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怪壊塵芥  作者: 黒漆
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集合写真


 同窓会、十年振りに全員が揃ったんだ。その年は連絡がつかない人間も居ない、都合も奇跡的に皆ついてね。折り良く担任の先生も駆けつけてくれるらしい、それじゃ外すわけに行かないだろう。


 俺達のクラスはそんなに人数多く無く三十五人だったんだけどな。三十代になっても幸せなことに誰一人亡くなった人間が居なくてさ、珍しいだろう、その位の歳になりゃ一人や二人、居なくなってもおかしくないものな。それで三十五人目が都合少し遅れるって連絡が幹事に入って、先に会を始めたんだ。


 そこで幹事が卒業アルバムを気を利かして持ってきたって言うもんだから、全員で眺めてね。随分変わっちまったよ、今じゃあ皆おっさんおばさんさ、昔痩せてた子が今じゃ恰幅が良くなってたりしてな、でも面影は変わらない。基本の骨格が変わるかけじゃないからなあ。


 それで思い出話に花を咲かせてるとさ、同級生の一人があれ、こいつ誰だったっけ、なんて口にすんの。忘れちまってるなんて、そりゃああんまりじゃないかてんで、皆で確認すると、確かに知らない子が集合写真の一番後ろ端に立ってんだよ。


 こう俯き加減で、露出した肌が生っ白い体の弱そうな子でさ。でも人数は確かに三十五人いるんだ。それなら今日全員揃うわけだから、照らし合せればそいつが誰か自然と判明するだろうって確認し合うと、丁度遅れてる木下って奴が足りてないのに気がついたんだ。


 これが、おかしな事なんだが。どう思い出してみても木下の顔と写真の子の顔は重ならないんだよな。輪郭から体格までまるで別人としか思えないんだ。木下は活発で健康的なイメージだったから。思ってる事は皆同じらしくて、あいつってこんな顔してたっけなあなんて言ってる。


 そうすると、遅れてきた木下がすまなかったの一言と共にタイミング良く現れた。顔を見るとやっぱり写真とは別人なんだ、思い出の中の木下の顔は現実と相違無い、れっきと歳は重ねてはいるが、基本的な部分じゃ変わらんからな。木下に見てもらうとやっぱりこれは俺じゃない、誰だって答えるんだ。


 そしたら先生が、ふっと思い出したように、そう言えば木下君は最後の年、卒業少し前に引越ししなかったかなって呟いた。そうなんだよな、木下は引越しした、でも俺の記憶だと卒業の後だったはずなんだ。これがおかしくて、クラスメイトの半数は卒業前に引越しした、他は卒業までいたと意見が分かれてしまう。


 木下本人は青い顔して最後二ヶ月は朧気で良く覚えていないと言う。結局わからなかったんだが、これって気持ち悪いだろう。じゃあこの集合写真の三十五人目、木下じゃないとしたら一体誰なんだ。まあ、折角全員揃ったんだからって気味の悪い話は切り上げて、そこからは皆普通にしてた。


 そもそも誰もそれまで何も思わなかったって事が不気味でなあ。そう言えば帰りがけ、当事者の木下がそんなはずないって小声で繰り返してるの見て、何か知ってるのかとは考えたが、結局聞けずじまいだったな。

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