路端怪議
「ねえ、隣の奥さん。子供いるのかしら、夜になると少し煩くて」
「それはないでしょう。あの夫婦、引越した理由が流産だったって聞いたもの」
「前からおかしかったですものね、あのお家。喧嘩も絶えないし、変な声が聞こえたりして」
「移って間もないのに。全く困ったものだわ、変な人が来ちゃって」
「そもそも、あまり顔を見ないですもの。昼間は何をしているのかしら」
「この間、夜出かけているのは見たけれど、夫婦とも多分そういうお仕事なんじゃないかしら」
「夫も夫なら嫁も嫁よね、挨拶にも来ないし」
「でも昼なんて見れたものじゃないわよあの奥さん」
「ああ、若いのに肌荒れ凄いものね、なんであんなになっちゃったのかしら」
「そう言えば、夜出ていくのは見ても、旦那さん帰る姿は見たことないわね」
「あなたも好きね、四六時中見張ってるの」
「いいじゃない、主婦には刺激が必要なのよ」
「きっと浮気でもしてるんじゃないかしら、みつからないように帰っているのよ」
「知ってます? あの奥さんまたゴミ回収させられたみたい」
「ああ、あの人。だって生のまま燃えるゴミに出したんでしょう、当たり前よ」
「生ゴミの捨て方も知らないなんて、世間知らずも良いところですよね」
「でも、中身なんだか得体のしれない物だったらしいです、寝不足の酷い顔で引き取りに来させられて」
「何それ、得体のしれないって、野菜屑か生物が腐りかけてただけなんじゃないの」
「ええと、腐っていたのは間違いないんです。けど、ちょっと大型の肉だったって」
「言われてみたら茶色い動物、ガラス越しに見たことあるわ。一抱えほどの大きさで、なんだかびくびく、変な動きしていたけど」
「じゃあ、死んだペットでも勝手に捨てたのかしら、あのお宅最近やたらと臭うものね」
「旦那さんの遺体だったらどうします」
「まさか、だって昨日の夜も旦那さんが出ていくところ見ましたもの」
「イヤねえほんと」




