか。
「そんなぁぁぁ!ねえねえレイちゅわ~ん!頼むよ~!」
そう言って上司(変態くそオヤジ)は私の胸に抱きついてこようとしたが
私はそれを回し蹴りを顎に綺麗に決めてやり沈めた。
「うっふ~ん☆もっと~」
「キモイわ!」
バコォォォン!!
私はスカートの中を覗こうとして来る変態オヤジ(上司)の頭を踏みつけて
床にめり込むくらい強く踏みつけてやった。
「イタタタタ、まあ、まだ覚醒してないみたいだから封印しに行って」
「……分かりましたよ。で?どんな力なんです?」
神力者にはそれぞれ固有の神力が宿っている。
炎の神の能力を持つものなら炎を自由に操ったり水の神なら水、
武神なら格闘センスがずば抜けているなど。
「分かんない。テヘ★」
「………」
「あーごめんなさい!謝るから刀を出そうとしないで!」
ちっ!何でこんな変態くそオヤジが私の上司なんだか。
「ひとまず行ってきます。どこにいるんです?」
「ん?Z国」
『×××!』
「おわああぁぁぁぁぁぁ!」
俺は今、武器を持った覆面達に追いかけまわされている。
何故こうなったかというとだな、ゲリラ兵から金をパクろうとしたら見つかったんだ。
そんで今ナイフで追いかけまわされている。
俺は傍にあった大きな岩場に身を潜ませあいつらをやり過ごした。
「ふぅ~。何とか危機は去った…女が欲しいな~」
ここ数日間、女の人に触れてすらないからな。女成分が失調だ。
ファサッ。
「ん?」
そんな時に後ろに何かが砂に着陸したような音が聞こえ
そっちの方を向いてみると…
「あんたが神代優斗ね」
「ドストラーーーーーーイク!」
「はぁ?」
び、美女だ!絶世の美女だ!俺の目の前に絶世の美女様がおられる!
「そこの美女様。俺と一夜をあかし」
ボコォ!
「変態、ド変態」
い、いきなり顔面パンチ入れられた!
い、痛い!
「おい、そこの変態」
「変態じゃありません!女好きです!」
「変態でしょうが。まあ、良いわ。あんたを」
『ギャアアァァァッァァン!!!!』
「な、なんだあれ!?」
「ちっ!めんどくさい時に!」
なんかいきなり砂漠から巨大な獣が出てきたぞ!
「に、逃げるぞ!」
俺が美女様の手を取って逃げようとすると逆に足を払われて地面に押さえつけられた。
「あんたはここにいなさい」
そう言って美女様は肩をポキポキいわせて空間に手を突っ込んで…つ、突っ込んだ!?
「手、手、手が空間に突っ込んでる!」
「黙っていなさい」
バチバチバチバチ!
そんな音をたてながら空間から手を抜くとその手には一本の刀が握られていた。
「神力解放レベル1」
バキバキバキバキィ!
今度は砕ける音をたてながら刀身の部分が砕けていって真っ白な刀身に変わった。
「魔獣は…冥界に帰りな」
そう呟いたかと思うとヒュッと一瞬にして美女様が消えると
『ギャアァァァァァ!!!』
なんかすんごい雄叫びをあげて気持ち悪い色の液体を噴出させながら苦しんでいた。
「ゆ、夢でも見てんのか?」
目の前で美女様がヒュンヒュン消えながら刀を振るっていって魔獣の体を斬っていく。
…あ、パンツ見え
バゥン!
「ひぃ!」
俺の近くの砂がいきなり爆ぜた…すみません。何も言いません。
「にしても……すげえな」
さっきから目の前で繰り広げられている光景は映画でもなんでもなくて
本当の現実なんだ。
女の子が瞬間移動しながら化け物を斬っていっている。
『オオォォォォォォン!!!』
「ッ!?」
俺の後ろの砂漠から同じ種類の化け物が現れた。
「もう一匹いたの!?」
「ひ、ひぃ!」
俺はなんとかその場から離れようとするが突然足に激痛が走ってこけてしまった。
「ぎゃぁ!ちっ!イッテェ!」
よく足を見たら何かに引っかかれたような傷跡がついていた。
『グオォォォォォ!』
化け物が俺に向かって突進してきた。
ア…こりゃ死んだな。
美女様はもう一体の奴と闘っててこっちにこれなさそうだし
あ~あの巨体の体当たり喰らったら痛いだろうな~
もう化け物がすぐそこまできているのを確認して俺は目を瞑った。
んだけど何故か痛みは一向にやってこない。
俺は恐る恐る目を開けると母さんから貰ったネックレスが光り輝いてて
怪物の体当たりをすんでのところで止めていた。
「こ、これは……」
何となく俺はネックレスを握りしめるとネックレスが変化しはじめ
徐々にその形を変形させていき俺の右腕に紐の部分だったところが鎖になり
腕に巻かれ飾りの部分が大きな鎌になった。
『グオォォォォ!』
再び俺に体当たりしてくる化け物に俺は慌てることなく鎌を横に振るうと
化け物は横に綺麗に一閃されて消滅した。
「な、なんだこれ」
なんでネックレスが鎌に変わるんだ?
「ねえ」
既に闘い終わった美女様が俺の後ろに来ていた。
「はい?」
「……力が目覚めた以上貴方には私達の組織に来てもらうわ」
組織?……嫌な予感しかしないのは気のせいじゃないな。
どうする?ここは敢えて組織にはいると見せかけて
この国からおさらばして隙を見て逃げ出すか?
「……ところでこれどうやって直すんですか?」
「元の形を想像しなさい」
ふむふむ、確かネックレスだったよな。
俺は元のネックレスの形を想像すると鎌が光り輝いて元のネックレスに戻った。
おぉ~凄いなおい。
「自己紹介がまだだったわね。私はレイカ・アルテスタント」
「俺は全ての女性の騎士の神代優斗です」
「……ド変態」
「えぇ!?」
ともかく俺のなんだかおかしな日常が始まったのである。
どうでした~?