ちんじゅのもり
あの、聞いて欲しいことがあるの。近所の神社に小さな池があるのね。
ううん、そんなに大きいものじゃなくてね。そうね、二メートルくらいの円の。神社の敷地の中でしょう、手入れもされているはずだし、それなのに落ち葉の中に有るみたいな、放置された池なの。
だから凄く気になってたのね。それで目に止まるとついその水の中かを覗いちゃうんだけど。水が澄んでるせいか沈んでいる葉っぱとか枝が、ほら、果物のゼリーってあるでしょ。
透明のゼリーの中に果物が保存されてる、あんな風に不思議と活き活きと綺麗に見えて。風に吹かれてできた水紋に木漏れ日が反射して光ったりして、見てて飽きないのよね。
それで数十分とか平気で覗いちゃうんだけど、日が傾き始めて、オレンジ色の光が水面に射し込んだら、なんだか見たことない風景が映ったの。
あれってなんだろう。何ていうかさ、富士山の樹海ってあるじゃない。木が沢山生えてて、苔みたいなのが一面に広がっててさ。
それなのに生きてるものの気配を感じさせない、そんな感じの森の景色なんだけど。その森が夕日に照らされているからなのか、全体的に金色に光ってるの。
何だかとっても良いもの見られたって思って興奮してね。ついそこの神社の神主さんに話しちゃったんだけど、そしたら神主さん興奮してね、今すぐ転職して巫女になった方が良いとか強引に誘われちゃって。
正直神主さんの反応気持ち悪かったし、そういうの面倒そうじゃない、だから興味ないですって言って逃げて来ちゃった。
でもさ、なんでだろ。あの景色が凄い綺麗で忘れられなくて、また見たくなるの。なんとなく怖いって気持ちもあるんだけど、でもそういう景色観たいって思うのって普通でしょう。
これって変なことなのかな?




