痩塩荒塩
「蛇口から直接水飲んでる人久しぶりに見たよ」
「喉がとにかく渇くの」
「だからってそんな勢いで飲んでいたら体壊すよ」
「仕方ないじゃない、私にも止められないの」
「でもなんでそんなに渇くの」
「塩を舐めたの。こんな事になるなんて思わなかったのよ」
「塩って、それだけで」
「試作のダイエット商品だから試してみてくれって、頼まれたの」
「それって何か変なものなんじゃないの?」
「ううん、口にしてからお医者にもかかったけれど、別に体に異常はないみたいで」
「それでも喉だけ異常に渇くなんておかしいじゃない」
「おかげで痩せてきてはいるんだ、けどこのままなおらなくなったらどうしようって怖くて、それから口にしてないの、なんだか怖くて」
「それで、この茶色い粉が」
「うん、それが塩なんだって。塩辛いし、本当に普通の塩なんだけど」
「誰から貰ったんだっけ」
「ゆうのちゃんから、付き合い長いし大丈夫だろうと思って」
「ああ、最近すごく痩せたものね、あの子」
「それもあってね、大丈夫だろって。でも私、心配でゆうのちゃんに聞いたの」
「何を、その塩の出処?」
「うん、そうしたらゆうのちゃん、自分も知り合いから勧められて飲み始めたんだけど、最近こういうの。怖い、体から同じものが出るようになったって」
「それってどういう、その塩が体から」
「そうなの、朝になると茶色い粉が体に浮き出るんだって」
「何それ、絶対おかしいって。医者行った方が良いよ」
「そう思ったんだけどゆうのちゃん行きたがらなくて、部屋から出られないって。それで今日携帯かけても出ないの」
「そういうの私に相談されても困るよ」
「そう言わないで、お願いだから」
「だって、対応の仕方なんて全くわからないし」
「ごめん、あなたの飲んだスポーツドリンクに少し混ぜちゃった。一緒に考えよ」




