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怪壊塵芥  作者: 黒漆
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ゆきのせい


 前日夜更ししておきながら、部活もないのに朝珍しく早く目が覚めた私は、窓の外を見て霜が降りていることに気がつき、家をでて公園へと散歩に向かった。


 澄んだ空気が新しい季節を感じさせる。道脇の水溜まりに薄い氷が張っていた。


 公園の土が不自然に波打っているのを見て、霜柱が立っているのを確かめる。


 マフラーをずらし息を意図的にふうっと吐き出すと白い靄が立った。


 遠目に見える山肌は鮮やかだった葉が枯れ落ち、寒々しい風景に変わってしまっていた。


 足を踏み出して霜柱を押しつぶす。しゃくり、と独特の音が響いた。足を上げると靴型の跡が確りと地面に残る。それが面白くて跳ねながら次々に標をつける。


 そうしている内、自分以外の何者かの存在に気がついた。視線の先に真新しい足跡が付いていたからだ。


 一番だと思っていたのにと僅かに悔しさを感じ、じっと土型を見ると、それをつけた者がとても小さな子だとわかる。


 こんな時間になぜ、そう考えていると白い毛のようなものが視界の端でちらついた。


 なんだろう、そう思い、脇の木を見ると白い手袋が片方だけ落ちていた。落としものかなと手に取ると、「きゃはは」と笑い声が聞こえ、垣根の向うに毛糸帽子の頭だけが覗き、生き物のように揺れながら走り抜けていった。


 はっとした私が忘れ物を手にとって、垣根の向うにまわるともう姿がどこにも見えない。


 小さくため息をついて、この手袋、帽子が見えたあの子のものかなと考え、仕方ない今日は持って帰ろうか、そう決めて家に向かって歩き出すと、しゃくり、と例の音が耳に触れた。


 あれっ、戻ってきたのかなと背伸びして垣根の向こうを覗こうとすると、足元の土が「かえして」という文字の形に踏み抜かれていた。私はそっと垣根の上に手袋を置いて、気持ち足早に公園から離れる。


 すると笑い声だけが目前から迫って私を通り抜け、残滓のように冷たく甘い香りを残して、間延びしながら遠ざかっていった。


 ちくりと頬に冷たさを感じて両手を寄せ、拭うと私の手を覆う手袋の外側に雪の結晶がこびりついた。


 驚いて帰り、親に伝えるとその歳で何ばかなことやってるのと逆に怒られ、頬が熱を帯びて赤くなるのを感じた。


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