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怪壊塵芥  作者: 黒漆
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たぬきよい


 接待おわりで見送って、偶には一人で飲もうと思い、足がけ三軒梯子した。


 口から出るのは愚痴ばかり、曖昧意識で見知らぬ店に、ふらつきながらも押し入った。


 「月に群雲花に風、サヨナラだけが人生だ。呑んで呑まれて飲まれて飲んで、一期一会と言うともさ」


 銚子片手に赤ら顔、頭にネクタイぶら下げて、今夜限りの付き合いと、見知らぬ屋内で会った顔。


 気がつきゃあたりは大盛り上がり、押しも押されぬ勢いで、同好同士のお祭り騒ぎ。


 「今宵の月を眺めよう、楽しい夜の宴の時を、あたしら忘れちゃならないよ」


 脇の親父が一声上げて、釣られた衆は大騒ぎ、肩を組あいもつれ合い、店の暖簾を腕で押し、まろび出るよに外に出た。


 途端響いた腹太鼓、大喧騒が露と消え、徳利一本残らない。


 こうなりゃやけだと大声上げて、尻餅ついて大の字に。森の広場で一人酔い。


 空には大きなお月さん、天井高く見下ろして、「惚れた女の顔のよに、どれだけ見ても飽きないよ」そんな言葉が締めに出た。


 眠る間際の心地の良さで、求めちゃいない良い返事。森の中から太鼓が一つ、ぽんといい音で鳴り響く。


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