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怪壊塵芥  作者: 黒漆
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おあずけ


 通学路にある電信柱の下で跳ね回る人たちがいる、そんな噂が学校で立った。


 どうやら私と同じ事をする人が他にもいるらしい。


 秘密でもなんでもなくて、多分見える人と見えない人がいるんじゃないかと思う。


 見えたらきっと同じことをしたくなるはずだ。あの綺麗なあれを触りたい、どんなに素敵な手触りだろう、そんな興味を抱くはずだ。


 ある日、通学途中の電信柱にしっぽが生えた。なんだか目隅にちらつくものがあるのが気になって見上げてみると、鯉のぼりのようにゆらりゆらりと揺れている。


 けれどその場所が結構高くて私の指がぎりぎり届く位の場所だ。私が知らない間に何が起きたのだろうと足を止めてみたら、そばの塀の上を黒い猫が走っている姿が頭に浮かんだ。


 夕方に自転車で帰る途中、良く顔を合わせたなと考えながら、サドルから降り近づいてしげしげとしっぽを見ると、真っ黒なしっぽがぴんと立った。


 やっぱりあの黒猫だと私は確信した。彼は私がそのつやつやした毛並みに触れようとしても頑なに拒んだからだ。


 こちらを見て立ち止まり、小首をかしげ、思わせぶりに耳を立ててにゃあと鳴くくせに、近づくと背を向けて離れ、同距離を保って一度も触れさせてくれない。


 ああ、あの彼死んじゃったんだ。そう思ったら少し悲しくなった。けれど、同時に今ならこのしっぽに触れられる気がした。


 今はしっぽだけだけれど、立派な毛並みは健在だった。彼は死んでも変わらず意地悪だ。届きそうで届かない、指が触れようとする瞬間、しっぽは器用に私を避ける。


 そうして私は今日も電信柱に生えた尾に触れようとジャンプしたり、指を伸ばしたりして頑張っている。


 いつの日かこの遊びで彼を負かしてやるんだ。


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